スシロー・生活総合サービス・マリンワールド、各業種におけるLINE PayとLINE Ads Platformの活用法
2018年11月30日、大阪では初となるLINEの法人向けカンファレンス「LINE Biz-Day in Osaka」が開催された。同カンファレンスから、LINE Payの活用事例として株式会社スシローグローバルホールディングスと福岡市の水族館・マリンワールドを運営する株式会社海の中道海洋生態科学館、LINE Ads Platformの活用事例として株式会社生活総合サービスの担当者が登壇したセッションの模様を紹介する。
LINE Payの導入でスシローが描く店舗体験の未来
『スシローが導入を決めたLINE Payで描く、新しいコミュニケーション戦略』のセッションでは、株式会社スシローグローバルホールディングス(以下、スシロー)の竹中浩司氏とLINE Pay株式会社龍勝規が登壇し、スシローがLINE Payを導入した背景やその戦略について語られた。
株式会社スシローグローバルホールディングス 経営企画部 主任 竹中 浩司氏(左)
LINE Pay株式会社 営業統括室 西日本ダイレクトセールスチーム マネージャー 龍 勝規(右)
まず、スシローがLINE Payを導入した背景として、竹中氏は全店舗共通で抱えていた会計時間に関する課題が存在したと話す。
「会計や来店客の案内など、店舗ではレジ周りにお客様が集まります。特に、会計前のお客様がレジ前で並ばれることが多く、より良い店舗体験を提供する上でも長年、課題意識を抱えていました」(竹中氏)
人材採用が難しい昨今、人手をかけず、効率的に業務を進めることは業界を問わず企業の至上命題となっている。実際、スシローでもこれまでセルフレジを導入するなど、決済プロセスの効率化に尽力してきた。その打ち手の一つとして、今回LINE Payを用いたセルフ会計の導入を決めた。
「導入に当たってさまざまなソリューションを検討しましたが、LINE Payに決めた最大の理由は、7,800万人というLINEが抱えているユーザー層の厚さです。また、スシロー全店舗でLINE@を導入していることもあり、連携することでお客様へより良い店舗体験を提供できるのでは、という思いもありました」(竹中氏)
また、LINE Payの導入を顧客満足度の向上にもつなげたいという期待がある。事実、キャッシュレス化が急速に進む中国では、多くの店舗が顧客の利便性向上を目的に電子決済の導入を決めている。日本におけるキャッシュレス化の浸透には時間を要すると認識しているものの、竹中氏はその可能性に大きな期待を寄せている。
「私自身、LINE Payを使い始めたのはつい最近です。多くの人が同様の状況にあるため、新しい決済方法に慣れていくにはまだまだ時間がかかると思っています。ですから、キャッシュレスの有用性を今後、弊社のような導入側からも伝えていくことが必要です。LINEさんとも協力し、市場を盛り上げていければと思っています」(竹中氏)
複数の決済サービスと連動したLINE Payでインバウンド需要に対応
『LINEサービスを活用した販促・決済事例』のセッションでは、株式会社海の中道海洋生態科学館の藤秀樹氏、LINE Pay株式会社の吉岡希が登壇し、同社が運営する水族館・マリンワールドにおけるLINE@やLINE Payの活用法が語られた。
株式会社海の中道海洋生態科学館 運営本部 営業部 藤 秀樹氏(左)
LINE Pay株式会社 九州ダイレクトセールスチーム マネージャー 吉岡 希(右)
マリンワールドがLINE@のアカウントを開設したのは2017年6月、友だち数は2018年11月時点で16,200人を数える。当時、マリンワールドは水族館のリニューアルを終え、効果的な宣伝広報方法を模索していた時期だった。
「当初、LINEの利用者数に魅力を感じていましたが、メルマガよりも簡単な登録方法、有益な情報をタイムリーに配信できるというシステムに驚きました。現在は月のイベント情報や入場無料になる抽選キャンペーン情報などをプッシュ配信で、イベント情報や動物の情報など来園者様に向けた情報をタイムラインから配信しています。SNSも併用していますが、LINEでは比較的ライトな内容で頻度を高く配信しています」(藤氏)
結果、特定のキャンペーンなどを行えば500人ほどの新規登録者を見込むことができ、館内ショップの割引クーポンなどを特典として付けることで、来場客のグッズ購買額がアップしたなどの効果が見えてきたという。
一方、LINE Payについてはチケットの販路拡大としてコンビニ発券や電子チケットを検討していた時期、LINE@との連携やインバウンドへの対応などを考慮して導入を決めている。
「当館のような集客施設では、繁忙期にチケット売場で購入待ちの列が発生しますが、キャッシュレス化は解消法の一つになると考えました。また、LINE@との連携による情報発信だけでなく、チケット購入に充てるはずだった現金が財布に残ることになるため、館内ショップでの購買意欲にも波及効果があると思います。さらに、インバウンド対応として、特にQR決済が根付いている中国の方々に対し、AlipayとWeChat Payが同時運用可能という点も大きな魅力を感じました」(藤氏)
当初、LINE@とLINE Payともに、導入に関して親会社となる西日本鉄道を含めた社内の説得に苦労したものの、現在は評価も高く、導入を希望するグループ企業がマリンワールドに見学へ来ることも増えたという。藤氏も他のグループ会社や施設にマリンワールドの導入効果を伝えていくことで、グループ全体で連携して取り組める企画を検討していきたいと語った。
世界観を伝えるクリエイティブがLINE Ads Platformの鍵
『生活総合サービス LINE Ads Platform活用術』のセッションでは、ECサイト「ていねい通販」を運営する株式会社生活総合サービスマーケティング部 Web担当の村尾梨香氏と、同社のLINE Ads Platform運用を行う株式会社サイバーエージェントの田中淳氏、そしてLINE株式会社の松岡亮太が登壇した。
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 西日本事業部 アカウントプランナー 田中 淳氏(左)
株式会社生活総合サービス マーケティング部 Web担当 村尾 梨香氏(中)
LINE株式会社 西日本事業部 事業部長 松岡 亮太(右)
「ていねい通販」は、女性の美容と健康を応援する健康食品や化粧品を販売するECサイトで、これまでさまざまなチャネルを活用して集客を行ってきた。中でも、フロントエンド商品であるサプリメント『すっぽん小町』の集客施策として活用しているLINE Ads Platformは、他施策と比較して特徴的な成果を上げてきた。
「LINE Ads Platformは、特に新規獲得で効果を発揮しています。私たちも多様な広告プラットフォームに出稿していますが、LINE Ads Platformは新規ユーザーの獲得、定期購入における継続率に関して、他のプラットフォームに比べてとても高い成果が出ています」(村尾氏)
この成果を引き出す上で力を入れているのが、バナー広告と遷移先となる記事LPのクリエイティブだという。特にバナーのクリエイティブは、1週間に12個以上新しいものを投下し、訴求効果を検証しながらPDCAを回してきた。
また、クリエイティブを制作する際、サービスの世界観と想いを体現することを重要視してきた。「ていねい通販」でLINE Ads Platformの運用を担当していた田中氏も、「制作と運営側のビジョン共有が大きな効果を発揮する」と語る。
「生活総合サービスさんが持っているサービスへの想いを、実際に制作を担当するデザイナーまでしっかりと共有し、コミュニケーションを取る。感覚的な部分ではありますが、目線を揃えることで、クリエイティブの方向性にもブレがなくなりました」(田中氏)
2018年12月、「ていねい通販」ではLINE Ads Platformに加えてLINE公式アカウントも開設した。今後は多様なタッチポイントを創出するため、LINEを活用したフルファネルでのコミュニケーションへ向けて施策を進めています。その中でも、今まで大切にしてきた世界観やクリエイティブはますます重要になってくる。
「タッチポイントが増えるからこそ、共通した世界観や温かさの表現が重要です。そのバランスを取りつつ、より多くの方にアプローチできればと考えています」(田中氏)
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