ユニリーバでは、Yahoo! JAPANの複数の広告商品を活用し「LUX」のプロモーションを展開、各広告の接触後の効果を検証しました。前編では同社のプロモーション戦略とYahoo! JAPANでの広告展開についてご紹介します。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング メディアダイレクターの山縣 亜己氏、および、Yahoo!プレミアム広告のサービスマネージャーである吉田 昭則と、リサーチアナリシス部の藤田 幸に話を聞きました。
潜在層に向けた最適なコミュニケーションを模索
− 今回、広告展開および調査を実施した「LUX」ブランドの広告戦略について教えてください。
ユニリーバ 山縣氏(以下、山縣氏): LUXは、30〜40代の女性をコアターゲットにした当社の主力ブランドです。カバレッジを広くして、若年層を含め、できるだけ多くのユーザーにリーチしていくような広告戦略をとっています。使用経験があるお客様も多い商品ですが、その中で範囲を狭めすぎず、いかにターゲティングしていくかも重要です。ロイヤルユーザーが多いブランドでもあるので、イメージとしてプレミアム感を訴求することも大切にしています。LUXは主に店頭で購入される商品です。お客様に店舗へ足を運んでもらうためには、ブランド認知はもちろん、ブランドのファンになってもらうことが大切です。そのためにお客様とどのようなコミュニケーションが最適なのか日々考えています。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 山縣 亜己氏
− Yahoo! JAPANでも、複数の広告商品を活用いただいていますが、チャネルごとにどのようにプランニングされていますか。
山縣氏: 当社では、マス広告、デジタル広告という区別をせず、さまざまなチャネルで広く広告展開しています。商品の特性、ニーズ、その国のマーケットに合わせて広告、キャンペーンをプランニングしています。目的に応じて、ターゲットに向けたコミュニケーションを設計していくと、必然的に利用するチャネルが決まります。
また、デジタル広告の9割以上はスマートフォン向けです。効果を見て調整していった結果、女性が主なターゲットであることもあり、自然とスマートフォン中心になっていきました。
チャネルの特性を生かすためには、本来はチャネルごとに最適化したクリエイティブを制作すべきですが、現状は人手が少なくなかなかできていません。しかし今、それを実現するための体制を整えており、今後はチャネルごとに異なる、よりリッチなクリエイティブをお見せできると思います。
− デジタル広告で効果の指標とされていることはなんでしょうか。
山縣氏: 当社での広告の役割は、潜在顧客にクリエイティブを見てもらい、潜在意識でブランドを覚えてもらうこと、その結果としてお店に行って商品を手にとってもらうことです。広告のクリックをせずとも見ただけで伝わり、ブランド認知へと繋がればと考えています。そのため、基本的にビューアビリティ(広告の視認性)を指標としています。eコマースなどで重視されるクリック指標での最適化はほとんど行っていません。
具体的には、「ビューアビリティ×オンターゲット(ターゲット到達率)×CPM(Cost per Mille、広告掲載1,000回あたりの費用)」と「ビューアビリティ×オンターゲット×CPV(Cost per View、広告視聴1回あたりの費用)」を重視しています。100%ビューアブルでオンターゲットの費用対効果をKPIとしています。
広告戦略の全体最適を図るにあたっては、クリックベースでKPIを立てるのではなく、広告を実際に見た人たちがどのような行動を取るかを重要と捉えコミュニケーションを組み立てています。
ブランディングからメッセージ伝達まで、用途に応じて広告商品を使い分け
− 今回、ユニリーバ様がYahoo! JAPANで実施された広告について教えてください。
ヤフー吉田(以下、吉田): 今回、スマートフォンでは3つの商品を出稿いただきました。スマートフォン版Yahoo! JAPAN ブランドパネル、スマートフォン版Yahoo! JAPAN プライムカバー、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)のインフィード広告の3つです。
ヤフー株式会社 プレミアム広告 サービスマネージャー 吉田 昭則
ブランドパネルは、スマートフォン版Yahoo! JAPAN(ブラウザ)のトップページ、その最上部に掲載される当社の看板的広告です。インプレッション保証型で、短期間で大量のリーチが可能です。ファーストビューに掲載されるためビューアビリティが非常に高く、ブランディングにも効果的です。
プライムカバーは、スマートフォン版Yahoo! JAPAN(ブラウザ)の記事閲覧中の上部に継続掲載される高いビューアビリティの広告です。インプレッション保証型でターゲットを絞りつつもリーチを広げることができます。ページのスクロールとともに、広告枠が縮小されサムネイルで表示されるため、ユーザーの記事閲覧を邪魔しません。
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)のインフィード広告は、スマートフォン版Yahoo! JAPAN(ブラウザ・アプリ)トップページを始め、タイムライン型のページでコンテンツ中に挿入される広告です。クリック課金型で、掲載面の記事となじんだ形でレイアウトを最適化し、画像とテキストを組み合わせた広告を掲載できます。
− これらの広告をユニリーバ様では通常、どのように使い分けられていますか?
山縣氏: 用途に応じて使い分けています。たとえばYDNやプライムカバーは、テレビCMでは伝えきれないメッセージを訴求したいときや、メッセージを文字として見せることで、記憶に強く残したいときに使っています。ブランドパネルは、新商品や大きなキャンペーンなど、インパクトが欲しいときに活用しています。最近はプライムカバーの効果が良いので、多く活用しています。
吉田: プライムカバーは、ユーザーのスクロール操作に合わせて継続的に掲載される特性から、ビューアビリティが高い広告商品です。ユニリーバ様のKPIである「ビューアビリティ×オンターゲット×CPM」にマッチし、効果を出せているのだと思います。
Yahoo!プレミアム広告とYDN、掲載面やフォーマットの異なる複数の広告商品を活用した結果、それぞれの広告でユーザーに与える影響は異なるのでしょうか。後編では、調査の結果と、そこから見えてきた広告特性、活用方法をご紹介します。
<後編に続く>
■企業情報
企業・団体名 | ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社(外部サイト) |
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所在地 | 東京都 |
従業員数 | 約500名(2016年12月現在) |
事業内容 | グローバルにブランド展開する世界最大級の一般消費財メーカーであるユニリーバ。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社は、ユニリーバ製品のマーケティングと、営業・受注管理などのカスタマーサービス、食品のマーケティングを担う。 |