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LINEチラシ

ヤマダデンキが「LINEチラシ」活用で描く販促の未来とは

株式会社ヤマダデンキ

2022.09.08

株式会社ヤマダデンキ 営業商品本部 広告ソリューション部 部長 綿貫哲也氏

※当事例は、DIAMOND Chain Store Onlineに掲載された記事の転載となります。

LINEチラシの投資対効果を可視化し、デジタル販促の最適化を目指す

家電量販店のヤマダデンキ(群馬県)は、デジタルチラシサービス「LINEチラシ」を2020年から導入し、現在、約400店舗で活用している。さらに、2021年3月より、小売企業のリテールメディア事業を「Z販促」として支援するLINEの「リテールパートナープログラム」へ参画し、LINEチラシの費用対効果を可視化・検証するためにLINE社の「来店推定学習モデル」を活用した来店効果の分析手法を実験的に導入している。同社の営業商品本部広告ソリューション部 綿貫哲也氏と、LINE社の渡邉祐貴氏・植森翔氏の3名に、LINEチラシ導入の背景や来店推定学習モデルを活用した効果分析の取り組み、今後のデジタル販促戦略について話を聞いた。

株式会社ヤマダデンキ 営業商品本部 広告ソリューション部 部長 綿貫哲也氏

LINE株式会社 Z販促事業本部 LINE販促事業推進室 In-Store Sales Promotionチーム マネージャー 渡邉祐貴

LINE株式会社 広告・法人事業本部 第一営業本部 クライアントソリューション第7チーム 植森 翔

「LINEチラシ」を活用してデジタル販促にシフト

――現在のヤマダデンキのビジネスモデルをお聞かせいただけますか。

 

綿貫 弊社ではこれまで家電を中心に、店舗ごとの客層に合わせて日用雑貨、ゲーム、おもちゃなどを提供する店舗づくりに取り組んできました。そこから踏み込んで現在では「くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」というコンセプトを掲げ、暮らしに関わるすべての商品やサービスを提供するビジネスモデルへの転換を推進しています。

 

――綿貫様の現在の担当領域についてもお聞かせください。

 

綿貫 現在は店舗内のPOPやサイネージなどの販促物や演出のほか、テレビCMやSNS、デジタル広告、デジタル媒体を活用した集客策も担当しています。

 

――以前からデジタルチラシの「LINEチラシ」を導入していますが、その背景を教えてください。

 

綿貫 弊社はこれまで紙のチラシを集客の軸に据え、地域ユーザーの支持を集めながら成長してきました。チラシについては集客力があるということで、現在も弊社会長の山田昇が自らチラシに目を通しているほど重視しています。

 

一方で、紙チラシを見られるお客様の数が年々減ってきていることも事実です。そこで、紙チラシの代わりとなるツールとしてさまざまなデジタル広告を試してみましたが、広告の閲覧人数は媒体の計測で分かっても、来店数や売上にどれだけ貢献しているのかが可視化できていませんでした。ヤマダデンキはチラシで成長してきた会社なので、小さなバナーで1つの製品を訴求するよりも、やはり一覧で複数の商品を閲覧できるチラシを強化したい――。そこで判断して注目したのが「LINEチラシ」です。

 

デジタルチラシはこれまで他社のサービスを利用し、自社サイトにも掲載していましたが、紙チラシの部数と比較すると、閲覧数はあまりにも少ない状況でした。そのため、デジタルチラシの影響力を訴求するためにも、絶対的なPV数とUU数が必要でした。国内の月間利用者数9,200万人(2022年6月末時点)を擁するLINE上にチラシを配信できれば、より多くのユーザーに届けられると考え、2020年に約10店舗で「LINEチラシ」を導入しました。

 

――「LINEチラシ」ではどのようなコンテンツを掲載していますか?

 

綿貫 導入当初は紙チラシをそのままデジタル化して掲載していましたが、最近は配信内容にも工夫しています。例えば毎週土・日曜日にセールを行っていますが、「LINEチラシ」にそのまま掲載すると一つひとつの商品の紹介スペースが小さくなってしまうため、1画面で1商品を見られるよう訴求方法を変えました。さらに、紙チラシでは見ることができない店頭POPもLINEチラシに掲載しています。最近では、売上への貢献度をより明確化するために、LINEチラシ限定のクーポンコードをバーコード化して掲載することで、実際にそのクーポンの利用効果を可視化できるようにしています。

 

植森 ヤマダデンキ様は「スマートフォンでチラシが見られる」ということを前提に、横型のチラシではなく縦型のクリエイティブを制作するなど、スマートフォンでの見やすさを考慮した細かな検証を行っているのが特徴的です。訴求する商品・サービスのお得な内容をどれだけお客さまに見てもらえるかを重視した改善を継続的に行い、閲覧数も徐々に伸びています。

実際に配信したLINEチラシの一例

「リテールパートナープログラム」で「四方よし」を実現する

――ヤマダデンキが参画しているLINEの「リテールパートナープログラム」の詳細についてお聞かせください。

 

渡邉 LINEがZホールディングスと経営統合したことで、現在は「Z販促」という組織も組成され、LINEやYahoo!の持つ多様なサービスやユーザー接点を活かした販促支援に取り組んでいます。これら小売企業を支援する枠組みとして、「リテールパートナープログラム」を作り、いくつかのプログラムを展開しています。

 

本プログラムでは、メーカー企業のLINEを活用した販促活動をより充実させ、参画する小売企業の店舗売上が上がり、ユーザーの利便性も向上することで、弊社を含めると「四方よし」となるようなビジネスモデルの実現を目指しています。

プログラムの参画メリットは主に3点あります。

リテールパートナープログラムへの参画メリット
  • LINEを中心とした「Z販促」の特徴を活かしたリテールメディア開発を支援する「メニュー拡充」
  • 広告メニューの表示回数やLINE公式アカウントの友だち追加を支援する「リーチ規模拡大」
  • 施策効果の可視化やデータ環境の整備や活用を支援する「付加価値の創造」

今回ヤマダデンキ様には、「付加価値の創造」に該当する取り組みとして、「LINEチラシ」の費用対効果可視化を目的とした「来店推定学習モデル」を活用した効果検証を実施いただきました。

LINEの「来店推定学習モデル」を活用したリアルタイムコミュニケーション

――「来店推定学習モデル」とはどのようなものでしょうか?

 

渡邉 LINEは一日に何度もアプリが開かれ、さまざまなシーンで利用されるという特徴をもったサービスです。端末の位置情報(GPSなど)と「ユーザーが店舗を訪れた」ことを証明するLINEサービス(例えば、LINE Payでの購入やウォレットサービスに登録したデジタル会員証の提示など)のデータを組み合わせて学習することで、位置情報から来店を推定することが可能になります(※)。

 

※ユーザーの許可を得て位置情報やサービス利用の情報を取得しています。

 

このモデルを活用してユーザーの居場所や店内行動に合わせた最適な顧客体験を提供していく構想を「Store Communication(ストアコミュニケーション)構想」と呼んでいます。デジタルPOPソリューション「LINE POP Media」もその一つで、来店を検知することにより買物中のユーザーに最適な情報を提供できるようにするなど、店頭におけるユーザーとの最適なコミュニケーションの実現を支援することを目指しています。

――この学習モデルを活用することで、特定店舗への来店者数が分かるようになるのでしょうか?

 

渡邉 はい。現状では取得できるデータは少ないものの、周囲に店舗が少ないため特定店舗への来店計測がしやすいローカルエリアと、取得できるデータは多いものの、店舗が密集して特定店舗への来店計測が難しい都心部では、来店判定の精度に差があります。そのため検証中にはなりますが、今後はより多くのデータを活用することにより、来店判定精度は向上していくと想定しています。

 

――この学習モデルはローンチしてどれぐらい経っていますか。

 

渡邉 現在は「リテールパートナープログラム」のパートナー様の一部の企業に限定しテストさせていただいており、正式メニューとしての外部提供はしていません。皆様に早くご利用いただけるよう、検証を重ねているところです。

LINEの「来店推定学習モデル」を活用して広告効果を可視化

――ヤマダデンキが「来店推定学習モデル」を活用して来店計測を実施した目的や成果などについてお聞かせください。

 

綿貫 まずはLINEチラシ経由でどれだけ店舗送客されているかを知りたいという目的がありました。1回目の計測を基準値とし、チラシの更新頻度アップやクリエイティブの改善により閲覧者数を約180%増加させ、来店率は維持することで来店者数を約160%増加させることに成功しました。これにより想定の貢献売上に対するコスト対効果の指標も大きく改善し、LINEチラシの導入数を約400店舗に増やす判断をすることができました(※)。今後はLINEチラシだけの来店効果なのか、他媒体との相乗効果なのか等も検証していきたいと考えています。

 

※2022年9月現在、導入店舗を全店に拡大しました。

 

また、会社としてはチラシに大きく投資をして毎週配布しているので、紙チラシを削減してデジタルチラシにシフトしたいという想いもあります。LINEチラシのPV数やUU数が今後も増加し、閲覧ユーザーの来店者数も増加していけば、次のステップとして一部のエリアで紙チラシをやめてみて売上に変動があるか等が検証できるようになります。紙チラシのコストをデジタルに移行できる判断材料としてもこの取り組みを活用していきたいです。

 

――2回の検証を行ったとのことですが、「LINEチラシ」の閲覧数が上がった要因は何でしょうか?

 

渡邉 LINEチラシは専用のLINE公式アカウントも開設しており、友だちになることで、自分のよく行く店舗をお気に入り登録することができます。お気に入り登録店舗が新しいチラシを掲載すると新着情報としてプッシュメッセージが届くため、メッセージ経由の閲覧回数が伸びたと考えています。

アプリ×LINE販促で広告効果の最大化をめざす

――最後に、今後「LINEチラシ」をはじめ、LINEのサービスを活用して販促やプロモーションなどで実施していきたい施策がありましたら教えてください。

 

綿貫 弊社ではデジタル施策の一環としてネイティブアプリの運用にも力をいれています。アプリを育てていくことで、自社会員のロイヤルティを向上させ、何度も来店していただく仕組みづくりを構築したいと考えています。そのため、今後はアプリを軸にして他のデジタル媒体との連携を強化していきたいです。アプリの効果を高められるような取り組みとして、LINEとの連携にも期待しています。

 

渡邉 まさに、ネイティブアプリにはロイヤルユーザーが多くいらっしゃいます。今後は、ヤマダデンキ様の自社会員IDとLINEのユーザーIDを連携することで、アプリを最近見ていないユーザーもLINEを入り口に継続的につながりを持つことが可能になり、アプリに送客するという仕組みも構築できます。

 

また、このID連携が進むことで、LINEチラシやLINE公式アカウントのメッセージを見たユーザーが実際に店頭で買ったのか、という分析が、Data Clean Roomを通して統計的に把握できるようにしていく構想もあります。これらの精度の高い分析をもとに施策の改善を繰り返していくことで、より大きな売上に貢献できると考えていますので、ぜひこれからもご一緒させていただきたいと考えています。

 

植森 LINEの価値は9,200万人ものユーザー規模を活用し、より多くのユーザー様によりお得で便利な情報をお届けすることができる点にあります。アプリとの連携のお話もありましたが、アプリとLINEの良さをそれぞれ最大限に活かすことで、より多くのユーザーにヤマダデンキ様をご愛用いただけるきっかけが作れると考えています。すでにヤマダデンキ様とは昨年から「リテールパートナープログラム」をはじめ、LINE公式アカウントやLINEチラシの活用、来店推定学習モデルなど多岐にわたるお取り組みをさせていただいておりますが、今後もよりいっそう新たなお取り組みをご一緒させていただきたいです。

 

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です