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Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)

商品閲覧のないユーザーにも広告配信!「動的ディスプレイ広告」の活用で注文数が2.4倍に

ラクスル株式会社

2024.05.24

ラクスル株式会社が運営する国内シェア1位(※1)のダンボール・梱包材の受発注プラットフォーム「ダンボールワン」。同サイトでは、日本全国のダンボール製造会社、梱包材メーカーと提携し、日本全国に業界最大規模の工場ネットワークを保有。小ロット・短納期・低価格を特徴として個人のお客さまからオフィス需要まで幅広いユーザーに、高品質なダンボール・梱包材を低価格で提供しています。

Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)の動的ディスプレイ広告の配信対象が商品閲覧履歴のないユーザーまで拡大されたのを機に、同サイトではこの機能をいち早く導入。課題である新規顧客の獲得に成功しました。運用に携わった同社ダンボールワン事業・マーケティング部 部長の藤谷亮太氏(以下、藤谷氏)と同部の山下英里香氏(以下、山下氏)に、実施した施策と、成功に至った背景について話を伺いました。
 

目的

・潜在顧客にもアプローチすることで新規顧客を獲得したい

施策

・Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)の動的ディスプレイ広告の新機能を活用し、商品閲覧履歴のないユーザーにも配信対象を拡大して、レコメンド広告を配信
・配信の際にサーチキーワード(Yahoo! JAPANでの検索キーワード)を掛け合わせたターゲティングを実施
 

効果

・コンバージョン(通販サイトでの注文数)が約2.4倍に

動的ディスプレイ広告とは

インターネットユーザー層の商品ページ閲覧などの行動履歴、性別や年齢などの属性をもとに、各ユーザーに最適な広告を動的に生成・配信する広告。複数の商品画像が次々と表示さるため、通販サイトや旅行予約サイト、不動産サイトなど、多数の商品を扱うウェブサイトでは特に高い広告効果が期待できる。
 

課題だった、上昇し続けるCPA

石川県で創業し、ダンボール・梱包(こんぽう)資材の製造とオンライン通販サイトを手がけていた株式会社ダンボールワンは2022年にラクスルグループに加入。現在はラクスルのダンボールワン事業部・マーケティング部にて、全国の製造会社と提携し、多種多様な梱包材を短納期で届けるオンラインの通販サイト「ダンボールワン」を運営しています。

 

「弊社では自前の工場を保有せず、梱包材の製造を外部に委託するというビジネスモデルを展開しています。梱包材の中でも特にダンボールは、一度にたくさん注文するとかさばることから、在庫管理の手間や保管スペースの確保などが必要になります。そのため、小ロットから注文でき、短納期かつリーズナブルな価格で商品をお届けするわれわれの仕組みは、お客さまから好評をいただいています」(藤谷氏)
 

ラクスル株式会社 ダンボールワン統括・マーケティング部 藤谷亮太氏

同サイトでサービスをローンチ後、着実に実績を積み重ね、6年連続「ダンボール・梱包材通販サイト売上1位」(※2)を達成しています。

 

「集客施策として広告出稿にも取り組んでいますが、ここ数年はCPC(クリック単価)が当初の2倍くらいに膨れ上がってきていました。今後も同じ施策を繰り返しているだけでは、広告の効率性が下がってしまいます。業界における当社のシェア率が拡大し続けている分、梱包材を必要としているお客さまに対してだけの提案では、いつか頭打ちになってしまう可能性があると危惧していました。そのため、ニーズがまだ顕在化していないお客さまにも、アプローチをしていく必要がありました」(藤谷氏)

 

そこで、同社では2020年ごろから潜在層へ向けた広告に力を入れました。テレビCMをはじめ、検索連動型広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、さまざまな手を打つことで一定の成果を上げた一方、課題も浮き彫りになったといいます。広告を活用した集客・分析を行う山下氏はこう話します。

 

「広告を出稿すればするほど、潜在層への認知は広まります。極端な言い方をすると、ターゲットは『無限』に拡大できます。ただ、最終的に『注文を確定する』ボタンが押されたかを見ると、注文数自体は拡大したのですが、今度はCPA(顧客獲得単価)が合わないという課題が生じました」(山下氏)

 

ラクスル株式会社 ダンボールワン統括・マーケティング部 山下英里香氏

潜在層にもサイトを知ってもらいたい。しかし、広告効果の最適化は無視できない。そんなジレンマを抱えていたタイミングでリリースされたのが、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)の動的ディスプレイ広告の新機能でした。

 

これまで、動的ディスプレイ広告は商品閲覧履歴のあるユーザーにのみ配信可能でしたが、2023年11月のアップデートで、商品閲覧履歴のないユーザーにも配信ができるようになりました。

 

「当サイトに訪れたことのないお客さまに、効率よく広告を届けるにはどうすればいいか。ずっと試行錯誤していたので、ぜひ使ってみたいと思いました」(山下氏)

配信対象イメージ

新機能の導入から2カ月で注文数が2.4倍に

同社では、これまでもYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)の動的ディスプレイ広告を活用しており、過去にダンボールワンを訪問したことのあるユーザーに向けて、広告を配信していました。

 

「当サイトは法人のお客さまが多いのですが、ビジネスパーソンが多いYahoo! JAPANのユーザー層とマッチしているようで、アップデート前の動的ディスプレイ広告でも期待以上の成果が得られていました。Yahoo! JAPAN経由でダンボールワンを訪れたお客さまは、一人あたりの購入金額が高い傾向もあります。そのため、配信対象を潜在層に広げても、結果に期待できるのではないかと考えました」(山下氏)

 

今回の配信の際、山下氏が工夫したのが、サーチキーワードターゲティングも併せて活用することでした。

 

「梱包材にまったく興味のない方に広告を配信してしまっては、広告の効果がどうしても低下してします。そこで、サーチキーワードターゲティングを活用し、特定のキーワードを検索したことがあるユーザーに絞って広告が配信されるようにしました。『ダンボール』といった単語はもちろん、潜在層のお客さまが検索しそうな『ネットショップ 開業』『ECサイト 運営』などの検索ワードも設定しました。ダンボールを必要としている人だけでなく、EC通販事業者で梱包材を使用するであろう方にも広告を届けられたら、当サイトに興味を持ってもらえるのではないかと思ったんです」(山下氏)

サーチキーワードターゲティングのイメージ
指定したキーワードで検索したユーザーに対して広告を配信するターゲティング機能


同社は、配信対象ユーザーが拡大された翌月の2023年12月から運用を開始しました。すると、その2カ月後には、Yahoo!ディスプレイ広告経由の注文数が運用開始前(2023年11月)の約2.4倍に伸びたといいます。

「同時期に出稿していた他媒体の広告と比べても、結果は顕著でした。一般的に、配信規模を広げれば広げるほど、クリック率やコンバージョン率が低下していきます。しかし、動的ディスプレイ広告では、他媒体よりも範囲を拡大して広告を配信したにもかかわらず、クリック率・コンバージョン率は他媒体と同程度の数値でした。また、注文数(コンバージョン数)を積み上げることだけでなく、安価なインプレッション単価(CPM)(※3)で配信をすることができていました」(山下氏)

 

さらには、配信されたユニークユーザー数も約3倍、重複率も3%と、当初の希望通り、これまでにアプローチできていなかったユーザーにも新たにアプローチすることができたといいます。

「近年、世界的にプライバシー保護の流れが加速しています。サードパーティーCookieを使用して、一度サイトを訪れた方に再度広告を表示するような施策(リターゲティング)が、今後は難しくなっていくともいわれています。今回の施策はリターゲティング以外の手法でお客さまに広告を届けられる、新たな解決の糸口になるのではと感じています」(藤谷氏)
 

新しいことに挑戦することで得られる「先行者利益」

運用結果を受けて、同社では今後、ダンボールワンにおいてさらなるチューニングを行っていく予定です。

 

「今回は『梱包材に興味がある』潜在層の獲得を目指しました。検索ワードの設定次第では、まだまだ伸び代があると考えています。この後は、潜在層の幅をもう少し広めたり、リピート率の高い『法人』のお客さまに絞ってアプローチしたりと、いろいろ検証していきたいと思っています」(山下氏)

 

これ以外にも、コンバージョンの指標やキーワードの変更、サイトの導線設計、LP(ランディングページ)の改善といった施策を検討しているといいます。また、2024年1月から提供が開始された、スマートフォンで商品検索を行った際に画面上部に画像つきの商品情報が掲載されるYahoo!広告 検索連動型ショッピング広告の配信も準備しているそうです。

 

「この業界には先行者利益があると思っています。新しいことにいち早く挑戦するだけで、たくさんの方の目にふれる可能性がぐんと高まります。広告の管理画面だけを見ていると、数字の羅列のように感じてしまいますが、その画面の向こうには、一人ひとり異なるお客さまがいらっしゃいます。お客さまが『ほしい』と感じたときに、適切なタイミングで広告が表示されるのが、マーケティングの理想だと考えています。当社にとっても、お客さまにとっても最適な形を目指して、今後もいろんなサービスを試していきたいですね」(山下氏)

 

「マーケティングにはマクロの視点『鳥の目』と、ミクロの視点『虫の目』が欠かせないと思っています。社会全体のトレンドを押さえ、そのうえで、山下もお話ししたような一人ひとりの心の動きを知ることが大切です。両者を読み解き、つなぎ合わせることが運用の肝。そのためには、Yahoo!広告の活用はとても有効だと思っています」(藤谷氏)
 

 

企業名 ラクスル株式会社
所在地
東京都(本社)
事業内容
印刷事業・広告事業・他
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンのもと、印刷、広告や物流といったデジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変えることで、より良い世界にすることを目指す。現在ではネット印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」、マーケティングプラットフォームを提供するノバセル株式会社、物流プラットフォームのサービスを提供するハコベル株式会社、コーポレートITのサービスを提供するジョーシス株式会社を運営中。
サービス ダンボールワン - 段ボール・梱包資材通販サイト

(公開:2024年5月、取材・文/土橋水菜子、POWER NEWS編集部、写真/慎芝賢)


 

  • 1  対象部門:「売上」「ユーザー数」「注文件数」「レビュー数」 東京商工リサーチ調べ(2023年9月時点)
    主要ダンボール・梱包資材専門通販サイトにおいて

  • 2  ダンボール・梱包資材専門通販ECサイト 東京商工リサーチ調べ(2023年9月時点)

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