ユーザーの心をつかむLINE公式アカウントに欠かせない「コアコンテンツ」とは
SNS運用専業代理店の株式会社トーチライトは、2023年8月にLINE公式アカウントの運用コンサルティングサービス「TeLAS(テラス)」の提供を開始しました。マーケティングの戦略立案から運用設計、データ活用、レポーティングまで、LINE公式アカウントの運用を一気通貫でサポートしている同社の池田諭志氏に、運用のポイントについて話を聞きました。
企業とユーザーの深い関係性構築を実現する「TeLAS」
――運用コンサルティングサービス「TeLAS(テラス)」という名称には、どのような思いが込められているのでしょうか?
「TeLAS」は、Team LINE For Advance Successの略で、トーチライトという会社が一つのチームとなって、企業のLINE公式アカウントの運用を全力で成功に導くという決意を表しています。当社はLINE公式アカウントの運用を一気通貫で支援し、ハートフルな顧客体験が提供できることを強みとしています。
また、「Team」というワードには、「“人”の力を大切にする」という思いも込めています。近年は生成系AIの登場などにより、マーケティングの自動化が進んでいますが、最終的にユーザーの心を動かすのは、人間らしい発想やアイデアです。データ活用などではAIの力を借りながら、最後は人の力によってアウトプットをブラッシュアップする。CVR(コンバージョン率)やCPA(顧客獲得単価)といった数字ももちろん大事にしますが、同じくらいユーザーの声や感情などの定性情報であったり、その企業の世界観を伝えることを大切にして、企業とユーザーの深い関係性構築を実現します。そうした信念のもと、提供しているのが「TeLAS」というサービスです。
――「ハートフルな顧客体験」とは、どのようなものでしょうか。
これまでのマーケティング施策では、企業が発信したい情報やサービスを、企業のタイミングで一方的に伝える「企業視点」の発信が主流となっていました。しかし、さまざまな情報が飛び交う現代では、ユーザーは自らのニーズにあった情報を求めています。そのため、LINE公式アカウントでも単なる企業視点の情報発信を行っているだけでは、すぐにブロックされてしまう可能性があります。
そこで、重要となるのが「顧客視点」です。顧客が求める体験は常に変化しているため、顧客が何を求めているのかを把握し、顧客ニーズに合った顧客体験を提供していくことが必要となります。当社ではこうした顧客体験を「ハートフルな顧客体験」と表現しています。
ユーザーが常に利用できる「コアコンテンツ」の設計が重要
――実際に「TeLAS」でサポートしてきた企業の取り組みについて教えてください。
例えば、外資系航空会社のLINE公式アカウントの導入を支援しました。グローバルに顧客基盤が広がっている中で、既存の環境だと日本でのデータ活用が難しく、ユーザーとコミュニケーションを取りにくいという課題を抱えていたため、まずLINE公式アカウントの活用を提案しました。導入後、企業の認知を広めたうえで友だちを集め、友だち一人ひとりのステータスに合わせた旅行先紹介のメッセージを配信するなど、着実にチケット販売につなげていく取り組みを行い、徐々に成果が上がっているところです。
また、ある自動車メーカーでは、「LINEプロモーションスタンプを配布して集まった友だちに、どのようにコンテンツを届ければいいのか分からない」という課題を抱えていました。LINEプロモーションスタンプは一度に大量の友だちを集めることができる一方で、本来のターゲットとは異なる層の友だちも集まります。そのため、ターゲット以外のユーザーとどのようにコミュニケーションをとり、事業貢献に結びつけていくかが重要になります。コミュニケーション設計のほか、本来のターゲットと効率的につながり、収益化していくための戦略を立案しました。
LINE公式アカウントの活用において、企業が抱えている課題は異なります。ただ、共通して言えることは、膨大な数のLINE公式アカウントがある今、企業としてどうメッセージを発信していくのか。戦略的に運用設計をしていかなければ、ユーザーには届きません。これまで博報堂グループとして蓄積してきたノウハウやデータを活用してLINE公式アカウント活用をトータルサポートしています。
エンゲージメントソリューション本部 ソリューションコンサルティング局 コンサルティング部 部長 池田諭志氏
――ユーザーの心をつかむLINE公式アカウントにするためのヒントを教えてください。
ユーザーが日常的にLINE公式アカウントの画面を開きたくなるような、コアコンテンツをつくることです。コアコンテンツは、ターゲット(デモグラ+趣味嗜好)×企画(最適な設計)×LINE公式アカウントの特徴を組み合わせて設計します。
ターゲット(デモグラ+趣味嗜好)
年齢、性別、行動などのデモグラや顧客の趣味嗜好を基にターゲットを設定します。
企画(最適な設計)
最適な施策やトレンドを踏まえて、ユーザーへの見せ方にこだわった企画をつくります。
LINE公式アカウントの特徴
友だちになったユーザーのニーズに合わせて配信内容を送り分けるなど、友だち一人ひとりに合わせたコミュニケーションを行います。
多くの企業は、キャンペーンなどのイベントに合わせてLINE公式アカウントのメッセージを配信するなど、施策を行っていると思います。しかし、ユーザーをつなぎとめておくためには、友だち追加したユーザーだけが常に利用できる魅力的なコンテンツ(=コアコンテンツ)を用意しておくことが大切です。コアコンテンツがあれば、ブロックを防ぐだけでなく、そのコンテンツ自体が話題となって情報が拡散し、さらに友だちを集めることにもつながります。そうしたユーザーを楽しませるコンテンツを生み出せるのも、“人の力”だからこそではないでしょうか。
当社ではこれまで、コアコンテンツの例として、AIキャラクターと会話を楽しめるチャットボットサービスや、自販機にかざすだけでポイントが貯まるサービスなど、コアコンテンツのアイデアも多数提案してきました。
ほかのツールにはない、LINE公式アカウントの魅力とは
――では、あらためてほかのツールにはない「LINE公式アカウントの魅力」について教えてください。
大きく3つあると思います。一つ目は、やはりその圧倒的なユーザー数です。自社開発のネイティブアプリは、まずダウンロードの段階に大きな障壁があり、ユーザーのダウンロードを促すためにインセンティブを付与するなど、ある程度の予算を割かなければいけません。その点、LINE公式アカウントであれば大半のユーザーがダウンロード済みで日常的に使っています。最初の接点をつくるハードルが極めて低いのが、LINE公式アカウントの一番の特徴です。
2つ目は、双方向性のコミュニケ―ションが実現できることです。瞬間的な拡散性という点では、XやInstagramなどのSNSのほうが得意かもしれませんが、じっくり時間をかけてユーザーと関係を構築する。そして、そのユーザーに対して、メッセージを送ることができるというのは、LINE公式アカウントならではの強みだと思います。
そして3つ目は、データ活用のしやすさです。SNSだとID以外の情報を取得するのがなかなか難しいのですが、LINE公式アカウントであれば、例えば自社のデータとLINEアカウントのユーザーIDを連携することで、さまざまデータを取得してマーケティングに活用できます(※)。さらにそのデータを活用するための開発環境も整っているので、企業のサービスをLINE公式アカウント上で柔軟に提供できます。しかし、その活用法の選択肢の多さが、企業が運用に悩むポイントでもあると思います。LINE公式アカウントをどのように活用したらいいか迷ったら、ぜひ私たちにお気軽にご相談ください。
※ ユーザーIDの取得・活用には、ユーザーの許諾が必要となります。
――最後に今後の展望についてお聞かせください。
「TeLAS」のローンチから約1年半が経ち、社内外にもそのコンセプトがだいぶ浸透してきました。今後は第2フェーズとして、より企業がご利用しやすい料金設計や相談体制含め、新しいサービス・商品を整えていきます。また、いま話題の生成AIを活用したサービスも、法整備やセキュリティー観点でのリスクをケアしながら、必要に応じて取り込んでいく所存です。これからも企業とユーザーに寄り添ったサービスをさらに充実させていきます。
(公開:2025年1月、取材・文/相澤良晃、写真/高橋枝里)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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