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LINE公式アカウント

LINE公式アカウントでファンを獲得!お菓子のスタートアップBAKEのLINE活用術

株式会社BAKE

2019.11.13

株式会社BAKE 第一マーケティング部 CRMチーム マネージャー 中村 健二氏

不特定多数のユーザーに利用・購買を促す従来のマーケティング手法とは異なり、一部の熱狂的なファンを育てる手法「ファンマーケティング」がここ数年、注目を集めています。そんなファンマーケティングの一環としてLINE公式アカウントを活用しているのが、製菓企業の株式会社BAKE(以下、BAKE)です。

 

LINE公式アカウントの友だち登録をきっかけにファンコミュニティーを形成している同社の手法と成果について、BAKEのCRMチーム マネージャーの中村健二氏に話を伺いました。

目的
  • コアなファンにタイムリーな情報を確実に届けたい
  • 店舗ごとにファンを獲得したい
施策
  • LINE公式アカウントを開設
  • 独自の指標で店舗間の競争を促し、店舗スタッフのモチベーションを向上
  • LINE公式アカウント経由でファンイベントを開催
効果
  • LINE公式アカウントの友だち数は全店合計で13万人超え
  • 店舗ごとによる取り組みの結果、LINE公式アカウントのクーポン利用率は30%を記録し、客単価も通常時の1.7倍に増加
  • ユーザーの声から新商品が生まれるなど、LINEを通してファンコミュニティーの形成に成功

クーポン配信で客単価は1.7倍に増加

Bake ブランドラインナップ

2013年に東京で創業したBAKEは、主力ブランドの焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART(ベイク チーズタルト)」をはじめ、シュークリーム専門店の「CROQUANTCHOU ZAKUZAKU(クロッカンシュー ザクザク)」、焼きたてカスタードアップルパイ専門店の「RINGO(リンゴ)」など現在6ブランドを展開し、国内55店舗、海外48店舗の計103店舗を運営しています。(2019年8月31日現在)

 

創業から急成長を続ける同社は、2018年1月にLINE公式アカウントを開設しました。その背景について、中村氏は次のように話します。

 

「2017年に大規模な消費者調査を行ったところ、それまで実施していた期間限定商品やノベルティーグッズのプレゼントといった情報が、コアファンにほとんど認知されていないことが分かりました。同時に『知っていたら店舗に行ったのに』『BAKEもLINE公式アカウントで情報発信してほしい』という意見が寄せられたため、LINE公式アカウントの開設に踏み切りました」

 

BAKEのLINE公式アカウントは開設から1カ月で約4万人(16店舗)の友だちを獲得し、その後も順調に登録数を伸ばし続け、最終的には1年間で13万人(26店舗)に達しました。

 

「情報配信に関しては『リッチメッセージ機能』を重視し、商品の魅力がきちんと伝わるように写真のクオリティーにもこだわりました。さらに、友だちになるメリットをわかりやすく訴求できる施策を実施しました」

株式会社BAKE 第一マーケティング部 CRMチーム マネージャー 中村 健二氏

株式会社BAKE 第一マーケティング部 CRMチーム マネージャー 中村 健二氏

たとえば、新規・既存の友だちを対象に「チーズタルト6個以上購入の方に1個追加でプレゼント」というクーポンの配布を年間で3度実施。その際、クーポン利用率は全店平均で約30%(既存4%、新規26%)、客単価は通常時の1.7倍を記録しました。一般的に施策の回数を重ねるごとにクーポン利用率は低下していきますが、同社の場合は反対に上昇しました。その成功のカギは「実際にお客様と接する店舗スタッフのモチベーションを高く保ち続けることにある」と中村氏は話します。

Bakeが実施しているキャンペーンの例

「BAKEでは店舗ごとにLINE公式アカウントを開設し、配信を行っています。同時に具体的な目標を設定し、店舗同士で成果を共有することで競争意識を持ってもらう工夫をしました。ただし、『クーポン利用件数』『友だち獲得数』といった単純な指標では、立地条件に恵まれた店舗が有利になってしまうため、『クーポン使用率』『購入者における友だち登録割合』など、店舗の努力が反映されやすい指標を重視しました」

双方向のコミュニケーションでファンの要望を商品化

LINE公式アカウント導入当初から確実な成果をあげている同社ですが、現在は「ファンコミュニティー」の形成にLINEを活用しています。

 

「アカウント開設から半年が経過した2018年の夏、LINEを利用して同アカウントの友だちを対象に満足度調査を実施したところ、14%という高い回答率を記録しました。あらためてLINEの友だちのエンゲージメントの高さ、さらに店舗と友だちの結びつきの強さを実感しました」

 

また、同調査で多くのユーザーが「味のバリエーションの増加」を求めていることが判明。特に“セイボリー系のタルト”を要望する声が多く、具体的な提案の中から「ソルト&ペッパー味」の開発に着手します。完成した試供品はファンイベントで提供することに決め、参加者の募集はLINE公式アカウント経由で行いました。

Bakeファンイベントの様子

「2018年11月1日に開催したファンイベントには、LINEの友だちに参加いただき、ワインとチーズタルト4種のペアリング体験や発売前のロイヤルミルクティー味の試食を実施しました。目玉のソルト&ペッパー味も大好評で、商品化への弾みがつきました」

 

その後、改良を重ねて2019年7月に期間限定で「ブラックペッパーチーズタルト」を販売。完成した商品を試食してもらうために再びファンイベントを開催したところ、参加者からは発売を待ちかねていたと好意的な意見があがったそうです。

Bake ブラックペッパーチーズタルト

「デジタルとリアル間の橋渡しをしてくれるのが、LINEの大きな特長だと感じています。ユーザーの生活に深く入り込んでいるLINEというツールだからこそ、メッセージを読んでもらえる割合が高く、気軽にコミュニケーションをとってもらえる。双方向性こそがLINEの最大の魅力で、“ユーザー”を“ファン”へと成長させる大きな力を持っていると思います」

 

「ユーザーとのコミュケーション」を目的にLINEを活用している同社ですが、中村氏は今後の展開について以下のように語ります。

株式会社BAKE 第一マーケティング部 CRMチーム マネージャー 中村 健二氏

「これからはBAKE CHEESE TART以外のブランドでもファンイベントを実施していきたいです。双方向でコミュニケーションを図りながらファンを増やしつつ、リアル店舗とファンをつなぐツールとして、これからもさまざまな施策にLINE公式アカウントを活用していきたいです」


(公開:2019年11月/取材・文:相澤良晃、写真:高橋枝里)


※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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