日本コカ・コーラ株式会社(以下、コカ・コーラ)が2020年3月に新発売したコーヒー飲料「ジョージア ラテニスタ」は、発売後7カ月で1億本の出荷を記録した人気商品です。商品の発売時期に合わせて展開したキャンペーン施策で「Talk Head View」に広告を出稿した同社担当者の伊勢本真也氏に、出稿の背景や効果について話を聞きました。
- 「ジョージア ラテニスタ」の新発売時期に合わせて商品認知を最大化したい
- 商品の発売タイミングに合わせて2020年3月31日にTalk Head Viewで新商品を告知
- 静止画バナーは6,130万人へのリーチ数を記録
※計測期間:3月31日11:00~4月1日10:59まで
- 広告に接触したすべての世代においてキャンペーン認知、ブランド認知、購買意向が上昇
デジタル広告での“マス”としてTalk Head Viewを活用
コンビニやスーパーマーケットに並べられている缶やペットボトルなどに入ったコーヒー飲料は購入後、すぐに飲める「RTD(Ready To Drink)コーヒー」と呼ばれ、幅広い年代から支持されています。2020年3月30日、コカ・コーラではRTDコーヒー市場に新商品として「ジョージア ラテニスタ」を展開しました。
「今の20代から30代前半のユーザーは、学生時代からチェーン店のカフェを利用し、カフェに慣れ親しんでいる世代です。この年代は“コーヒー”ではなく、ミルクを合わせて作る“カフェラテ”を好む傾向があります。当社ではこの層を『カフェネイティブ世代』と呼び、彼らに向けて投入した商品が『ジョージア ラテニスタ』です。メッセージやデザイン、色調もこれまでのRTDコーヒーとは一味違う、シンプルでスタイリッシュな世界観の演出を意識しました」
日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 ICX コネクションプランニング&メディア シニアマネジャー 伊勢本 真也氏
以前までのジョージアシリーズで訴求していた「焙煎」や「コク」ではなく、「ジョージア ラテニスタ」では後味のリッチなミルク感を意識してもらえるように、「後ミルク」という新たな表現を創出。パッケージにもナチュラルテイストの淡い色調を用い、スタイリッシュなデザインで商品の世界観を表現しました。
発売前のティザー期と呼ばれる広告コミュニケーションでは、商品が持つ世界観をソーシャル上で拡散することに注力し、商品の発売以降は短期的に商品認知を拡大するため、マスアプローチを中心としたマーケティング施策を展開しました。
「通常であればテレビCMを中心に広告の出稿戦略を考えますが、今回は若い世代がターゲットということもあり、デジタル広告での“マス”と呼べるLINEのTalk Head Viewに出稿することを決めました」
リーチの大きさ、配信日時の指定可能が出稿のポイント
Talk Head Viewとは、LINEのトークリスト最上部に表示される広告商品です。ユーザーが静止画バナーをタップすると、広告枠が拡大して動画が再生されます。コカ・コーラでは、2019年にも異なる商品でTalk Head Viewに出稿したことがありました。
「Talk Head View」では、トークリスト最上部に表示される静止画バナーをタップすると画面が拡大して動画の再生が開始される
「前回の掲載では、1日で静止画バナーのリーチ数が5,800万人を記録しました。正直、1日でこれだけのリーチ数が稼げるデジタルメディアはほかにありません。そこで今回は、マスメディアの役割を担うデジタル広告として再び、Talk Head Viewへの出稿を決めました」
また、指定した日時に広告が配信できることにもメリットを感じたといいます。商品の発売タイミングに合わせて広告を配信することで、新聞広告のようにニュース感を伴ったキャンペーン展開が可能なため、トライアル購入を促す効果が高いと考えました。
「RTDコーヒー商品の有力チャネルであるコンビニは競争が激しく、初週から2~3週間での売上実績が非常に重要になります。そのため、早めにトライアル購入を促すような施策を打つことが重要です。発売タイミングに合わせてターゲット層に広く確実に届くという点は、Talk Head Viewへの出稿を決断する上で1つのポイントになりました」
出稿に関して定めた目標指標は、「静止画のリーチ数」と、静止画をタップすると再生される「動画の視聴数」の2つ。特に膨大なリーチ数に期待できる静止画を重視し、バナーで商品の世界観や特徴を説明するクリエイティブを制作しました。
実際に配信されたクリエイティブ。静止画バナー(左)をタップすると動画(右)再生が開始される
6,130万人のリーチ数を記録!ブランド認知・購入意向も大きく向上
出稿の結果、Talk Head Viewで配信された静止画バナーは6,130万人へのリーチ数を記録し、同時に実施したブランドリフト調査でもキャンペーン認知に大きく貢献したという結果を得ることができました。ターゲットとしていた年代だけでなく、全年代において「名称認知」は広告非接触者と比較して広告接触者が1.3倍、動画接触者が1.5倍、「購入意向」もそれぞれ1.1倍、1.5倍を記録。コカ・コーラによる独自調査でも、若年層の認知向上が確認されました。
「Talk Head Viewは若年層へのリーチだけでなく、全年代をターゲットとして活用できる広告商品だと認識できました。1日で膨大なマスリーチを稼げるデジタルメディアという利点があることから、今後も当社のコミュニケーション戦略の大きな選択肢になりそうです」
「ジョージア ラテニスタ」も3月30日の発売から5カ月で出荷本数7,000万本を突破し、9月には第3弾のフレーバーとなる「キャラメルラテ」もリリースされています。
異なるチャネルからのリーチを重ねることで、ユーザーの認識を強める
今回のTalk Head View活用を通して、伊勢本氏は「新たな知見を得ることができた」と振り返ります。
「Talk Head Viewは膨大なマスリーチが得られると共に、CMや新聞などでリーチしにくい若年層への訴求に強く、静止画でも十分な効果があることが分かりました。動画視聴を促す設計も可能ですが、トークリストに掲載されることで静止画自体の認知率も高いため、今回は静止画に重点を置いて訴求できたことが結果に表れたと考えています。
多くの企業では、デジタルとマスを併用したマーケティング戦略を展開していますが、個人的にはリーチの補完という使い分けではなく、異なるチャネルからのリーチを重ねることで、消費者へ与える認識が強くなると思います。広告が届きにくくなっていることは否めませんが、複数のチャネルから各チャネルに合わせた最適な広告コンテンツの形で同一情報を届けることで、商品の訴求力がどれほど高まるか――そんな戦略が重要になってきます。今後はLINEで応募(旧LINEセールスプロモーション)での販促施策、LINE公式アカウントなどのさらなる活用の強化も視野に入れつつ、LINEというプラットフォームでさまざまなチャレンジができればいいと考えています」
(公開:2020年11月/取材・文:岩崎史絵、写真:慎芝賢)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです