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LINEミニアプリ LINE公式アカウント

メッセージ開封率がネイティブアプリ運用時の2倍に伸長! カネボウ化粧品のLINEミニアプリ活用

株式会社カネボウ化粧品

2021.05.12

株式会社カネボウ化粧品(以下、カネボウ化粧品)は、2020年10月より「LINEミニアプリ」の運用を開始し、オフラインを起点にしたアプリの新規登録と、オンラインでのユーザーコミュニケーションの強化を図ってきました。カネボウ化粧品を管轄する花王株式会社(以下、花王)の中根志功氏(以下、中根氏)とLINEミニアプリ開発を担当した株式会社ゆめみ(以下、ゆめみ)の阿部 勝氏(以下、阿部氏)、提案・導入を担当したLINEの兼清俊太郎(以下、兼清)に、取り組みの内容や成果、今後の展望について話を聞きました。

目的
  • ユーザーとのオンラインコミュニケーションを強化し、ブランドや商品の世界観をより身近に感じてもらえる施策を打ちたい
  • LINEを通じて、いつでも顧客とつながっている状態を実現したい
施策
  • 「SENSAI」「KANEBO」「LUNASOL」の3つのプレステージブランドで、LINEミニアプリとLINE公式アカウントを2020年10月に導入
  • ネイティブアプリ「スマイルコネクト」でユーザーに好評だった機能を引き継ぎ、LINEミニアプリでも利用できるようにした
  • LINEミニアプリの利用開始時、「生年月日」「居住エリア」「メッセージ配信の時間」を選択してもらい、ユーザーにとって快適なオンラインコミュニケーションを実施
効果
  • 導入から6ヵ月経過して、LINE公式アカウントのメッセージ開封率はほぼ70%以上、関連リンクのCTRは10~15%前後を記録
  • LINEミニアプリを利用するユーザーデータを基にしたブランド横断型の統合マーケティングに向けて、サービスの活用が進んだ
中根氏の写真

花王株式会社
CP事業統括部門 DX戦略推進センター カスタマーサクセス部 中根志功氏

阿部氏の写真

株式会社ゆめみ

マーケティングソリューション事業部 シニア・プロジェクトマネージャー 阿部 勝氏

兼清の写真

LINE株式会社
広告事業本部 MINI事業戦略チーム 兼清俊太郎

ユーザーとの関係強化を目指して、ブランドごとにLINEミニアプリを導入

カネボウ化粧品は美容部員による店舗接客を強みとして、これまで全国の百貨店や総合スーパーに店舗を中心に展開してきました。2017年には、肌のお手入れ方法や商品の効果的な使い方などの情報を配信するネイティブアプリ「スマイルコネクト」を提供開始。さらに、スマイルコネクトを店頭顧客システムと連携することで、商品の購入履歴や店舗で測定した肌の状態などのパーソナルデータを、ユーザーがアプリ上で閲覧できるようにしました。

 

「これまでスマイルコネクトを通じてお客さまとコミュニケーションを図りながら、肌の悩みを解決するお手伝いをしてきました。2020年春以降、コロナ禍で来店が制限されるようになると、お客さまとオンラインで接点が持てる価値が顕在化するとともに、そのつながりを強化し、ブランドや商品の世界観をより身近に感じていただけるような施策が社内で求められるようになりました。そこで2020年10月、『SENSAI』『KANEBO』『LUNASOL』の3つのプレステージブランドで、LINEミニアプリを導入したのです」(中根氏)

図版

LINEミニアプリはアプリストアからのダウンロードが不要で、ユーザーはLINE上などからアプリを起動して、さまざまな機能を手軽に利用できるのが大きな特長です。カネボウ化粧品は、「購入履歴」「店頭肌測定結果」「マイストア情報」「会員証」など、スマイルコネクトで好評だったサービスを、開発会社であるゆめみと連携してLINEミニアプリにも実装し、ユーザーに提供しています。

図版

「ネイティブアプリを新たに開発し、多くのユーザーにインストールしてもらうには膨大なコストを要します。しかし、月間利用者数8,800万人(2021年3月時点)を誇り、コミュニケーションのインフラとなっているLINEを活用すれば、ネイティブアプリと遜色ないWebアプリケーションをユーザーに効率良く提供できると考えました」(中根氏)

ユーザーの快適さを追求したサービス設計で、高いメッセージ開封率を実現

カネボウ化粧品は、店舗に設置されたPOPのQRコードから、ユーザーにLINEミニアプリの登録を促しています。登録後、ユーザーは会員証などの機能をその日から利用することができます。こうした設計について、同社のLINEミニアプリ導入をサポートしたLINEの兼清は次のように語ります。

 

「LINEミニアプリは、ユーザーの『初回利用』に圧倒的に強いサービスだと自負しています。一般的なアプリを登録する際、アプリストアでのダウンロードやメールアドレスを入力するといった作業を面倒に思うユーザーは多いはずです。一方、LINEミニアプリはワンタップでさまざまな機能が利用できるため、ユーザーにとっては利用開始まで時間をかけることがなく、店舗スタッフにとっては登録を勧める際の心理的ハードルが低くなる。これは、双方にとって大きなメリットだと思います」(兼清)

 

また、カネボウ化粧品はLINEミニアプリ導入に合わせて、ブランドごとにLINE公式アカウントを開設。LINEミニアプリの登録時、自動的にLINE公式アカウントが友だち追加される仕様となっています。

図版

ユーザーにとって快適なオンラインコミュニケーションを目指して、LINEミニアプリの利用開始時、「生年月日」「居住エリア」「メッセージ配信の時間」の3項目についてアンケートを提示しています。これらの回答やアプリ上に蓄積されたユーザーデータを活用して、LINE公式アカウントからユーザーの誕生日にメッセージを配信したり、購入履歴をを基に商品をリコメンドしたりするなどのOne to Oneコミュニケーションを行っています。

図版

2020年10月のサービス導入から約半年、ユーザーの快適さを追求したサービス運用を続けた結果、LINE公式アカウントのメッセージ開封率は高いもので70%以上、関連リンクのCTR(クリック率)は10~15%前後を記録(同社調べ)。花王の中根氏は「スマイルコネクトのみで運用していた時と比較して、約2倍の効果が出ている」と手応えを語ります。

 

また、同社が実施したアンケート(2020年12月実施/ LINEミニアプリとスマイルコネクトの利用者が対象/サンプル数2,965)では、「LINEですぐ利用できて使いやすい」「会員カードを持ち歩く必要がなくなった」「キャンペーンや新商品などの情報がいち早く入ってくるので助かる」など、LINEミニアプリに関する好意的なフィードバックが寄せられているといいます。

ブランド横断型のマーケティングを可能にする、LINEのデータ活用

カネボウ化粧品の取り組みを受けて、兼清はLINEミニアプリの活用で得られる価値について次のように話します。

 

「昨今はサードパーティーCookieの規制により、Web上におけるユーザーの行動データを活用した従来のデジタルマーケティングが難しくなっています。そんな中、カネボウ化粧品さまのように、ブランドごとにLINEミニアプリを提供し、LINEのユーザーIDを共通利用することで、ブランドを横断してユニークにユーザー行動を把握することができます。LINEのユーザーIDを活用したブランド横断型の統合マーケティングは、今後、企業さまにとって大きな武器になると確信しています」(兼清)

 

カネボウ化粧品のLINEミニアプリ開発を担当したゆめみの阿部氏は、今回のプロジェクトについて次のように振り返ります。

 

「弊社はLINE DX Program with AWSにおけるパートナー企業であり、アマゾンウェブサービス(AWS*)を活用したシステム構築を得意としております。スマイルコネクトやカネボウ化粧品の店頭顧客システムとの連携には多少の時間がかかりましたが、中根さんの意思決定が早いこともあり、開発や実装はスムーズに進んだと思います。また、LINEにはオープンソースのAPIが多数あるので、コストを抑えつつスピーディーかつ柔軟なアプリケーションの開発が可能です。今回のプロジェクトで得られた知見を、他ブランドにも積極的に展開していければと考えています」(阿部氏)

  • *アマゾン ウェブ サービス、Amazon Web Services、およびAWSは、米国および/またはその他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です

最後に、LINEミニアプリを活用したマーケティング施策について中根氏が総括します。

 

「先ほど兼清さんもおっしゃっていましたが、LINE公式アカウントを友だち追加いただいたユーザーのLINEアカウントと、弊社が保有する顧客データを連携するなどして、さらなる顧客理解やカスタマーサクセスにつなげることもできます。国内メーカーがデジタルマーケティングやDXに取り組む際、LINEを軸に据えるのは有効な方法の一つです。

 

最後に、LINEミニアプリはたいへんフレキシブルなサービスです。ユーザーが求める機能開発を柔軟に行えるので、多くの企業にとって導入効果が見込めるのではないでしょうか。今後も、店舗・EC・そしてユーザーにとって“三方よし”のサービスを、LINEミニアプリを通じて提供していきたいと思います」(中根氏)

 

 

(公開:2021年5月/取材・文:相澤良晃)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです