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デジタル会員証でLINE連携約100万人!セグメント配信でEC売上がUPしたロクシタンのCRMマーケティング

ロクシタンジャポン株式会社

2020.07.28

ロクシタンジャポン株式会社 マーケティング本部 CRMリーダー 大庭穫氏

ライフスタイルコスメティックブランドの「L'OCCITANE(ロクシタン)」を展開する化粧品メーカー、ロクシタンジャポン株式会社(以下、ロクシタンジャポン)では、以前からLINE公式アカウントを活用してデジタル会員証のサービスを展開してきました。


※以前の取材記事はコチラ


現在は約2,300万人(2020年7月時点)の友だちが存在するLINE公式アカウントからのメッセージ配信と、「Messaging API」を活用したセグメント配信を使い分け、ECでの売り上げを向上させることに成功しています。同社が取り組むLINEを軸にしたCRMマーケティングについて、マーケティング本部 CRMリーダーの大庭穫氏(以下、大庭氏)に話を聞きました。

目的
  • デジタル会員証の発行でユーザーデータを取得し、CRMの基盤を構築したい
  • オンラインでのコミュニケーションを起点に、店舗だけでなくECでの売上も伸ばしたい
施策
  • 店舗とユーザーへの取り組みを強化し、LINE公式アカウントに実装しているデジタル会員証の登録を促進
  • LINE公式アカウントからのメッセージをユーザーごとに出し分けて商品を訴求
効果
  • デジタル会員証登録数は約100万人に達する見込み(2020年7月時点)
  • セグメント配信経由のEC売上が5倍以上に成長
  • 店舗への来店が難しいコロナ禍でも店舗利用ユーザーとデジタル上でのコミュニケーションが可能になり、ECでの購買促進に大きく貢献

デジタル会員証を導入してCRMマーケティングを強化

ロクシタンジャポンでは、厳選された植物素材を使用したスキンケアやボディケア、フレグランス製品などを通じて、プロヴァンスの生活を提案するライフスタイルコスメティックブランド「L'OCCITANE(ロクシタン)」を展開しています。同社はデジタル施策で獲得するユーザーデータに加え、全国100以上の店舗や自社で展開するECのデータを活用し、CRMマーケティングを強化しています。


2013年10月にはLINE公式アカウントを開設。以降も「Messaging API」を活用したメッセージのセグメント配信やデジタル会員証の導入など、見込客からロイヤル顧客まで、LINEを通じてリーチできる環境を構築してきました。


「店舗に来てくださったお客さまにデジタル会員証を発行いただくことで、デジタル上での接点が持てるようになります。そのため、見込客を拡大するための『友だち獲得』に加え、『デジタル会員証の発行』をKPIとして強化してきました」

ロクシタンジャポン株式会社 マーケティング本部 CRMリーダー 大庭穫氏

「登録の負担を下げ、登録するメリットを上げる」ことでデジタル会員証の登録率が大幅に向上

デジタル会員証の活用促進に当たって重要な施策となったのが、店舗とユーザーに対して行った取り組みです。どちらの施策にも共通するキーワードは「登録の負担を下げ、メリットを上げる」ことでした。


店舗に対しては、来店ユーザーの登録率が優秀な店舗のオペレーションとトークスクリプトなどのノウハウを他店舗に共有。スタッフにとっては説明しやすく、ユーザーにとっては分かりやすい内容を意識し、店頭ツールのクリエイティブにも変更を加えました。

デジタル会員証を紹介するための店頭ツールの一つ(上記はレジ前に設置されているPOP)

デジタル会員証を紹介するための店頭ツールの一つ(上記はレジ前に設置されているPOP)

「紙の会員証からデジタル会員証への移行に伴い、新規のお客さまへご案内する内容が増加し、店舗スタッフにもお客さまにも負担となっていました。そこで、店舗からの声を元にトークスクリプトを根本から見直し、デジタル会員証を簡単かつシンプルに紹介する方法に変更しました。一時は成功店舗とそれ以外の店舗での格差が広がり、全体的な登録数が伸び悩んだこともありましたが、現在はデジタル会員証の登録率が75%以上伸びた店舗、来店者のうち99%のお客さまが登録してくれている店舗もあります」


一方、ユーザーに対しては、店舗からのヒアリングで得られたデジタル会員証登録までの“つまずきポイント”などを改善し、デジタル会員になるベネフィットの整理と一貫した登録促進のコミュニケーション設計を行いました。


「お客さまが自然にデジタル会員証を発行したくなるような仕組みづくりを意識しました。LINE公式アカウントにプレゼント応募機能やサンプリングチケット機能などを実装したり、実際にお客さまが登録する過程を観察してUIを改善したり――。一貫して登録のハードルを下げ、メリットを分かりやすく提示してきました。特にUIについては新たにUIデザイナーさんを投入し、『誰が見ても綺麗な見た目で使いやすい』ということに徹底して取り組んできました」


結果、デジタル会員証の普及は急速に進み、LINE連携済の会員数は100万人近くまで増加。LINE上でユーザーデータの取得とCRM基盤を構築することができました。

セグメント配信経由のECの売り上げは5倍以上に成長

デジタル会員証の普及によって、ユーザーデータの取得とCRM基盤の構築が進んだロクシタンジャポンでは、「Messaging API」を活用してECの購買を促す効果的なメッセージ配信が可能になりました。


例えば、新規購入や購入回数が少ないライトユーザーに対しては商品の背景にある企業の思い、商品を使用する時期や必要性などのストーリーを伝え、ロイヤルユーザーに対しては数量限定商品の案内やリマインダー訴求を中心に配信。ニッチな商品については、これまでの購買履歴を参照して適切なターゲットに絞って訴求するなど、月に4回程度の頻度でユーザーに合わせてメッセージの内容を変えて配信しました。

ライトユーザー向け(左)とロイヤルユーザー向け(右)に配信したメッセージ内容
ライトユーザー向け(左)とロイヤルユーザー向け(右)に配信したメッセージ内容

ライトユーザー向け(左)とロイヤルユーザー向け(右)に配信したメッセージ内容

現在、LINE公式アカウントからの一斉メッセージ配信は「ブランディング」、「Messaging API」を活用したセグメント配信は「商品訴求」として使い分けています。


「結果、ECでのセグメント配信経由の月間売り上げは前年比5倍以上に伸長し、ROASが3,000%を超えるような配信事例もつくることができました。お客さまの年間購買頻度も大きく向上しています」

一方で、配信コンテンツの増加による制作リソースの限界、配信頻度が高くなることでユーザーへ与える負担が増えることを課題に感じていたといいます。そこで、Instagramの運用をお任せしている企業と協業してクリエイティブを制作したり、セグメントを細分化してユーザーごとの配信頻度を調整したりと、ユーザーが心理的に負担を感じないように、適切にメッセージを届ける工夫を行いました。


「施策ごとに目的を整理し、適切なターゲットに適切なタイミングで、適切なクリエイティブと共に情報を届けることが重要です。現在は店舗でデジタル会員証を登録いただいたお客さまをECでの初回購買につなげるため、初回限定キットを提供するなどの購買促進を行っているところです」

デジタル会員証の“種まき”が、コロナ禍を乗り切る支えに

ロクシタンジャポンが行ってきたLINE公式アカウントでの取り組みは、新型コロナウイルス感染拡大の影響による店舗売り上げの減少をカバーする上でも大きな支えになったと大庭氏。


「コロナ禍においては、『おうち美容』など時流を捉えた切り口のコンテンツ、肌の悩みにスタッフが回答するライブ配信の案内などを紹介しました。また、新型コロナウイルス流行初期の段階から、店舗のお客さまに対してデジタル会員証の案内を送り続けました。普段は店舗を利用されているお客さまをPOSデータから抽出して訴求することで、デジタル会員証の登録を一気に進めることができました」

コロナ禍で配信したメッセージ内容。商品とともに自宅でできる頭皮マッサージの方法を動画で紹介(左)したり、肌の悩みにスタッフが応えるライブ配信の案内(右)などを紹介した
コロナ禍で配信したメッセージ内容。商品とともに自宅でできる頭皮マッサージの方法を動画で紹介(左)したり、肌の悩みにスタッフが応えるライブ配信の案内(右)などを紹介した

コロナ禍で配信したメッセージ内容。商品とともに自宅でできる頭皮マッサージの方法を動画で紹介(左)したり、肌の悩みにスタッフが応えるライブ配信の案内(右)などを紹介した

結果、初めてECで商品を購入したユーザーが増加しただけでなく、セグメント配信からの売り上げが前年比10倍以上の数値を記録するなど、店舗ユーザーのオンライン流入によってECの売り上げを大幅に拡大させることができたそうです。

今後は新たな顧客接点を増やしながら、新規ユーザーの獲得からCRMまで、店舗とオンラインの垣根を超えてユーザーに最適化された「おもてなし」を提供するためにLINEを活用していく方針です。


「LINEのトークルームをプラットフォームとして活用してきましたが、さらにリッチメニューやLINE Beaconなどを活用してタッチポイントを増やし、LINEに蓄積してきたデータを基に、お客さまひとりひとりに最適なコンテンツを届けていく――。単純に一時的な売り上げだけに着目してメッセージ配信数を増やしていくという決断になってしまうと、ユーザーにも我々にもメリットはないと考えています。今後もLTVの向上をゴールに、施策の選択肢をさらに増やしながら、LINEを基盤にしたマーケティングミックスの構築を目指していきたいです」


(公開:2020年7月/取材・文:塚田智恵美、写真:慎芝賢)


※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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