LINE公式アカウント企画室長の妄想日記②――LINEコール誕生秘話
LINE公式アカウントの企画を担当している企画室 室長の門田勘太朗です。
LINE公式アカウントの企画チームが描く妄想劇場を発信していきます。
1本目では、僕がなぜ機能を開発するまでに描く妄想を発信したいのか?をお伝えしました。
皆さまは普段、電話をしますか?僕は特にお店へかける電話が苦手です。電話越しに人と話す時ってなんであんなに緊張するんでしょう!?電話がつながった瞬間、何を話すか真っ白になって固まったことが何度もあるレベルです。
今回はそんな「電話」がテーマです。LINE公式アカウントの「電話」機能である「LINEコール」が生まれた背景にある僕自身の体験から妄想、開発までの葛藤をお話したいと思います。
ユーザーからLINE公式アカウントに無料で通話ができる機能です。店舗も固定電話を持たずにLINE公式アカウントのWeb版管理画面や管理アプリで通話が受けられます。
僕と「電話」の思い出
僕は学生時代、「銭ゲバ」というあだ名を頂戴するレベルでお金を欲していまして、ひたすらアルバイトをしていました。「賄いで食費を浮かす」という目的だけで飲食店のアルバイトをしていたのですが、バイト中につらかったのが店舗にかかってくる電話の対応でした。
何がつらいって、フロアと厨房をかけずり回っているのに、電話が鳴り響くたびに事務所にしかない固定電話にダッシュしなければいけないというあの状況!混雑時は注文呼び出し、会計待ち、料理運びと電話の対応に追われ、「俺は聖徳太子か!いやいや、聖徳太子でも物理的に無理だわ!」と突っ込んでいました。
それなのに、店長や社員の方は厨房内でも社用の携帯電話を使用していて、「もう全部あの携帯に転送されろ!」と力強く念じていたことを鮮明に覚えています。
そんな僕の希望をかなえてくれたのが、「LINEコール」です!
LINEコールはLINE公式アカウントの管理アプリをダウンロードしていれば、その場でスマートフォンで電話に出られるので安心!これさえあれば、電話の鳴り響く事務所へ全力疾走する必要はありません!全力疾走中に店員同士でぶつかりかけて、おっとっとっと……ってならなくていいのです!
おっと、失礼しました。学生時代の思い出がよみがえり、当時の温度感で書いてしまいました。とにかく、店舗を運営するオーナーさまにはとても便利な自慢の機能なのです!
思い出話から入ってしまい逆に怪しくなってしまいましたが、怪しいモノではございません。ここから実際の開発秘話です。
「LINEコール」が生まれるまで
LINEコールの開発検討時、企画室では必要性に関しての議論が盛り上がりました。
Aさん
「チャットできるなら『LINEチャット』で済ませたほうが楽じゃない?お店に電話するっていっても予約でしょ?いまやWeb予約が主流じゃない?」
Bさん
「私は当日予約だったら電話するタイプですね」
Cさん
「んー、わざわざつくらなくても固定電話があるならよくない?」
Dさん
「LINEで電話ができるなら、固定電話費用がいらなくなるんじゃない?」
私
「そもそも、僕は絶対電話はしたくないです、人と話したくないです」
いや、お前否定派だったんかい!との声は華麗にスルーしつつ、こんな時は改めてLINE公式アカウントのミッションを見つめ直します。
前回の記事でお伝えしましたが、「ビジネスオーナーとその友だちの間で最高のコミュニケーションを実現する」――これがLINE公式アカウントのミッションです。コミュニケーションを担う機能を実現することは、我々のミッションから考えても必須なのではないか?そんな思いから、当時は組織にあまり知見のなかった電話機能の検討を開始しました。
音声通話機能を実装することの複雑さに四苦八苦しながらもプロジェクトが軌道に乗ってきた2020年頃、世の中の状況が激変します。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大です。
「お店とお客さまのコミュニケーションを便利にしたい」と妄想して動き出したプロジェクトでしたが、そもそもお店に行くという行為自体が難しくなる世の中になりました。
当時は「このままこのLINEコールを推進していていいのだろうか?もっとやるべきことがあるのではないだろうか?」と悩みました。事実、世の中の状況に合わせて早急に対応すべき他のテーマが増えていきました。
メインの利用シーンを見失い、LINEコールの開発延期ムードも漂う中で、当時のLINEコールプロジェクトのリーダーは冷静に「お店とお客さまのコミュニケーションのあり方」について考えていました。
- コロナ禍という状況下で、どんな風にお気に入りのお店とコミュニケーションをとりたいか?
- どうやったらお気に入りのお店の力になれるのか?
- お店に行くことがデリケートになっているということは、お店に行くまでのコミュニケーションが増えることなのではないか?
- もし、文字で伝えることが難しい質問があったら、すぐにLINEから電話で質問ができたら。
- もし、LINEで電話をかけた後のちょっとした質問や時間調整などのやり取りが、そのままチャットで続けられたら。
プロジェクトリーダーは、これらの考えから妄想を広げ、通話機能があることで生まれるコミュニケーションの拡張性を確信していました。その一方で、別の視点からコロナ禍という状況下でのコミュニケーションの新たなニーズもキャッチアップしていたのです。
それが「オンラインレッスン」です。これはLINEや通話機能との相性が良く、音声通話だけで推進していたプロジェクトに対して、素早くビデオ通話機能も追加する判断ができました。
日頃からコミュニケーションについて妄想していると、こうした判断は素早くなっていきます。正直ビデオ通話サービスの競合は多いのですが、LINE上でテキストコミュニケーションをとり、そのまま通話できるLINEならではのメリットをもっと自分たちも訴求していきたいなと考えています。
このLINEコールという機能は当時の状況的にも、プロジェクトとしても非常に難易度が高かったのですが、ビジネスオーナーとそのお客さまとのコミュニケーションをチームで考えに考え抜いた経験なので、非常に印象に残っています。推進して考え抜いてくれたプロジェクトリーダーにも多大なる感謝をしています。
「いやいや、うちにはもう固定電話があるから」と思ったそこのあなた!なんと、LINE公式アカウントにかかってきた電話を固定電話へ転送する機能(有料)もあります!!
「電話番号っていう概念が古い」と思ったそこのあなた!LINEコールはなんと、URLからでも、QRコードからでも電話がかけられるんです!!!
URLやQRコードから電話がかけられる
まじかよ!めっちゃ便利じゃん!こりゃもう電話嫌いの私も使うしかない!!
お店に電話するすべての予約サイトの問い合わせ先がLINEコールに置き換わる日が来ることを妄想しながら、本日は締めたいと思います。
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