個性的なスタイルで人気の自動車ブランドを抱えるGroupe PSA Japan
Groupe PSA Japan株式会社は、プジョー、シトロエン、DSオートモビル、3つの自動車ブランドを展開しています。スタイリッシュで個性的な自動車ブランドとして支持されており、コンパクトカーからSUVまで、幅広いラインナップを展開。2020年には、208/e-208において、「2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカー/インポートカー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。
自動車ブランド「プジョー」のプロモーションとして、テレビCM、デジタル広告、双方で積極的に展開をしています。これらの宣伝施策を「横断的に」効果検証できる手法として、統計学的分析であるマーケティング・ミックス・モデリング(以下、MMM)を活用し、効果的なメディアプランニングを実現しました。
目的
オフラインとオンライン、横断での成果への貢献度/相互関係を検証したい
プジョーにおける広告出稿は、もともとはデジタル広告をメインに実施していました。しかし、同社で改めて顧客データを精査したところ、顧客とのタッチポイントとして、テレビCMを始めとしたマスメディア広告の影響が大きいことや、デジタル広告でも媒体や広告の種類によって顧客が期待している情報が異なることなどが分かりました。そこで、顧客のタッチポイントや接触するときの気持ちに寄り添って、出稿するメディア選定やクリエイティブを見直すべきだと考えて、方針を大きく変更しました。
方針転換の一方、同社が課題として感じていたのは、広告への投資効果をどうやって検証するかということでした。
デジタル広告であれば、運用成果としてインプレッションやクリック数、コンバージョン率など、さまざまな数値を検証できますが、実店舗への来店、売上への貢献など、最終的な成果との因果関係はあまり明確ではありません。デジタル広告に限った指標の部分最適に陥りがちな点が課題でした。一方、テレビCMの場合は数値的な効果検証がしにくく、来店者へのアンケートなどでしか成果を検証できません。
同社では、顧客に向けて実施したテレビCM(オフライン施策)、デジタル広告(オンライン施策)の掛け合わせ効果や成果への検証が必要となり、Yahoo! JAPANの提案により、横断的な効果分析を実施しました。決め手となったのは、広告の投資対効果の可視化ができることに加えて、さらに深い顧客理解につながるのではないかという期待からです。
ソリューション
オンライン施策、オフライン施策の効果検証をフラットに
テレビCMを開始したタイミングで、 Webコンバージョン(資料請求、試乗申し込み、商談申し込み)をKPIにして調査を実施
2回目:
テレビCMを定常的に実施するようになり、来店をKPIにして調査を実施。 また、デジタル広告についても媒体を細分化の上、メディアミックスの貢献度の可視化を行う
成果
オンライン/オフラインの役割の違いを明確化し、次のメディアプランニングに活用
2回目の調査では、過去2年分のデータをさかのぼって検証し、来店をコンバージョンに設定し評価。この結果でも、来店へのコンバージョン貢献度という点ではテレビCMは想定したよりも低いことが分かりました。
デジタル広告では、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)が最も来店に貢献しており、効率的に配信できていました。よい意味で想定外だったのは、ディスプレイ広告(予約型)の成果です。Yahoo! JAPANのトップページに掲載される、ブランドパネルなどのリッチな広告フォーマットは、幅広くリーチするマス広告に近い広告ですが、オフラインの来店のコンバージョンにも貢献し、効率的に配信できていました。
もう一つ、想定以上の貢献があったのはリスティング広告です。同社では、リスティング広告の効果に懐疑的だったこともあり、予算割当を低く設定していましたが、配信した広告の中でコンバージョン単価が最も低い結果となりました。
一方、テレビCMについては、低金利キャンペーンを打ち出したクリエイティブで、すでに購入検討中のターゲットに向けたプロモーションに近い広告であったこともあり、今回の調査では貢献度が低く出たと推測できます。この結果から、新商品の販売開始時など購買意欲が高まるタイミングで、認知を目的に利用すれば高い効果が期待できます。
![](https://64.media.tumblr.com/ecccf45f634a6f344a1c1d1faa038193/3c344320b3c30699-ba/s540x810/1066ed5edd44ed2fa9bf0027e4142e72e70a3956.png)
2回の分析結果を通じて、広告の投資対効果として、メディアごとの現状把握ができたため、 同社は訴求するプロモーション内容によって、メディア選定や、メディア配分を変えるべきという考えにいたりました。以前からディスプレイ広告のクリエイティブにはこだわっていましたが、今後はリスティング広告についても、クリエイティブを含めてPDCAを回して、勝ちパターンを探っていきたいと考えています。
導入企業担当者のコメント
今回の取り組みにより、広告効果の現状把握ができ、今後のメディアプランニングに生かすことができました。テレビCMについては、新商品であるコンパクトSUV、「NEW PEUGEOT 2008」の販売開始にあわせて新CMを放送したところ、大きな反響がありました。2020年は、コロナ禍ということもあり、日本市場全体での輸入車販売台数は減少しましたが、プジョーに関しては前年比10%以上の販売台数増となりました。重要な新商品販売という場面で、2回の調査を通して得られた知見が花開いた結果ととらえています。Yahoo! JAPANのデータ分析という実直な積み重ねが、新商品のローンチを陰で支えてくれたと思っています。
メディア横断型で広告の成果を検証できたことで、これまで漠然と想定していた仮説が裏付けられ、データを元にメディアプランニングについての考えをチーム内で共有できるようになりました。これは、ターゲットに合わせたメディア選定、クリエイティブの丁寧な精査、予算の適切な割当など、広告運用の基本に立ち返るよい機会になりました。
テレビCMについては、新商品という素材があるタイミングでの活用が人を動かすことを実感しました。一方で、低金利キャンペーンなどのプロモーション系の訴求については、対象ターゲットを絞って実施したほうが効果的という学びもありました。
これからもブランドの訴求を継続的に行いながら、ポジティブなブランドイメージを作っていく必要も強く感じています。最近は、リーチだけを追求するのではなく、訴求したいブランドイメージを正しく伝えられるクリエイティブ素材を作って、配信するようにしています。
広告の運用については、複数の代理店に依頼していますが、今回の調査では代理店の垣根を越えてデータ提供に協力してくれました。チームプジョーとして、ワンチームで支援してくれているのでとても助かっています。
最近は、YouTuber(ユーチューバー)などのインフルエンサーによる発信も自動車の購買行動に大きく影響するようになっています。インフルエンサーへの広報車貸与などのアプローチも新しい取り組みとして開始しており、こうした施策の効果なども含めて、また調査を実施してみたいですね。
今、プジョーは日本市場でより存在感あるブランドに成長していく過渡期にあります。広告については、手段に目が行きがちですが、常にお客様を中心に考え、接するタイミングや媒体などによる顧客の感情の変化などを理解して、広告宣伝であっても可能な限り役に立つ情報を提供することを目指していきたいと思っています。
![](https://s.yimg.jp/images/marketing/portal/images/case/20210317_case_prof_peugeot.jpg)
志水 弘樹
Groupe PSA Japan株式会社
プジョーブランドマネージャー
![](https://64.media.tumblr.com/1c130ee986bc1c8d37dbf4390d1fcf57/f638643c6e7427bd-0b/s540x810/9d718ad09e5fe588ae92604d6f57056032ec7db8.png
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- 企業・団体名
- Groupe PSA Japan株式会社(外部サイト)
- 所在地
- 東京都
- 従業員数
- 210,000名(2021年2月現在)※グループ全体
- 事業内容
- 2020年2月1日、社名をプジョー・シトロエン・ジャポン株式会社(英: Peugeot Citroen Japon Co.,Ltd.)からGroupe PSA Japan株式会社(グループPSAジャパン、略称:PSAJ)へ変更。フランスの自動車ブランドである、プジョー、シトロエン、DSオートモビル、3つを日本市場で展開。個性的なデザインが人気で、プジョー、シトロエンは4年連続販売増となっている。
※当記事は2021年2月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名などは、取材時のものです。
※新型コロナウイルス感染防止のため、リモートにて実施しています。