- ホーム
- コラム
- Webマーケティング入門
- 広告グループの分け方にコツはある?リスティング広告の効果を高めるポイントと事例、分けるメリットを紹介
広告グループの分け方にコツはある?リスティング広告の効果を高めるポイントと事例、分けるメリットを紹介
ユーザーがYahoo! JAPANやGoogleなどの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、検索結果画面に表示される広告がリスティング広告(検索広告、検索連動型広告とも呼ばれる)です。
リスティング広告を効果的に運用するための構成要素の一つに「広告グループ」があり、戦略的に作成することで、広告の効果を大きく向上させる可能性が高まります。しかし、広告グループは自由に作成できるため、どうすれば効果的な広告運用につながるのかがわからない方も多いでしょう。
この記事では、広告グループについて、その重要性や分け方、設定方法などを解説します。自社のリスティング広告の運用にお役立てください。
目次
1. 広告グループとは?
リスティング広告では、広告を管理するために「アカウント>キャンペーン>広告グループ>キーワード・広告」という項目を設定します(下図参照)。各単位はアカウントを最上位とした階層構造(アカウント構造)になっており、階層が上位のものから作成します。
広告グループは、アカウント>キャンペーン配下の管理階層で、類似したターゲットに向けて、キーワードや広告を1つ以上登録できるグループを指します。
リスティング広告のサービスを提供する代表的な媒体としてYahoo!広告、Google 広告の検索広告(リスティング広告)がありますが、基本的な構成要素は同じです。
Yahoo!広告に申し込むと、「アカウント」が自動的に作成されます。リスティング広告の配信をはじめるには、このアカウントの中に「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード・広告」を作成する必要があります。 1企業ごとの「アカウント」の中に、予算やターゲティング(どんなインターネットユーザーを対象とするか)ごとに区分けする「キャンペーン」があります。さらにその中に「キーワード」と「広告」(広告文と最終リンク先URL)をひとまとめにした「広告グループ」の箱があるというイメージがわかりやすいでしょう。
リスティング広告を構成する要素について
ここで改めて、リスティング広告を構成する要素についてもそれぞれ紹介します。
アカウント
広告の運用をまとめる最上の管理単位で、キャンペーンやその下の広告キャンペーンなどのすべてを一つに格納する箱のような存在です。企業で利用する広告サービス(検索広告、ディスプレイ広告など)ごとに、1つのアカウントを設定します。
キャンペーン
広告グループをまとめることを目的とした管理単位で、アカウントの下の階層に登録します。
広告グループ
広告とキーワードをまとめることを目的とした管理単位で、キャンペーンの下の階層に登録します。広告グループごとに入札の価格が決められます。また、キーワードごとに入札価格を変える設定も可能です。
キーワード、広告
キーワードや広告は、宣伝したい商品・サービスに関連します。ユーザーが検索エンジンで情報を検索する際にこれらのキーワードを入力すると、同じ広告グループ内に登録された広告が検索結果に表示されます。
なおキーワードを作成する際には、ユーザーが検索する際のキーワード形式がどのようなときに広告を表示するのか決める「マッチタイプ」が設定できます。マッチタイプには「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ(※)」の3種類があります。
※Yahoo!広告 検索広告では、マッチタイプ「部分一致」は2024年7月16日に「インテントマッチ」に名称変更しております。
より広告運用の成果が上がるアカウント構成にするために意識すべきポイントについては、以下の記事を併せてご覧ください。
2. 広告グループを分けるメリット
広告グループを適切な分け方で作成すると、検索クエリー(検索キーワード)と広告文の関連性が高まり、広告の品質を評価する指標である「品質インデックス」の数値が上がって、検索結果での掲載順位の上昇が期待できます。また、安い入札単価でも広告枠を落札しやすくなります。
広告グループを適切に分けた結果、ユーザーニーズを満たせれば、「品質インデックスが上がる→広告表示されやすくなる→クリックされやすくなる→品質インデックスが上がる......」という好循環が期待できます。
3. 広告グループの分け方でおさえておきたいポイント3つ
ここでは、ユーザーニーズを満たすための広告グループの作成方法を3つ紹介します。
3-1. 類似キーワードごとに分ける
類似キーワードとは、主要なキーワードに似た検索ニーズを持った語句のことです。例えば、「自動車」と「車」や、「お得」と「割安」などは、似た検索ニーズを持っている可能性が高いキーワードと考えられます。
類似キーワードごとに広告グループを分けることは、ユーザーニーズとマッチさせるために重要な作業です。同じ検索ニーズと考えられる類似キーワードを複数登録しておくことで、検索キーワードと関連性の薄いユーザーへの広告文の表示が防げます。また、似たような検索語句に引っかかることで、関連度が高いユーザーへの広告表示回数を増やせます。
例えば、ホテルを経営している場合、「ホテル 安い」と「ホテル 格安」は似た検索ニーズと考えられるため、同じ広告グループ内に登録するのがよいでしょう。一方、「ホテル 安い」と「ホテル 駅近」などは類似キーワードとはいえないため、別の広告グループに分けるのがおすすめです。
3-2. ユーザーの属性ごとに分ける
広告に興味を持ちそうなユーザー層ごとに広告グループを分けるのも、効果的な方法です。一般的には、広告の商品やサービスが決まった段階で、ある程度ユーザー層が絞られます。または、同じ商品でも広告の訴求ポイントを変えて、違うユーザー層に届けたい場合もあるでしょう。
リスティング広告では、広告グループごとにターゲティングやキーワード選定を行うため、ユーザー層が複数あると効果的な設定ができません。広告を表示するユーザー像が定まっていなければ、広告文やランディングページの訴求もぼやけてしまいます。その結果、ユーザーニーズを満たせずにクリック数が下がり、品質インデックスも落ちてしまいます。
ユーザーの属性ごとに広告グループを設定し広告との関連性を高めることで、同じ検索意図を持ったユーザーに同じ広告を表示すると、品質インデックスを上げやすくなります。
3-3. リンク先のURLごとに分ける
広告から遷移させたいリンク先のURLごとに分けるのも、シンプルで効果的な方法です。リンク先の自社サイトの内容と一致した広告文を設定すれば、コンバージョン(商品購入や資料請求などの目的達成)を高められます。
キーワードと広告のリンク先はセットで考えると整合性が取れるようになります。例えば、「ワイン 通販」のキーワードに出稿するリスティング広告の遷移先がビールの商品ページなら、多くのユーザーは離脱するでしょう。「ワイン 通販」のキーワードから遷移するURLには、ワインに関連するページを用意しておくようにします。
4. 広告グループの分け方の注意点
1つのキャンペーンに多くの広告グループを作ってしまうと、広告を掲載する機会が制限されてしまいます。例えば、数10個の広告グループを登録し、日予算(1日あたりの予算上限)を配分すると、検索数が多いキーワードとそうでないキーワードの差が大きくなってしまいます。予算が割り当てられなかった広告グループは表示されないため、検索数は少ないものの利益率が高い商材の広告が表示されなくなる可能性があります。
広告グループを分けすぎた場合は、キャンペーンを追加して広告グループを分類しましょう。日予算はキャンペーンごとに設定できます。1つのキャンペーンに含まれる広告グループが少なければ予算の差が少なくなり、比較的均等に広告が表示されます。
4-1. 複数のニーズやユーザー向けのキーワードを設定しない
1つの広告グループ内の適切なキーワード数は決まっていません。ただ、同じグループに複数のニーズやユーザーに向けたキーワードが含まれていないかについて改めて確認しましょう。仮に含まれていた場合、その広告の検索ニーズやユーザー像が絞り込まれていないといえます。
特に検索数の多いキーワードである「ビッグワード」を含めると、そのキーワードに予算が集中してしまうため、表示されないキーワードが出てしまいかねません。
一般的には、ビッグワードは別のキャンペーンを設けておく方が、日予算も分けられて運用しやすくなります。また、企業名や商品名など「指名系」と呼ばれるキーワードも、別キャンペーンにすることで広告を確実に表示しやすくなります。
4-2. 複数の広告文を入稿してABテストをする
広告グループには複数の広告パターンを登録できるので、ABテストを実施して成果を比較しましょう。ABテストを行う際は、なるべく変更箇所を少なくするのがポイントです。
例えば、「キャンペーン開催!全品20%オフ」と「キャンペーン開催!年に一度の大感謝祭」といったように、広告文の一部を変え、一定の期間で成果を確認します。
クリック率やコンバージョン数を比較すれば、どの訴求方法が効果的だったのか推測できます。成果が出た方の広告文のパターンを採用してABテストを繰り返し、広告やランディングページを最適化しましょう。
ABテストは定期的に実施することが重要です。季節のサイクルや競合他社の新製品発売など、外的な要因によって広告効果は変化します。一度実施したら終わりではなく、定期的にABテストを行ってPDCAサイクルを回していきましょう。
ABテストについては、以下の記事も併せてご覧ください。
5.【事例】広告グループの分け方
広告グループを分ける際の例をいくつか紹介します。情報を検索するユーザーの興味や関心に合わせた訴求内容に沿って分けていくとよいでしょう。
以下の事例では、類似キーワードやユーザーの検索ニーズについて類似するグループでまとめられているため、ユーザー属性も明確になります。そのため、広告文やリンク先URLも適切に設定できます。
5-1. 広告グループの設定事例
整体・接骨院の場合
広告グループ | ユーザーニーズ | キーワード | リンク先ページ |
---|---|---|---|
腰痛改善 | 腰痛に悩んでいて、その改善をしたいと考えている | 腰痛 解消,腰痛 改善 方法,腰痛 整体,腰痛 接骨院 エリア名 | 腰痛改善に関する施術内容、費用などを紹介したページ |
スポーツ リハビリ | スポーツによる怪我や身体の不調に悩んでいてリハビリを行いたい | スポーツ リハビリ ,運動 怪我 リハビリ ,スポーツ リハビリ 保険、スポーツ リハビリ エリア名 | 怪我や術後リハビリの具体的なプログラムや施術例、費用などを紹介したページ |
上記はユーザーの属性を基に広告グループを分けています。既に整体や接骨院を探している人(顕在層)を考慮した場合には「整体_エリア名」という広告グループにし「整体 エリア名」「整体 エリア名 おすすめ」「整体 エリア名 人気」といったキーワードを設定するという分け方もあります。
士業(行政書士)の場合
広告グループ | ユーザーニーズ | キーワード | リンク先ページ |
---|---|---|---|
会社設立サポート | 会社設立の手続きを依頼したいと検討している | 会社設立 サポート,会社設立 必要書類,会社設立 手続き 代行,起業 手続き | 会社設立に関するサービスや事例の紹介ページ |
相続手続き | 相続手続きや遺言書作成に悩んでいる | 相続 手続き 流れ,相続 代行,相続手続き 司法書士,相続手続き 相談,相続手続き 遺言書 | 相続相談の事例やサポート内容が分かるページ |
士業の場合は検索されるキーワードの幅が広いため、ケースごとのキーワードに分けて広告グループを作成するといいでしょう。ランディングページが複数用意されている場合は、遷移させたいリンク先の内容ごとに広告グループを分けるのも有効です。
リフォーム・住宅工事の場合
広告グループ | ユーザーニーズ | キーワード | リンク先ページ |
---|---|---|---|
リフォーム_エリア名 | リフォームを検討しており、自分の居住地域で対応できる業者を探している | リフォーム エリア名,リフォーム エリア名 おすすめ,リフォーム エリア名 費用,リフォーム エリア名 おしゃれ,リフォーム 相談 | リフォーム事例紹介ページ |
外壁塗装 | 外壁の補修や修繕変更を検討していてその情報収集をしている | 外壁塗装 費用 外壁 劣化 補修,家 外壁 カラー変更 | 外壁塗装の事例紹介ページ |
リフォームや住宅工事の場合、自分の居住区で対応できる業者を探しているケースも多いです。そのため検索語句・ターゲティングを分けて設定した広告グループを一つ用意するのも有効です。リンク先のページを表示させる際には、「◯◯市でリフォームを検討中なら」などの情報を記載しておきましょう。他には、訴求したいサービスに応じた広告グループ設定が考えられます。
上記以外にも、例えば教育系(塾など)であれば、高校受験の類似キーワードと大学受験の類似キーワードで広告グループを分ける、またマンツーマン(個別指導)形式やオンラインサポートなどカリキュラムに関連したキーワードで広告グループをそれぞれ作成する、といったことが考えられます。
ECなどの場合は、販売する商品のテーマやジャンルに合わせてグルーピングするといったことが考えられます。(食材通販の場合は食材×通販 など)
5-2. 広告グループのNG設定例
多様なニーズのキーワードについて、同一の広告グループにまとめて混在させると、広告文で何をアピールしていいのかわからなくなります。
また、広告グループのキーワードがまとまっていないことで、遷移先として設定できそうなURLがトップページしか該当しない、あるいは訴求できるページがない、ということになりかねません。
例えば東京で小中学生向けの個別指導型学習塾を運営している場合、
• 広告グループ「受験」
• キーワード「大学受験 ランキング」「個別指導 高校受験」「小学生 受験 対策」
といった設定はおすすめできません。
大学受験に関する情報を検索しているユーザーに訴求できるページがない可能性が高く、キーワードがまとまっていません。考えられる分け方としては「個別指導」の類似キーワードをまとめた広告グループと、「中学受験」または「高校受験」の類似キーワードをまとめた広告グループなどがあります。
その他、ユーザーの「近くにある塾を探している」というニーズに沿った広告グループを作成する場合には「学習塾 近い」「学習塾 東京」といったキーワード×エリアなどのキーワードをまとめたものを用意するのも有効です。
ユーザーマニュアルでは適切な広告の作り方についても解説しているので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
6. Yahoo!広告の広告グループ設定方法
Yahoo!広告のリスティング広告(検索広告)では、以下の方法で広告グループを設定できます。広告グループを作成した後に、キーワードや広告も作成できます。
操作手順
1. 広告管理ツールで検索広告のアカウントを表示する
2. キャンペーン一覧画面で、広告グループを作成するキャンペーンを選択する
3. 「広告グループ作成」ボタンを押す
4. 広告グループ作成画面が表示されるので、各項目を入力する
5. 広告グループのみ作成する場合は「広告グループのみ作成して終了」ボタンを押す
※キーワードや広告も作成する場合は「続けてキーワードを作成する」ボタンを押す(詳しい手順は「キーワードを作成する」を参照してください)
ただし、キャンペーンタイプによって手順が異なる箇所もあるので、詳しくは以下のヘルプページでご確認ください。
>「広告グループの作成【検索広告】」を見る
7. 広告グループを分けて効果的な広告運用を目指そう
広告グループの適切な作成は広告の品質インデックスを高めて、広告の掲載順位を上げるために重要です。検索ニーズやユーザー層に応じて適切に広告グループを分けて作成し、効果的な広告運用を目指しましょう。
Yahoo!広告では、管理ツールから広告グループを作成・設定できます。広告グループに設定した複数の広告の表示を自動最適化する機能や、成果測定しやすいABテストも利用できるので、ぜひご活用ください。
編集:はてな編集部
この情報は役に立ちましたか?