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医療系人材の面接設定率 127%アップ!LINE広告「友だち追加」を起点にしたトライトのLINE活用

株式会社トライト

2023.08.25

株式会社トライト マーケティング本部 CRM課 大野陽貴氏

医療・福祉業界向け人材紹介・派遣サービス「トライトキャリア」を運営する株式会社トライト(以下、トライト)は、コロナ禍で他業界から求職者が増えたのをきっかけに、マーケティングの方針を大幅に刷新。求人サイトに登録していないユーザーとのコミュニケーションツールとしてLINE公式アカウントの本格運用を開始し、その前段階として友だちを集客するため、LINE広告の「友だち追加」を配信しています。LINE広告をはじめとするLINEの法人向けサービス活用の取り組みと得られた成果について、同社マーケティング本部 CRM課 大野陽貴氏(以下、大野氏)に話を聞きました。

目的
  • サイト登録前のユーザーとのコミュニケーションを活性化させたい
  • より質の高いユーザーを集めて、クライアントに紹介したい
施策
  • LINE広告「友だち追加」のテスト配信を行い、一定のCPA抑制を確認した上で本格運用に乗り出した
  • LINEの活用では、ターゲットの属性(潜在層)を意識して転職を直接的に訴求し過ぎないようにする
  • LINE公式アカウントはリッチメニューのタブ切り替えやタイプ別診断など、ユーザーの温度感を高めるコンテンツを提供
効果
  • LINE経由の面接設定率が他媒体比で127%に伸長
  • LINE広告の本格運用を開始して7カ月後には、全体のCPAが38.9%改善された

サイト登録前のユーザーコミュニケーションにLINEを活用

トライトが運営するトライトキャリアでは、医療・介護などの業界に特化した人材紹介・派遣情報を提供しています。

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トライトキャリアのWebサイト。「介護ワーカー」「医療ワーカー」など、
専門職種別の求人情報を提供している。

同社は従来、Web広告で認知を高めた後、求人サイト上でユーザー登録を促す、いわゆる“刈り取り型”のマーケティング戦略を主軸としていました。しかし2020年夏頃以降、コロナ禍をきっかけに他業界から無資格・未経験者の求職者が大量に増加。それに伴いクライアント企業における採用の目も一段と厳しくなり、成約のハードルが格段に上がったといいます。

 

そこで2022年6月、サイト登録したユーザーの“質”をより重視するマーケティング戦略へと転換し、「広告運用のKPIも『ユーザーの登録件数』から『面接設定数』に変更した」と同社の大野氏は振り返ります。

インタビューカット

株式会社トライト マーケティング本部 CRM課 大野陽貴氏

「当社が運営する求人サイトの想定ユーザーは、①無資格者で転職も検討していない(超潜在層)、②有資格者で転職を検討していない(準潜在層)、③有資格者で転職に興味あり(潜在層)、④有資格者で転職意向あり(顕在層)の4段階に大別されます。

 

これまでは全想定ユーザーにサイト登録を促してきましたが、KPIを面接設定数に変更したことで、よりユーザーの段階を精緻に見極めて施策を実行しています」

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ユーザーの段階に応じた施策を実行する上で活用しているLINEの法人向けサービスが、LINE公式アカウントとLINE広告です。特に③潜在層と④顕在層の、サイト登録前のユーザーコミュニケーションにLINE公式アカウントを活用。同時に、新たな潜在層のユーザーを獲得するためにLINE広告の「友だち追加」を配信しています。

 

「LINE広告は、さかのぼること2021年7月に「友だち追加」をテスト配信したところ、9カ月ほどで投資した広告費を十分に回収できるCPAで運用できました。中長期で運用すればさらに成果が出せると確信し、2022年6月から本格導入して今に至ります。

 

LINE公式アカウントは、以前はWeb広告から流入してきたユーザーがサイトを離脱する際にポップアップで友だち追加を促す、“受け皿的”な存在でした。しかし、現在はLINE広告で集客した友だちと積極的にコミュニケーションを取り、サイト登録を促すために活用しています」

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友だち集客を主たる目的に運用するLINE広告

現在、同社が開設・運用するLINE 公式アカウントは「介護ワーカー」「医療ワーカー」「保育士ワーカー」「栄養士ワーカー」「PTOTSTワーカー」「デンタルワーカー」の6つです。これらの友だち数の合計は約19万人に達しています(2023年7月末時点)。

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このうち介護職の求人・転職を扱う「介護ワーカー」のLINE公式アカウントを例に、LINEの法人向けサービス活用の取り組みを紹介します。

 

介護ワーカーのLINE公式アカウントの友だち追加導線は、同求人サイトのコラムページ、メルマガ、SNSアカウントなどに設置されています。一方、潜在層の友だち集客を目的としたLINE広告「友だち追加」では、「転職」や「求人」といったワードを全面に押し出さない訴求を意識しているそうです。

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「転職に向けてまだ本格的に動き出していない潜在層をターゲットにしているため、クリエイティブも『今、お仕事探している方へ』とか『あなたにぴったりの求人』といった直接的な訴求よりも、『介護職に興味はありませんか?』『資格をお持ちの方、必見』など、あえてぼかした訴求のほうが効果的かと考えています。

 

また、広告掲載面の大小にかかわらず『介護職』の文言を目立たせたり、デザインの視認性を高めたりするだけでなく、サイト登録に向けた心理的ハードルをいかに下げるかが大きなポイントです。これについては当社デザインチームと協議して、過去には新聞記事やチラシ風など、広告のトレンドに即したクリエイティブも作成しました。

 

ターゲティングについてはなるべく効率良く友だちを集客したいので、既存の友だちオーディエンスを基に類似配信を行なっています。オーディエンスサイズは現在も試行錯誤を重ねていますが、10%に設定するとコンバージョンが安定する傾向にあります」

ユーザーと真の“友だち”になることを目指し、LINE公式アカウントを運用

「介護ワーカー」のLINE公式アカウントでは、ユーザーのサイト登録に向けた心理的ハードルをとことん下げる目的で「介護職タイプ診断」のコンテンツをリッチメニュー上で提供しています。

 

介護職タイプ診断では、選択式のチャットで5つの設問が表示され、それに回答後すると「人気者タイプ」「パワフルタイプ」などの診断結果が表示されます。さらに診断結果の下ある「求人情報を開く」をタップすると介護ワーカーWebサイトに遷移し、詳しい求人内容を見る場合はサイト登録を促すという仕組みです。介護職タイプ診断は、ユーザーの40〜50%が診断を完了させているといいます。

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また、同社のリッチメニューは求人検索を軸とした「メインメニュー」と、その他お役立ちコンテンツをまとめた「サブメニュー」をタブ切り替えできる仕様になっています。サブメニューからは介護職のお悩み解決コミュニティーとして開設されたSNSアカウント、資格取得支援の「介護ワーカーカレッジ」、新規事業の「介護ワーカーダイレクト応募サービス」などに遷移されます。

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「今回LINE広告の『友だち追加』で集めた友だちの多くは、転職希望の度合いがまだそこまで高くはありません。そのため、すぐさまサイト登録を促す必要はなく、徐々に転職に対する温度感を高めていってもらうのが当社の考えです。

 

リッチメニューには先述した『介護職タイプ診断』などさまざまなコンテンツを提供していますから、まずは自由に遊んでいただきたいです。弊社のリッチメニューはメッセージ開封者の10%以上にタップされ、その後のサイト登録に関するフォーム入力完了率は11.2%達成をしています」

 

また、LINE公式アカウント内で配信するメッセージも“ライトなつながり”を意識し、配信ペースは最大で週2回・月8回程度にして、ブロック率の低減に努めているといいます。

 

「配信するメッセージも転職を直接的に訴求するものは少なく、雑学やトリビア、おすすめのリッチメニューコンテンツなどの情報が中心です。このように、転職という目的外の部分でも介護ワーカーを身近に感じていただき、ユーザーと真の“友だち”といえる関係を築きたいと考えています」

LINEの有用性が少しずつ社内へと浸透

一連のマーケティング戦略により、同社が新たに定めたKPIの「面接設定率」は好成果をおさめています。LINE経由の面接設定率が他媒体比で127%に伸長しました。

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また、LINE広告の利用を本格化させた2022年6月以降、友だちが徐々に増え続けると同時に、獲得からサイト登録までのCPAは低下を続け、7カ月後の2023年1月にはCPAが38.9%抑制されました。

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同社はLINEマーケティングツール「MicoCloud」の導入により、LINE公式アカウント上でのユーザーアクションから勤務エリア、保有資格、転職希望時期、仕事上で悩みなどの各種データを蓄積し(※)、タグ機能の活用でより詳細なユーザー属性の可視化を行なっています。

    • データはユーザーの許諾を得て取得しています。

「LINEを活用し始めたころは、得られる成果について社内に懐疑的な空気があったのも事実です。しかし、LINEを活用するなかで得られたユーザーのインサイトやこれまでの実績を示したりすることで、その有用性が少しずつ理解されていると感じます。

現在は、あくまでサイト登録前のコミュニケーションに特化してLINE公式アカウントを運用していますが、今後はLINE上でユーザーの希望条件をさらに細かくヒアリングし、それに合わせたコミュニケーションや求人情報を提供するなどして、さらに転職を進めやすくするような仕組みも構築したいと考えています」


(公開:2023年8月、取材・文/安田博勇)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です
※掲載したスライド出典は、人材業界向けLINE×Micoworks共催セミナー(2023年3月実施)

 

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