広告配信はNG!ユーザーの利便性を追求した「LINE通知メッセージ」活用
2018年3月、公共料金のお知らせなど暮らしにかかる重要性や必要性の高いメッセージをユーザーに届ける「LINE通知メッセージ」のサービス提供が開始されました。「LINE通知メッセージ」とは、LINEに登録されているユーザーの電話番号情報と企業に登録されている電話番号情報をマッチングすることで、友だちとして登録されていないユーザーにも企業からメッセージを配信することができる機能です。
インフラ企業を中心とした6社限定でのサービスローンチから約1年が経ち、通知メッセージは新たな領域へと広がりを見せています。そこで、LINE通知メッセージにおけるこれまでの取り組みと今後の展開について、本サービスを担当するLINE株式会社アカウント企画担当の柳ジョンヨンに話を聞きました。
より、重要性や必要性の高いメッセージを、ダイレクトに届ける
――「LINE通知メッセージ」のサービス概要、開発の狙いについて教えてください
柳 「LINE通知メッセージ」は、ユーザーが企業のLINE公式アカウントを個別に友だち追加していなくても、重要性や必要性の高いメッセージを受け取ることができるサービスです。配信されるメッセージは、弊社がユーザーにとって有用かつ適切であると判断したものに限定され、広告は除外しています。
サービスのリリース背景には、企業にとってLINEが単なる情報配信だけではなく、顧客をサポートする手段として活用されている時流があります。「LINE公式アカウント」は企業とユーザーをつなぐコミュニケーションプラットフォームとして成長を続けてきましたが、最近では企業からユーザーへの広告配信だけでなく、問い合わせや各種手続きといったユーザーと企業の関係性強化を支援し、ユーザーにとってより便利なツールとしてのニーズが高まっています。
その中で、より重要性や必要性の高いメッセージを企業からダイレクトに届け、ユーザーに利便性を感じていただく新たな取り組みとして、通知メッセージを提供することになりました。
LINE株式会社アカウント企画担当の柳ジョンヨン
――リリース当初、参画企業を限定していた理由をお聞かせください
柳 生活インフラである電力・ガス・航空・運輸などの分野から、初期参画企業である6社を選定させていただきました(サービスローンチ当初のリリースはこちら)。LINE通知メッセージで配信されるのは、ユーザーが日常生活を送るにあたって、より利便性を感じられる情報です。
例えば、公共料金の通知、配送予定日時の通知、搭乗便の遅延や欠航通知など、これまで紙やメールなどに依存していた企業からの通知手段をLINEに置き換えてユーザーの利便性向上を図るとともに、企業の業務効率化・経費削減を実現しています。先行6社はユーザーの生活に寄り添い、公共性の高い事業を展開されていることから、LINE通知メッセージの世界観を体現していただけると考えて共同で取り組みを進めてきました。
実際にLINE通知メッセージを受信されたユーザーからは「メッセージをすぐに確認できて便利」、「そのままLINE上で(荷物の)受け取り日時変更などができて助かる」など、ポジティブな反応がありました。同時に、「急に企業から通知が来たので驚いた」、「説明を読むまではメッセージが届く仕組みがわからなかった」など、サービスの周知に関わる課題を認識し、これからパートナー企業様とともに一層の認知向上に努めていきたいと考えています。
LINE通知メッセージは、事前に友だち登録を行っていないユーザーに対しても、企業が所有する電話番号とLINEに登録されたユーザーの電話番号をマッチングさせ、広告を除く重要性や必要性の高いメッセージを送信できる。
東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東電EP)の電気料金プランを契約中かつLINEを利用中のユーザーに対し、電気使用量などの確定通知を送るサービスを展開。企業アカウントの友だち数が、導入前の約15万人から50万人とおよそ3.3倍になるとともに、同社の家庭向けWebサービス「くらしTEPCO」とLINEアカウントを連携させた友だち数も、導入前の約2万3千人から8万3千人へ増加した。
ユーザーからは「使用量を通知してくれるので非常に便利」などの好意的な声が多く上がるとともに、担当者はLINE通知メッセージを活用したサービスの社会的意義が浸透していくことに期待を寄せているという。
宅急便の到着を事前に知らせるメッセージは、従来はクロネコメンバーズ会員にしか送信されていなかったが、通知メッセージにより会員以外の顧客にもサービス提供が可能となった。
ヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)の担当者は、「お届け予定の周知だけなく、日時変更をしてくださるお客様も増え、スムーズなお受け取りにつながっている」と話す。また、LINE通知メッセージを受け取ってから、クロネコメンバーズに登録するユーザーも増えており、クロネコIDとLINEアカウントの単月の連携増加数が、導入前の3倍になったという。今後もサービスのさらなる認知向上に努めるとともに、LINE通知メッセージに関するUX改善を進めたいと意欲的に語ってくれた。
――そんな中、初期参画企業だけでなく、通知メッセージを新たな領域(旅行や通販など)へ利用拡大することとなった経緯を教えてください
柳 初期に導入いただいた企業様から、オーガニックの友だち追加、ID連動、ブロック率などの定量的指標が大きく向上するとともに、先述したユーザーの声をもとにした定性的指標においても、「LINE通知メッセージ」の導入が自社のサービス向上につながっていると評価をいただきました。
そこで今後は、「広告を除く、ユーザーにとって利便性の高い通知」というサービス水準は維持しながらも、ユーザーメリットを高める用途に関しては事業領域を拡大していくこととなりました。ユーザー利便性と企業アカウントの価値を一層引き上げていくために、より多くの企業様にLINE通知メッセージを活用いただきたいと思っています。
株式会社LIFULL(以下、LIFULL)では、ユーザーが不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」の賃貸掲載物件へ問い合わせを行うと、問い合せの完了メッセージがLIFULL HOME’SのLINE公式アカウントから届き、情報を確認することができる。
同社の担当者は、「以前はこうしたサービスをメールやSMSを使って配信していたが、メール離れによる開封率低下が懸念だった」と語る。企業の専用アプリはインストールまでに高いハードルがあり、LINEのようにユーザーが普段から使い慣れているアプリ上でサービスを展開できれば、「潜在層の段階から中長期的なコミュニケーションができるようになる」と、今後の機能拡大にも期待を寄せている。
オンラインショップで商品を購入したユーザーに、「LINE通知メッセージ」で受注確認のプッシュ通知を行っている株式会社ジンズ(以下、JINS)。LINE公式アカウントで友だち追加後に、JINS IDとLINEアカウントを連携することで注文確認、出荷完了、店舗受け取り、コンビニ受け取りの際の着荷連絡など、商品が手元に届くまでにパーソナライズされた情報が届けられる。
LINE通知メッセージの他にも、LINE BeaconやLIFF(Messaging APIの機能)などLINEのさまざまなサービスを活用しているJINS担当者は、「『広告(リーチ)』『販促』『会員獲得』の3点を意識し、LINE社提供のインフラあってこその企画を今後も展開していきたい」と話す。
LINE通知メッセージが企業とユーザーにもたらす価値
――今後、どのような形でLINE通知メッセージが活用されることに期待していますか?
柳 LINE通知メッセージの利用用途は、ユーザーにとって重要性や必要性の高い内容に限定しており、広告は配信できないように基準を設けています。その基準を遵守しながら、ユーザーの生活に利便性を与えられるメッセージに関しては、新たな領域を含めて拡大していきたいと思っています。
――LINE通知メッセージを通じて、どのような価値を提供していきたいですか?
個人間のコミュニケーションでLINEを活用するケースと同様に、例えば公共料金の通知をLINEで受け取ったらすぐに確認できる「即時性」のほか、旅行の予約内容や通販の注文・購入履歴を各サイトにログインせずに検索したり確認したりできる「次のアクションへの誘導」など、日常をもう少し便利に、そして企業様のサービスを身近に感じていただくのが、LINE通知メッセージが提供できる価値です。
今後、具体的な利用用途については各種予約や申込み、注意喚起、一般案内など幅広いサービスを想定していますが、それ以外にもユーザーにとって重要性や必要性の高い内容であれば、ぜひご活用いただきたいです。
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