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LINE公式アカウント

メルマガ比較でCV8倍! LINEでナーチャリングを加速させる第一生命のアカウント活用術

第一生命保険株式会社

2024.04.18

(右から)
第一生命保険株式会社 デジタルマーケティング部 コミュニケーションデザイン課
アシスタントマネジャー 古市谷直也氏
第一生命保険株式会社 デジタルマーケティング部 コミュニケーションデザイン課
アシスタントマネジャー 朝倉千秋氏

創業以来、対面営業を軸に生命保険事業を営んできた第一生命保険株式会社(以下、第一生命)は、コロナ禍により対面営業の機会が減少しました。そこでデータドリブンなマーケティングへと舵を切り、2022年からLINE公式アカウントの運用を本格的にスタートさせ、500万人以上の友だちを集めています(2024年2月時点)。その取り組み内容や得られた成果について、同社でLINEをはじめとしたデジタル施策を行うデジタルマーケティング部の古市谷直也氏(以下、古市谷氏)と朝倉千秋氏(以下、朝倉氏)に話を聞きました。

目的
  • 潜在顧客とコミュニケーションを重ねて、保険への関心度を高めるナーチャリングを効果的に行いたい
施策
  • 2022年からLINE公式アカウントの運用を本格的にスタートさせ、4つの運用フェーズごとに取り組みを進めた
  • 友だち集客を目的にしたスタンプ施策で流入してきたユーザーに、各種キャンペーン訴求を含むあいさつメッセージや、自社サービスを訴求するメッセージを配信
  • LINE上で行なったアンケート結果に基づき、ユーザーの興味・関心に合わせて絞り込み配信を実施
効果
  • 2回のスタンプ施策を経て、500万人を超える友だちを集め、主なターゲット層である20~30代のターゲットリーチ数も20倍に増加したが、ブロック率はほぼ横ばいで推移
  • メールとLINEで同じ内容を配信した際、CV率は8倍、開封率は2倍近くLINEが上回っており、これまで情報を届けられなかった層にアプローチできた
  • アンケートの結果に合わせてオウンドメディア「ミラシル」の記事をメッセージ配信したところ、開封ユーザーの23%が記事を閲覧

オウンドメディアと同様、LINEをナーチャリング手段にする

第一生命は1902年に創業し、120年を超える歴史を持つ大手生命保険会社です。同社は3万7,000人超(2023年10月時点)の営業職員による対面営業を主軸に事業を拡大してきましたが、コロナ禍により対面でのアプローチの機会が減少。逆風のなかで2020年にコミュニケーションデザイン部(現デジタルマーケティング部)を立ち上げるなど、近年はデジタルマーケティングに注力しています。

 

「契約への第一関門は『資料請求』です。資料請求を促すために運用するWeb広告は、保険への関心度が高いユーザーに効果的に届けられるため、有力な施策であることは間違いありません。しかし、Web広告は競合他社も力を入れているため競争が激しく、費用対効果の面で課題感を持っていました」(古市谷氏)

インタビューカット
第一生命保険株式会社 デジタルマーケティング部 コミュニケーションデザイン課
アシスタントマネジャー 古市谷(こいちたに)直也氏

そこで第一生命は、保険への関心度の低い層(潜在顧客)との接点を増やし、コミュニケーションを重ねて徐々に関心度を高めるナーチャリングに取り組んでいます。潜在顧客とのコミュニケーションの場として2021年12月に立ち上げたのが、オウンドメディア「ミラシル」です。

第一生命が運営するオウンドメディア「ミラシル」

「ミラシルでは保険をはじめ、暮らしやお金など幅広いテーマで記事を年間200本近くアップしています。メディア内で資料請求を促すポップアップを表示しており、ミラシル会員になると限定情報やパーソナライズされた記事がメールで届く仕組みです。

興味・関心を起点にユーザーの体験価値向上に寄与しながら資料請求へと誘引するのがミラシルの役割で、会員登録を促すために飲食店で利用できるデジタルクーポンをプレゼントするキャンペーンなども積極的に実施しています」(朝倉氏)

インタビューカット
第一生命保険株式会社 デジタルマーケティング部 コミュニケーションデザイン課
アシスタントマネジャー 朝倉千秋氏

ローンチから2年以上が経過して、ミラシルは多くのユーザーが訪れるオウンドメディアへと成長しました。しかし、「メールを送っても記事の閲覧につながらないユーザーが一定数存在していた」と古市谷氏は振り返ります。

 

「メールよりも開封率が見込めるLINEで情報発信すれば、より多くの人に記事を読んでもらえるのではないか。さらに、LINE公式アカウントの機能をうまく使えば、LINEもミラシルと同じようにナーチャリングの手段になるのではないかと考え、2022年から朝倉とともにLINE公式アカウントの本格的な運用を開始しました」(古市谷氏)

4段階に分けてLINE公式アカウントの活用を深める

「LINE公式アカウントを運用開始した直後は、運用ノウハウがなく予算もほぼ獲得できなかった」と振り返る古市谷氏。そこで運用フェーズを4つに分けて、まずはスモールスタートで本格運用をスタートさせました。

 

 

「最初のうちはさまざまメッセージを配信してデータ収集・蓄積しながら、アカウント動線を設計しました。次に友だち数をアップさせ、そのあとは配信効果を最大化するためにメッセージの開封率やリッチメニューのクリック率などを細かく分析し、動線設計の改善を繰り返しました。現在は、アンケートの回答内容に基づいて配信セグメント(絞り込み)の最適化を探っているところです」(古市谷氏)

 

図版
弊社セミナー「メルマガ比較で効果8倍!
見込み顧客とつながり・育てる、第一生命のLINE活用」登壇スライドより抜粋

なかでもポイントとなったのは、スモールスタートからスケールアップへの移行フェーズでした。

 

スケール化のためには予算の獲得が必須で、そのために配信データの収集・蓄積だけでなく、他社のLINE公式アカウントを古市谷氏、朝倉氏が自ら友だち追加して、スタンプ施策やキャンペーン施策の前後で友だち数がどのくらい増えているかなどを分析。各施策にかかる概算費用と見込み効果をセットにして、社内を説得していきました。その結果、予算を獲得することができ、2023年8月に初のLINEプロモーションスタンプ出稿につながりました。

 

「短期間でLINE公式アカウントの友だち数を増加させるには、スタンプ施策が最も有効です。友だち集客を最優先して、クリエイティブには企業のブランディング要素を含めない形にしました。狙いどおり、スタンプ施策を実施した1カ月間で約330万人のユーザーにアカウントを友だち追加いただき、主なターゲット層である20~30代のターゲットリーチ数は20倍に増えました(2023年9月実績)」(古市谷氏)

 

図版
弊社セミナー「メルマガ比較で効果8倍!
見込み顧客とつながり・育てる、第一生命のLINE活用」登壇スライドより抜粋

また、友だち追加直後のブロックを防ぐため、友だち追加時に送る「あいさつメッセージ」内で、アンケートキャンペーンを実施。当選通知は後日LINEでメッセージ配信して、ユーザーが今後の配信を楽しみにLINE公式アカウントをブロックするのを控えるよう工夫しました。

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弊社セミナー「メルマガ比較で効果8倍!
見込み顧客とつながり・育てる、第一生命のLINE活用」登壇スライドより抜粋

また、同様のアンケートキャンペーンの告知を「あいさつメッセージ」と「通常メッセージ」で行い比較したところ、前者からのキャンペーン参加者数の方が10倍ほど多いという結果になりました(2023年11月実績)。あいさつメッセージはLINE公式アカウントの各プランに含まれる無料通数に含まれない(※あいさつメッセージの配信は無料)ため、同メッセージ内でキャンペーン誘引を図るのは「コスト観点からも有効」と朝倉氏は力説します。

「あいさつメッセージを有効活用し、その後に配信するメッセージ内では一生涯に必要なお金を“見える化”する、弊社サービスの『生涯設計プラン』を訴求しました。保険への関心度がさほど高くないユーザーでも、“お金”というテーマであれば興味・関心を持ち、資料請求につなげられるのではないかと考えたためです。

 

同様の訴求をメールで実施したときよりも、LINEはCV率が8倍高いという結果も出ています。開封率も2倍近くLINEが上回っているので、これまで情報を届けられなかった層にアプローチできていると実感しています」(朝倉氏)

 

スタンプ施策で流入してきたユーザーに、キャンペーン訴求を含むあいさつメッセージと『生涯設計プラン』を訴求するメッセージを配信するという連続性を持たせた情報発信が功を奏し、LINEプロモーションスタンプの出稿前後でブロック率もほぼ横ばいだったそうです。

CVの22.6%がリッチメニュー経由のケースも

LINE公式アカウントの本格的な運用開始から約2年が経ち、友だち数は500万人を突破しました(2024年2月時点)。アカウントの規模が大きくなるにつれて、「『リッチメニュー』の重要性がより増している」と朝倉氏は断言します。

 

「過去に学資保険の資料請求キャンペーン実施した際、メッセージ配信に加えてリッチメニューにもボタンを設けて訴求したところ、キャンペーン期間におけるCV全体の22.6%がリッチメニュー経由でした(2023年12月実績)。

 

また、生涯設計プランのボタンを通常の4倍サイズにしてリッチメニューに配置したところ、申込数が前月比で6倍になりました。配信母数が増えるほど、メッセージ配信に関連したリッチメニューの内容に切り替えることは、戦略的にも非常に重要です」(朝倉氏)

図版
弊社セミナー「メルマガ比較で効果8倍!
見込み顧客とつながり・育てる、第一生命のLINE活用」登壇スライドより抜粋

現在、同社は週に1回程度の頻度でメッセージ配信を行なっています。商品訴求のメッセージ配信を続けて開封率が徐々に下がってきたら、ミラシルのキャンペーンなどユーザーにとってお得感のある情報を配信して開封率を回復させるというように、メッセージ内容で開封率をうまくコントロールしながらLINE公式アカウントの運用を続けています。

 

また、前述の4つに分けた運用フェーズのうち、現在は4つ目である「配信コストの最適化」に向けた試行錯誤を重ねています。具体的には、2023年8〜9月にLINE上で実施したアンケート(全4問、選択式)の結果をもとに絞り込み配信も実施しました。

 

図版
弊社セミナー「メルマガ比較で効果8倍!
見込み顧客とつながり・育てる、第一生命のLINE活用」登壇スライドより抜粋

最も関心のあるテーマとして「妊娠・出産・子育て(未就学児)」と回答したユーザーに、学資保険の資料請求キャンペーン情報を配信したところ、開封率は60%、反応率は7%という高い数字が出ました(2023年11月実績)。「学資保険は適齢期のお子さまを持つ家族向けの商品のため、アンケート結果を活用した配信はとても有効と朝倉氏は振り返ります。

 

「そのほかにも、『資産形成』に最も関心があると回答したユーザーに対して、ミラシルの個人年金シミュレーションに関する記事を配信しました。すると、メッセージを開封したユーザーの23%にミラシルの記事を読んでいただけました(2023年9月実績)。効果的なメッセージ配信を行うためには、ユーザーの興味・関心をいかに的確に捉えるかがカギになると思います」(朝倉氏)

 

最後に、LINE公式アカウントの運用を軌道に乗せてきた古市谷氏と朝倉氏は、今後の展望について以下のように語ります。

 

インタビューカット

「LINEを活用して、効果的に資料請求を獲得していくという目標は今後も変わりませんが、よりユーザーの利便性を意識した運用をしていきたいです。契約後も、いざというときにLINEならお客さまも連絡を取りやすいはずですから、アフターフォロー面でのさらなる活用を模索したい。ほかの部署とも連携しながら、会社対ユーザーの接点としてLINE公式アカウントをうまく活用していきたいと思います」(古市谷氏)

 

「LINE公式アカウントの運用が軌道に乗って、打てる手が徐々に増えてきたと感じています。保険への関心度がさほど高くないユーザーに、ミラシルと連携して有益な情報をお送りできれれば、配信効果をさらに高めていけると考えています。LINEを活用したナーチャリングを加速させ、第一生命のサービスをより多くのお客さまに届けていきます」(朝倉氏)



(公開:2024年4月、取材・文/相澤良晃、写真/中村宗徳)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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企業名 第一生命保険株式会社
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事業内容
生命保険業など
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