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トレジャーデータを活用したスコアリングで最適化に成功!買取サービス「ブランディア」のメッセージ配信戦略

株式会社デファクトスタンダード

2023.05.18

株式会社デファクトスタンダード マーケティング部 マネージャー 山崎 真澄氏
同社 マーケティング部 八木橋 香織氏
トレジャーデータ株式会社 カスタマーエンゲージメントスペシャリスト 中島 純氏

ブランド品を専門とする買取サービス「ブランディア」を運営する株式会社デファクトスタンダードは、LINE公式アカウントを活用したCRM強化に取り組んできました。その一環として実施した、初回利用ユーザーに向けたリピート率向上施策について、同社担当者の山崎真澄氏(以下、山崎氏)、八木橋香織氏(以下、八木橋氏)と、顧客データ活用でのサポートを担当しているトレジャーデータ株式会社の中島純氏(以下、中島氏)に話を聞きました。

目的
  • 初回利用ユーザーのリピート率を向上させたい
  • 一斉配信で増加するコストを軽減するため、セグメント配信を実施したい
施策
  • 2回以上の利用があるユーザーを教師データにして、初回利用ユーザーを対象に機械学習によるスコアリング・ランク付で配信リストを作成
  • リピート確度の高いユーザー群(スコア上位者)と、同確度の低いユーザー群(スコア下位者)へのセグメント配信を実施
     
効果
  • スコア上位者のクリック率が下位者の約2倍を記録するなど、確度の高いユーザーへのセグメント配信に成功
  • コスト増大を懸念して見送っていたLINEプロモーションスタンプを実施するなど、施策を次の展開に進めることができた

LINE公式アカウントが獲得後のCRM拡充を牽引

株式会社デファクトスタンダードは、ブランド品を専門とした全国対応・高額査定の買取サービス「ブランディア」を運営しています。主要なターゲットは30〜50代の女性で、買取品はブランディアサイトおよびインターネットオークションサイト等で販売されています。

 

これまで、同社の買取サービスは主に「宅配買取」でしたが、近年はオンライン買取「ブランディアBell」を展開。ブランディアBellは、電話番号認証後に利用開始が可能で、ビデオ通話により即時に査定額が決定されます。買取品の梱包・発送前に査定額が入金されることから、コロナ禍の片付け需要とともに人気サービスになりました。

 

同社では2016年、新規ユーザーの獲得を目的にLINE公式アカウント「Brandear(ブランディア)」を開設。2023年4月時点で友だち数は75万人を超え、運用開始からこれまでに「ブランドを売る」「ブランドを買う」「連携・その他」をタブで切り替えられるリッチメニューを実装するなどの機能拡充を実施してきました。

リッチメニューのタブは3種類。タップすることで目的に応じたメニューが表示される

「LINE公式アカウントの機能拡充は、すべて完全内製化による自社開発です。開設当初はトーク画面から操作できるブランド検索機能など、新規ユーザーの獲得を意識した機能を実装していましたが、サービス利用時に必須となるブランディアIDとLINEアカウントのID連携を開始した頃から、獲得後のCRMを強く意識するようになりました」(山崎氏)

 

ID連携は、同社マーケティング活動の強化ポイントの1つ。「買取申込・集荷依頼がLINEで可能になる」「査定結果の連絡がLINEで届く」「LINE限定のキャンペーン情報配信」などのメリットを打ち出し、連携数の増加に取り組んできました。

 

「特に宅配買取サービス利用後は『品物が届きました』『現在査定中です』『査定額を振り込みました』など、お客さまと頻繁にご連絡を取る必要があります。ID連携を行うことによって、そうした連絡をすべてLINE内で行えるようになります。LINEが持つコミュニケーションツールとしての特性の高さを肌で感じたことから、お客さまとの連絡は可能な限りLINEに置き換えることを考えています。そのため、買取サービスの申し込み時にID連携を促すと同時に、ほぼ全てのユーザーコミュニケーションをLINE公式アカウント内で完結できるよう設計しています。結果として、友だちのほとんどがID連携を完了している状態になりました」(山崎氏)

株式会社デファクトスタンダード マーケティング部 マネージャー 山崎 真澄氏

どんな方法で「継続利用が期待できる優良なお客さま」を判断するか

ID連携数は順調に増えていく一方、課題に感じていたのがLINE公式アカウントからのメッセージ配信でした。併用しているメルマガと比較してもレスポンス率は高く、コンバージョン率もLINE公式アカウントの方が3倍近い数値を記録していましたが、初回利用から2回目の利用につながるリピート率が3割ほどで横ばいの状態が続いていました。

 

「3割という数値自体が悪いというわけではありませんが、残り7割の方を継続利用につなげられていないのも現実です。これまで、LINE公式アカウントから週に2回ほど、お得感を訴求するキャンペーン告知を一斉配信していました。しかし、一斉配信だけでは配信数に伴うコストが問題になります。そこで、継続利用が期待できる優良なお客さまに限定して配信を行うことを考えました」(八木橋氏)

株式会社デファクトスタンダード マーケティング部 八木橋 香織氏

問題になってくるのは、どんな方法で「継続利用が期待できる優良なお客さま」を判断するか――。そこで、以前からパートナーとして連携していたトレジャーデータ株式会社が提供するTreasure Data CDPの「Predictive Scoring」を活用しました。「Predictive Scoring」は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)での簡単操作で、CDP全量データに基づく予測スコアの抽出やABCDでのランク付けを自動実行できるツールです。

 

「専門的な言い方をすれば、Predictive Scoringはロジスティック回帰という統計手法を行うツールです。例えば、ECビジネスなら過去の購入者を教師データにすることで、未購入者の集団から購入しそうな方のスコアリング・ランク付けができるようになります。サブスクリプションビジネスなら解約者を教師データにして、解約しそうな方をスコアリング・ランク付けするなどの活用法もあります」(中島氏)

トレジャーデータ株式会社 カスタマーエンゲージメントスペシャリスト 中島 純氏

セグメントによる配信最適化を実現

今回の取り組みでは、「過去の来店履歴や商品カテゴリ単位での買取履歴などの特定条件(例:2回以上の買取あり)」を選出し、それを教師データとして使用。その後、Treasure Data CDPの機械学習によるスコアリングを基に、1回しか利用経験がない全ユーザーをスコア化・ランク付けしたといいます。

 

「まずは初回の効果検証ということで、再利用の見込みが高い層(スコア上位者)と低い層(スコア下位者)の上下1万人を抽出して、LINE公式アカウントからメッセージを配信しました。結果、スコア上位者のクリック率は下位者の約2倍を記録するなど、確度の高いユーザーのセグメント化に成功したと考えています。ただし、あくまで効果検証のため、コンバージョン(申し込み件数)にどれだけの差が表れるか、今後も検証を重ねる予定です」(八木橋氏)

 

上記の施策や結果を受け、2023年の3月にはブランディアとして初となるLINEプロモーションスタンプも開始。実施したのは、LINE公式アカウントの友だち追加・アンケート回答を条件としたミッションスタンプです。

 

以前から、新規ユーザー獲得の手段としてLINEプロモーションスタンプには興味を持っていたそうですが、以前のような一斉配信中心の運用では、友だち数の増加とともに配信数も増えてしまいます。それが懸念で、二の足を踏んでいました。しかし、今回の取り組みで配信最適化が実現できたため、友だちの母数が増えても効率的なセグメント配信が可能なりました。

 

「今回のミッションスタンプは既存ユーザーも対象としているため、ダウンロード条件に加えてアンケート回答を設定しました。既存・新規ユーザー双方のアンケート結果も使って、同じくTreasure Data CDPのPredictive Scoringを活用していこうと考えています。既存ユーザーの回答を教師データにすれば、同じ傾向を持つ新規ユーザーへの配信にも役立てられるようになると思います」(山崎氏)

 

 

 

(公開:2023年5月、取材・文/安田博勇、写真/小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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