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LINEと「LINE通知メッセージ」を活用し、保険業界にイノベーションを

損害保険ジャパン日本興亜株式会社

2019.12.04

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 業務改革推進部 企画グループ
野呂 健太氏

損害保険ジャパン日本興亜株式会社(以下、損保ジャパン日本興亜)では、契約者に向けてLINE公式アカウントと「LINE通知メッセージ」を活用し、保険金請求手続きのデジタル化や災害時のお役立ち情報配信および事故連絡サービスを提供しています。 損保ジャパン日本興亜が「通知メッセージ」を活用するに至った背景や導入後の成果などについて、同社 業務改革推進部の野呂健太氏(以下、野呂氏)に話を伺いました。

 

※「LINE通知メッセージ」はLINE株式会社が提供する、企業からの利便性の高い通知を企業のLINE公式アカウントから受け取ることができる機能です。本機能の利用に同意することで、個別のアカウントを友だち追加することなく、簡単に通知メッセージを受け取ることが可能になります。対象はLINE株式会社がユーザーにとって有用かつ適切であると判断したものに限定され、広告目的のものは配信されません。

目的
  • 保険金請求のアナログな手続きをデジタル化することで、ユーザーの利便性向上を実現したい
  • 災害時にもユーザーに役立つ情報を届けたい
施策
  • 事故連絡や保険金請求の手続きにLINE公式アカウントを活用
  • 大規模自然災害時の保険金請求方法やお役立ち情報を届けるため、「LINE通知メッセージ」を導入
効果
  • 事故連絡から通常2~3週間かかる保険金の支払い手続きが最短30分で可能に
  • 電話で10分ほどかかるユーザーとの応対時間がLINE上のやり取りで平均5分程度に短縮
  • 事故連絡の約2割(年間約数十万件)がLINE経由に
  • 導入からLINE通知メッセージを4回配信(2019年10月時点)し、4万人が友だち追加を実施

アナログだった保険金請求手続きをLINEでデジタル化

損保ジャパン日本興亜は、自動車保険や火災・地震保険をはじめ、人々の生活に身近な保険商品を取り扱う損害保険会社です。日本国内最大規模の収入保険料を誇り、年間の事故対応件数は年間数百万件にも上ります。多くの人の安心や安全をサポートする傍ら、野呂氏はある課題を感じていたと話します。

 

「これまでの保険金請求では、事故に遭われたお客さまからご連絡をいただき、郵送での書類送付などを経て、実際に保険金請求の手続きが完了するまでに2~3週間ほどの時間を要していました。アナログな手続きをデジタル化することで、手続きまでの期間を短縮し、なおかつ業務の効率化が実現できるのではと考えていました」

 

デジタル化への道を模索していた野呂氏が注目したのが、LINE公式アカウントでした。野呂氏はその背景にあるテキストコミュニケーションの重要性と、LINEの魅力について次のように語ります。

 

「近年はSNSも普及し、チャットによるレスポンスの早いコミュニケーションが不可欠になっています。チャットであれば後から見直すこともできますし、電話でのやり取りに抵抗のある方でも気軽にコミュニケーションが可能です。中でも、LINEはMAU8,200万人(2019年9月末時点)という圧倒的なユーザー数を誇るため、それだけ多くの方にリーチができますし、配信メッセージもすぐに確認してもらうことができます。さらに、ダウンロードが必要なアプリと違い、お客さまは友だち追加をするだけで済む手軽さ、お客さまも使い慣れているため難しい操作や説明書が不要というハードルの低さが魅力でした」

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 業務改革推進部 企画グループ 野呂 健太氏

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 業務改革推進部 企画グループ 野呂 健太氏

2018年10月のLINE公式アカウント開設時に最初のサービスとして提供したのは、損保ジャパン日本興亜の海外旅行保険「off!(オフ)」における保険金請求手続きでした。海外でも即時にLINEで事故連絡や保険金請求ができるサービスは、スタート時から好評を博しました。

 

「電話に出られないシチュエーションでも、LINEであればいつでも返事ができて便利という反響がありました。実際のやり取りはLINEのトーク画面から、開発パートナーであるオプト社と共に独自開発したチャットシステムに遷移して行うため、セキュリティーの観点からも安心してご利用いただけます。運用していて印象的だったのは、事故状況の説明のために地図に矢印や書き込みを入れて送ってくださるなど、こちらが想定した以上の方法でお客さまにご活用いただけたことです」

LINE公式アカウントを活用した海外旅行保険「off!(オフ)」における保険金請求手続き。
LINEのトーク画面から、同社が開発パートナーであるオプト社と共に独自開発したチャットシステムに遷移してユーザーとやり取りを行う

2019年1月には自動車保険、火災・地震保険、傷害保険などにもLINE公式アカウントを活用した保険金請求手続きサービスを適用しました。現在は事故連絡の約2割がLINEを介して行われるようになり、電話だと10分ほど必要だったユーザーとの応対時間も平均5分程度に短縮されました。従来2~3週間かかっていた保険金の支払い手続きも、最短30分で完了できるようになったといいます

 

「2割というと件数的には年間数十万件です。当社ではLINEをマーケティングツールではなく、カスタマーサポートツールとして活用していきたいと考えています。さらに認知が広がれば、LINEを介した事故連絡、保険金請求手続きの割合はますます伸びていくだろうと予測しています」

災害時のLINE通知メッセージで契約者に「安心」と「気づき」を提供する

LINE公式アカウントを活用したサービス拡充とともに導入したのが、「LINE通知メッセージ」です。公益性の高い情報に限り、LINE公式アカウントの友だちではないユーザーにも情報が配信できる通知メッセージを、損保ジャパン日本興亜では自然災害発生時の事故連絡の案内やお役立ち情報の配信に活用しています。野呂氏によれば、通知メッセージの導入もLINE公式アカウント開設前から検討していたといいます。導入を後押したのが、2018年6月に起きた大阪北部地震や西日本を中心に広い範囲で被害が出た同年7月の豪雨でした。

 

「2018年に起きたこの2つの災害では、災害発生直後、当社のコールセンターの回線がひっ迫してしまうほど多くの電話が殺到しました。既にLINEでの事故連絡サービス開始が決定していましたが、改めて電話以外で受付ができるシステムを構築する必要があると実感しました。そのためには、一人でも多くの方にLINEで事故連絡ができることを知ってもらう必要があります。そこで注目したのがLINE通知メッセージでした」

損保ジャパン日本興亜では、「LINE通知メッセージ」を自然災害発生時の事故連絡の案内やお役立ち情報の配信に活用

同社は、自然災害時における配信の基準を定め、LINE通知メッセージによる大規模自然災害時のメッセージ配信サービスのシステムをオプト社と共に構築しました。同システムは約3カ月の開発期間を経て、2018年12月に完成し、2019年6月に発生した山形県沖地震で初めて運用されました。

 

「山形県沖地震の際は被災地にお住まいになっている当社のお客さまに、地震発生後、速やかに通知メッセージを送信できました。友だち追加していない当社のLINE公式アカウントから突然メッセージが届くため、LINE通知メッセージが届く理由や受け取りたくない場合の設定方法などを細かく記載したWebページを新たに開設し、お客さまが不審に思わないように周知を図るなど、お客さまへのご案内は丁寧に行いました。お客さまからは『災害が起こった時点でLINEでの連絡があり、保険請求が非常にスムーズだった』という声を多く頂戴しました。中には、メッセージを見て自分が当社の保険の契約者であることに改めて気づかれてご安心いただけた方もいらっしゃったようです」

 

これまで、災害時にLINE通知メッセージを計4回配信を行っていますが、メッセージの送信数約20万通に対し、約4万人がLINE公式アカウントの友だち追加を行ったといいます。

LINE活用によって保険業界にイノベーションを

LINE通知メッセージの効果とその利点について、野呂氏はユーザーに与える「パーソナライズされた安心感」と導入にあたっての「ハードルの低さ」を強調します。

 

「『ハードルの低さ』についてはこうしたOne to Oneの配信サービスを導入する場合、通常は自社の顧客データベースと繋ぐシステム開発が必要ですが、LINE通知メッセージであれば電話番号リストを自社顧客データベースから手動でセットするのみで実現することができます。配信内容に審査はありますが、まずはスモールでLINEを活用したOne to One配信を導入してみたいという企業側のニーズにも合致するのではないでしょうか」

同社では今後もLINE通知メッセージの特徴を生かし、災害時以外でも契約者の利便性向上に寄与する情報の配信を検討中です。

 

「LINE通知メッセージで配信できるのはあくまでも公益性の高い情報のみですが、お客さまの利便性に寄り添った情報を充実させることで、企業としてのブランドイメージの向上にもつながります。何よりもお客さまに少しでも安心と便利さを提供することができるサービスという意味で、今後もより良い活用を模索していきたいと考えています。最後にこれだけのスピード感で各サービスをリリースできたのではオプト社の開発スキルや、LINEの法人向けサービスの販売・開発のパートナーを認定するパートナープログラム『LINE Biz-Solutions Partner Program』においての認定パートナーとしての技術的な優位性も大きく寄与していると考えています、当社側の要件にも迅速かつ柔軟に対応いただけたのは大変助かりました。今後もオプト社と共に保険業界に変革を起こすようなサービスを世の中に出していきたいと考えています」

(公開:2019年12月、取材・文:中野渡淳一、写真:小田光二)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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