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ユーザーボイスから考える|広告におけるDE&Iのために必要なこととは
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは、多様な人がいる世の中で違いを認め合い、それぞれの人にあった対応をすることで、一人ひとりの能力を最大限に活かし、誰もがいきいきと暮らしていくための考え方です。この考え方は、今日の企業活動を進めるにあたりとても重要になってきています。
ただこの重要性は理解しているものの、実際にさまざまなユーザーに向けた広告を制作する立場になったとき、具体的にどのように進めればよいのか戸惑う人も多いのではないでしょうか。
本稿では、2023年9月から2024年2月までにYahoo!広告に日々寄せられたご意見・ご感想(ユーザーボイス)の中から、DE&Iにまつわる声を取り上げ、今後の広告制作におけるヒントを探ります。
目次
ユーザーボイスとは
LINEヤフーでは、どなたでもYahoo!広告に関するご意見・ご感想を記載いただける場を設けています。具体的には、Yahoo!広告の隅にある「iアイコン」から遷移するフォームにて、投稿いただくことが可能です。
このフォームより日々寄せられる皆さまからの声である「ユーザーボイス」は、今後のサービス向上のための参考にしています。
投稿者全体の属性を見ると、男女を問わず、幅広い年代の方から声が寄せられていることが分かります。ただし、投稿者の割合が最も多い年齢層は男性では50-64歳、女性では40-49歳と、違いがみられました。
ユーザーボイスの投稿者の性別や年代に関する情報は、Yahoo! JAPAN IDに基づいております。性別・年代が「不明」「空白」で登録されているデータについては上記割合から除外しております。
DE&Iに関する世の中の反応
DE&Iに関するユーザーボイス
ユーザーボイス全体の投稿内容で「DE&Iに関するご意見・ご感想」は、今回の調査時期においても昨年に引き続き約3割と、継続して一定の関心が持たれているようです。
今回調査した期間におけるユーザーボイスの投稿全体の中で、40代以上の割合が高かったことが影響してか、男性では40代以上のユーザーボイスの割合が約9割と大きな割合を占め、DE&Iに対する関心度が高い傾向がみられました。
一方で女性に関しては、「ユーザーボイスの年代別割合」をみると30代のユーザーボイス全体での割合が約1割にとどまっているものの、「DE&Iに関するユーザーボイスの年代別割合」をみると2割以上で40代の次に高く、この層もDE&Iに強い関心を持っていることが分かります。
関心が高い内容
DE&Iに関連するユーザーボイスを「人種・民族」「国籍」「出身地」「宗教」「文化」「性別」「年齢」「身体的特徴」「性的指向」「教育」「価値観」の11項目に分類したところ、Yahoo!広告に寄せられるボイスにおいては性別に関わらず「年齢」や「身体的特徴」に関しての声が多いことが、昨年に引き続き今回の調査時期でも顕著で、半数以上を占めていました。
具体的には、年齢を理由に身体に不調があると決めつけている内容の広告や「〇歳代の方」など、同じ年齢層の人は全ての人が同じ状況にあるかのように訴求している広告に対してのコメントが多くなっています。また身体的特徴については、身長や体重などの外見・容姿ついて、こうあるべきだというようなルッキズムの考え方を助長しているといったコメントが多くみられました。
こと女性においては、性別について年齢や身体的特徴の話と合わせてコメントされる傾向が多くあります。例えば、女性に若さを求めるような表現や、女性に綺麗な容姿でいるように求めるような表現です。
広告クリエイティブに関する実際の声
ここからは実際に寄せられたユーザーボイスの内容を取り上げます。
今回は特定の年齢や年代をクリエイティブ内に使用し、年齢を理由に身体に不調があると決めつけている内容の広告や「〇歳代の方」など、同じ年齢層の人は全ての人が同じ状況にあるかのように訴求している広告に対して寄せられているコメントを例示します。
年齢相応のCMだろと言われているようで大変不快
諸外国で規制されつつある年齢による就職差別を助長する内容の広告
年齢を入れた広告は失礼です
年齢広告って不愉快&失礼。 誰もが該当する訳ではないし、 エイジハラスメントはやめてほしい。
原文ママ。投稿フォームにて、ご入力いただいた情報について、当社のウェブサイト等に掲載する場合がある旨を記載しております。
年齢や年代をクリエイティブ内に使用した広告に対して、親近感を覚える人もいるでしょう。一方で、前述のコメントのように、広告を見たことでその人自身の立場に照らし合わせて、不快に感じる人や、エイジズム(年齢を理由にした偏見や差別)の助長と感じる人もいます。広告に対しての捉え方は、ユーザーの数だけ異なるということが分かります。
今後の広告制作に求められること
ユーザーの反応を知る
広告の最終的な受け手となるユーザー一人ひとりが異なる多様な特性や価値観を持っているため、DE&Iを尊重した広告に絶対的な正解はありません。例えば、あるユーザーにとっては尊重されていると感じる広告であっても、別のユーザーにとっては不快な気持ちになる可能性があります。
正解がないからこそ、広告を制作する際には、ユーザーがどのように反応するかを想像することが大切です。さまざまな立場のユーザーが存在することを踏まえて、その広告に触れる全てのユーザーがどう感じるか、ありとあらゆる可能性を考えることがDE&Iを尊重した広告につながります。そのためには、さまざまなユーザーの反応を「知る」ことが有効であるといえるでしょう。
一方で「広告」という性質上、ある特定のターゲットを想定して制作する必要は生じます。本稿でご紹介しているようなユーザーボイスなどの情報を適切に活用し、ターゲットとする層の特徴に合わせて、DE&Iの観点を踏まえた広告制作を意識することが大切です。
広告のチェック体制を整える
今回ご紹介したようなDE&Iに関連したユーザーボイスを分析するとわかるように、同一の広告であっても、ユーザーによって感じ方が異なるのは事実です。
DE&Iを尊重した広告制作においては常に、マジョリティーの意見と同様にマイノリティーの反応も気にかけることが重要です。それだけではなく、広告制作の現場においても、ユーザーの多様性を尊重した広告になっているかどうかを確認するためのチェック体制や独自のガイドラインの作成、見直しが必要となります。
LINEヤフーでは今までと変わらずユーザーの皆さまの気持ちに配慮しつつ、広告主・代理店ご担当者の皆さまと一緒に考えながらDE&Iを推進してまいります。
DE&Iの考え方への理解を深めるため、今後もユーザーボイスの分析結果など、以下のサイトにて関連情報の発信を予定しています。ぜひ広告制作の参考にしてください。
参考
・Yahoo! JAPANユーザーの性年代別割合 「Yahoo! JAPAN 媒体資料」(2023年3月)
・谷口真美. ダイバシティ・マネジメント 多様性をいかす組織. 白桃書房. 2023
・西村直哉. 成果・イノベーションを創出する ダイバーシティマネジメント大全. クロスメディアパブリッシング. 2020
・エリン・メイヤー. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養. 英治出版. 2024
- 関連タグ:
- #DE&I
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