株式会社ナースステージが運営する「ナースリー」は、看護師、准看護師のほか、介護福祉士、医師、医療事務などの医療従事者が現場で利用する白衣やシューズ、グッズを取り扱うECサイトです。2019年から、自社のLINE公式アカウントを友だち追加したユーザーのLINEアカウントとナースリーの会員情報を連携することでコミュニケーションを強化し、ECサイトでの販売促進を行ってきました。LINEの活用について、株式会社ナースステージでECを担当する門井絵里佳さんに話を聞きました。
ソーシャルログインとクーポンの両施策で友だち数が3倍に
ナースリーはマーケティング活動の一環として、LINE以外にも各種SNSアカウントを運用しています。LINE公式アカウントは2016年に開設し、以降3年間はECサイトにQRコードを掲載したり、友だち限定クーポンを配信したりしてユーザーの友だち追加を促してきました。しかし、友だち数が約6万人になった2019年春頃から、友だち数やECサイトの売り上げが伸び悩むようになりました。
打開策としてナースリーが導入したのは、株式会社ソーシャルPLUSが提供する「ソーシャルPLUS」でした。ソーシャルログイン機能をWebサイトに導入できるサービスで、ユーザーのLINEアカウントとナースリーの会員情報をID連携することにより、LINE公式アカウントでユーザーのニーズに合わせた情報を届けるのが目的でした。
ソーシャルPLUSでは、ID連携に加えて自動友だち追加機能を活用した友だち数のアップが見込めます。そのため、従来、友だち追加のインセンティブとしていたクーポンの取得条件を「アカウント連携」に変更しました。
ECサイトでの購入時に入力するクーポンコードを表示させる仕様
「変更前はネガティブな影響がないかと心配しましたが、結果は上々でした」と語る門井さんの言葉通り、友だち数は2019年7月から1年間で約18万人に増加。ID連携率も78.2%と想定を上回る成果を残しました。また、クーポンの利用率は34.5%(2020年4〜7月実績)と、ECサイトの売り上げにもつながっています。
多彩なセグメント配信で、LINE経由の売り上げが増加
ID連携を促進することで、ユーザーの属性に合わせてさまざまなセグメント設定を行い、メッセージを配信することができるようになりました。
例えば、毎週月曜日に配信する医療関連の求人情報は、募集対象となる地域や年代に絞ってメッセージを配信。そのほか、ECサイトやカタログ通販を含めたユーザーの購入履歴から「購入金額、購入回数」において上位の顧客層をセグメントしてメッセージを送ったり、ユーザーの誕生月にバースデークーポンを送ったりしています。
こうした販促を行った結果、従来、メルマガ経由の売り上げがLINE経由の売り上げを上回っていましたが、2020年5月に逆転。「ターゲットリーチも約7割に達し、LINEを活用した販促のインパクトに驚いている」と門井さんは語ります。
マスクの限定販売で、LINEの集客力を実感
LINE経由の売り上げがメルマガ経由の売り上げを上回った2020年5月は、「コロナ禍の影響もあり、医療現場で使うアイテムへの需要が高まっていたのではないか」と門井さんは分析します。
通常、LINE公式アカウントからメッセージを配信すると、配信から1分経たずにECサイトへの訪問者が増え始め、2〜3分後に訪問者数が最大になります。コロナ禍では一般ユーザーのサイト訪問が増え、マスクが品切れしました。今年3月に、入荷数の少ないマスクを確実に医療現場に届けるため、購入回数の多い一部のリピーターへのセグメント配信でマスクの限定販売を行ったにもかかわらず、サイトアクセスが集中してサーバーが一時的にダウンしたほどでした。
これを受けて、より細かなセグメント設定を行い、ユーザーに合わせた販促情報の発信を検討しているそうです。LINE公式アカウントを活用した取り組みについて、ナースリーの門井さんは次のように総括します。
「主な利用ユーザーが有資格者である『ナースリー』は、毎年新たな合格者がサイトを訪れるため新規会員率の割合が高いのが特徴です。それに加えコロナ禍で新規の会員登録やLINEの友だち数、ID連携数も一気に増加しました。5月にはマスクの入荷もありましたので、メッセージの開封率、クリック率ともに高いLINEは特に反応が高く、リピーター育成に役立っています。
さまざまなメッセージを配信していますが、一番ユーザーの反応が良いのは週末にお送りする「12星座占い」だったりもします(笑)。そうしたお楽しみコンテンツも通じて、ユーザーとのコミュニケーションを深めたいと思います」
LINE公式アカウント
(公開:2020年8月)
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