原料にこだわったオリジナルのスムージーやハーブティーを提供する「エルビタ」は、愛知県を拠点にリピーターから高い支持を得る美容ドリンク専門店です。かつては、商品へのこだわりから生まれる提供時間の長さや、長蛇の列ができた末に注文ミスが発生するなど、店舗オペレーションに課題を抱えていたといいます。同店は、そうした課題を解決するためにモバイルオーダーと決済機能を持ち、サブスクリプションサービスも提供できる「サブスクライン」のLINEミニアプリを導入。LINEを活用した取り組みや得られた成果について、エルビタ ビューティーアドバイザーの異相容子氏(以下、異相氏)に聞きました。
- 店舗の認知・人気の高まりとともに、クレームの主な原因となっていた商品の提供時間の長さや注文ミスを減らしながら、顧客エンゲージメントを強化したい
- 2022年4月にLINE公式アカウントを開設し、2023年4月に「サブスクライン」のLINEミニアプリを導入
- LINE上で利用できるモバイルオーダーと事前決済により商品提供をスムーズに行いつつ、リピーター増加を狙ったサブスクリプションサービスもスタート
- 毎月の新商品や、季節ごとの美容・健康情報などを月2〜3回のペースでLINE公式アカウントからメッセージ配信
- 事前に顧客の来店日時がわかることで段取りが可能になり、注文ミスや食材ロスがゼロになった
- 注文の約4割がサブスクライン経由のものとなり、LINEミニアプリ導入前と比べて売上が130%伸長
商品へのこだわりから生まれる課題を解決するため、LINEに注目
愛知県名古屋市に2店舗と、中東・カタールに店舗を構える(2024年5月時点)美容ドリンク専門店 エルビタは、防腐剤、着色料、白砂糖などの添加物を一切使わず、天然原料と“美人菌”をプラスした生サプリスムージーのほか、ダイエットハーブを使った美活スムージーなどを看板メニューにそなえています。
美容や健康に関心のある女性が主なターゲットですが、顧客の約3割は男性客で「偏りがちな食生活を見直したい」「お酒を飲み過ぎたのでリフレッシュしたい」などのニーズで商品を買い求めるといいます。「1本900円〜という価格帯ですが、全体的にリピート率が高いのが特徴」と、エルビタの異相氏は話します。
「国内の店舗は現在、名古屋の覚王山や栄といった人通りの多いショッピングモールや駅の近くにあります。テイクアウト方式でどんな方でも利用いただきやすいため、新規顧客が一定数確保できるほか、フードフェスや美容フェスに出店したりSNSで情報発信したりして認知を広げています。
私は店舗業務を統括するかたわら、野菜ソムリエと調理師の資格を活かして商品開発に取り組んでいます。常に新しいメニューがあることで、リピーターの方も毎回異なるドリンクを楽しむことができると考え、日々仕事に取り組んでいます」
店舗の認知・人気が高まるとともに、エルビタはある課題を抱えるようになりました。オーダーが入ってから、超高性能の真空ミキサーを使って栄養素と口当たりを壊さずに高品質なスムージーを作るため、商品の提供まで5分〜10分ほどかかっていたのです。
「商品へのこだわりを評価いただける反面、お待たせする時間も長いため、口コミにも低評価が並んでクレームが多発していました。そうしたことが続くと、やはりスタッフのモチベーションも下がりますし、焦って仕事をするなかで注文ミスが起こり、さらなるクレームにつながってしまったケースもありました。
こうした状況を改善するとともに、エルビタが持つ商品へのこだわりを効果的にお客様に伝える手段を探しているときに、LINE公式アカウントとLINEミニアプリに出会いました」
LINE上でモバイルオーダーとサブスクリプションサービスを提供
エルビタは2022年4月にLINE公式アカウントを開設し、他のSNSメインだった情報発信の幅を広げました。そして、課題だった店舗オペレーションの改善を目的に、2023年4月には「サブスクライン」のLINEミニアプリを導入しました。
LINEミニアプリは店舗や施設運営に役立つさまざまな機能を、LINE上で提供できるサービスです。サブスクラインのLINEミニアプリを使うと、ユーザーは他のアプリをダウンロードせずに、LINE上でモバイルオーダー、決済機能、サブスクリプションサービスなどを利用できます。
「サブスクラインのLINEミニアプリを選んだ理由は大きく2つあります。
1つは、店舗での待ち時間を少なくするためモバイルオーダーの仕組みが必要だったこと。予約機能だけでは、無断キャンセルが発生した場合の損害に対処できないため、モバイルオーダーと事前決済を両立できることが条件でした。さらに、リピーターを増やすため月30本まで楽しめるサブスクリプションサービスを開始したいと考えており、これらの機能をすべてカバーできる『サブスクライン』に注目しました。
もう1つは、先述したすべての機能をLINE上で完結できること。LINEは幅広い年代のお客様が利用しており、商品の注文から受取までスムーズに行えるだけでなく、その後の情報発信にも活用できるのではないかと考えました」
LINEミニアプリはパッケージで導入し、同サービスを提供する株式会社サブスクラインのサポートもあって約2日で完了。「システム面についてはパートナー企業様にリードいただき、私たちは従来の店舗業務や商品開発に注力できた」と異相氏はLINEミニアプリの導入時を振り返ります。
ユーザーは数ステップでLINEミニアプリのモバイルオーダーやサブスクリプションサービスを利用でき、LINEミニアプリの利用時にはエルビタのLINE公式アカウントを自然に友だち追加することも可能です(※1)。
1 LINE公式アカウントの友だち追加にはユーザーの許可が必要です。
リッチメニューより。ユーザー認証を経て、受け取り店舗やメニューを選択した後、LINE上で決済まで行う
リッチメニューより。希望するプラン選択と必要情報を入力した後、支払いを済ませてすぐに利用開始できる
モバイルオーダーで注文が入ると、店舗の調理スペースにあるタブレットに注文メニューと受取日時に関する情報が表示される仕組みです。それに合わせて準備を行い、来店した顧客に商品を提供するだけなので、業務の効率化することができました。
また、LINE公式アカウントから配信するメッセージでは、毎月の新商品や限定商品の案内のほか、季節ごとの美容・健康情報が中心で、月2〜3回のペースで配信しています。新規顧客には、LINE限定の割引クーポンがあることを案内して、その場でLINE公式アカウントとの友だち追加してもらい、LINEミニアプリに関しては店舗内の掲示物でアピール。顧客とオンライン接点を持ち、情報発信を継続するなかでエンゲージメントを高められるように施策を実施しています。
気軽に召し上がっていただいた後、サブスクのお得さを伝えているという
待ち時間の解消でかつての顧客も回帰、サブスクも好調で売上は130%伸長
エルビタはLINEの運用において厳密にKPIを設定するのではなく、これらを活用することでお客様の満足度を上げ、ファンを少しずつ増やすことを念頭に置きました。そして、LINE公式アカウントとLINEミニアプリの導入後、さまざまな成果が上がっています。
まず、かねてから課題だった店舗オペレーションについては、事前に顧客の来店日時がわかることで段取りが可能になり、注文ミスや食材ロスがゼロになりました。また、ピーク時には調理担当とレジ担当の最低2名以上で組んでいたシフトを、時間帯によっては1名で対応できるようになるなど、人件費の削減にもつながりました。
LINEを活用した取り組みについて、異相氏は以下のように総括します。
「モバイルオーダーが少しずつ浸透し、商品提供までの待ち時間が解消されたことで、一度離れてしまったお客様が戻ってくるようになり、サブスクリプションサービスの利用者数も増加しました。現在では、注文の約4割がサブスクライン経由のものとなり、LINEミニアプリ導入前と比べて売上が130%に向上しました。
今後もサブスクリプションサービスの利用者数増加に注力しながら、お客さま1人ひとりとのコミュニケーションを実現し、エルビタのファンを増やしていきたい。ドリンクを通じて美容や健康に良い食習慣づくりにつなげられるように、LINEの活用を一層進めていけたらと思います」
(公開:2024年7月、取材・文/岩崎史絵、写真/山﨑美津留)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です
企業名 | 美容ドリンク専門店 エルビタ |
---|---|
所在地 | 愛知県名古屋市千種区末盛通1-3-2(覚王山店)
|
事業内容 | 美容ドリンクの企画・製造・販売
|