EC事業の中でもとくに競合他社が多い健康・美容領域では、商品の認知獲得や新規顧客の獲得といった事業課題を主戦場に、常に激しい争いが繰り広げられてきた。そんな中、ビタブリッド ジャパンでは、月間利用者数8,400万人(2020年6月末時点)を誇る「LINE」内に広告が出稿できる「LINE広告」を活用し、新規顧客の獲得とLTVの向上を両立させている。
同社のLINE広告活用について、担当者である同社 マーケティングプロデューサーの新馬場隼さんと、広告運用を担当するCyberACE 営業本部 営業2局 第2アカウントグループ アカウントプランナーの平野将大さんに話を聞いた。
新規ユーザーへの訴求に期待し、LINE広告を導入
――ビタブリッド ジャパンでは、どのような商材を扱っていますか?
新馬場:当社は「明日の可能性を広げる」とのコンセプトに基づき、美容化粧品「ビタブリッドCシリーズ」やサプリメント商品の企画開発・販売を行っています。特許を取得した開発技術などを活用し、独自性のある商品をお客様に届けています。
――LINE広告を導入したきっかけ、運用方法について教えてください。
新馬場:2016年頃からインフィード広告が流行り始めたことで新たな広告枠が増加し、当社もデジタル広告に注力していました。しかし、スマートフォンの普及や新規サービスのリリースが落ち着いたことで、新規ユーザーへのリーチ数が次第に減少し、広告の効果も鈍化していきました。新規ユーザーへの接触機会が減少していくことに危機感を覚えていたところ、新たな手段としてCyberACE社の提案を受けてLINE広告の導入を決めました。
運用は自社で広告遷移先となるランディングページの改善を行い、広告バナーやクリエイティブの作成、配信設定などをCyberACE社に担当してもらっています。
株式会社ビタブリッド ジャパン マーケティングプロデューサー 新馬場隼さん
平野:具体的には、LINE広告の入札調整やターゲティングなどの配信設計構築のほか、専属の担当をつけてクリエイティブ制作を行っています。配信前だけでなく、効果の高い広告の検証や結果の可視化などにも取り組んでいます。
運用型広告のチャレンジに最適?LINE広告の魅力とは
――LINE広告を運用する際のポイントについて教えてください。
平野:LINE広告に限らず言えることですが、それぞれの媒体のアルゴリズムをしっかりと理解することが効率の良い配信につながるのではないかと考えています。CyberACEには、LINE広告のアルゴリズムを分析する専門のチームがいます。彼らの分析結果を基に日々、改善を重ねながら運用を行っています。ターゲティングの効果検証なども行いながら施策のPDCAを回し、最適な訴求方法を見つけていくことが大事だと思います。
たとえば、ビタブリッド ジャパン様の提供する機能性表示食品の「ターミナリア ファースト」は、「食事を我慢する」のではなく「美食を愉しむ」というコンセプトの製品です。美食を想起させるために相応しいクリエイティブ作りのために、最初は食事のジャンル別にクリエイティブを作り分けて検証をしていましたが、ジャンルを問わず、「シズル感」を演出できているクリエイティブにユーザーが反応しているということが分かりました。今はおかず、デザート、飲み物と、ジャンルを問わずに「シズル感」を出すことにこだわっています。このように検証の勝ち要素を抽象化し、次回の改善案につなげていくことで、最適化を図ります。また「シズル感」を伝えるためには動画というフォーマットのほうが適しているという意見から、動画を制作した検証にも取り組んでいます。
新馬場:これはあくまで私の主観ですが、LINEには情報感度の高いユーザーが多いと感じています。クリエイティブなどを変えて新しい訴求をするたび、CTRなどの広告効果が高く出る傾向があるためです。一方で、反応が良かったからといって同じクリエイティブで配信を続けていても長続きはしません。1ヵ月後に数値が半減することもあります。そのため、ユーザーに響くクリエイティブの方向性をいくつか定め、常に新しいクリエイティブを配信できるように心がけています。
平野:LINE広告のクリエイティブは重要な要素で、効果的なバナーはimpもCTRも他媒体に比べて大きく伸びる傾向があります。運用の中で効果の高いクリエイティブを見つけたら、テキストのバリエーションを複数用意して、細かく比較検証するようにしています。
新馬場:現在、LINE広告への配信金額は、導入した当初に比べて15倍ほどに増えています。他媒体と比較してもLINE広告の配信ボリュームは多く、効果の良かった広告のサンプルやノウハウを蓄積できるようになってきました。LINE広告はユーザー数の多さもあって広告の効果が分かりやすいため、運用型広告に最初にチャレンジする媒体として適していると考えています。
株式会社CyberACE 営業本部 営業2局 第2アカウントグループ アカウントプランナー 平野将大さん
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――LINE広告への出稿で得られた成果について教えてください。
新馬場:大きくふたつの成果を実感しています。ひとつは、課題でもあった新規ユーザーへのアプローチができたことです。LINEには、8,400万人もの月間アクティブユーザーが存在するため、他の媒体では届けられなかったユーザー層にアプローチができるようになりました。具体的には、SNSやネットサーフィンはしなくても、LINEはコミュニケーション手段として使っているという中高年層です。これまで、中高年層にリーチするためには、DMやチラシなどオフラインの手段が中心でしたが、LINE広告であればターゲティング機能を活用して簡単にリーチすることができます。若年層だけでなくウェブをあまり使っていない中高年層や高齢層に届けることができるのは、LINE広告の大きな魅力だと思っています。
もうひとつは、LINE広告で獲得したユーザーの継続購買率の高さです。これは、LINEがこの数年で「情報収集の場」として成熟されてきたからだと思います。LINE NEWSやその他のサービスが充実してきたことで、アクティブなユーザーが増えている印象です。
製品の特徴を理解し、期待を持って使ってもらえれば、長く愛用していただけます。以前はLINE広告経由のお客様は継続率が低いというのが悩みでしたが、それはコンテンツを読み込むユーザーが少なく、オファーに魅かれてご購入いただいたのは良いものの、商品の理解が乏しいので継続してもらえなかったためだと思います。
現在は新規顧客の獲得だけでなく、LTV向上にも寄与してくれるパフォーマンスの良い媒体だと感じています。
LINE広告を起点にすることで運用負荷を軽減
――LINE広告をこれから活用するEC事業者に向け、おすすめしたいポイントや活用法を教えてください。
新馬場:おすすめしたいポイントはターゲティングの自動化です。ターゲティングをAIに任せることで、我々マーケターはクリエイティブのブラッシュアップにリソースを割くことができるようになりました。
――今後はどのようにLINE広告を活用していきたいと考えていますか?
新馬場:今後は5Gの環境も整い、動画の広告枠もより増えていくと考えています。これまでは静止画を中心としたクリエイティブを用いて広告配信を行っていましたが、時代の潮流に合わせて、動画広告の配信も積極的に行っていきたいです。
平野:現在、当社ではグループ会社であるCyberHuman Productionsと連携して、CGを使った動画制作にも取り組んでいます。AIを活用したクリエイティブの予測ツールなどを用いて新しい訴求方法を見つけることで、クオリティーの高い動画広告を制作していきたいと思います。
ビタブリッド ジャパン様に関して言えば、LTVを重要な指標としているので、静止画と動画広告の効果を比較してどれだけLTVに差が出るかを注視し、さらなる成果を出していきたいです。
(公開:2020年6月)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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