神奈川県横浜市に拠点を構えるのぞみ社会保険労務士事務所は、事務所の認知度向上を目的に2019年10月にLINE公式アカウントを開設しました。以降、約半年をかけてチャットボットの開発やLINE広告の友だち追加配信などを行ってきました。その狙いや今後の展望について、同事務所で代表を務める佐藤真希さんに話を聞きました。
士業は他の職種よりマーケティングが遅れている
のぞみ社会保険労務士事務所は「より良い道に進むための、より良い人生設計をお手伝いする」をモットーに、長時間労働是正や業務改善、キャリア支援など、職場にまつわる諸問題の解決に取り組んでいます。
国内には42,537人(2019年9月30日時点、厚生労働省調べ)に上る社会保険労務士登録者がおり、その中で事業を継続するには新規顧客の獲得が欠かせません。しかし、佐藤さんは「士業の世界はマーケティングに対する意識が他の業界より希薄だ」と、業界共通の課題を提起します。
そうした課題を克服し、よりスムーズなユーザー対応が行えるチャットコマースを目指して、2019年10月にLINE公式アカウントを開設しました。
これまで寄せられた相談の中にはFAQを熟読すれば解決する問題もありましたが、その専門性の高さゆえ、これまでは初動の段階で電話対応を求められることが多かったといいます。「そういった対応も業務の1つですが、収益にはつながらない」と佐藤さんは語ります。
そこで、同事務所のLINE公式アカウント上で提供されるチャットボット*は、事業者の相談項目を4カテゴリー、個人の相談項目を18カテゴリーにそれぞれ整理した上で、専門知識がない人でも選択肢を選びやすいようテキストの改良を重ねました。ユーザーはタップするだけで悩みを的確に調べることができ、FAQベースの回答はチャットボットが、直接回答が必要な問い合わせなどは佐藤さん自身で行えるよう、対応方法を分けています。
チャットボットの実装には、LINEのTechnology Partnerであるエボラニ株式会社のサービス「anybot」が活用されています。
LINE広告(友だち追加)の活用で潜在ユーザーを獲得
チャットボットの開発と同時に、LINE広告を使ってLINE公式アカウントの友だちを獲得する広告を配信しました。
「LINEには年代、性別を問わず多くのユーザーが存在し、その半数近くが会社員であることから出稿を決めた」と話す佐藤さん。2020年5月〜7月まで広告を配信した結果、500人以上の友だちを獲得しました(2020年8月末時点)。今後も、クリエイティブやそれに伴う友だち獲得数の遷移を見ながら、継続した出稿を予定しているといいます。
その他、LINE公式アカウントのリサーチ機能を使って、チャットボットの使い勝手や今後アカウント上で欲しい情報などをユーザーにヒアリングして、LINE経由の収益アップに向けた改善を続けています。こうした取り組みについて、のぞみ社会保険労務士事務所の佐藤さんは次のように総括します。
「士業でLINE公式アカウントを活用する事例はまだまだ多くありません。しかし、コロナ禍においてはお客さまは外出を控える傾向にあるため、LINE上のチャットボットで専門的な情報を取得できるのは、良いマーケティングになりうると考えています。
最近は働き方改革やテレワークの推進の影響で問い合わせが特に増えているため、LINE公式アカウントを通じてより有益な情報をお届けできればと思います。社会保険労務士で登録者数No1になることを目指して、アカウント運用を続けてまいります」
LINE公式アカウント
(公開:2020年9月)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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