世界150カ国以上で愛用されているロングセラー商品「クリネックス®ティシュー」は、1964年に日本国内での販売が開始されました。販売元である日本製紙クレシア株式会社(以下、日本製紙クレシア)は2018年12月、同ブランドのラインナップとして展開されるお肌専用ティシュー「クリネックス®ティシュー アクアヴェール」の販売プロモーションにおいて、LINEで販促領域の支援を行うLINEで応募のLINEポイントインセンティブを活用したキャンペーンを実施しました。
担当者である日本製紙クレシアの中井悦三郎氏(以下、中井氏)、富岡秀忠氏(以下、富岡氏)、梶原由香氏(以下、梶原氏)に、キャンペーン実施の経緯と効果について話を伺いました。
・商品理解を得るために、多くの人に商品を体験してもらいたい
・商品ターゲットである30~40代の女性に商品を購入してもらいたい
・「LINEポイントインセンティブ」を活用し、対象商品1点を含む1,000円(税込)以上の購入で先着5,000名にLINEポイント100ポイントをプレゼントするキャンペーンを実施
・「クリネックス®ティシュー アクアヴェール」の売り上げが前年比約130%を達成
・商品のターゲットとしていた30〜40代の女性購入者層が約5%増加
・商品購入者の8割弱がLINEポイントをチャージしていたことを確認
“先着5,000名”へのプレゼントキャンペーンを行った理由
「毎日の化粧直しや顔まわりをやさしく拭き取るための、お肌専用ティシュー」——。それが日本製紙クレシアの販売する「クリネックス®ティシュー アクアヴェール」(以下、アクアヴェール)です。天然由来の植物性保湿成分を配合し、うるおい成分は通常のクリネックス®ティシューの約4倍。「お肌に最適」「鼻をかんでも赤くなりにくい」「デリケートな赤ちゃんの肌にも使える」と、30〜40代の女性を中心に人気を集めています。
アクアヴェールは通常のクリネックス®ティシューよりも高価格帯の商品ですが、同社 中井氏は業界動向を踏まえながら、アクアヴェールの生まれた背景を次のように説明します。
「これまでご家庭におけるティシューの使い方は、ドラッグストアやスーパーマーケットで5箱パックをご購入いただき、用途を問わず使っていただくのが主流でした。しかし、業界全体の潮流としても『ティシューのパーソナル化』——すなわち個々人が商品の特性を選んで、好みのものを、あるいは用途に合わせてティシューを使い分ける方が増えています。そうした流れを受け、お肌専用の商品としてアクアヴェールが生まれました」(中井氏)
また、販売開始から2019年で55周年を迎えたクリネックス®ブランドは、購買層の高齢化が進んでおり、新たな若い層に訴求したいというブランド全体の課題もあったそうです。
「クリネックス®ブランドの中でも高付加価値品であるアクアヴェールを、商品ターゲットである30〜40代の女性を中心とした多くの方に体験していただきたい、という思いからLINEポイントインセンティブを活用したキャンペーンを実施しました。より多くのターゲットユーザーに訴求するために、先着5,000名さまにLINEポイントを差し上げる形式にしました」(富岡氏)
同社が実施したのはLINE Pay残高へのチャージ、LINEスタンプや各種ギフト券への交換などが可能な「LINEポイント」が獲得できる、LINEポイントインセンティブを活用したプレゼントキャンペーンです。本キャンペーンは、アクアヴェールの中でもウィンターシーズンになると販売される、数量限定のデザインパッケージの発売と同時に行われました。
応募にはアクアヴェール5箱パック1点を含む「合計1,000円(税込)以上のレシート」が必要になり、レシートを撮影して専用フォームに送信ならびに必要事項を入力して応募すると “先着5,000名”にLINEポイント100ポイントがプレゼントされます。当選者はキャンペーン終了後、登録したメールアドレスに届いたPINコードからLINEポイントのチャージが行えました。
2つの施策の相乗効果で売上「前年比約130%」を実現
日本製紙クレシアはプレゼントキャンペーンの告知にあたり、商品にひとつの工夫を施しました。それは、対象商品のティシューの取り出し口にキャンペーン情報を記載した告知手法です。
限定パッケージに合う色味やデザインを考え、取り出し口に案内を掲載
「限定デザインのパッケージを手に取れば、ティシューの取り出し口にキャンペーンの告知が施されていることに気づきます。取り出し口はすぐに購入者の目に留まるため、即座にキャンペーンのことを知ってもらえますし、取り出し口を剥がしてしまえば、告知がデザインを阻害することもありません。キャンペーンの応募サイトに遷移するための二次元バーコードはティシュー底面に印字しました」(梶原氏)
日本製紙クレシア株式会社 営業推進本部 マーケティング部 主任 梶原 由香氏
キャンペーンは2018年12月26日にスタートし、翌年2月28日まで約2カ月間行われました。キャンペーンの反響として富岡氏は「LINEポイントに対するお客さまの認知度はとても高く、予想以上に速いスピードで応募が集まりました。何よりもプレゼントしたLINEポイントをすぐにご利用いただけるという点がお客さまにもとても好評でした」と語ります。
さらに、「合計1,000円(税込)以上のレシート」という応募条件をつけたことで、複数買いを促進するという副次的な効果が生まれたといいます。
日本製紙クレシア株式会社 営業推進本部 MD部 営業戦略グループ 調査役 富岡 秀忠氏
「キャンペーンの効果もあり、アクアヴェールの売上に関しては前年比約130%を達成しました。さらにデータ上でも応募者の8割弱の方にLINEポイントをチャージいただいたことが確認でき、ターゲットとしていた30〜40代の女性購入者層も約5%増えました。先着5,000名に限定して行ったプレゼントキャンペーンでしたが、供給数を増やせばより効果があったのではないか、という実感があります」(富岡氏)
運用者・購入者・販売店、三者にメリットがある施策
ポイントという目には見えないデジタルの景品をプレゼントするキャンペーン自体、日本製紙クレシアにとっては初めての試みでしたが、梶原氏は「これまではプレゼントした景品がどれだけ多くの人に使ってもらえたのか、その効果測定が実施できていなかった」と話し、こう続けます。
「LINEポイントインセンティブを活用することで、対象商品を購入いただいたお客さまのうち、どのくらいの方が実際にポイントに交換したのか、データとして知見をためることができました。また、これまでの景品は商品の選定に始まり、応募はがきの校正や当選者への発送など、最後まで作業が必要になるため、業務を圧迫していました。今回のキャンペーンは、時間的コスト、人的コストを削減するという点でも大きなメリットがあったと感じています」(梶原氏)
一方、LINEポイントインセンティブを活用したプレゼントキャンペーンは、販売店にとってもユーザーへ訴求しやすかったようです。
「数量限定パッケージデザインとLINEポイント、2つの購入動機を販売店へ訴求できました。応募までの分かりやすい動線は当社営業としても販売店へ商談がしやすく、また、応募はがきの店頭での設置も必要ないため、販売店の手をわずらわせることもありません。事実、キャンペーンに対して販売店の皆さまにも好評を得ており、商品の陳列棚に当社が制作したキャンペーン告知POPを掲出していただくなど、ご協力をいただいた店舗もあります」(梶原氏)
店頭で掲載したオリジナルPOPは、店舗が掲載しやすいように複数サイズを制作
富岡氏も「多くのポイントプログラムがある中で、LINEポイントはどの流通さまでも偏りなく取り扱いいただける独立したプログラムのため、多くの販売店で実施できたことも大きかった」と付け加えます。
同社では、2019年6月から主力商品である「ポイズ さらさら素肌」でもLINEポイントインセンティブを活用したキャンペーンを実施しています。こちらは対象商品に付いているバーコードを応募はがきに貼って応募すると、バーコードを集めた枚数に応じたLINEポイントなどの商品が必ずもらえるというもの。
「『ポイズ さらさら素肌』は、2019年4月からパッケージデザインを一新した尿モレ・吸水ケア用品です。ユーザーの年齢層が幅広いLINEであれば、商品のことを知らない30〜40代のターゲット層へ訴求できるとともに、今まで使っていただいた方々も離反させずに継続して利用いただけると考えました」(梶原氏)
最後に中井氏はこう総括します。
日本製紙クレシア株式会社 営業推進本部 MD部長 兼 営業戦略グループ長 中井 悦三郎氏
「LINEポイントインセンティブを活用したキャンペーンは、効果測定がしやすく、新しいチャレンジを示すという意味でも社内稟議の際に上層部へアピールしやすい取り組みでした。デジタル時代の今だからこそ、商品プロモーションも同様にデジタルへシフトしていくことが求められると考えています。これからも時代の潮流に合わせ、デジタルを活用したさまざまな施策を考えていきたいです」(中井氏)
(公開:2019年7月/取材・文:安田博勇、写真:中村宗徳)
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