【シリーズ】Yahoo! JAPANが考える、Withコロナ時代のデジタルマーケティングとは?〜 18
成功事例「株式会社エイチーム引越し侍」の取り組み
複合分析の成功例として、引越しの予約サービスと一括見積もりサービスの二つのサービスを展開する「株式会社エイチーム引越し侍」の取り組みを紹介します。
エイチーム引越し侍は、2021年2月5日から11日まで、Yahoo!プレミアム広告 ブランドパネル トップインパクト(パソコン)と、スマートフォン版ブランドパネルに出稿しました(※)。その際の広告結果分析について、企画営業部 部長でブランディング戦略や広報業務も統括する森下 真由子氏と、マーケティング部 第一グループ アシスタントマネージャーの小岩 穂菜美氏に話を聞きしました。
「引越しするなら、引越し侍」のエイチーム引越し侍
——エイチーム引越し侍の事業についてお教えください。
森下氏:引越し比較・予約サイト『引越し侍』を中心に、複数の比較サービスを展開しています。2006年から引越し一括見積もりサービスを運営しており、効果の高いコンテンツ設計や集客方法など、サービス運営に関わる知見やノウハウを多く蓄積しています。
株式会社エイチーム引越し侍 企画営業部 部長
森下 真由子氏
——『引越し侍』のプロモーション戦略についてどのようにお考えでしょうか。
森下氏: 引越し侍はウェブサービスですので、オンラインのプロモーション手法と相性が良く、ユーザー獲得手法として力を入れてきました。その上でよりビジネスを拡大するために、テレビやラジオなどのマス広告を活用しています。引越しは一生のうち何回もするものではありません。引越しが決まったその時に、「引越し侍ってあったよね」「引越し侍を検索しよう」と思っていただかなければなりません。そのため、テレビCMやラジオCMは、認知を向上させる目的で実施しています。どうすれば限られた予算内で効率よく、ユーザーに名前を覚えてもらえるかと考え、インパクトがあり、気になってしまうクリエイティブを目指しています。テレビですとフレーズを歌にして印象を強くするCMを、ラジオでは家族ドラマ風のCMを2014年くらいから継続して展開しています。
デジタル広告による潜在層へのアプローチにYahoo! JAPANのトップページを活用
——デジタル広告はどのように展開されていますか。
小岩氏: サービス特性上、サイトに訪問いただいたユーザーの多くがそのままお申し込みに移行することが多いので、検索から直接申込に繋がりやすいリスティング広告が主力になります。サービスが立ち上がった当初から出稿しています。
株式会社エイチーム引越し侍 マーケティング部 第一グループ アシスタントマネージャー
小岩 穂菜美氏
——今回のYahoo! JAPANでの取り組みはどのような経緯でスタートしたのでしょうか。
小岩氏: 引越しが決まっている、もしくは具体的に検討している「顕在層」についてはリスティング広告等のデジタル広告を通じてかなりアプローチができていると考えています。そのため、ブランディング領域においてはこれまでオンラインだけではアプローチできない層向けのプロモーションとして、マス広告で認知度向上を図ってきました。しかし、マス広告ではすでに一定の効果が上がっていること、近年はテレビを見ない層も増えていることから、多くの「潜在層」にアプローチし認知度を高めるためには、やはりデジタル上でもブランディング施策を打ち出していくことが必要なのではないかと考えました。
—— 出稿期間は、2021年2月5日から11日まででした。期間の設定には何か理由がありますか。また、広告のクリエイティブではCMでおなじみのアイドルの動画を利用されていますが、その狙いを教えてください。
森下氏: 引越し見積もりのハイシーズンは、新生活が始まる直前、1月から3月です。サイトへの来訪者も他の月の約2倍になります。この時期に見積もりを取り、検討するユーザーが多いため、プロモーションもその時期に集中させました。
クリエイティブを制作する際は、Yahoo! JAPANからこれまでに効果の高かったプレミアム広告の事例を紹介してもらうなど助言をいただきつつ、インパクトのある仕上がりを目指しました。今までの引越し侍の広告の中では、アイドル「よやきゅん(謎のアイドル『よやきゅん』として登場する一ノ瀬みかさん)」が一番反響があったので、ブランドパネルのメインビジュアルとして採用しました。ちょっと悪巧みをしているようなアイドルらしからぬ表情が、印象的なピンク色と相まって見た人の興味を引きつけると考えました。
左:ブランドパネル トップインパクト
右:スマートフォン版ブランドパネル
検索やブランド認知、コンバージョンのリフトに効果
——今回、「サーチリフト調査」「ブランドリフト調査」「コンバージョンリフト調査」の3種類のレポートを活用いただきました。全体的な傾向としては、広告効果により指名検索のリフトが見られました。
森下氏: テレビCMの際にも指名検索は大きくリフトしていましたが、デジタルでも大きな反響が得られました。今回、テレビCMと同じように大きく指名検索がリフトすることが確認でき、この知見は非常に価値があったと思います。
——サーチリフト調査では、パソコン、スマートフォンともに広告掲載期間中に「引越し侍」「引っ越し侍」といったキーワードがリフトしています。
期間別 サーチリフト率
左:ブランドパネル トップインパクト
右:スマートフォン版ブランドパネル
森下氏: トップインパクト掲載の影響からか、特にパソコンはとても大きくリフトしており、広告効果を実感できました。また、検索ユーザーの年齢層分析が興味深く、男性で30〜50代、女性は40代が中心という結果でした。引越し侍の利用ユーザーは20代から40代が中心ですが、「50代男性」というこれまであまりアプローチできていなかった層にも、ブランドパネルではしっかり届いていることが分かりました。さらに、検索キーワードは「引越し侍」に次いで、「引越し侍 アイドル」「引越し侍 cm 女優」の割合が高く、インパクトを重視したクリエイティブの反響が大きかったと考えています。
——ブランドリフト調査についてお聞きします。今回の広告接触者と非接触者に対して、アンケート形式で広告への意識を聴取し、その差を検証しています。パソコン、スマートフォンともに「広告の認知」「商品・ブランド認知」で大きくリフトが見られました。また、コンバージョンリフト調査では、広告接触によるコンバージョン率が約1.2倍と、コンバージョン獲得への貢献もありました。
森下氏: 認知度調査は当社でも年に数回行っていますが、プロモーションを強めると認知が上がり、弱めると若干認知が下がる傾向にあります。このような認知の上下を繰り返しながらも、少しずつ上向いています。今後はデジタル広告がどの程度認知の向上に寄与するかを当社でも検証していきたいと思っています。
小岩氏: これまで、ブランディング広告は実際にコンバージョン(以下、CV)に寄与するのかどうかを検証できていなかったので、ブランディング広告を活用して認知度を向上させることがコンバージョンのリフトにも繋がることが分かり良かったと思います。
——今後の展望についてお聞かせください。
森下氏: ブランドパネルのような、認知系広告が指名検索リフト、認知度リフトでポジティブな影響を与えることが分かったのは大きな知見です。今後ユーザーがタッチするメディアもさらに多様化し、検索行動も変わってくる中で、メディアの認知度への寄与を明らかにしつつ、選定や出稿ボリュームを考えて、効率を高めて最適化していかなくてはなりません。そうした際にこうしたデータ活用の観点はとても役立ちます。広告のCPC(Cost Per Click:クリック単価)は競合との競争により高くなる一方です。自社のブランド名をしっかり認知してもらい、社名やブランド名で検索してサイトに訪れていただく方を増やしていくことが重要と考えています。
小岩氏: 今後はユーザー属性だけでなく、ユーザー行動や時間軸などに基づくレコメンドなど、広告手法も変わっていくと思います。Yahoo! JAPANは多くのデータやネットワークを持っています。そうした部分でもマーケティング支援をしてもらえるとありがたいですし、期待しています。
Yahoo! JAPANの提供する「広告効果分析」
Yahoo! JAPANが提供する広告効果分析では、マーケティングファネルごとにさまざまな調査が可能です。ソリューションを組み合わせることで、より深い分析を実現し、次のプランニングへの知見を得ることが可能になります。
このほかにも、Yahoo! JAPANでは、広告効果分析(データに基づく実行計画と広告効果の分析)を目的とした豊富なソリューションをご用意しています。詳しくは以下をご覧ください。
左:
株式会社エイチーム引越し侍
マーケティング部 第一グループ アシスタントマネージャー
小岩 穂菜美氏
右:
株式会社エイチーム引越し侍
企画営業部 部長
森下 真由子氏
<企業概要>
企業・団体名 |
株式会社エイチーム引越し侍(外部サイト) |
ブランドサイト |
引越し侍(外部サイト ) |
所在地 |
愛知県 |
設立 |
2013年 |
従業員数(連結) |
社員1,106名(アルバイトを除く)※2020年7月31日時点 |
事業内容 |
引越し関連サービス、ピアノ関連サービスなど、幅広く展開。「引越し侍」は、全国320社以上の引越し会社の中から、条件に合わせて、料金やサービス、クチコミを簡単に比較し、予約や一括見積もり依頼できる。海外への引越しやオフィスの引越し、ピアノの引越しおよび売却などをサポートするサービスも提供する。 |