日本市場での売り上げシェア拡大を目指し、プロモーションの障壁となっていた広告費用対効果(以下、ROAS「Return On Advertising Spend」)を改善すべく、マーケット独自のクリエイティブ訴求にこだわり、コンバージョンを最大化しつつコンバージョン単価(以下、CPA)を抑えた配信に成功しました。
背景・課題
日本のゲーム市場に合わせた戦い方を
日本では2020年12月にリリースした『Puzzles & Survival(パズル&サバイバル)』が大ヒット。"ゾンビ" "ビルド" "パズル"の 3つのキーワードから構成され、人類がゾンビ化した世界で、仲間と共に敵と戦い、最後の砦である避難所を構築する生存バトルゲームです。日本のゲーム市場には、既に多くの人気コンテンツがあり、新規参入は容易ではありませんでした。実際にYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)を活用しプロモーション開始すると、ROASの数値が予想以上に低く、競合のゲームコンテンツを抑えて市場拡大するには、より低コストで効率よくターゲットにアプローチしてコンバージョンにつなげる必要が出てきました。
施策内容
1.自動入札の段階的活用
まずはROAS改善のため、コンバージョン単価を抑えた配信を目指し「コンバージョン単価の目標値(以下、tCPA)」を活用します。コンバージョン単価がある程度自動でコントロールされることを見越して、配信に関してはより幅広いターゲットにリーチできるようにセットしました。
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自動入札機能を活用しつつ、アプリインストールのコアユーザー層である男性20代〜50代に向けたターゲティングの調整は日々実施。コンバージョン単価(CPI:アプリインストール単価)は微増したものの、目標CPI以内に抑えた状態で、コンバージョン数は導入前数の350%増加と飛躍的にアップしました。
tCPA導入前後比較
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データ取得期間:導入前_8/2~8/7、導入後_8/8~8/13
tCPAの採用によりROASが改善したことを受け、次はコンバージョン数をあげていく施策に振り切りました。ここで採用したのが、2021年11月リリースした新しい自動入札のタイプ「コンバージョン数最大化」。
これは、指定した予算内でコンバージョン数が最大になるように自動で入札価格を調整する入札戦略で、予算を指定するだけで、最適な入札価格を自動で調整されるため、より効率的にコンバージョン数を上げていくことができます。ゲームアプリ業界では、年末年始にコンバージョン数が急上昇するため、そのタイミングに備えてある程度のコンバージョン単価の上昇は覚悟しつつ、リリース後から継続的に前述の運用を続けました。この入札戦略においても、入札戦略導入後のコンバージョン数値が869%増加と非常に満足できる結果となりました。
「コンバージョン数最大化」導入前後比較
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データ取得期間:導入前_8/26~8/31、導入後_9/1~9/6(テスト利用時)
2.ユーザーニーズにあったクリエイティブ運用
ゲームアプリをインストールしてもらうためには、ゲーム自体に興味を持ってもらうことはもちろん、自分事化してゲームしている自分をより具体的にイメージさせることが大切です。『Puzzles & Survival(パズル&サバイバル)』の場合は、自分が実際にゲームの世界に入り、武器を獲得して緊張感の中でゾンビを倒し、避難所にたどりつく感覚です。そこで重要になるが、クリエイティブ。特に日本のマーケットでは、「冒頭」「わかりやすい遊び方」「自分事化(やった感)」の3つが特にポイントでした。
クリエイティブ事例
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マーケットによって"ハマる"クリエイティブは千差万別です。市場ニーズをとらえた上で、クリエイティブの鮮度にもこだわりました。1週間に1回の頻度でクリエイティブを刷新、ユーザーに飽きさせない工夫により、CPIは減少させながら、配信期間すべての週において前週よりも多くのコンバージョンを獲得することができました。
クリエイティブ差し替え後の数値推移
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データ取得期間:2021年9月
今後の展望
Yahoo! JAPANユーザー層に近いコアターゲットに向けた認知拡大を
2022年度も新商品のリリースを控えています。日本市場でのプロモーションを考えた時、Yahoo! JAPANの広告プラットフォームはとても魅力的です。特に、われわれが展開するオンラインゲームのコアターゲットは、Yahoo! JAPANのユーザー層とかなり一致していると感じています。今回は、プロモーション課題であったROASに関しても満足いく数値が出ていました。実際、ゲーム業界においては日本のプレミアムプレーヤーも多く登場しており、オンラインゲームと日本市場は相性が良いと思いますので、Yahoo! JAPANの広告ソリューションを活用してさらなる売上拡大を目指していきたいとのことでした。
導入企業のコメント
最初に導入したtCPAでコンバージョン数に良い結果が出たことが大きかったです。コンバージョン数増加だけではなく、機械学習を取り入れることで運用工数が大幅に削減でき、アカウントも安定して長期で配信することができました。運用工数の削減により、運用のポイントでもあるクリエイティブに工数を振り分けられたことも成功要因の1つです。今後は、クリエイティブ配信においても自動化が進むことを期待しています。
Dori Lv.
Overseas Advertising Director,Interactive Entertainment
- 企業・団体名
- 37GAMES(外部サイト)
- 事業内容
- 37 IEはモバイルゲーム、ブラウザーゲームの研究開発および運営をメインに、同時に映画、ミュージック、アニメ&VR等の娯楽事業を展開
*1:2022年7月のレートで計算
* グラフなどに使用している数値は、ヤフー株式会社調べ
文責:水谷美由紀