新潟県長岡市で店舗を構える美容室「L'la citta」(以下、ララチッタ)は、予約サイトを利用せず、LINEをはじめとする各種SNSから情報を発信することで、多くのユーザーに支持される人気店です。ララチッタがLINE公式アカウントを通じて、どのように新規・既存ユーザーとコミュニケーションを取っているか、同店代表の治田拓之さんに話を聞きました。
LINE経由の予約特典やWebサイトの改善で、友だち追加ペースが3倍に
ララチッタでは2013年の創業以来、年に数回発行される地元のフリーペーパーやSNSなどで情報発信を行ってきました。店舗の認知度が徐々に上がると、営業中にかかってくる予約に関する電話対応が課題となります。オーナースタイリストである治田さんを含めて2名で店舗を運営していたため、顧客対応中などで電話に対応できないことで機会損失が発生していました。その解決策として、2014年11月にLINE公式アカウントを開設しました。
電話に慣れたユーザーをLINEに誘導するために、ララチッタは各種SNSでの告知のほか、店舗オペレーションでもある工夫を行っています。LINE経由で予約したユーザーには会計時にサイコロを振ってもらい、出た目に応じてキャッシュバックを受けられるサロン独自のポイントシステムに加算される付与ポイントを決めるという特典です。「LINEで予約した方がお得だとアピールするのが狙い」と治田さんは語ります。
ゲーム感覚でユーザーメリットを訴求するこの取り組みが功を奏し、アカウント開設から約9年で約3,800人(2023年9月時点)がララチッタのLINE公式アカウントを友だち追加しました。これは県内の美容室が運営するLINE公式アカウントの中でも、上位の友だち数となっています。さらに、2021年春に友だち追加の導線を見直すため、Webサイトのリニューアルを実施。ユーザーにLINEで予約できることをサイト上でよりわかりやすく示したところ、友だち追加数がリニューアル前と比較して月平均で約3倍に伸長しました(ララチッタ調べ)。
LINE公式アカウントのアクティブ化とブロック率抑制を同時に実現
ララチッタのLINE公式アカウントは、店舗のキャンペーン情報の配信を治田さんが担当し、予約に関するLINEチャットの返信をスタッフ全員で行っています。
新型コロナウイルス (COVID-19)の感染拡大がユーザーの来店サイクルに影響を及ぼす中、以前は月に1回、決まった日付で配信していましたが、現在はそれに加えて不定期でメッセージやクーポンを配信。そのほか、「梅雨入り前のストレート系メニューの料金OFF」などのキャンペーンは単月ではなく複数月で実施したり、期間も長いものや短いものなど変則的にしたりするなどして、ララチッタから送られる情報をユーザーが常にチェックしたくなるような企画づくりを心がけています。
また、ヘアカラーの際に役立つ対面の「パーソナルカラー診断」を行っています。しかし、診断のみが目的で来店後にすぐにブロックされるケースも多かったため、診断を行ったその日のうちにLINEチャットでユーザーにアンケートを送付。One to Oneのコミュニケーションに力を入れて、次回予約につなげるようにしています。
一連の取り組みの結果、LINE公式アカウントの利用を一層活発にしながらも、ブロック率は30%前後と以前よりも低い水準に抑制できています。新規の友だちという「入り口」を増やして、ブロックという「出口」を減らすララチッタのLINE活用について、治田さんは次のように総括します。
「集客は予約サイト頼りの美容室も多い中、ララチッタはLINEを使ってお客さまとの関係性を強化し、ファンづくりを行えているのではないかと思います。今後は、LINEチャットのタグを利用したメッセージの絞り込み配信や、LINEマーケットプレイスで販売している自動予約管理システム『リピッテ ビューティー』などを活用するとともに、LINEに関する知識や運用スキルを生かせるように『LINE Green Badge』の資格も取得して、ララチッタの取り組みを業界内外へ共有していきたいと思っています」
LINE公式アカウント
(公開:2021年7月)
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