効果的な広告デザインとは?基本要素から制作プロセスまで詳しく解説
日頃から街や公共交通機関、Webページなどさまざまな場所で目に入る広告は、商品やサービスの魅力が十分に伝わるよう、調査や分析結果を基に制作されています。効果的な広告デザインとはどんなものなのか、基本から制作プロセスについて分かりやすく解説します。
目次
1.広告デザインとは
広告デザインは、企業や商品の価値を認知していない人に対して、ビジュアルを通じて広く知ってもらうために表現することを指します。
クリエイティブ要素とマーケティングの戦略的要素を組み合わせ、視覚的にユーザーの心理や行動にアプローチすることでブランディングに貢献していくことが求められます。
1-1.広告デザインのトレンド
広告デザインは、常に技術の進歩や社会の変化に適応しながら進化してきました。
インターネットが普及した1990年代からWeb広告やメールマーケティングが一般化し、Webデザインが広告の重要な一部となり、バナー広告やポップアップ広告が登場。2000年代後半からはSNSも広告の主要チャネルとなり、インタラクティブでパーソナライズされた広告デザインが求められるようになりました。
そして、最新のトレンドでは、これまでと同様のデザインに併せてAIやAR/VR技術を活用したインタラクティブな広告も注目されています。
2.広告デザインの基本要素
以下で解説する広告デザインの基本要素は、視覚的な効果があり、メッセージを明確に伝えるために必要な要素です。
2-1.カラー(色彩)
色は感情や行動に強い影響を与えます。例えば、赤は緊急性や情熱を、青は信頼性や冷静さを伝えます。
また、自社のブランドカラーに合う広告を打ち出すことで認知度を高めたり、背景とテキストのコントラストを高めることで可読性を向上させたり、ユーザーへ与える印象と、どんな情報を伝えたいのかを検討した上でカラーを選定しましょう。
2-2.タイポグラフィ(文字デザイン)
文字のデザイン、フォントは伝えたいメッセージのトーンを表すものでもあります。文字のサイズ、行間、文字間を適切に設定することでテキストが読みやすくなるため、調整が必要なポイントです。
ゴシック体か明朝体かだけの違いでも、与える印象は大きく異なります。重要なメッセージやキャッチコピーを、太字や異なるフォントで強調するのもおすすめです。
2-3.レイアウト(配置)
人の視線は、レイアウトによって誘導することができます。
ユーザーの視線の流れをコントロールするため要素の配置には工夫が必要で、F字型やZ字型のレイアウトは、視線誘導に効果的とされています。
ホワイトスペース(余白)を活用してデザインを整理し、重要な情報を強調することが大切です。
2-4.イメージ(画像・グラフィック)
画像はブランドのメッセージやトーンに一致するものを選びましょう。複雑な情報を分かりやすく伝えるため、アイコンやイラストを広告デザインに使用するのもおすすめです。
2-5.メッセージ(コピー)
ユーザーの印象に残る、シンプルで分かりやすいメッセージを作成します。自社の製品やサービスの独自性を強調するコピーを考えましょう。
また、ユーザーに具体的な行動を促すためのCTAとして「ここをクリック」「お申し込みはこちら」「今すぐ購入」などといったテキストもうまく組み込むのも効果的です。
3.効果的な広告デザインの原則
以下の原則を意識することで、より効果的なデザインを制作することができます。
3-1.視覚的な階層
広告内で最も重要なメッセージや要素を、視覚的に際立たせることで、ユーザーの注意を引き付けることができます。
視覚的な優先順位を設定し、視線の流れに沿って情報を整理することで、読みやすさと理解しやすさが向上します。
3-2.一貫性
ロゴ、トンマナ、フォント、スタイルなどの要素を統一させることで、ブランドの認知度を高めます。
ユーザーにブランドや製品の一貫性を印象付けるため、広告とランディングページのメッセージの内容やデザインも一貫性を持たせましょう。
3-3.コントラスト
色やフォントサイズなどに変化を持たせ、重要な要素を際立たせます。
また、背景と要素の間に明確なコントラストを持たせることで、目立つデザインにすることができます。
3-4.シンプルさ
広告デザインでは伝えたい情報とイメージを限られたスペースに収める必要があります。
ユーザーがスムーズに内容を理解できるよう、情報を盛り込みすぎず広告内のメッセージをシンプルに保ちましょう。テキストは簡潔で明確に、画像は伝えたいことが一目で伝わる印象のものを使用するといいでしょう。
4.ターゲットとなるユーザーの理解
広告デザインにおいて、ターゲットとなるユーザーを理解するのは重要な要素です。
次の方法でターゲットを深く理解し、ニーズや関心に合わせて効果的なメッセージやデザインを作成しましょう。
4-1.ペルソナ設定
具体的なペルソナ(架空の顧客像)を設定し、その人物の特性や好み、課題を掘り下げていきます。ターゲットとペルソナの違いは、その具体性にあります。ターゲットが年齢や性別などの属性情報にとどまるのに対し、ペルソナでは職業や趣味、ライフスタイルまで仮定して課題を探っていきます。
設定したペルソナが製品やサービスをどのような状況で利用するかを想像し、それに合った広告メッセージを設計することが重要です。
ペルソナについては「ペルソナとは? ターゲットとの違いと設定時に用いる要素を解説」も併せてご覧ください。
4-2.ピンポイントの興味や行動
過去の購買行動やWebサイトの訪問履歴などから、ユーザーの関心や好みを把握します。
広告を表示するプラットフォームでの行動から、ターゲットオーディエンスの嗜好や興味を推察することで、より効果的な広告デザインを作ることができます。
4-3.定期的な市場調査
定期的な市場調査や消費者インサイトの収集を通じて、ユーザーのニーズや動向を把握します。広告運用後には成果の分析を実施し、分析結果は継続的に運用に生かす必要があります。
5.広告デザインの主な種類
広告デザインは、主に以下の5つで使用されます。
5-1.ランディングページ
ランディングページ(LP)とは、ユーザーが検索結果やWeb広告、SNSなどを経由してWebサイトに流入する際に、最初に訪れるページのこと。
そのため、興味を持ってクリックしてサイトに流入したユーザーに対して、簡潔でインパクトのあるキャッチコピーを見せたり、高品質の画像や動画でユーザーの興味を引きつけたりして、商品の購入や問い合わせなどの行動を促す必要があります。
デザイン観点でも説得力のあるビジュアル、簡潔で分かりやすいコンテンツなどのが求められます。
ランディングページについて詳しくは「ランディングページ(LP)とは? メリット・注意点やWeb広告と相性がよい理由」も併せてご覧ください。
5-2.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、主にWebページ上に表示される、テキストや画像で作成されたバナー広告のこと。
Webページを訪れた際に自動的に表示されるインタースティシャル広告などもディスプレイ広告の一つですが、広告効果を高めるためには、いずれもデザインが重要な要素となります。
5-3.SNS広告
SNS広告は、LINE、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなどのプラットフォームに配信される広告です。
プラットフォームごとに特長があり、Instagramでは画像や動画、Twitterではテキストと画像など、それぞれのプラットフォームに合ったデザイン性が求められています。
SNS広告について詳しくは「SNS広告とは? 費用やメリット、効果的な運用のポイント」も併せてご覧ください。
5-4.印刷広告
印刷広告は、新聞や雑誌に掲載される広告です。また、公共の場所や店舗内に掲示されるポスター広告なども印刷広告に含まれます。
5-5.屋外広告
屋外広告は、高速道路や交差点などの屋外に設置される広告です。デジタルディスプレイを使用したデジタルサイネージ広告も屋外広告の一種で、このデザインも広告デザインの領域に含まれます。
6.広告デザインの制作プロセス
広告デザインは、順序立てて進めることで効果的で一貫性のあるデザインを作り上げることができます。
6-1.広告の目的と目標の設定
広告デザインの作成に取りかかる前に、まず広告の目的(ブランド認知の向上、販売促進、新製品の告知など)を明確にします。
この際、可視化できる具体的な目標として、売上やクリック率、コンバージョン率といったKPIの設定も行います。
KPIについては「KPIとは? Web広告で用いるべき指標と決める手順を解説」も併せてご覧ください。
6-2.コンセプトの開発
広告の目的とKPIが設定できたら、アイデアを出し、広告を運用するチーム全体でコンセプトを考えるブレインストーミングを行います。
広告の中心となるビジュアルやキャッチコピーを決めておくと、今後の広告デザインがスムーズになります。
6-3.ワイヤーフレームとモックアップの作成
次に、基本的なレイアウトや構造を示すワイヤーフレームを作成し、広告の要素配置を決めます。
ワイヤーフレームを基に、より詳細なデザインモックアップを作成。ここで色やフォント、画像など具体的なデザイン要素も加えていきます。
ワイヤーフレームとモックアップの作成は、主にWebページでの広告デザインを考案時に実施されます。バナー広告のデザインなど、場合によっては必要ないケースもあります。作成する広告の種類によってはこちらのステップは飛ばしていただいても問題ありません。
6-4.デザイン制作
コンセプトの開発または、モックアップの作成が完了したら、いよいよデザイン制作に入っていきます。 グラフィックソフトウェア(Adobe Photoshop、Illustratorなど)で制作を進めていきます。
デザインを制作するときは、自社の商材やサービスのペルソナを意識することが重要です。
また、デザインにはキャッチコピーや詳細説明、CTAといった広告のテキスト部分も挿入していきます。
6-5.フィードバックと修正
制作したデザインは、チーム内やクライアントからフィードバックを収集し、受け取った内容に基づいてデザイン修正を行います。
6-6.広告の配信
最終版が完成して、画像解像度やフォントの埋め込みなど、技術的なチェックが終われば、実際に広告を配信します。
配信を決めたチャネルに広告の設定や配信の申請を行いましょう。
7.広告デザインの効果測定
改善点を見つけてブラッシュアップしていくためには、広告デザインの効果測定は欠かせないフローです。以下で詳しく見ていきましょう。
インプレッション | 広告が何回表示されたかを示します。 |
クリック率 | 表示された広告がクリックされた割合を示します。「広告がクリックされた数÷広告が表示された回数」で求めることができます。 |
コンバージョン率 | 広告からサービスにたどり着いたユーザーがコンバージョンした割合を示します。「コンバージョン÷広告がクリックされた数」で求めることができます。 |
エンゲージメント率 | 広告を見た人がその広告に対して反応した割合を示します。「広告がクリックされた数÷広告に対するアクション(クリック、シェア、コメントなど)」で求めることができます。 |
これらのKPIを設定した上で、達成を目指して広告デザインをブラッシュアップしていきます。
7-2.効果測定の方法
広告の効果を測定する方法はいくつかあります。
多くの場合、異なるバージョンの広告を同時にテストし、どちらが効果的かを比較する「A/Bテスト」、ユーザーがWebページ上でどこをクリックしたか、どこに視線が集中したかを視覚的に示す「ヒートマップ分析」などを用います。
また、広告を見たユーザーに対して、広告の印象やメッセージの理解度を測定するアンケート調査も、ユーザーのリアルな意見を集める手段として効果的です。
7-3.改善のためのアクション
集めたデータの分析結果に基づいて、広告デザインの改善を行います。改善は定期的に実施し、広告の効果を最大化していくことが求められます。
8.広告デザインによって広告の成果が大きく変わる
広告デザインはサービスや商品、ブランドの顔と言っても過言ではありません。デザイン一つで広告の成果が大きく変わってくるため、基礎知識をしっかりと身につけた上で取り組みたい部分です。
効果測定の上で定期的なブラッシュアップを繰り返しながら、効果の最大化を目指していきましょう。
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