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LINE公式アカウント

垂直立ち上げから店舗送客へ。自動車ブランド「プジョー」が取り組むLINE公式アカウント活用

Groupe PSA Japan株式会社

2021.10.07

Groupe PSA Japan株式会社 マーケティング部 プジョーブランドマネジャー・志水 弘樹 氏
株式会社デジタルシフト LINE戦略部 チームマネージャー・東川 勇樹 氏

フランスの自動車メーカー「プジョー」は、日本市場での認知拡大・販売展開を目的に2019年10月、LINE公式アカウントを開設しました。友だち数278万人(2021年10月時点)を誇るLINE公式アカウントの運用や成果について、プジョーの国内販売展開を担うGroupe PSA Japan株式会社の志水 弘樹氏(以下、志水氏)と、同社の運用パートナーである株式会社デジタルシフトの東川 勇樹氏(以下、東川氏)に話を聞きました。

目的
  • 輸入車市場の中でプジョーの認知度を向上したい
  • ユーザーとのコミュニケーションを通してユーザーとの接点を強化したい
施策
  • 友だちを増やす取り組みとしてLINEプロモーションスタンプを活用
  • 対象のセグメント別に異なる内容のメッセージを配信
効果
  • LINE公式アカウント開設直後、LINEスタンプ施策で204万人の友だち追加
  • LINE公式アカウントからのメッセージ配信によって販売店への来店客数が増加

LINEは「生活者と接点を持つために不可欠なメディア」

Groupe PSA Japan株式会社では、フランスの3つの自動車ブランド(プジョー、シトロエン、DS AUTOMOBILES)の日本市場における販売展開を担っています。中でも、「プジョー」は日本国内での人気が高く、日本自動車輸入組合(JAIA)による「日本の輸入車市場2020レポート」では、ブランド別輸入車新規登録台数で8位にランクイン。5年連続で販売台数は増加しており、コロナ禍にあった2020年も前年対比101.2%を記録しました。

 

そんなプジョーがLINE公式アカウントを開設したのは2019年10月。世代を問わず日本全国にユーザーが存在するLINEは、生活者と接点を持つために不可欠なメディアだったと志水氏。

 

「プジョーの国内展開に当たってはマス(テレビCM)、デジタル、オフラインイベントなどのマルチチャネルを前提に、個別メディアの役割などは明確に線引きせず、24時間の生活シーンでどれだけプジョーとの接点がつくれるか、生活軸でメディアを活用してきました。LINEは世代を問わず、あらゆるシーンで生活者と接点が持てる不可欠なメディアです。ユーザーの生活を想像しながら上手く活用すれば、質の高いコミュニケーションが成立すると考えました」(志水氏)

Groupe PSA Japan株式会社 マーケティング部 プジョーブランドマネジャー・志水 弘樹 氏

さらに、LINE公式アカウント開設の背景には、次のような課題もあったと言います。

 

「日本の自動車市場では、国産車から輸入車への乗り換えが増加しています。プジョーは間違いなく勢いのある輸入車ブランドだと自負していますが、主要な競合ブランドに比べると認知度は低い状況です。輸入車のご購入を検討されるタイミングでプジョーブランドを選んでもらうための接点、そしてプジョーブランドを認知してもらうためのプロモーションとして活用する目的もあってLINE公式アカウントを開設しました」(志水氏)

 

プジョーのLINE公式アカウント開設時から運用のパートナーとして参画する株式会社デジタルシフトの東川氏も、開設当時を次のように振り返ります。

 

「プジョーのブランド想起率を上げるため、まずはブランドを身近に感じていただく取り組みが必要でした。しかし、自動車業界の中ではプジョーのLINE公式アカウントは比較的後発の部類に入ります。立ち上げて徐々に友だちを増やしていく一般的な方法では、競合ブランドの中に埋もれてしまう。開設直後に多くの友だち追加をしていただき、運用を開始する垂直立ち上げを狙い、LINEプロモーションスタンプを活用しました」(東川氏)

株式会社デジタルシフト LINE戦略部チームマネージャー・東川 勇樹 氏

LINEプロモーションスタンプで「200万人超」の友だち追加に成功

プジョーが活用したLINEプロモーションスタンプは、人気が高い「ひとえうさぎ」のクリエイターNEGI氏とコラボレーションしたスポンサードスタンプです。1850年の創業以来、プジョー車のエンブレムにも使われる「ライオン」をモチーフに16種類のスタンプを制作し、2019年11月11日までの期間限定で配信しました。

スタンプクリエイター「NEGI」氏の描き起こしで「プジョーライオン」のクリエイティブを制作

「我々がオーダーしたのは、プジョー販売店のセールス担当者がお客様に対して送ることのできるLINEスタンプでした。実際、試作段階のクリエイティブをセールス担当者に共有して意見をもらいながら、より使い勝手の良いものに絞り込んでいきました」(志水氏)

 

「プジョーらしさを排除したスタンプも一度は検討しましたが、それではプジョーの認知は広がらない。とはいえ、ユーザーがスタンプを使ってくれなければ、LINE公式アカウントの友だちも増えません。そこで、プジョーライオンが『いいね!』や『お辞儀』をしているクリエイティブなど、普段使いしやすく、プジョーらしさもあるスタンプを意識しました」(東川氏)

 

結果、他の輸入車ブランドを超える約204万の友だち追加をしていただくことができ、LINE公式アカウントの垂直立ち上げに成功しました。既存ユーザーの満足度調査でも、スタンプについて「汎用性に優れ実用的でスタイリッシュ。プジョー車のようなスタンプ」「有料でも構わないので販売してほしい」といったポジティブな声が集まり、中には「スタンプを日常使いしているうちに愛着が湧き、遂にはプジョー車を初めて購入した」というユーザーもいたそうです。

地域ディーラーと連携し「よりお客様の生活環境に合わせたコミュニケーション」を

プジョーは2020年10月に実施されたLINEの「秋祭りキャンペーン(クイズに正解するとLINEポイントをもらえる期間限定の特別企画)」にも参加。同時期に新型SUV「PEUGEOT 2008」を発表していたことから、秋祭りでは同車のプロモーションを展開しました。

 

キャンペーンページのクイズ(Q.新型SUV 2008を発表したプジョーはどの国の自動車ブランドか/A.フランス)に正解すると、正解者全員にLINEポイントが付与されるキャンペーンで、ページ内ではPEUGEOT 2008のテレビCMでタイアップした人気アーティスト「Perfume」との動画コンテンツも配信されました。

キャンペーン参加後、LINE公式アカウントからのメッセージ配信によって販売店への送客を促す

「秋祭りキャンペーンには178万人にご参加いただき、新しく74万人に友だち追加をしていただきました。また、キャンペーン掲載開始のタイミングで、ブランドキーワードの検索数が大きく跳ね上がりました」(東川氏)

 

大きな2つの施策によって、プジョーのLINE公式アカウントの友だち数は278万人まで成長しました。現在、LINE公式アカウントから一斉配信でブランドコンテンツ・新車リリース情報を配信しているほか、APIを活用してユーザーの心境に合わせ、メッセージをセグメント配信しています。

 

「直近は各販売店のキャンペーン情報を、近隣ユーザーだけに対して配信するなどの取り組みも行っています。秋祭りキャンペーン開催後、地域の販売店で開催するフェアを告知したのですが、そのときは通常の3倍近い方に店舗へ足を運んでいただけました」(東川氏)

Messaging APIを介して、TSUNAGARUが持つユーザーデータを元にLINEで最適なメッセージを配信

LINE公式アカウントの開設から2年、プジョーのLINE公式アカウントは「ブランド認知からユーザーの購買意欲向上までを叶えるプラットフォーム」として確立されました。今後の運用について、志水氏は以下のように展望を語ります。

 

「今後、LINE公式アカウントでの取り組みとして注力したいのは、エリアマーケティングの強化です。そのためにもブランドと販売店で顧客データの管理について整備する必要があります。これまでは我々本部が主導するプジョーブランドに関する配信が中心でしたが、地域ディーラーが配信したいコンテンツの要望を我々が受け取り、該当エリアのお客さまへ配信する仕組みも考案しています。LINE公式アカウントでよりお客さまの生活環境に合わせたコミュニケーションを実現していきたいです」(志水氏)

 

 

 

(公開:2021年10月、取材・文:安田博勇、写真:小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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