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ライト層を獲得し、ECサイトの売り上げが3倍に!ストライプインターナショナルのLINE強化術

株式会社ストライプインターナショナル

2024.07.25

株式会社ストライプインターナショナル 経営企画本部 EC事業推進部 部長 中谷宏之氏

「earth music&ecology」「AMERICAN HOLIC」などブランドを展開している株式会社ストライプインターナショナル(以下、ストライプインターナショナル)は、自社ECサイト「STRIPE CLUB(ストライプクラブ)」を展開し、オンライン・オフラインを問わず1人ひとりのユーザーに最適なコミュニケーションを行っています。従来、情報発信の手段の1つとして利用していたメルマガに代わって、2017年10月にLINE公式アカウントを開設し、さらにAPIによる “LINE特化型”マーケティングオートメーションツール「Ligla(リグラ)」を導入し、費用対効果の高いメッセージ配信を実施。LINEを活用した取り組みや得られた成果について、ストライプインターナショナル 経営企画本部 EC事業推進部 部長の中谷宏之氏(以下、中谷氏)に話を聞きました。

目的
  • 「ライト層の獲得」「メルマガの代替」「顧客体験の向上」を実現できる施策を通じて、より多くの顧客に自社のECサイトを利用してもらいたい
施策
  • 社内のブランドを横断する「ストライプクラブのLINE公式アカウント」に注力して、アカウントを運用開始
  • 来店するライト層の顧客とのオンライン接点を獲得するため、2023年11月にデジタル会員証の機能を持つLINEミニアプリを導入し、主に店舗で案内開始
  • “LINE特化型”マーケティングオートメーションツール「Ligla(リグラ)」をLINEミニアプリとほぼ同時期に導入し、顧客の購入履歴などに基づき、1人ひとりに合ったメッセージをセグメント配信
効果
  • ECサイトへのLINE経由の流入が増加しセッションは4倍、メッセージ開封率も65〜75%に向上するとともに、LINE経由のEC売上が約3倍に増加
  • LINE公式アカウントの友だち数が10倍以上にアップ、会員登録数も向上

LINEで狙う「ライト層の獲得」「メルマガの代替」「顧客体験の向上」

ストライプインターナショナルは、流行に敏感な20〜30代を中心に支持を集める「earth music&ecology」や「AMERICAN HOLIC」などのブランドを擁するファッション事業に加え、オーガニックの食材を使った「コエ・ドーナツ 京都」、日常着のレンタルサービス「MECHAKARI」などの事業を多角的に運営しています。

図版
ファッション事業だけでなく、「ライフスタイル&テクノロジー」をコンセプトに
さまざまな事業を展開中

現在、同社が展開する店舗数は全国に700店以上ある一方、2016年3月にローンチした自社ECサイト「STRIPE CLUB(ストライプクラブ)」の会員数が、近年伸び悩むという課題を抱えていました。

 

「コロナ禍を経て、ファッション業界では『オンライン・オフラインの垣根を超えて、店舗でもECでも同じサービスを提供する』取り組みを加速する企業が増えています。しかし、これまで店舗における対面サービスが中心だったため、オンライン接点の獲得や、データの適切な取得・活用をなかなか進められていないのが現状です」(中谷氏)

インタビューカット
株式会社ストライプインターナショナル 経営企画本部 EC事業推進部
部長 中谷宏之氏

実際、ストライプインターナショナルでも、店舗に足を運ぶ顧客はECサイトの会員になってくれるものの、それ以外のライト層を会員化するのはハードルが高かったそうです。

 

「ストライプクラブに会員登録する際は、住所・氏名・メールアドレスなどを入力する必要があるため、お客様にとって手間がかかるだけでなく、案内する店舗スタッフにとっても大きな負担となっていました。

 

さらに、弊社では各ブランドの情報発信やECサイトへの誘導に約1,000万人規模の登録者がいるメルマガを主に使っていましたが、その許諾率やメールの開封率が年々減少しており、これらの課題を解決できる方法を探していました」

 

「ライト層の獲得」と「メルマガの代替」を行う手段として見出されたのが、国内で9,700万人(2024年3月時点)の月間利用者数を持つLINEでした。

 

「すでに多くのユーザーが日常的に使っているLINEならば、お客様にとっても抵抗が少ないのではないかと考えました。また、オンライン・オフラインを超えた接点づくりを進める上で、LINEはさまざまなサービスを組み合わせて『顧客体験の向上』を図れるのも魅力でした」

LINEミニアプリを導入後、わずか半年で友だち数が10倍に増加

ストライプインターナショナルは2017年10月からブランドごとにLINE公式アカウントを開設していましたが、まず中谷氏は運用管理の見直しを実施しました。個々のブランドのLINE公式アカウントではなく、社内のブランドを横断する「ストライプクラブのLINE公式アカウント」に注力。ユーザーを集約してコミュニケーションを重ねるなかで、ECサイトの会員化(ネイティブアプリへの誘導)を図りました。

そして、来店するライト層の顧客とのオンライン接点を獲得するため、2023年11月に導入したのがデジタル会員証の機能を持つLINEミニアプリです。LINEミニアプリは店舗や施設運営に役立つさまざまな機能をLINE上で提供できるサービスで、LINEミニアプリの利用時には自社のLINE公式アカウントを自然に友だち追加することも可能です(※1)。

  • 1 LINE公式アカウントの友だち追加にはユーザーの許可が必要です。

「LINEミニアプリなら、店舗に設置したQRコードをお客様に読み込んでいただくだけで、すぐにデジタル会員証を発行・表示してもらえます。他のアプリをダウンロードいただく必要もありませんし、かつて会員登録をご案内していたときと比べるとスタッフ側の工数も圧倒的に少なく済みます」

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ユーザーはデジタル会員証の発行後、購入金額に応じてポイントを貯めることができるようになります。そのポイントを使用するためには、ストライプクラブへの会員登録が必要になるという仕組みです。ストライプではLINE公式アカウントでつながった友だちを「仮会員」、ECサイトに会員登録したユーザーを「本会員」として区分して、Web上での訴求や店舗で配布するリーフレットなど本会員化を促しています。

 

「全国700店舗のすべてでLINEミニアプリを実装しています。そのため、LINEミニアプリの導入後、わずか半年でストライプクラブのLINE公式アカウントの友だち数が約10倍に増加しました。最初はライト層の獲得が主な目的でしたから、まさに嬉しい誤算です。友だち数の9割が店舗経由で、現在も順調に増え続けています」

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「仮会員」である友だち数とともに、店舗ごとのLINEミニアプリの利用数や利用率も計測。
成績の良い店舗の取り組みをブランド内で横展開することもあるという

また、急増する友だちとより効果的なコミュニケーションを取るため、APIによる “LINE特化型”マーケティングオートメーションツール「Ligla(リグラ)」をLINEミニアプリとほぼ同時期に導入しました。

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「LINE公式アカウントをCRM(顧客関係管理)として利用するには、ブロックはなるべく防がなければいけません。Liglaの導入後、『1日3通以上はメッセージを自動送信しない』と設定するとともに、お客様の購入履歴などに基づき、1人ひとりに合ったメッセージをセグメント配信しています」

 

Liglaの効果を最大化するためには、ECサイトに会員登録したユーザーの情報と、友だち追加してくれたユーザーのLINEアカウントをID連携することが必要です。そのため、ストライプインターナショナルでは、リッチメニュー内での訴求やインセンティブを用意してユーザーのID連携を促しています。

図版
LINE公式アカウントでは、Liglaの機能を使った切り替え式のリッチメニューを採用。
1枚目はデジタル会員証やID連携の訴求など提示(ID連携前のユーザーのみ)し、
2枚目はECサイトで展開しているイベントの案内や人気コンテンツを表示

「LINE公式アカウントとLINEミニアプリ、そしてLiglaを活用するなかで、レジを通過したお客様とのオンライン接点を獲得し、コミュニケーションを取る基盤が整いました。配信するメッセージ内容はもちろん、リッチメニューのクリエイティブなどもABテストを行うなどして効果を都度振り返りながら、最適な訴求について検討を重ねています」

個客に応じたメッセージ配信で、LINE経由のECサイト売り上げが約3倍にアップ

一連の取り組みが功を奏し、現在、ストライプクラブのLINE公式アカウントの友だち数は200万人を超えています(2024年7月時点)。「ブロックはなるべく防ぐ」と中谷氏が話していたように、ユーザーにフィットするようアカウント運用を行った結果、ブロック率は約2割と低く抑えられています。

 

「Liglaの自動配信では、特に効果の高いものは開封率が7割に上るものもあり、かつて伸び悩んでいたメルマガの代替としてLINEが機能してくれています。さらにLINE経由のECサイトへの流入は約4倍に、売り上げは約3倍にアップしました。ID連携はまだまだ改善の余地がありますし、秋冬コレクションが徐々に動き出す夏頃に向けて、自動配信は今後も一層注力したいと考えています」

図版

LINEを活用した取り組みについて、中谷氏は以下のように総括します。

インタビューカット

「一企業が持っているデータだけで、ビジネスを伸ばし続けるのはやはり現実的に難しいと考えています。そのため、ぜひ期待したいのが『LINEヤフー経済圏におけるデータ活用』です。


たとえばYahoo! JAPANの検索履歴データを活用すれば、弊社の会員ユーザーのニーズについて的確に把握できますし、天気情報を参考にすれば、服選びが難しい時期に最適なファッションを提案するなどのコミュニケーションが実現します。


ストライプクラブは単なるECサイトではなく、先述したようなさまざまなコンテンツを含めてLINE公式アカウントで最適な情報を発信することで、今後もお客様にとってより豊かな購買体験を提供していきたいと考えています」



(公開:2024年7月、取材・文/岩崎史絵、写真/山﨑美津留)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業ロゴ
企業名 株式会社ストライプインターナショナル
所在地
岡山県岡山市北区幸町2-8
事業内容
アパレル、ライフスタイル、食品事業など
関連タグ:
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