株式会社ブックウォーカー(以下、ブックウォーカー)は、KADOKAWAグループのデジタル戦略子会社として直営の電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」を運営し、1,000以上の出版社のマンガ、ライトノベル、小説、実用書、写真集、雑誌など幅広いジャンルの作品を販売しています。
LINEログインやLINE Payを導入している同社のLINE公式アカウントの活用法について、担当者の澤本泰裕氏(以下、澤本氏)と秋本祥一(以下、秋本氏)に話を伺いました。
- LINEを活用した施策を充実させるため、LINE公式アカウントの友だち数を増やしたい
- 便利な登録手段を増やすことで新規会員登録のハードルを下げ、会員数の拡大を狙いたい
- ソーシャルログイン機能としてLINEログインを導入
- 友だちに対しておすすめの作品情報やお得なキャンペーン情報を配信
- 友だち数は1年で8倍、日ごとの友だち登録数も右肩上がりで増加
- LINEログイン導入に伴いID連携数は1年で2.5倍に。ID連携率も20%から60%超えまで増大
出版文化からイノベーションを生み出す!電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」
「BOOK☆WALKER」は、KADOKAWAグループ直営の電子書籍ストアです。1,000社以上の出版社のマンガ、ライトノベル、小説、実用書、雑誌など幅広いジャンルの作品をオンラインショップやアプリなどで販売し、サービス開始から今年で9年を迎えました。現在、利用者の男女比はおよそ7:3で男性ユーザーが多く、年齢層は20代~30代が全体のおよそ7割を占めています(2019年10月時点)。
「運営元が出版社の電子書籍ストアということで、ブックウォーカーでは『出版文化からイノベーションを生み出す』というミッションステートメントを掲げています。サービス開発部に所属する私たちは、『電子で本を持つ喜びを提供する』という共通の思いをもって各施策に取り組んでいます」(澤本氏)
株式会社ブックウォーカー サービス開発部 サービス開発グループ グループ長 澤本 泰裕氏
「BOOK☆WALKER」は、どんなアカウントを持っている人でも、簡単に利用開始・継続できるような環境づくりが必要という考えのもと、SNSなどさまざまな外部IDによって簡単に会員登録を行うことができます。
「最初はメールアドレスでの登録フローしか存在しませんでしたが、ユーザーの皆さまになるべく多くの選択肢を提供するため、各種ソーシャルログインの導入を進めました。アカウントはなるべく一画面の中に表示し、全ての選択肢が見えるように工夫しています」(澤本氏)
再ログイン時の画面イメージ。各種ログインボタンが分かりやすく配置されていることに加え、「前回ログイン」の強調表示も効果的
GoogleやFacebookなどのアカウントを利用したソーシャルログインは自社で開発導入を進めたそうですが、LINEログインについては株式会社ソーシャルPLUSが提供する「ソーシャルPLUS」を導入し、「自動友だち追加機能」と併せて実装しました。
LINEログインを導入してから1年間で友だち数は約8倍に増加
そもそも、ブックウォーカーがLINEログインの導入を検討した理由には、LINE公式アカウントの友だち数を増やしたいという狙いがありました。LINEログインと自動友だち追加機能を併せて導入すると、「BOOK☆WALKER」を利用するユーザーがLINEログインを利用して会員登録する流れの中で、自然にLINE公式アカウントの友だち追加が完了します。
「BOOK☆WALKER」の初回LINEログイン画面。最初から「友だち追加」にチェックが入っており、自然に友だち追加を促すことができる
「LINEログインを導入した2018年6月から1年で、友だち数は約8倍に増加しました。直近の2019年9月までだと、およそ10倍にまで伸びています。日ごとの友だち増加数も、導入から2019年9月にかけて右肩上がりで伸び続けています」(澤本氏)
さらに、LINEログイン導入から約1年後に決済システムとしてLINE Payも導入。新規会員登録からログイン、決済までをLINEだけで完結させることで、ユーザーの利便性を向上させました。
「以前まで、解約理由に『希望する支払い手段がなかった』という声がありました。せっかくサービスを利用していただいていたのに、決済手段が理由で解約されてしまうのは本当に悲しいことです。解約を防止するため、提供する選択肢を増やすためにLINE Payを導入しました。導入からまだ2カ月ほどですが、LINE Payで決済した方の4人に1人がLINEログインを利用している状況です」(秋本氏)
株式会社ブックウォーカー サービス開発部 サービス開発グループ 秋本 祥一氏
ID連携数は導入から1年で2.5倍に、ID連携率は20%から60%超えまで伸長
電子書籍というサービスは、LINEとの親和性がとても高いと澤本氏。現在、「BOOK☆WALKER」のLINE公式アカウントでは、友だちに対して性別や年齢層に応じて複数のメッセージを配信していますが、今後はより配信数を抑えつつ、エンゲージメントの高いユーザーに個別でメッセージを配信していく予定です。
「その意味でも、今のうちにID連携率(※)を高めておくのが重要です。LINEログインを導入したことでID連携率も自然に上がっています。ID連携数はLINEログインの導入から1年で2.5倍に、ID連携率は20%程度から60%超まで伸びました。今後もID連携率を伸ばしつつ、よりユーザー目線でのメッセージが届けられるよう、サービス改善を進めていきたいです」(澤本氏)
※自社サービスのユーザーの会員IDとLINEアカウントを紐付けること。ID連携によって、LINE公式アカウントの友だちが自社データベース上の会員なのかを判別できるようになる。
最後に今後の展望について、澤本氏は以下のように語ります。
「本を電子で読むか紙で読むか、という議論を耳にするかと思いますが、我々としては『どちらで読むかは、読者の皆様の手に委ねるべきだ』と考えています。その中で、ユーザーの皆さまに電子で本を読む体験を本格的に提供していこうと考えた時、どのような形で『電子で本を持つ喜び』を届けられるか。その中の一つの取り組みとして、今後もLINEを有効的に活用していきたいと考えています」(澤本氏)
(公開:2019年12月2日)
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