人気ロックバンド・SOPHIA(ソフィア)のドラマー・赤松芳朋氏(以下、赤松氏)は、ファンとの結びつきを強める“ファンクラブに替わるコミュニティー”として、LINE公式アカウントと、その機能の一つである「メンバーシップ」を活用しています。LINEのサービスでよりクローズドにファンとコミュニケーションする赤松氏の取り組みや得られた手応えなどについて、話を聞きました。
赤松芳朋
1974年5月27日生まれ、兵庫県出身。中学時代にブラスバンド部にてドラムを始める。20歳の時にSOPHIAに加入し、翌1995年にメジャーデビュー。2013年にバンドは活動休止するも、2022年に9年間の活動休止を経て日本武道館にて復活。SOPHIAの他にもBLUEVINE・Signal modeのドラムとして活動中。
- “コアなファン”を対象に、新たなサービスを提供したり活動に関する情報を効率良く届けたい
- LINE公式アカウントを2023年1月に開設し、リッチメニューに自身の「マンツーマンドラムレッスン」予約ページへのリンクを設置
- LINE公式アカウントの開設直後に「メンバーシップ」機能の利用をスタート。最新情報の案内や、月1回の「マンツーマンチャット」を実施
- LINE上に導線を設けたことや、マンツーマンチャットでの会話をきっかけにしてドラムレッスンの参加者が増えた
- ファンの間で口コミが拡がり、メンバーシップの会員数が200人超に(2023年10月時点)
コアなファンとコミュニケーションするため、個人名義でLINE公式アカウントを開設
1995年にメジャーデビューしたSOPHIAのドラマー・赤松氏は、バンド活動の傍らでSNSを使った情報発信を積極的に行なっています。
きっかけはSOPHIAのバンド活動休止(2013年8月〜2022年10月)以前、2012年にテレビ出演したバラエティ番組での太鼓のリズムゲーム企画で優勝したことです。これを機に音楽ファン以外の視聴者にも赤松氏の名前が知られるようになり、その同年にX(旧Twitter)を開始して以降、現在はInstagramやYouTubeなども利用しています。
「何でもまずはトライしてみようという精神で、Instagramは最初は事務所にも内緒でこっそりやっていました(笑)。
SNSに載せる内容を考えていた時、自分は食べることが好きだから、ある日、食べ終わった空の食器を撮影してXに投稿してみました。するとフォロワーから『食べた後の写真なんか載せてどうするんだ』と鋭いツッコミを受けまして……。
それでもなんとか理由をつけて投稿を続けようと思って、今は食べる前の写真をInstagramに、食べた後の写真をXに載せて使い分けています。どちらもチェックしてもらえると、僕が何をどれだけ食べたかの答え合わせできる仕様です(笑)」
そんな赤松氏が「赤松芳朋公式ライン」の名義でLINE公式アカウントを開設したのは2023年1月のこと。LINEの運用を始めたのには、ある想いがあったといいます。
「2012年のテレビ出演からありがたいことにソロでの露出も増え、SNSのフォロワーも着実に増えてきました。SNSでユーザーの皆さまとつながれるのはとても楽しいのですが、いざライブの告知をすると反応がいまいちだったりする。フォロワーのうち、一体どれくらいが自分の“コアなファン”なのか、まったくわからない状態でした。
そこで、よりコアなファンとコミュニケーションを取ることができる手段はないかと考え、LINE公式アカウントを始めました。
SOPHIA以外に携わっているバンドでもコロナ禍にオンラインライブやトーク配信を行いましたが、いろんなサイトにアカウントを登録してもらう必要があるじゃないですか。
その点で、登録も要らずより身近なコンテンツで気軽にお知らせできるツールを探していたので、LINEを選択できたのはとても良かったです」
メンバーシップを導入し、ファンクラブとして運用
さらにLINE公式アカウントの開設直後、赤松氏は同サービスの機能の一つである「メンバーシップ」を導入しました。
メンバーシップは、LINE公式アカウントの所有者であれば誰でも簡単にアカウント上でサブスクリプションサービスを作成できる機能です。メンバーシップに加入したメンバー(LINE公式アカウントを友だち追加したユーザー)を対象に、独自のコンテンツや特典を提供できます。
本機能を導入した経緯について、赤松氏は「ファンクラブに替わるコミュニティーを立ち上げたかった」と振り返ります。
「SOPHIAの中でも個々にファンクラブがあり、ファンの方にサービスを提供できる環境を持つメンバーもいるんです。
僕も一般の方向けにマンツーマンのドラムレッスンを行なっているのですが、『未経験でも参加していいのか』と躊躇する人や、仕事や育児でなかなか通えないけれど情報は得たい、応援したいという方がたくさんいることを知って。ドラムレッスンのほかにみんなに喜んでもらえるサービスがないかと考えていた時、『メンバーシップ』について話を聞きました。
毎日アプリを開くLINE上でならユーザーの皆さまにも気軽に参加してもらいやすいですし、調べたところサービスの提供や会費の管理など運営する側にとっても簡単だった。ファンクラブに替わる機能としては、まさしくこれ一択でした」
月額500円の赤松氏のメンバーシップでは、ほかのSNSに先駆けてライブの最新情報やチケットの先行販売について情報を発信しています。なかでも好評なのが、月1回の「マンツーマンチャット」です。
「今ちょうどマンツーマンチャットの期間中で、さっきからスマホの通知音が鳴り止みません(笑)。本当に気楽な挨拶から長文までいろいろなチャットをもらえるけど、LINEを使えば1通1通に僕も気軽に返信できる。こうした気軽なやり取りは、身近なLINEならではだと実感しています。
実を言うと、僕の方からはあまり積極的にメンバーシップについて告知していません。それでも、ファンの間で口コミが拡がり、会員数が少しずつ増えています。みんなの想いをこんなリアルに聞ける機会ってなかなかないので、とても楽しいですよ」
メンバーの決起集会の集合写真をSNSに投稿すると開催場所のお店がクチコミで拡がり聖地巡礼先になる」と話す赤松氏
メンバーシップはもちろん、それ以外のLINE公式アカウントの機能も活用して赤松氏は自身の活動の幅を拡げています。
例えば、先述した「子どもから大人まで、誰でもカジュアルにドラムを叩けるように」との思いで開催するマンツーマンドラムレッスンの予約ページへのリンクをリッチメニューに設置。ボタンをタップするとLINEアプリ内でフォームが立ち上がり、簡単に予約ができます。
「オフィシャルサイトなどでもレッスンの案内を出していますが、LINE上で告知から予約までできるようになったことで参加者も増えました。また、以前、メンバーシップのマンツーマンチャットで『ドラムレッスン参加したいけど勇気がない』というチャットをもらったんです。『みんな初心者だから気軽に参加してみて』と返したら、後日、レッスンを予約してくれたファンの方もいましたよ」
このほかにも、LINE VOOMには他のSNSでは使用しなかった画像を中心に投稿しています。
「SNSで積極的に顔出しするのは正直あまり好きではないのですが、LINE公式アカウントはコアなファンが集まってくれているから安心して顔を出せます。だから、LINE VOOMではオフショットの写真が自然と多くなっています」
メンバーシップを通じて「ファンとのコミュニケーションの質が深まった」
メンバーシップで提供するマンツーマンチャットは、個人情報を送ったり尋ねたりしないなど最低限のルールを設定していますが、それさえ守れば「本当に普通の友だち同士の会話のよう」と赤松氏は話します。
「大きなライブの前後に1日限定でマンツーマンチャットを開催したり、メンバーシップの会員の要望に応えるかたちでチャットで画像を送ってもらえように設定を変更しました。それ以降、ファンの皆さまからオフ会中の写真やライブ前に新しくしたネイルなどの画像が送られてくるなど、コミュニケーションの質がより深まった気がします」
「赤松芳朋公式ライン」の友だち数は927名、そしてメンバーシップの会員数は200名を裕に超えています(いずれも2023年10月時点)。
「より“コアなファン”と近い距離でコミュニケーションを取りたいと考え利用し始めたLINEのサービスでしたが、現状の数字に驚きつつ、内容としてはとても満足しています。
僕はライブの時など、ドラムのパフォーマンス以外でも冗談を言ったり、みんなが笑ってくれるのが好きなので、今後はそうしたキャラをLINE上でもどんどん出していきたい。メンバーシップを使ってファンの皆さまとの距離が縮まるような企画を練っているので、ぜひ期待していてください」
(公開:2023年11月、取材・文/安田博勇、写真/高橋枝里)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です
LINE公式アカウントは こちら
開催日時: 2024年3月10日(日)
開場16:00 / 開演17:00 (予定)
開催場所: 大阪城ホール
出演: SOPHIA / The Symphonic Orchestra
詳細はこちら
LINEヤフー株式会社
マーケティングソリューションカンパニー ビジネスPF統括本部
ビジネスソリューション開発本部 ビジネスインキュベーション部
ビジネスコンサルティングチーム/
エンタメ連携チーム 兼_経営企画・事業開発統括本部 事業開発部 事業開発チーム
外所(とどころ)宏陽
「メンバーシップは、LINE公式アカウントの所有者であれば誰でも簡単にアカウント上でサブスクリプションサービスを作成できる機能(※)で、最近はエンタメ業界における導入が増えています。
※メンバーシッププランの作成は、LINE公式アカウントの開設が必要です。
また、アカウント種別がプレミアムアカウント・認証済アカウントであるか、未認証アカウントの場合はターゲットリーチ数が200人以上で作成することができます。
メンバーシップ上でしか見られない各種コンテンツ、ライブやイベントの先行チケット販売に関する情報発信、そして日常に浸透したLINEを使ったチャットなど活用例はさまざまです。それらのサービスの価格設定はもちろん、エンドユーザーであるLINE公式アカウントの友だちに月額課金いただく会費の徴収・管理も簡単に行えるため、サービスの収益化を計画的に行えるのも本機能の利用メリットの一つです。
また、メンバーシップは他のSNSと異なり上記サービスを“クローズドな環境”で提供できるため、ファンとの距離をさらに近づけて関係性の強化にも貢献できると考えています。
今後は同じアーティストを応援する『友だち間のつながり』を強める交流機能も拡充される予定ですので、ぜひ活用いただきたいと思います」