大阪初開催!「LINE Biz-Day in Osaka」で語られたLINEの広告戦略とLINE Payが目指す革命とは?
2011年にコミュニケーションアプリ「LINE」を公開、その翌年にはLINE公式アカウントを始めとした各種法人向けサービスの展開により、LINE株式会社(以下、LINE)はこれまで企業とユーザーをつなぐ新たなオンラインコミュニケーションを確立してきた。2018年1月には大阪オフィスを設立、同年10月には福岡にセールス拠点を置き、現在、関西・九州地方へのサービス提供に力を入れている。
そんな中、大阪では初となる法人向けカンファレンス「LINE Biz-Day in Osaka」が11月30日に開催された。会場と基調講演の模様を中心に、同カンファレンスをレポートする。
大阪初となるLINE主催の法人向けイベント
大阪市にあるANAクラウンプラザホテル大阪で開催された「LINE Biz-Day in Osaka」は、関西を拠点にする企業を中心とした300名を超す動員を記録した。イベントはオープニングとなる基調講演のほか、各セッションもLINEが提供する法人向けサービスの紹介や導入企業による事例講演、パートナー企業やLINE社員による活用法など多岐に及んだ。
カフェラウンジでは、その場でLINE Payの決済やLINE Sales PromotionのサービスであるLINEインスタントウィンが体験できるブースなどを用意し活況を呈した。セッション終了後には、引き続き同会場で貴重な情報交換の場となる懇親会が開催された。
ノベルティーグッズが当たる「LINE Sales Promotion」の体験ブース
各セッション終了後に行われた懇親会の様子
LINEのプラットフォーム戦略とこれからの広告、FinTech事業
カンファレンスのスタートを飾った基調講演には、LINEから大阪オフィス代表の池端由基とLINE Pay株式会社の取締役COO・長福久弘が登場。それぞれ、LINEの今後の広告事業展開、LINE Payが目指す「決済革命」について語った。
池端 由基
LINE株式会社 エンタープライズ事業部 事業部長 / LINE Ads Platformセールス・コンサルティング室 室長 / 大阪オフィス代表
株式会社サイバーエージェントを経て、2013年LINE株式会社へ入社。広告事業部にてLINE公式アカウントやLINEプロモーションスタンプなどのセールスを担当。2016年からは運用型広告LINE Ads Platformの立ち上げに従事し、同セールス・コンサルティング室室長を務める。また2018年からは、戦略クライアントへ広告・プロモーションのコンサルティング提案営業を行うエンタープライズビジネス事業部の事業部長、および同年1月より新設された大阪オフィスの代表も務める。
長福 久弘
LINE Pay株式会社 取締役COO
2009年、ライブドア(現LINE株式会社)入社。2013年より店舗・企業向けLINEアカウント「LINE@」ビジネス拡大の為、LINE Business Partners株式会社に出向。営業、マーケティング、サポート部門を統括。翌年、同社代表取締役社長に就任。2017年、LINE Business Partners株式会社とLINE Pay株式会社が合併。LINE Pay株式会社の取締役COOに就任。
法人向けのマーケティングプラットフォームへ
LINEは人と人の距離を縮めることを目指す「CLOSING THE DISTANCE」とのミッションを掲げ、コミュニケーションアプリ「LINE」の現在の月間アクティブユーザー数は7,800万人(2018年9月時点)、地域を問わず幅広い性別や年齢、職業を網羅するまでになった。「人と人の距離を縮める」というミッションはその実現が視野に入ってきたが、今後、池端は「人と人だけでなく、人と情報やサービスの距離を縮める」ことが必要だと強調する。
「これまで、LINEはスタンプの売上やゲームへの課金ビジネスで収益を上げていると思われていましたが、実は広告領域での売上が半分以上を占めています。今後、LINEが法人向けのマーケティングプラットフォームだというイメージを訴求していきたい」(池端)
続けて、LINEの成長戦略は「スマートポータルの実現」にあり、リーチ力とエンゲージメントを高めながら、ユーザーそれぞれのライフイベントに関与するため多種多様なサービスを展開していくと宣言、具体的に以下のサービスに言及した。
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多くのユーザーにアプローチするための「LINE Ads Platform」
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リアル店舗でのマーケティングソリューションである「LINE Sales Promotion」
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企業とユーザーとの関係性を構築する「LINE Account Connect」
LINEの運用型広告である「LINE Ads Platform」は、2016年にサービスをスタート。業界の中では最後発となるタイミングだったが、池端はLINEユーザーが広告に対してネガティブな反応を示さない時期を見計らっていたと明かす。目論見通り、売上は右肩上がりで順調に推移し、今後はトークリストの最上部に広告を含むさまざまなコンテンツを表示させる「Smart Channel」、タイムライン上にデジタルチラシを展開する「O2OProduct」という新たな広告プロダクトの構想を発表した。
実店舗からの商品・サービス訴求でユーザーと企業をつなぐ「LINE Sales Promotion」では、LINEサンプリング、LINEインスタントウィン、LINEマイレージという3種類の代表的なサービスを通して累計応募回数1億8,265万1,909回、累計応募ユニークユーザー1,285万4,690人という実績を発表した。
具体的な事例として、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社はLINEサンプリングで約220万回の抽選と140万回以上のシェア数を記録した。また、キリンビバレッジ株式会社はLINEマイレージを活用して他キャンペーン効果の2倍にあたる16%のキャンペーン参加率を上げている。
「これまでの実績から、非常に多くのユーザーさんが手軽であれば参加したい、というニーズを持っていると感じています。独自で取得した位置情報を活用したエリアターゲティングも行っていますが、重視しているのはリアルタイムの位置情報ではなく、ユーザーの生活圏内です。この情報とLINEユーザーのBluetooth能動オン率が47%(※2018年5月LINEリサーチ調査)という背景を受け、店舗に設置するLINE Beaconの本格展開もスタートさせます」(池端)
一方、「LINE Account Connect」はサービスのRedesign(リデザイン)によって、LINE公式アカウントをベースとしたサービス総称となった。これまで企業のLINE公式アカウントとビジネスコネクトやカスタマーコネクトなどは別サービスとして認知されてきたが、料金システムの変更と共に統合された格好だ。
LINE公式アカウントの契約数は540件以上となり、企業によってはコールセンターやIoTとの連携など、エンゲージメントを高めるさまざまな機能を拡張している。日本マクドナルドではアルバイト募集専用の公式アカウントを開設し、LINE上で手軽に応募できるという設計で応募者が30%も向上した。また、企業やブランド認知を目的にアカウントを開設したプリマハムのような事例もある通り、企業の課題によってその活用法も多様化している。
LINE Payで目指す「決済革命」とは?
続いて登壇したLINE Pay株式会社の取締役COO・長福久弘は、LINE Payの戦略について「決済革命」という事業キーワードを提示する。
「日本全国どこでもLINE Payが使用可能な環境をつくり、日本のキャッシュレス化を加速させていきます。具体的な挑戦として今年に目指したLINE Payの決済可能箇所100万超という目標は、先日のQUIC Payとの連携や企業様への導入などで無事に達成することができました。設置された店舗からも新しい顧客層として、特に若年層の顧客を取り込めることができたという嬉しい声もいただいています」(長福)
また、ユーザー戦略として、ポイント還元キャンペーン展開や、QRやバーコードでのコード支払いやLINE Payカードに加え、NFC決済も追加しユーザーニーズに合わせたさまざまな決済手段を用意した。導入側となる加盟店もプリントQRや店舗用アプリ、据置端末などの豊富な選択肢を提供している。
「決済革命」のメインターゲットは、スモールビジネス事業者(SMB)にある。長福も「現在、国内事業者の約99%がSMBとされていますが、このSMBマーケットの決済革命無くして、日本のキャッシュレス化は進まない」と明言する。このSMBマーケットに革命を起こすため、長福は以下の「0戦略」を発表した。
日本のキャッシュレス化推進の動きは国の政策や発表にも表れており、2019年10月の増税を控えてポイント還元や手数料軽減について進言するまでになった。文字通り勝負の年となる2019年を前に、LINE Payも全国規模でのサービス展開に加え、新たな「集客・販促支援」と「業務・経営支援」に乗り出す。
「LINE Payの強みは、LINEと同様にコミュニケーションです。これまで、決済という行為は店舗側からコストとして考えられていました。これを『コストから資産へ』というコンセプトのもと、まずはLINEの法人アカウントとの連携を開始します。加盟店側でマイページ上で、LINE Payと法人アカウントを紐付け、決済した顧客に友だち追加を促す設定が可能になりました 。」(長福)
ほかにも、freee株式会社との業務提携により「LINE店舗経理」をリリース、インバウンド需要を取り込むために日本以外でLINE Payを提供している台湾、タイ、インドネシアだけでなく、韓国のNaver Pay、そして中国のWeChat Payと連携し、アジア訪日客の約8割を網羅できる決済システムを目指していくと抱負を語った。
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