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動画広告とは? メリットや種類、作り方のポイントやコツを解説
動画広告は近年の動画をメインコンテンツとしたメディアやアプリの利用者の増加に伴い、市場が拡大しています。動画広告には複数の課金形態や種類があるため、初めて実施する場合はそれぞれの違いを理解した上で取り組むことが大切です。
動画広告の市場規模やそのメリット・デメリットをはじめ、動画広告を実施する際に注意すべきポイントを詳しく解説します。
目次
1.動画広告とは
動画広告とは、動画のクリエイティブを用いた広告のことを指します。
広義ではテレビCMや屋外広告、電車内に流れる広告なども動画広告の一つですが、狭義での動画広告は主にWeb上で目にする動画広告を指すケースで利用されている広告種類を指すことが多いです。
Web広告における動画広告で代表的なものはYouTubeコンテンツの冒頭や合間に流れる15秒〜30秒程度の動画広告が挙げられます。
日本の動画広告の市場規模
動画広告は、日本の広告市場の中でも需要が大きく伸びている広告フォーマットです。
2023年3月にCCI/D2C/電通/電通デジタルが共同で発表した「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」では、インターネット広告媒体費の中でビデオ(動画)広告のシェアが2割を超えているという調査結果が出ました。さらに、前年比115.4%の成長率を記録しており、動画広告の市場規模が急速に拡大していることがわかります。
2.動画広告のメリット・デメリット
動画広告の配信効果を高めるためには、複数の課金形態や種類を理解した上で、施策の目的に応じてうまく使い分けることが大切です。ここでは、動画広告におけるメリットとデメリットを詳しく解説します。
動画広告のメリット
動画広告では、他のWeb広告では活用できない「音」と「動き」を組み合わせてユーザーに情報を届けることができます。そのため、他のテキストタイプの広告やバナー広告に比べてクリエイティブに盛り込める情報量が多く、ストーリー性を持たせやすい点がメリットです。
静止画広告よりもユーザーの聴覚や視覚に訴えかけ、ストーリーとともに商品・サービスの情報を届けられる動画広告はユーザーの印象に残りやすく、ブランド認知度や購買意欲の向上に効果的です。
また、自社サイトにアクセス解析用のタグを設置すれば、広告の表示回数、再生数、クリック数などを定量的に計測できアクセス解析もできます。これにより、データやファクトに基づいた改善ができるでしょう。
関連記事:動画広告を配信するメリットとは?
動画広告のデメリット
動画広告のデメリットは、クリエイティブの制作にかかるコストが他のWeb広告よりもかかる点です。
動画広告はアニメーションや実写の動画を制作・撮影し、動画に音楽やエフェクトを付ける作業に加え、キャプションを挿入するなどの編集作業が必要となります。そのため、制作費や制作時間が他のテキストタイプの広告やバナー広告よりも大きくなります。
また、クリエイティブの作り分けも難しいため、これからWeb広告を始める事業主が最初に取り組む広告フォーマットとしては、少々ハードルが高くなるかもしれません。
さらに、スキップが可能な動画広告の場合は、最後まで視聴されない可能性があります。例えば、最後まで視聴しなければわからないストーリーだと、成果が上がらないリスクが考えられます。
3.動画広告の種類
動画広告には掲載種類が複数あり、それぞれ異なる特徴があります。今回は代表的な4つの種類について特徴を詳しく解説します。
インストリーム広告
インストリーム広告は、動画共有サービスのコンテンツ内に視聴動画と同じサイズで表示される動画広告です。「テレビCMのインターネット版」と考えるとイメージしやすいでしょう。インストリーム広告はYouTubeなどの動画メディアで主に使用され、動画広告で主流となっている広告フォーマットです。
また、広告が表示されるタイミングは動画始まる前の「プレロール広告」、動画の間に流れる「ミッドロール広告」、動画が終了した後の「ポストロール広告」3つのタイミングがあります。
さらに細かく分けると以下のような種類があります。
種類 | 概要 |
---|---|
スキッパブル(スキップ可能型) | 一定時間視聴後にスキップできる長尺動画 |
ノンスキッパブル広告(完全視聴型) | スキップ不可の中尺動画 |
バンパー広告 | スキップ不可の短尺動画 |
プレロール広告 | スキップ不可の短尺動画 |
ミッドロール広告 | 動画コンテンツ途中に流される動画 |
ポストロール広告 | 動画コンテンツ終了後に流される動画 |
最近のYouTubeでは、プレロール広告やミッドロール広告ともに、6〜15秒で完結するノンスキッパブル広告が増加している傾向にあります。
インバナー広告
インバナー広告は、静止画バナーと同じ広告枠に掲載できる動画広告で、動画メディア以外の媒体でも配信できます。そのため、日常的に動画メディアを利用しないユーザーにも広くアプローチできる点が特徴です。
なお、インバナー広告は「インディスプレイ広告」と呼ばれることもあります。
インリード広告
インリード広告は、メディアが掲載しているコンテンツの間に表示される動画広告です。SNSや投稿やニュースメディアの記事などをスクロールしている際に、コンテンツの間に動画広告が流れます。
インリード広告は、視認性の高さが大きな特徴です。現在、ユーザーがスクロールしているタイミングを計測し、広告が50%以上画面に表示されたタイミングで動画が再生開始されるなど、視聴率を向上させるシステムも開発されています。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告とは、Webサイトやアプリ、SNSの広告枠に表示される動画広告で、バナー広告とレスポンシブ広告に分けられます。
バナー広告は「ディスプレイ広告」とも呼ばれ、Webページ上の広告スペースに掲載し、自動的に再生する広告です。広告の配信先が多岐にわたり、広範なユーザー層にアプローチできる利点があります。しかし、広告が見逃される可能性や音声が使用できないという点に留意しながら、考慮する必要があります。
一方、レスポンシブ広告は、広告枠のサイズや縦横比に合わせてフォーマットが自動的に調整されることから、バナー広告の進化版と言えるでしょう。動画、画像、テキストなどを「アセット」として登録すると、媒体が最適化してくれるのが特徴です。
レスポンシブ広告の利点は、さまざまな広告スペースに対応できることですが、バナー広告よりも制作や入稿に手間がかかります。
4.動画広告の費用形態
動画広告には大きく分けて「CPV課金」「CPM課金」「CPC課金」の3つの課金形態があります。それぞれの特徴をおさえましょう。
CPV課金
CPV(Cost Per View)課金は、動画広告の視聴回数によって掲載費用が課金される形式です。動画広告では最も一般的な課金形態で、広告の掲載期間に動画を何回視聴されたかで支払う広告料金が決まります。
この際、視聴回数にカウントされるタイミングは3秒時点、5秒時点、完全視聴などがあり、カウント基準は掲載するメディアやプラットフォームによって異なります。
例えばYouTubeの場合、オーガニック再生(視聴者が誘導されることなく動画を視聴すること)は再生開始時点でカウントされます。YouTubeのスキップ可能なインストリーム広告でのカウントの基準は以下の通りです。
視聴者が動画を30秒間以上視聴した場合(30秒以上の動画)
- 視聴者が動画を最後まで視聴した場合(30秒未満の広告)
- 視聴者がリンクをタップするなどアクションを起こした場合
なお、スキップ可能な広告でユーザーが動画をスキップした場合は、課金対象になりません。
CPM課金
CPM(Cost Per Mille)課金は、1,000回あたりのインプレッションにかかる費用の平均を算出し、最終的なインプレッション数に応じて掲載費用が課金される形式です。
インプレッションとは「広告が表示された回数」のことで、一人のユーザーに10回広告が表示された場合は「10インプレッション」というカウント方法です。
例えば、1,000回あたりのインプレッションの平均コストが30円、動画広告の掲載期間中のインプレッション数が10,000インプレッションだった場合、最終的な広告掲載費用は「10,000×30円=300,000円」となります。
CPC課金
CPC(Cost Per Click)課金は、配信した動画広告が1回クリックされるたびに掲載費用が課金される形式です。
クリック数が基準になるCPC課金は広告経由でどれだけのユーザーを集客できているかがわかりやすいため、運用型広告全般で主流となっている課金形態です。計算方法はCPM=コスト÷表示回数×1,000となります。
例えば、単価100円でインプレッションが10,000だとすると、クリック率0.1%以下(0.05%)の場合は、10,000(インプレッション)×0.0005×100円=500円の計算に当てはめられます。
5.動画広告が配信できる代表的なメディア
多くの媒体が動画広告メニューをラインナップしています。その中でも、相性が良いとされている代表的なメディアは以下の通りです。
・YouTube
・TikTok
・LINE
・GDN、Yahoo!広告 ディスプレイ広告
上記のうち、YouTubeとTikTokは動画を主体としたプラットフォームです。先述した広告の種類では、インストリーム広告が主流です。
LINEは2023年9月末時点で、月間利用者数が9,600万人を超えるコミュニケーションアプリです。リーチできるユーザーの規模や年代の幅広さが特徴で、動画フォーマットに対応した配信面を多数有しています。LINEには「LINE VOOM」のように動画広告をより自然に届けられる配信面もあり、今後、動画広告の一層の活用が期待されています。
FacebookとInstagramは世界的に多くのユーザーが利用しているプラットフォームで、Facebookではインリード広告、Instagramではストーリーズでの動画広告が主流です。
また、上記以外のアプリやWebサイトへ動画広告を配信する際には、主にアドネットワークであるGoogle ディスプレイ ネットワークやYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)を利用して配信される手法が一般的です。
6.魅力的な動画広告を作るための5つのコツ
ここでは、どの商材にも共通する魅力的な動画広告の作り方を、5つのポイントに分けて解説します。
動画の冒頭5秒で惹きつける
動画の冒頭5秒は視聴者の最初の印象を左右する重要な時間です。冒頭5秒が魅力的でない場合、視聴者はすぐに離脱する可能性が高まります。
特に広告をスキップできる場合は、冒頭5秒で視聴者を引き込むことで、スキップされるリスクを低減させ、広告のメッセージをより多くの視聴者に届けなくてはなりません。
視聴者が観たくなるような動画広告のテクニックを参考にしてください。
- 冒頭で結論を述べる
- インパクトのある映像やスピード感のある動画で引き付ける
- 「保険料が高すぎると思いませんか?」など共感できる質問を投げかける
テロップを入れる
人は感覚の9割以上の情報を「視覚(87%)」と「聴覚(7%)」から受け取ると言われています。特に音声だけでは伝わりにくい要点やキャッチフレーズをテロップで表示することで、情報の理解が向上します。
また、視聴者は騒々しい場所や静かな環境、または音声がオフの状態での閲覧など、さまざまな条件下で視聴していることがほとんどです。テロップを活用することで、これらの状況に対応できます。
音声なしでも魅力的な動画にするには以下のようなテロップが有効です。
- 字幕:音声をテキスト化させる
- 演出:「すると次の瞬間......」など興味を持たせるテキスト
- 補足情報:テレビ番組のサイドスーパーのようにシーンを説明するもの、出演者情報など
動画内でターゲットを明言する
「○○のお悩みはありませんか?」など、ターゲットを動画内ではっきりと明言することで、その動画がどのような人々に向けられているのかが視聴者に明確に伝わります。これにより、特定の対象者にアピールでき、視聴者が動画の関連性を感じやすくなるでしょう。
さらにブランドのポジショニングや商品の特徴が対象者に伝わりやすくなり、ブランディングを強化することができます。
また、広告が流れて一定時間が過ぎるとスキップできるスキッパブル広告の場合は、関連度の低いユーザーはスキップするので、本当に興味があるユーザーだけに最後まで広告を見せることができます。
魅力的な映像やストーリーにする
感動や笑い、興奮などの感情は広告メッセージをより記憶に残らせ、ポジティブな印象を視聴者に与えられます。
さらに、視聴者は魅力的で印象的な映像やストーリーを観た際、商品やブランドを覚えやすくなり、認知度の向上につながります。
視聴者が広告のキャラクターやストーリーに共感すると、その広告メッセージがより深く浸透し、ポジティブな印象を残せるでしょう。
目的に沿って動画を作成する
動画広告の目的に合わせたクリエイティブ制作が重要です。認知度向上、ブランディング、コンバージョン別に作成ポイントを解説します。
- 認知度向上
認知度向上のためには、簡潔なメッセージでインパクトを与えられる短尺動画がおすすめです。主に商品名、企業名、ロゴなどをシンプルに伝えるのが基本です。多くのアクセス数を見込めるチャンネルやWebサイトに出稿する場合が多いため、広範な視聴者に受け入れられる内容や演出が重要です。視聴者がSNSでシェアしたくなるような、インパクトのある動画も効果的ですが、制作の難易度は高くなります。
- ブランディング
視聴者の感性に訴え、良い印象を与える映像が重要です。美しい風景や高級感のある演出などがブランディングに適しています。 さらにブランドや商品のイメージにぴったりと合った映像を制作することも大切です。動画のストーリー性を活かして、ブランドストーリーや企業の価値観を視聴者に伝えましょう。
関連記事:ブランディング広告とは? メリットや効果測定の指標、ダイレクトレスポンス広告との違いを解説
- コンバージョン
コンバージョンを目的とする動画広告では、「今すぐ予約」「購入する」などのCTAボタンを設置します。動画の左下などに常に表示したり、動画の最後でCTAボタンを表示したりするとコンバージョンにつながりやすくなります。 ただし、YouTubeだと動画を閲覧することを目的としているため、動画広告をスキップされるのを前提として考慮しなくてはなりません。ユーザーの心理状態を理解した上で制作を行いましょう。
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7.【動画広告】Yahoo!広告とLINE広告の特徴
最後に、Yahoo!広告とLINE広告の特徴をそれぞれまとめました。
Yahoo!広告の特徴
- ユーザーを狙いうちして広告を配信できる
- 手厚いサポートで利用開始前から開始後まで安心できる
- クリック課金型で無料で申し込みできる
Yahoo!広告のディスプレイ広告(運用型)では、動画再生やサイト誘導など、広告の「目的」に合わせて最適なキャンペーンを作成できます。例えば、サイト誘導数が最大化するように配信を最適化することも可能です。
また、テキストや画像では表現しきれない、動画の特性を生かしたプロモーションができます。
さらにSP版Yahoo! JAPANトップページやYahoo! JAPANが提供する一部のサービスのタイムライン上にも動画を掲載できるため、より広範囲のユーザーに対して動画を使った広告効果が期待できるでしょう。
動画だけでなく、広告の説明文やクリックを促すボタンなどもあわせて表示することが可能です。
LINE広告の特徴
- ほかのSNSでは届かないユーザーにも届くリーチ力
- LINE広告独自の「友だち追加」で優良顧客を増やせる
- 動画の制作が簡単にできる
LINE広告とは、LINEに広告を出稿できる広告配信プラットフォームです。LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報、行動履歴など、みなし属性(※)で精度の高いターゲティングを行えます。以前に購買までに至ったユーザーと類似したオーディエンスを生成することもでき、効率的な広告配信が可能です。
また、 「WEBサイトへのアクセス数を増やしたい」「WEBサイトのコンバージョン数を増やしたい」「LINE公式アカウントの友だち数を増やしたい」など、マーケティング目的に合わせた配信もできます。運用型広告の場合は、予算に合わせて少額からでも利用でき、オンラインから手軽に申し込みができるのが特徴です。
※これらのオーディエンスデータはLINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類した「みなし属性」および、実購買の発生した購買場所を「購買経験」として個人を特定しない形で参考としているものです(「みなし属性」にはOSは含まない)。「みなし属性」とは、LINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類したものです。(分類の元となる情報に電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク内容等の機微情報は含まれません)なお、属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っておりません。また、特定の個人を識別可能な情報の 第三者(広告主等)の提供は実施しておりません。
8.動画広告のまとめ
動画広告はWeb広告の中でも特に市場が拡大している広告フォーマットです。実施する際は、目的やターゲットに応じて適切な配信先を選ぶことが重要です。また、動画広告は他のWeb広告よりもユーザーの印象に残りやすい特性をよく理解し、動画クリエイティブにストーリー性を持たせるように工夫することで、配信効果が高まるでしょう。
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