化粧品・健康食品を取り扱う自社ブランド「北の快適工房」を運営する株式会社北の達人コーポレーション(以下、北の達人)は、自社サイトを通じて直接消費者に商品を販売するD2Cビジネスを行っています。新規集客や売上の大半が広告経由ですが、独自の運用ノウハウを活用して成果を上げ続けており、そのマーケティング手法が注目されています。2024年にLINE広告への注力を強化し、わずか3カ月で299%の新規集客を達成しました。驚異的な成果を上げた運用テクニックについて、同社WEBマーケティング部の責任者である高橋一雄氏(以下、高橋氏)に話を聞きました。
また、同社の広告運用の〝極意〟を明かすオンラインセミナー「日本最高峰のWEBマーケティング集団 北の達人が語る! LINE広告 Yahoo!広告を活用し たった3カ月で新規集客を299%にした運用ノウハウ」を現在公開中です。併せてご覧ください。
・伸び代の大きいLINE広告を攻略して、CPO(Cost Per Order)を抑えながら新規顧客を増やしたい
・独自の運用ノウハウ「上限CPO」を用い、厳格な利益管理をしながら広告投資を行う
・トークリスト、LINE NEWSなどの配信面ごとにユーザー心理を想定し、広告クリエイティブを制作
・ある商品の広告運用において、3カ月で新規集客299%を達成
「びっくりするほど良い商品ができたときにしか発売しない」というポリシー
北の達人は、化粧品や健康食品、雑貨などの商品の企画、開発、製造を一貫して行い、独自の理論に基づく広告運用を強みとしています。同社WEBマーケティング部を統括する高橋氏は、同社の商品の特徴についてこう語ります。
「北の快適工房には、『びっくりするほど良い商品ができたときにしか発売しない』というブランドポリシーがあります。商品の質にはこだわって、お客さまのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が上がる商品だけを販売しています」
同社の人気商品「ヒアロディープパッチ」は週に1回、目元や口元に貼って寝るだけで、針状のヒアルロン酸が角質層内にまでしっかり浸透する「刺す化粧品」です。5年連続で美容用マイクロニードルスキンパッチ市場における売上シェア世界一のブランドとなり、ギネス世界記録にも認定されました。
独自の運用ノウハウ「上限CPO」でLINE広告を攻略へ
実店舗での商品販売をしないD2Cビジネスにおいては、Web上でいかに新規顧客を集客するかが重要になります。同社は、Yahoo!広告など国内のほとんどのWeb広告媒体に出稿し、自社製品の販売促進を行ってきました。各媒体で運用改善を積み重ねた結果、「ポテンシャルの上限値まで広告を出しきった」と手応えを感じるようになり、2024年からLINE広告に注力することにしたといいます。
「LINEは、日本のほとんどの人、さまざまな年代の人が使っています。そのユニークユーザーの量と幅の規模感に、LINEのポテンシャルを感じてきましたが、LINE広告は他媒体と比較して『攻略』できていませんでした。LINE広告をうまく使うことができれば、大きな結果が出ると思い本格的な運用に踏み切りました」
LINE広告でも、同社がこれまで培ってきた独自の運用ノウハウ「上限CPO」を活用しています。CPOは、新規顧客の注文1件にかかる広告費のことで、上限CPOとは、1件の新規受注にかけられる広告費の上限額です。
同社では、商品ごと、広告媒体ごとに、「顧客1人あたりの1年後の平均売上はどのくらいになるか」をデータ化しています。そこから商品の原価と、商品の発送に伴うコスト、そして社の利益を差し引いた額を「上限CPO」として設定しています。
「弊社は収益を伸ばすために、商品ごとの新規集客数を最大限に確保し、そして厳格な利益管理をしながら広告投資を行っていくというマーケティング戦略をとっています。確実に利益が残るように、上限CPOの範囲内で広告投資をしています。売上高ではなく、利益のみを重視した運用ノウハウが『上限CPO』なのです」
広告運用チームは、広告ごとの反応について上限CPOを基準にチェックし、それぞれのクリエイティブのポテンシャルを見極め、広告配信の拡大、あるいは停止を進めていきます。
「反応が悪い広告は、1日しか配信していなくても問答無用ですぐに止めます。逆に、上限CPO以内におさまる『勝ちクリエイティブ』は、広告配信の量をどんどん拡大し、さらに他媒体にも展開していきます。広告配信停止のタイミングは、CV(コンバージョン)数を基準に細かく設定しています。セミナーでより詳しく解説しているので、ぜひご覧ください」
配信面ごとの「ユーザーの気持ち」を意識したクリエイティブで新規集客299%
LINE広告を始めた当初は、他媒体で実績がある「勝ちクリエイティブ」をそのまま使ってみてもうまくいかないということもありました。しかし、クリエイティブの微調整を重ねていく中で、LINE広告を攻略するポイントとして「配信面ごとのユーザーの気持ちを意識したクリエイティブ」が重要だということが見えてきたと、高橋氏は語ります。
「LINEは、訪れるユーザー数が最も多い『トークリスト』をどう攻略するかがとても大切だと思っています。トークリストを訪れるユーザーは、『友人と連絡を取ろう』といった、明確な目的意識を持って見に来ています。そんなユーザーでも、思わず見てしまう、思わずクリックしてしまう、思わず欲しくなってしまうような〝刺さるクリエイティブ〟を設計していくのが、すごく重要だと分かりました」
同社の事例では、「商品を強調しつつ、どの角度から見ても目が合う顔」の画像が、トークリストで特に良好な反応を得たそうです。また、クリエイティブと組み合わせるタイトルテキストは「端的に効果が伝わる文章」が攻略ポイントで、「ヒアルロン酸じゅわ~」や「翌朝ハリ感」といったフレーズが効果的だったといいます。
トークリストと並んで、同社が重視している配信面がLINE NEWSです。
「『LINE NEWS』は、ユーザーがぼんやりとニュースを見ている中、いかに広告をしのばせられるかが重要になります。ニュース記事は『続きが気になる』導入部で読み手を引き付けています。そのため、広告も端的に結論を言ってしまうのではなく、フックになるような内容から『続きが気になる』と思わせるクリエイティブを作っています。そういった面ごとのクリエイティブの作り分けは大切だと感じています」
こうした細かな取り組みを続けた結果、ある商品はわずか3カ月で新規集客数が299%になるという、驚異的な成果を出すことができました。
「実はこの商品は、Yahoo!広告での勝ちクリエイティブを、LINE広告向けに微調整して出稿したものでした。これほどの成果を出すことができ、LINE広告の伸びしろの大きさを実感しました」
Yahoo!広告の後にLINE広告に出稿するメリット
高橋氏は、すでにYahoo!広告に出稿している広告主が、新たにLINE広告に出稿をするメリットについて、「Yahoo!広告だけではカバーできないユーザー層に届けられる」という点を挙げます。
「やはり、新しいユーザー層にリーチができるというのが、一番の大きなメリットだと思います。またWeb広告は、数カ月でどんどんユーザーに見飽きられるという特徴があるので、その観点でも『新しいユーザーに広告を見てもらえる』のはメリットです。例えば、Yahoo!広告ではちょっとパフォーマンスが落ちてきた広告を、LINE広告の方にうまく展開することができれば、それだけで大きな成果が出ることが期待できます。実際、私たちも『新規集客299%』という成果を出せたわけですから」
高橋氏は、LINE広告は「まだまだ開拓余地が大きい」と考えています。
「今回LINE広告に注力してみて、一定の成果を出せたというところはありますが、LINEというアプリのユニークユーザーの規模感を考えるとまだまだこんなものではないのかなとも感じているんです。そのためLINE広告の攻略には引き続き注力して、もっともっと成果を上げていきたいと思います」
(公開:2024年10月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部、写真/慎芝賢)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です
企業名 | 株式会社北の達人コーポレーション |
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所在地 | 東京都中央区・北海道札幌市
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事業内容 | 化粧品、健康食品、雑貨の企画・開発・製造販売・インターネット通信販売事業
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サービス | 北の快適工房 |