オーラルケアブランド「G·U·M」を展開するサンスター株式会社(以下、サンスター)は、2022年5月31日~7月31日の期間で「LINEで応募」を活用したレシートキャンペーンを実施し、店頭売り上げや併売率(※)を大きく伸ばすことに成功しました。その秘訣や成果について、同社の和田知尋氏(以下、和田氏)に話を聞きました。
※「G·U·M」の商品のうち、「歯ブラシや歯磨き粉」と、「歯間カテゴリや液体カテゴリ商品」の同時購入率
- 歯周病のリスクを周知し、オーラルケア市場の拡大や「G·U·M」の需要を高めたい
- ユーザーと直接接点を持つ方法を見つけたい
- 「LINEで応募」を活用したレシートキャンペーンを実施
- 自社のSNSだけでなく、店頭POPや小売企業の協力を得た告知を実施
- キャンペーン期間中の併売率は23%上昇
- 平常時と比較して、間接売り上げ(キャンペーンの参加有無を問わない期間中の売り上げ)に対するROAS(広告費用対効果)は133%を記録
購入金額に応じてLINEポイントを付与し、併売率の増加を狙う
ヘルスケア製品メーカーのサンスターは、2022年5月31日から7月31日にかけて、「LINEポイントでお口の健康キャンペーン」を実施しました。これは、オーラルケア製品(歯ブラシ、歯磨き粉など)の主力ブランド「G·U·M」シリーズの店頭販売促進を目的としたレシートキャンペーンです。対象商品のレシートを撮影して「LINEで応募」の専用フォームから応募すると、購入金額に応じてLINEポイントが付与されます。
「LINEポイントでお口の健康キャンペーン」のキャンペーンページ
キャンペーンの実施背景には、歯周病のリスクを多くのユーザーに周知し、その予防に「G·U·M」シリーズを使用してもらいたいという思いがありました。
「1989年に販売を開始した『G·U·M』は、歯周病予防を目的としたオーラルケアブランドです。歯ブラシや歯磨き粉のほか、歯間ブラシやデンタルフロス、液状のデンタルリンスなどを展開しています。一方、『歯周病』という言葉自体は広く浸透しているものの、いまだそのリスクはきちんと知られておらず、日常的に歯周病予防を意識している人はまだまだ少ないという状況です。まずは歯周病ケアの大切さをより多くの方に理解していただき、オーラルケア市場の拡大や『G·U·M』の需要を高めたいと考え、『LINEで応募』のレシートキャンペーンを実施しました」
和田氏によると、「30代以上の7割は歯周病に罹患(※1)している一方で、自身が歯周病と認識している方はそのうち30%(※2)程度しかいない」とのこと。歯周病が進行すると、歯を失いQOL(生活の質)が低下するだけでなく、最近では全身の健康との関連も指摘されています。サンスターは、こうしたリスクをはらむ歯周病の発症を未然に防ぎ、人々の健康な生活の向上に奉仕することを「G·U·M」ブランドの理念として掲げています。
こうした背景から、今回のキャンペーンでは「G·U·M」ブランドの認知拡大と、歯周病予防に効果的な複数商品の併売を目指し、該当商品の購入金額に応じて付与するLINEポイントを以下の3段階に分けました。
① 購入金額500円~800円未満:LINEポイント 200ポイント
② 購入金額800円~1,000円未満:LINEポイント 350ポイント
③ 購入金額1,000円以上:LINEポイント 500ポイント
付与するLINEポイントを段階的に分けることで複数商品購入の後押しを行い、キャンペーンのKPIとしては「併売率」を重視しました。
ユーザーと直接つながることもできる「LINEで応募」の魅力とは
今回の施策の成果について、和田氏は次のように説明します。
「キャンペーンの実施前は『購入金額800円~1,000円未満:LINEポイント 350ポイント』 への応募が最も多いのではないかと予測し、それに合わせて予算を組んでいましたが、蓋を開けてみると応募者のうち7割の方が1,000円以上のコースに応募いただいていたことが分かりました。重視していた併売率も23%上昇するなど、想定より高い数字を記録したことで十分な費用対効果を得ています」
実際、キャンペーン期間中の「G·U·M」シリーズの売り上げは飛躍的に伸び、平常時と比較して直接売り上げ(キャンペーンに参加したユーザーによる売り上げ)に対するROAS(広告費用対効果)は53%、間接売り上げ(キャンペーンの参加有無を問わない期間中の売り上げ)に対するROASは133%を記録しています。
「今回のキャンペーンの告知では、『G·U·M』のLINE公式アカウントやTwitter、『LINEで応募』のLINE公式アカウントの活用以外にも、小売企業さんのSNSでも発信の協力をいただきました。やはり、こうした店頭キャンペーンの成功には、小売企業さんとの連携が重要と改めて実感しています。SNSの発信から店頭でのPOPの設置まで、広く協力いただいたことが成功につながりました」
店頭で設置したPOPの一例
一方で、「企業が主体となってキャンペーンを実施できるのが、『LINEで応募』を活用してレシートキャンペーンを行うことの大きな魅力」だと和田氏は話します。
「例えば、決済システムに連動したポイント還元キャンペーンは、そもそも当該の決済システムを導入していない店舗の協賛を得ることはできません。しかし、レシートキャンペーンであれば、レシートを発行している店舗すべてが自動的にキャンペーンの実施店舗として機能します。また、『LINEで応募』は応募の際にLINE公式アカウントが自動で友だち追加されるため、直接企業がユーザーとつながることができます。レシートキャンペーンと『LINEで応募』を組み合わせることで、ユーザーの属性情報や購買データを企業が直接入手でき、その後のマーケティング施策に生かすことができます」
サンスターは今回のキャンペーン実施に向けて、「G·U·M」のLINE公式アカウントを2022年4月に開設しました。キャンペーン期間中の2カ月で約2万8,000人の友だちを集めましたが、2023年1月現在の友だち数は4万3,000人と順調に増えています。今後はユーザーにとって有益な情報を配信し、商品の購入につなげていく方針です。
キャンペーン期間中は、サンスターのLINE公式アカウントのあいさつメッセージでもキャンペーンの告知を実施
「LINEで応募」の活用で、使える武器が増えた
「LINEポイントでお口の健康キャンペーン」で成功を収めた同社は、2022年9月14日から10月16日まで、「LINEで応募」を活用したキャンペーン第2弾となる「あなたはどのG·U·M?お口の健康応援キャンペーン」を実施しました。
「購入金額に応じてLINEポイントがもらえるという基本的な仕組みは第1弾と同じです。ただ第2弾のキャンペーンでは、新商品『G·U·M PLUS』の認知拡大や購入の後押しが目的だったため、『G·U·M』シリーズの購入でLINEポイントを最大450ポイント、さらに『G·U·M PLUS』シリーズを購入いただいた方には、50ポイントを上乗せして付与するという仕組みにしました。第1弾と第2弾で仕組みを変えてみましたが、今後キャンペーンを実施していく場合も、どのような形で実施できるか検討してみたいと思います」
また、キャンペーン応募の際には「オーラルケアに関する悩み」についてアンケートを実施。回答すると、そのユーザーに適した商品が表示されるという仕組みをつくりました。取得したアンケート回答は、今後のメッセージ配信に使用することもできます(※)。
※アンケート回答はユーザーの同意を得て取得しています。
「LINEで応募」によるレシートキャンペーンを振り返り、和田氏は次のように総括します。
「『LINEで応募』のキャンペーンを2回実施してみて、過去に実施したキャンペーンよりも効果が高く、マーケティングの担当者として『使える武器が増えた』と感じています。単純な商品の割引キャンペーンでは、『お口の健康から人々の健康を守る』というブランドメッセージを伝えることが難しいのですが、コミュニケーションツールでもある『LINE』ならメッセージを届けつつ、売り上げアップも実現できます。より効果的な活用方法を探りながら、今後も『LINEで応募』を活用したキャンペーンを実施していきたいと思います」
(公開:2023年2月、取材・文/相澤良晃)
※1 厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査
※2 サンスター調べ
※3 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※4 本記事内の実績はサンスター調べによる数値です