株式会社リブセンス(以下、リブセンス)が運営する成功報酬型のアルバイト求人サイト『マッハバイト』は、アプリのインストール数、ユーザー数の増加を狙って2019年4月に「LINE広告」への出稿を開始。当初から、配信設定やクリエイティブ作成などの運用を自社で行ってきた。
LINE広告はこれまで、代理店を介しての申し込みが主流だったが、2019年11月にオンライン申し込みへの対応を開始。クレジットカードの登録だけで広告出稿が可能になった中、一貫して自社内で広告運用を行い、着実に成果を上げてきたリブセンスの取り組みに迫る。
- アプリのインストール数、ユーザー数を増加させたい
- リスティング広告や単純なディスプレイ広告だけではリーチできない層にリーチしたい
- 2019年4月からLINE広告に出稿し、自社内で運用
- トレンドに合わせてクリエイティブを制作したところ、クリック数・アプリインストール数ともに他広告と比べて何倍もの成果が得られた
LINE広告でしか、リーチできない層がいる
掲載課金のビジネスモデルが多い求人業界で、一線を画す「成功報酬型」を特長とするアルバイト求人サイト『マッハバイト』。アルバイトの採用が決まったユーザー全員に最大で1万円のお祝い金を支払う『マッハボーナス』が、独自のサービスとして支持を得ている。
2017年9月にサービス名称を『ジョブセンス』から『マッハバイト』にリブランディングし、ターゲットは高校生から20代前半などの若年層が中心。リブセンス Adチーム兼ブランディングチームの大坪誠氏は、「最近は認知(ブランディング)と獲得(Ad)チームが一体化し、これまで以上に一貫した施策を考えていくフェーズを迎えています」と語る。競合他社がマス広告などを活用する一方で、『マッハバイト』はWeb広告を中心に認知・獲得の双方を狙っている。
同社 マーケティンググループ リーダー 武藤可奈子氏によれば、広告施策の中でもWeb広告は「売上に直結する重要な位置付け」だという。大坪氏も「イメージキャラクター『マッハ先輩』『イチマン』など、ちょっとふざけたクリエイティブで潜在層への認知や集客を狙い、ニーズが顕在化している層に対しては、運用型広告を中心に確実に獲得につなげていきたい」と話す。
株式会社リブセンス アルバイト事業部 マーケティンググループ グループリーダー 武藤可奈子氏
こうした考えのもと、リブセンスでは様々なメディアでWeb広告を運用・活用していたが、やがて武藤氏は「昨今、スマホの普及に伴いユーザー層の行動にも変化が見られてきた。リスティング広告や単純なディスプレイ広告だけではリーチできない層がある」と考えるように。そこで、2019年2月の『マッハバイト』のiOSアプリリリースに伴い、LINE広告への出稿をスタートするに至った。
「『マッハバイト』は高校生から20代前半という若年層のユーザーを主なターゲットにしているので、LINEさんとは獲得したいユーザー層が一致していると期待しました」(武藤氏)
LINEの月間利用者は日本人口の65%以上となる8,300万人。若年層はもちろん、幅広い年齢層に活用されている
細かなターゲティングでも十分な配信ボリュームを確保
当初から、リブセンスでは広告会社を介さず、LINEの担当者と協力して自社での広告運用にトライしてきた。「会社の方針として、広告会社に丸ごとお任せするのではなく、知見を蓄積する意味でもできる限り自社内で広告運用を行いたいという方針がありました」と武藤氏は話す。最初は運用面で戸惑うことも多く試行錯誤したが、徐々に感覚を掴むことができたという。
現在『マッハバイト』でLINE広告の運用を担当するのが、入社4カ月目の大坪氏だ。これまでWeb広告に携わった経験はなく、運用型広告については1から勉強しなければならなかったが、現在はほぼひとりで運用を担当する。「LINE広告は、LINEアプリのトークリストやタイムラインなどに加え、LINE NEWSやLINEマンガなどのファミリーアプリ、さらに提携しているサード・パーティアプリへも広告が配信できるため、リーチできる層がかなり広い。さらに、管理画面も扱いやすく設定が柔軟に調整できるので、設定の良し悪しに対してすぐに反応が返ってくる。日々の数値結果を見ながら要因を考え、すぐに改善することができるのが魅力」と大坪氏は話す。
株式会社リブセンス アルバイト事業部 マーケティンググループ Adチーム/ブランディングチーム 大坪誠氏
具体的には、誰に向けて(ターゲット)、何を(クリエイティブ)、どこに(メディア)、いくらで(入札額)配信するか。この4つの設定を日々変えながら、スピーディーにPDCAを回すことが運用において重要だと大坪氏。年齢、性別、興味関心などのターゲティング設定を変えたり、「類似オーディエンス」機能で既存の『マッハバイト』ユーザーに似たオーディエンスグループを作成して配信したりと、多様な配信方法を試している。
「LINE広告の場合、目標のCPI(インストール単価)を設定すると、目標値に合わせて最適化して広告配信してくれる機能もあるので、結果はどうか、費用対効果は許容範囲に収まっているか、などをデイリーで確認しています」(大坪氏)
「LINEは、8,300万人(2019年12月時点)というユーザー数の多さが魅力。それだけに、年齢層などでターゲットを絞った設定でも、リーチできなかった、インプレッションが出ないなどの問題は発生しません。初速の動きを注意深く見つつも、大体3カ月くらいのロングスパンで広告成果を判断しています」(武藤氏)
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クリエイティブ×ターゲットの相性を、高速PDCAで探っていく
運用そのものは複雑な作業ではないが、日々変わるユーザーの状況と向き合い、何が成果につながったのかを考えながら、最適な調整を図っていく必要がある。成果につながる重要なファクターのひとつが、広告のクリエイティブだという。
「昨年、ブームに乗じてタピオカミルクティーの画像を用いたバナー広告を作成したところ、大きな反響があり、クリック数・アプリインストール数ともに他の広告の何倍もの成果が得られました。LINEさんのユーザーには若年女性も多いため、オーディエンスとの親和性が高いクリエイティブだったのではないかと思います」(大坪氏)
一方、反省もあった。「インストール数は爆発的に伸びましたが、その後のアルバイト応募数には期待したほどつながらなかった。おそらく、タピオカ店の求人を探していたユーザーの期待に、アプリ内の掲載求人がマッチしていなかったからではないか」と大坪氏は話す。武藤氏も、「とにかく多くの流入を獲得すればよいというわけではなく、あくまでもサービスと一貫性のある広告設計が大切です。その後も、LINE広告の担当者に相談しながら様々な手法を試していますが、お祝い金である『マッハボーナス』についてなど、ユーザーの期待に応える訴求を行うと、きちんと成果に結びつくこともわかりました」と振り返った。
リブセンスでは、バナーなどのクリエイティブも自社で内製することが多く、時にはLINEの担当者と協力して作成することもあるという。広告のクリエイティブと、広告運用の掛け合わせで、成果をいかに最大化できるか、今後も日々、試行錯誤を続けていく考えだ。
加えて、最近はできるだけ早くPDCAを回しながら、テスト的にさまざまな設定で施策を試しているという。「LINE広告の場合はターゲティングがしやすく、設定も柔軟に変えられるので、クリエイティブとターゲットの相性を見るための試験的な活用もしやすい」と大坪氏。LINE広告は必要なタイミングで、決められた予算内で、狙ったターゲットへの広告配信を可能にする。テストだと割り切ってさまざまな手法を試すこともできるため、今後もより効果の高い組み合わせを模索していく予定だ。
(公開:2020年3月)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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