株式会社ココカラファインヘルスケア(以下、ココカラファイン)は、全国で1345店舗(2020年3月時点)の調剤併設型ドラッグチェーンストアを展開しています。同社は販売促進のための広告ツールとして、2019年10月にLINE公式アカウントとLINEチラシの運用を開始しました。同社でLINE活用の企画業務を担当する坂内氏と、運用業務を担当する吉田氏に、LINEのサービスを導入した経緯と取り組み内容、今後の展望などについて話を聞きました。
- 自社の販促情報を多くの人に届けるとともに、今までリーチできていなかったお客さまを取り込むことで、今後、来店が見込めるライトユーザーを獲得したい
- 2019年10月から2020年3月まで、「LINEチラシ」をトライアルで導入
- ユーザーとのコミュニケーションツールとしてLINE公式アカウントを開設し、メッセージやクーポンを配信
- 2020年2月以降、LINE Pay決済による自動友だち追加機能を活用し、LINE公式アカウントの友だち獲得を進めた
- LINEチラシの効果検証を行いながら、2020年7月以降の本格運用に向けた枠組みを整備
- LINE公式アカウントのクーポン配信後、売り上げ貢献につながった
- LINE公式アカウントの1日あたりの友だち追加数が平均150%伸長。獲得した友だちをLINEチラシへ誘導し、「マイショップ」の登録を促すことで、PV単価抑制にも期待
LINEチラシを使った大規模なユーザーリーチに期待
ドラッグストアチェーンを展開するココカラファインは、「人々のココロとカラダの健康を追求し、地域社会に貢献する」という経営理念を掲げ、地域密着の店舗運営を行っています。来店者の約8割を女性が占めることから、特にヘルス&ビューティー関連の商品を充実させています。店舗は立地環境に応じて「都市型」「商店街型」「住宅地型」「郊外型」の4タイプに分類し、店舗タイプ別に販促手法を変えているそうです。
「住宅地型と郊外型は、商品価格を他店と比較した上で来店されるお客さまが多いので、新聞の折り込みチラシが販促の中心です。一方、都市型と商店街型は流動客が大半なので、インストアプロモーションを主体にしています。お買い得商品を店頭に陳列したり、化粧品のポイント施策を設けたりして、販促を行っています」(坂内氏)
ココカラファインは新聞未購読者や主婦層をターゲットに、スマートフォンやPCなどで見られる外部のデジタルチラシサービスも利用していましたが、2020年3月にそれらの掲載を停止。国内の月間利用者数8,400万人(2020年3月末時点)のLINE上から、ユーザーに新たなアプリインストールや会員登録をさせることなくチラシ情報が配信できる「LINEチラシ」へ切り替えました。
「新聞購読者数が年々減少する中、デジタルチラシの必要性を感じてさまざまな媒体に出稿していましたが、どのサービスも決め手に欠ける印象でした。しかし、LINEチラシは既存のデジタルチラシよりユーザーの目に触れる可能性が高いと思いました。また、LINEのほかのサービスと連携して相乗効果が見込める点など、ポテンシャルにも大きな期待を抱いて導入に踏み切りました」(坂内氏)
店舗のチラシ情報を閲覧することができる
(出典:LINE Business Guide 2020年7-12月期)
クーポン機能を活用し、売り上げアップを狙う
ココカラファインでは、LINEチラシの導入に合わせて自社のLINE公式アカウントを開設。そのKPIとして「友だち数」と「クーポンに関連する関与売上」を設定しました。
「LINE公式アカウントは、主にライトユーザーの獲得を目的にしています。ロイヤルティーの高いお客さまは、『ココカラクラブ』という弊社の会員サービスに登録いただいていますが、条件としてココカラクラブカード発行の際、個人情報のご記入やココカラクラブのサイトもしくは自社アプリへの登録が必要となるため、ややハードルが高いのです。そのため、まずはLINE公式アカウントを友だち追加いただき継続的にコミュニケーションをとることで、最終的に会員になってもらえることを期待しています」(坂内氏)
LINE公式アカウントでは、友だちになったユーザーに対して月2回のペースでキャンペーン情報や限定クーポンを発行し、通勤・通学時間を狙い午前8時30分と午後5時30分に配信しています。
「ユーザーのクーポン利用率は恒常的に高く、配信後は着実に売り上げ貢献につながっています。今後、さらに多くの友だちを獲得し、性別や年齢などセグメントを用いて効果的なクーポン配信ができればと考えています」(吉田氏)
商品1点15%オフになるクーポンを配信している
また、トーク画面下部のリッチメニューには、全店で同時に展開するキャンペーンやLINEチラシ、外部のクーポンサイトなど、ユーザーにベネフィットのあるコンテンツを中心に導線を設けています。
「そのほか、友だちでなくても投稿を見ていただけるタイムラインの活用も重視しており、ユーザーが友だちにシェアしたくなるようなパズルやクイズなどのお楽しみコンテンツを投稿しています。メッセージ配信とタイムライン投稿を軸に、お客さまとの関係性を深められるような運用を意識しています」(吉田氏)
LINEチラシの運用におけるPV単価は下がると予想
ココカラファインは、LINE公式アカウント開設直後の2019年10月から2020年3月まで、LINEチラシをトライアルで運用しました。PV単価をKPIとして設定した理由について、同社の坂内氏は次のように話します。
「以前に利用していた外部のデジタルチラシサービスのPVの平均単価以下に設定して、現在は達成に向けて試行錯誤を行っている段階です。また、2020年2月以降はLINE Pay決済の導入に伴う自動友だち追加機能も利用しているのですが、その前後でLINE公式アカウントの1日あたりの友だち追加数が平均150%伸長しました。
今後、露出をさらに増やすことでココカラファインを『マイショップ』に登録してくれるユーザーが増えれば、PV単価は自然と下がっていくと考えています」(坂内氏)
LINEチラシのトライアル期間中は、各エリアの販促担当者おすすめの商品やお得感のある季節商品を厳選して掲載しました。LINEチラシの閲覧効果を確認した後、新聞折り込みチラシを店舗別にアップロードする本格的な運用を始めようとした矢先、新型コロナウイルス感染拡大の影響で販促活動そのものを自粛することになりました。
「結局、LINEチラシの本格的な運用は2020年7月からになりました。現在は、折り込みチラシに加え、日替わり商品や特価商品を単品掲載するなどして、常に鮮度ある情報を届けられるよう工夫を凝らしています」(坂内氏)
LINEを活用した販促活動を開始してからまだ約9カ月。LINE公式アカウントとLINEチラシを活用した施策について、両氏は今後の展望を語ります。
「友だち獲得のため、より一層LINE公式アカウントの認知拡大に努めていきます。アカウントの存在を知っていただくことで、情報やクーポンを届けられる方のリーチ拡大に繋がるからです。LINEチラシについても順調に閲覧していただけていますので、より効果的な内容や投稿頻度をブラッシュアップしていきながらユーザーにとって価値のあるものをお届けしていきたいです」(吉田氏)
「弊社の会員情報とユーザーのLINEアカウントを連携して、よりパーソナライズされたメッセージやクーポンを配信できればと考えています。ただし、単にお得な情報を届けるのではなく、さまざまな感染症の予防対策やヘルスケアの大切さを伝えるサイトへの遷移など、“ココロとカラダの健康を追及し地域社会に貢献する”という弊社の経営理念に則った活用をしていきたいです。コミュニケーションアプリとして浸透しているLINEなら、私たちのビジョンをユーザーに伝えつつ、効果的な販促施策を実現できると考えています」(坂内氏)
(公開日:2020年8月/取材・文:相澤良晃、写真:中村宗徳)
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