新生フィナンシャル株式会社は、カードローン商品「レイクALSA」の認知度向上を目的にLINEプロモーションスタンプへの出稿と、ブランドに対する純粋想起・助成想起を測定するブランドリフト調査を実施しました。調査によって得られた客観的なデータを今後のマーケティングに活用していくという同社担当者に、LINEでの施策について話を伺いました。
- 主力商品である「レイクALSA」の認知度を向上したい
- テレビ離れが進む若年層のユーザーを獲得したい
- LINEプロモーションスタンプの出稿
- スタンプの配布後にブランドリフト調査を行い、ユーザーの属性や利用頻度などについての相関性を測定
- LINEプロモーションスタンプの施策でLINE公式アカウントの友だちが300万人増加
- スタンプの使用頻度が高いユーザーほど、ブランド認知やキャラクターへの好意度が高いことが判明
金融商品のプロモーションで進むデジタルシフト
「レイクALSA」は、新生フィナンシャル株式会社が2018年4月1日から展開している無担保カードローン商品です。カードローンは国内で複数社が競合していますが、レイクALSAは申し込みから借り入れまで最短60分、ユーザーの生活事情や生活スタイルに合わせて無利息期間を選べるのが大きな特徴です。
「当社が取り扱う金融商品は、必要に迫られない限りは利用を考える機会が少ない商品です。そんな中、生活の中でお金に困った事態に直面した際、『レイクALSA』というブランドを想起してもらうことが重要になります。そのため、以前からブランド認知度向上を目的にテレビやYouTubeなど、認知系媒体でコマーシャルを数多く放映・配信してきました」(竹内氏)
しかし、若年層のテレビ離れが進んでいることが要因となり、2020年3月31日から4月27日にかけて、LINEプロモーションスタンプのスポンサードスタンプを実施。スタンプをインセンティブにLINE公式アカウント「レイクALSA」の友だち追加を促しました。
「近年は若年層のテレビ離れが加速度的に進んでいます。マス広告以外にもLINEを含むWeb媒体で広告施策は展開していましたが、デジタルの世界において『若年層へのリーチ』を課題として認識していました。特に当社のような金融商品の場合は一般的な商材と異なり、サービス内容もわかりづらくコモディティ化しているため、新規ユーザーの獲得ハードルは非常に高いと思います。今回のスタンプ配布をきっかけにLINE公式アカウントの友だちとして関係性を築くことで、必要な際にブランドを想起していただくきっかけになれば――。そうした理由から、スポンサードスタンプの取り組みをはじめました」(竹内氏)
新生フィナンシャル株式会社 戦略推進本部マーケティング戦略推進部 シニアマネージャー 竹内 祥晃氏
スタンプ施策の効果を明らかにするため、ブランドリフト調査を実施
期間中に配布したスタンプは、オリジナルサイト「レイマルアイランド」などに登場するレイクALSAのオリジナルキャラクター「レイマル」と、LINEクリエイターズマーケットの人気クリエイターが手掛ける「うるせぇトリ」のコラボスタンプです。ダウンロードされたスタンプの利用回数は、4月30日時点で3,500万回以上を記録しました。
レイクALSAのオリジナルキャラクター「レイマル」と「うるせぇトリ」のコラボスタンプ
「レイマルは、2018年秋に当社が始めたチャットサービスをきっかけに登場したキャラクターです。現在、露出場所は限定的で知名度もそれほど高くありませんが、今後はレイマルの露出機会を増やしていきたいと考えています。単独ではなくコラボスタンプを選択した理由も、相乗効果によってレイマルの認知度向上に期待してのことでした」(山地氏)
また、スポンサードスタンプの効果を明らかにするため、全国の15〜59歳の男女(※レイクALSAのLINE公式アカウントのフォロー者・非フォロー者、サンプル数3,000超)を対象に、LINEリサーチを活用したブランドリフト調査を実施しました。
ブランドリフト調査とは、企業のブランディング広告への接触の有無を調べ、かつ、接触したユーザーと接触していないユーザーの割合を比較した上で、接触したグループのブランド認知度や購買意欲などを測定するアンケート調査です。
「調査の設問項目は11問で、『消費者金融(カードローン)と聞いて思い浮かぶブランド/サービス/商品名』『レイクALSAの知名度・印象度』『公式キャラクター・レイマルの知名度・印象度』『LINE公式アカウントの利用度・得たい情報』などについてアンケートを取りました。主にブランドの純粋想起(ブランド名を伏せた状況で何番目にサービス名称が挙がるか)と助成想起(ブランド名を提示して、見聞きしたことがあるか)、キャラクターの認知・印象度に注目しました」(山地氏)
新生フィナンシャル株式会社 戦略推進本部 ブランドマーケティング部 山地 春菜氏
スタンプの使用頻度が高いユーザーほど、ブランド認知に効果があることが判明
調査では、全年代での純粋想起において「前回調査時(2020年2月)と比較して数値が向上した」という結果が得られました。特に若年層の男性では、スタンプのダウンロード者・非ダウンロード者を比較し「(スタンプの)高頻度利用者ほど純粋想起・助成想起のブランドリフトアップが確認できた」といいます。
また、オリジナルキャラクター「レイマル」に関しても、スタンプの高頻度利用者ほど「かわいさ・親しみ・愛嬌を感じた」など、レイマルへの認知度・印象度が高い結果が出ました。今後はさまざまなプロモーション活動の中で、「レイマル=レイクALSA=カードローン」の想起が容易になるかもしれません。
「スタンプ施策が、当初メインターゲットとしていた特定世代の想起率向上に寄与したことが分かりました。もちろん、スタンプをダウンロードしてLINE公式アカウントの友だちになっても、すぐにブロックしてしまうというユーザーも一定数はいらっしゃいます。しかし、ブランドリフト調査の結果を見ると、ブロックしたユーザーに関してもブランドやキャラクターの認知につながっていることが伺えます。これまで、ブロックは企業やブランドに対する拒否反応だと考えていましたが、異なる見方もあるというのは新たな気付きでした」(竹内氏)
当初、スタンプ施策によって目標としていたLINE公式アカウントの友だち獲得数は「250万人」。結果は目標を超える330万人の友だち獲得につながりました。
LINE公式アカウント「レイクALSA」のプロフィール画面
「調査結果を見て、プラットフォームとしてのLINEの効果が実感できた」という竹内氏は、スポンサードスタンプやブランドリフト調査の結果を踏まえながら、今後の取り組みについて次のように話します。
「調査では、LINE公式アカウントの友だちに対して『アカウントからどんな情報を知りたいか』などの詳細を聞くことができました。今後は調査結果を参考にしながら、LINE公式アカウント内のコンテンツを友だちのニーズに合わせて充実させていきたいと考えています。LINE公式アカウントを通じて、少しでも身近なブランドとして関わっていただけるようにしたいです」(竹内氏)
(公開:2020年9月/取材・文:安田博勇、写真:慎芝賢)
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