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顧客の約5割が予約サイトを経由せず再来!LINEミニアプリを活用した美容室のリピート促進

1001mille

2020.12.17

1001mille 代表 田中淳氏
LINE株式会社 B2B新規事業開発チーム 橋本純一

東京・吉祥寺を中心に地域密着型のヘアサロンを展開する「1001mille」(以下、ミル)では、LINEミニアプリLINE公式アカウントを併用し、店舗の予約システム実装と再来店を促すための施策をLINE上で実現しています。同サロンの代表・田中淳氏と、LINEミニアプリの提案・導入を担当したLINE株式会社 B2B新規事業開発チームの橋本純一に、取り組みの内容や成果について話を聞きました。

目的
  • 外部の予約サイトに依存している集客施策を脱却し、特にリピーター育成を自社運用のシステムで行えるようにしたい
施策
  • LINEミニアプリを導入し、LINEからサロンの予約ができるシステムを構築
  • 紙のポイントカードを廃止して、LINE公式アカウントの「ショップカード」に集約
  • LINEミニアプリで予約できることを浸透させるため、ユーザーへの案内を接客時のオペレーションに追加
効果
  • LINEミニアプリを導入した2020年7月以降、3カ月でLINE経由の予約数が外部の予約サイト経由の予約数を上回る
  • オンライン予約のうち、8割を占めていた外部の予約サイト経由の予約数が5割程度に低下
  • 電話予約の割合が約3割減少し、スタッフがサロンワークや接客に専念できるようになった

予約サイトに依存しない既存顧客の集客を目指してLINEを導入

東京都で3店舗、愛媛県に1店舗を展開するミルは、ヘアメニューだけでなく、完全個室のヒーリングサロンを併設(吉祥寺店舗のみ)して多彩なメニューを提供するトータルビューティーサロンです。「お客さまと長くお付き合いができるサロン」をコンセプトに掲げ、20〜30代の女性やファミリー層を中心に幅広い客層が訪れます。

 

国内に約25万以上*の事業施設があるとされる美容業界ではエリア間の競争が激しく、外部の予約サイトを活用した新規集客に力を入れる店舗が目立ちます。一方で、リピーターの育成に課題を抱えているのが一般的とされています。

 

※厚生労働省「平成30年度衛生行政報告」より

「私どもも外部の予約サイトを活用しており、それを通じて来店する新規客数には手応えを感じていました。しかし、利用するのにコストがかかる上、予約サイト経由のリピート率の低さを考えると、自社のシステムで再来店を促す環境づくりを行う必要がありました」(田中氏)

田中さんの写真

1001mille 代表 田中淳氏

ミルでは外部の予約サイトと並行して、2013年からサロン予約システム「Reservia(以下、リザービア)」も導入しています。そのリザービアがLINEミニアプリでの来店予約に対応したため、ミルもLINEミニアプリを導入しました。

 

「LINEは国内で日常的に利用されているコミュニケーションアプリですから、お客さまにとっても抵抗がないと感じました。また、LINEミニアプリを使えばLINEから簡単に予約ができるため、お客さまの利便性も高まるだろうと考え、LINEミニアプリを導入しました」(田中氏)

導入から3カ月で、LINEミニアプリの予約数が外部の予約サイトを上回る

ミルでは、リザービアが提供する来店予約受付のLINEミニアプリを導入しており、ユーザーはLINEのホームタブやサロンのLINE公式アカウントのリッチメニューから、LINEミニアプリを起動してサロン予約しています。

図版

ユーザーの来店時、お客さまへ「ホームタブにLINEミニアプリを追加してください」と案内をして利用を促している。
LINEミニアプリ上ではサロンの予約やその履歴が確認できる

また、LINEミニアプリを導入する際、従来の紙のポイントカードを完全に廃止し、LINE公式アカウントの「ショップカード」に集約しました。そして、外部の予約サイトと比べて「お得」であることを訴求するために、LINEミニアプリ経由で予約したユーザーには従来の2倍のポイントを付与することにしました。

図版

LINEミニアプリで予約した場合、利用料金に応じてポイントを獲得できる

「リピーター育成のため、以前、リザービアが提供する『サロンカード』というアプリも取り入れていました。しかし、お客さまに新しいアプリをインストールしてもらう必要があったため、うまく浸透しなかったのです。その点、LINEはほとんどのお客さまが利用しているため、新たなアプリをインストールする必要がなく、接客の中で適切な案内ができればすぐに軌道に乗るのではないかと考えていました」(田中氏)

 

ミルでは新規顧客に対し、来店時にLINEミニアプリを使った予約方法ついて説明しています。その際は「案内するスタッフも『LINEを使った予約がお客さまにとって最も簡単でお得』であることをきちんと理解して、お客さまにそれを伝えられるようにするのが、店内オペレーションに落とし込む際のコツ」と田中氏は語ります。

 

LINEミニアプリの導入後、実際にサロンを訪れるユーザーの協力を得て利用アンケートを実施しましたが、その結果についてLINEミニアプリ導入をサポートしたLINEの橋本は次のように振り返ります。

図版

「アンケート結果によると、それまで外部の予約サイトまたは電話で予約をされていたお客さまがLINEミニアプリを使って予約を行うと、うち9割以上のお客さまが『今後もLINEミニアプリを継続して使いたい』と回答しています」(橋本)

橋本の写真

LINE株式会社 B2B新規事業開発チーム 橋本純一

LINEミニアプリを導入した2020年7月以降、わずか3カ月でLINEミニアプリ経由の予約数が外部の予約サイト経由の予約数を上回りました。また、以前はオンライン予約の8割以上が外部の予約サイト経由でしたが、現在は5割程度に低下しています。さらに、電話予約の割合も3割ほど減少したことで、スタッフがサロンワークや接客に専念できるようになる副次的な効果も生まれているそうです。

来店しない間もユーザーとつながるためのツールとしてLINEを活用

LINEミニアプリ経由の再来店は現在も増え続けており、いずれはリピーターのすべてをLINE経由にすべく、ユーザーに案内を続けています。

 

「同じヘアサロンであっても、ターゲットや地域、提供するサービスの内容によってLINEのサービス活用にも個性が出てくるのは間違いありません。しかしミルさんのように、『外部の予約サイト依存からの脱却』といった目的をお持ちであれば、どのサロンでも同様の効果が出せると考えています」(橋本)

 

田中氏は、LINEのサービス活用についての今後の展望について次のように語ります。

田中さんの写真

「LINEミニアプリの導線を設けるためリッチメニューなどは整備したのですが、実は今でもLINE公式アカウントのメッセージ配信やタイムライン投稿などは運用の方向性が定まっておらず、有効活用できていません。

 

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、お客さまが来店できない間のコミュニケーションについて見直さねばならないと考えています。例えば、ヘアアレンジ動画やスタッフ紹介のコンテンツを配信している動画投稿サイトとの連携も意識しながら、LINE公式アカウントのクーポンを活用した新規集客などにも取り組んでいければと思います」(田中氏)

 

(公開:2020年12月/取材・文:高柳圭、写真:上間力也)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです