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LINE公式アカウント

特定地域の再配達率が2%減!ユーザーの利便性を高める佐川急便の「LINE通知メッセージ」活用術

佐川急便株式会社

2024.07.24

佐川急便株式会社 事業開発部担当部長 佐藤諒平氏

物流業界大手の佐川急便株式会社(以下、佐川急便)は、2023年4月にLINE公式アカウントを開設し、ユーザーに宅配便荷物の配達予定日時を事前にお知らせする「LINE通知メッセージ」の配信を始めました。さらに、LINE上で配達予定日時を変更できるようにしてユーザーの利便性を向上させて「再配達率の低減」を実現しています。LINEを活用した具体的な取り組みや得られた成果について、同社 事業開発部担当部長の佐藤諒平氏(以下、佐藤氏)に話を聞きました。

目的
  • 近年、宅配便の取扱個数が急伸するなかで、自社の会員制Webサービス『スマートクラブ』の会員数を増やしながら、ユーザーの利便性向上と再配達率の低減を実現したい
施策
  • 2023年4月にLINE公式アカウントを開設し、ほぼ同時に「LINE通知メッセージ」を活用した通知を開始
  • 荷物の発送のタイミングで、配達予定日時を通知
  • LINE通知メッセージを受信した際、佐川急便のLINE公式アカウントから配達予定日時の変更や再配達の依頼などをできるようにした
効果
  • LINE通知メッセージの導入後、「スマートクラブ」の会員数は2023年に前年比140%伸長し、現在は1,500万人を突破
  • LINE通知メッセージの導入前後、特定地域の再配達率が2%低減した

宅配便の取扱個数増加を受け、LINEを導入

1957年に京都で創業した佐川急便は、物流業界のデジタル化にいち早く取り組んできた歴史を持ちます。1980年代から業界に先駆けてIT投資を進め、1985年には貨物追跡システムを稼働させるなど、積極的な技術導入によって配送効率とサービスの利便性を高めてきました。

 

同社は、法人向けの小口配送サービスを主軸に成長を続けてきた一方、1998年に宅配事業に参入。近年、EC需要の高まりから宅配便の取扱個数が急増しており、2021年度には年間約14億個もの荷物を配送しました。令和4年度における国内の宅配便荷物(約49億個 ※1)の約1/4以上を、同社が配送している計算です。

物流業界で大きな存在感を示す佐川急便は、2023年4月にLINE公式アカウントを開設。運用を統括する同社の佐藤氏は、導入の経緯を次のように振り返ります。

 

「宅配便の取扱個数が急伸するなか、再配達をいかに減らせるかがより重要な課題になっています。当社は『スマートクラブ』という登録無料の会員制Webサービスを通じて、お客様がオンラインで配達状況の確認や再配達の依頼などができる仕組みを整えていました。このスマートクラブの会員数を増やし、さらにユーザーの利便性を高めて再配達率の低減につなげたいと考え、LINEを導入しました」

インタビューカット
佐川急便株式会社 事業開発部担当部長 佐藤諒平氏

LINE通知メッセージは、ユーザーにとって重要性や公共性の高いメッセージ(※2)をLINEのアカウントから直接通知できるサービスです。ユーザーは本サービスの利用に同意することで、企業のLINE公式アカウントを友だち追加していなくても、LINEで通知を受け取ることができます。

  • 2 ユーザーにとって有用かつ適切であるとLINEヤフー株式会社が判断したものに限定され、営利目的のものや、広告コンテンツが含まれているものを通知することはできません。

図版

再配達率が2%低減し、顧客の利便性が向上

佐川急便では、荷物の発送のタイミングで、注文時の電話番号とLINEに登録されている電話番号が一致したユーザーに対して、佐川急便のLINE公式アカウントを友だち追加していなくても、以下のように配達予定日時を通知しています。この際、荷物を出荷するお客様にシステムの追加改修などの負担をかけることなく、LINEを使った通知を可能としています。

図版

「配達予定通知のほか、荷物の送り状No.を入力すると配送状況がLINEのメッセージで通知されます。

 

さらに先述したスマートクラブとユーザーのLINEアカウントをID連携すれば、以降はログインIDとパスワードの入力が不要になり、LINEのトーク画面上で簡単に配達予定日時の変更や再配達の依頼などができるようになります。圧倒的なユーザー数を持つLINEを介して、ユーザーの利便性向上と再配達率の低減を目指しています」

 

LINE通知メッセージを導入して以来、再配達率の低減において「目覚ましい成果が生まれている」と佐藤氏は力説します。

 

「ある特定の地域における結果ですが、LINE通知メッセージの導入前後で再配達率が2%低減した(※3)ケースもあります。配送コストには人件費・車両費・業務管理費などが含まれるため、その分コスト削減も見込めます。

 

また、配達予定日時の変更については、18時以降の夜間帯を指定するお客様が多いです。そのため、現場のシフト体制をうまく組みながら対応しており、これまで以上にお客様のご希望に応えられていると実感しています。

 

実際、LINE公式アカウントの友だち数は2,500万人(2024年4月時点)を超えていますが、ブロック率は約2%とかなり低い水準です。これは『LINEで荷物のお届け予定が事前に通知されるサービスや、LINEで手軽に日時変更や再配達依頼ができる仕組みが便利である』とお客様が評価してくださっている結果ではないかと考えています」

  • 3 2024年3月末時点、特定地域の不在再配達率を前年と比較した際の効果

LINEの活用を進めて「サステナブルな物流」を実現

LINE活用が進むにつれて、同社の会員制Webサービス「スマートクラブ」も会員数を順調に伸ばしています。2023年は前年比で140%伸長を記録し、現在は1,500万人を突破(個人ユーザーのみ、2024年4月時点)。その多くがLINEアカウントとのID連携を行っており、今後、よりサービスの浸透が加速していくと予想されます。

図版
友だち追加時のあいさつメッセージで、スマートクラブとのID連携を促すコンテンツが配信される

「ブロック率が低い水準で推移しているなどの理由により、LINE通知メッセージの到達率は当初想定していたものより大きく推移しています(2024年4月時点)。今後もさらなるお客様の利便性の向上と再配達率の低減を進めて、物流におけるサステナビリティを追求していきます。

 

具体的には、“物流の2024年問題”への対応のため東京都が進める『東京物流ビズ』への参画や、里山再生に向けた『高尾100年の森』プロジェクトの推進など、SDGsへの取り組みを積極的に行っています。再配達率の低減は、ドライバー業務の負荷軽減はもちろん、集配トラックのCO₂排出量削減にも寄与するので、国が掲げる再配達率6%目標を達成できるように、LINEの活用を進めてまいります」

 

 

インタビューカット

そして、佐藤氏はLINE活用の今後の展望について次のように語ります。


「現在、LINEは荷物の『受取側』を中心に据えたサービス設計になっていますが、9,700万人(2024年3月末時点)というLINEの圧倒的なユーザー規模を生かしたさまざまな施策を、今後もLINEヤフーやパートナー企業と連携し、提供していきたいと思います」



(公開:2024年7月、取材・文/相澤良晃、写真/山﨑美津留)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業ロゴ
企業名 佐川急便株式会社
所在地
京都府京都市南区上鳥羽角田町68番地
事業内容
宅配便など各種輸送にかかわる事業
関連タグ:
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