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コンテンツマーケティングとは?メリット・効果やSEOとの違いを解説
ユーザーに有益な情報を発信することで業績向上につなげる「コンテンツマーケティング」に取り組む企業が増えています。しかし、コンテンツマーケティングの手法は多様で、何から取り組みはじめてよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事はコンテンツマーケティングとは何かを基本からやさしく解説し、具体的な手法やメリット・効果、運用の仕方など実践的な内容も取り上げています。コンテンツマーケティングに取り組みはじめる参考としてお役立てください。
コンテンツマーケティングについて
コンテンツマーケティングの基礎知識として概要や特徴、市場規模を解説します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに有益な情報を発信することによって、顧客との接点確保やブランディングなどの効果を得て、結果的に業績向上につなげるマーケティング手法です。
例えば、コラム記事を作り、検索エンジン経由で自社サイトに流入を促します。また、動画配信サービスに動画をアップしたり、SNSでアカウント運用したり、メルマガを配信したりするのもコンテンツマーケティングの手法です。
コンテンツマーケティングが注目される背景
コンテンツマーケティングが注目されるようになった背景には、ビジネス環境や消費者意識の変化があります。
売り込み型広告への慣れ
消費者はマス広告、街頭広告、バナー広告など、たくさんの広告に取り囲まれています。このような売り込み型(プッシュ型)広告のなかで記憶に残る広告を作るのは大変で、場合によっては不快感を与えてブロックされてしまいます。
対してコンテンツマーケティングは、自然な形で自社商品・サービスに関心を持つきっかけを与えられます。また、情報を自ら探している見込み度の高いユーザーと効率的につながりやすいのが特徴です。
インターネット広告費の高騰
マス広告に代わってWeb広告が主流になるにつれて、広告費が上がり費用対効果が下がるケースが出てきました。以前は大量に広告を出してユーザーにアプローチできましたが、現在は効果の出やすい広告枠の競合が激しくなっています。
一方、コンテンツはブランドにとって資産として積み上がっていくので、長期的な目線で見れば費用対効果が高いと言えます。
消費者購買モデルが変化している
従来の消費者は実店舗に行き商品を選んでいました。現在の消費者は、来店前にインターネットで関連情報を詳しく調べ、何を購入するか決めている場合が増えています。
企業からみれば、セールスの主戦場が店舗から、インターネットに変わりました。なかでも、自分で集めた情報に基づき意思決定するプロセスで接触する手法が、近年重視されています。
このアプローチに適しているのがコンテンツマーケティングです。例えば検索エンジンを使った情報集めや、SNSでの口コミ閲覧などの際に接点を持てれば、競合に対して優位に立つことができます。
検索エンジンがコンテンツの質を重要視
検索エンジンの検索結果上位に自社サイトが表示されれば、多くのユーザーの流入が見込めます。そのためには、ユーザーに有益なサイトを目指さなければなりません。検索エンジンの評価基準は「ユーザーの検索ニーズを満たせるか」です。
つまり、ユーザーに有益な情報を届けるコンテンツマーケティングは、SEOの1つになります。SEOの一環として、自社サイトにコラム記事を作る企業が増えてきました。
コンテンツマーケティングと他の手法との違い
コンテンツマーケティングと混同しやすい用語に「コンテンツSEO」と「Webマーケティング」があります。各用語との違いを解説します。
コンテンツSEOとの違い
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは、どちらもコンテンツを制作しますが、目的、対象、手法が違います。
コンテンツマーケティング | コンテンツSEO | |
---|---|---|
目的 | ユーザーに有益な情報を作り、結果的に売上を増やすこと | 検索エンジンの検索結果上位に掲載されて流入を増やすこと |
対象 | 潜在層、顕在層、既存顧客 | 検索ユーザー |
手法(接点) | 検索エンジン、SNS、動画サービス、SNS、電子メールなど | 検索エンジン |
Webマーケティングとの違い
Webマーケティングとは、Web上でおこなうプロモーション、営業、店舗経営、カスタマーサポートなどすべてのマーケティングです。コンテンツマーケティングはWebマーケティングに含まれます。
Webマーケティングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
コンテンツマーケティングの種類・手法
コンテンツマーケティングの種類・手法は多様です。代表的な手法を取り上げて概要やメリット・デメリットをご紹介します。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社で所有するWebメディアです。一般的には、コラム記事やHOWTO記事をまとめた自社運営のWebメディアやブログサイトなどを指します。
オウンドメディアは自社商品を知ってもらう入口になります。例えば、「チャットボットとは何か?」を知りたいユーザーに解説記事を提供し、その流れで自社商品を紹介するなどです。
オウンドメディアに質の高いコンテンツが蓄積されると信頼性、権威性が高まり、検索結果上位に掲載されやすくなります。一方、コンテンツ制作に手間と時間がかかるのがデメリットです。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、自社商品の特徴やベネフィットをまとめたコンテンツです。コンテンツマーケティングの場合、市場動向や最新技術のレポートなど、自社に知見のある情報を提供するのが一般的です。
ホワイトペーパーは資料ダウンロードの際に顧客情報を得られるのがメリットです。営業訪問やメルマガ登録、ウェビナー参加などにつなげられます。一方、専門性が高い内容にしないと、ダウンロードにはつなげられません。
メルマガ
メルマガは自社商材に関連するトピックを選んで、定期的に電子メールを配信する手法で、顧客と継続的な関係を築くのに向いています。。コンテンツとともに自社商品の紹介や、セミナーの案内などをおこないます。
例えば、ステップアップメールを送って、段階的に購買意欲を高めていけます。また、既存顧客に対してメルマガを配信して、再購入につなげる方法も効果的です。
一方、メールの開封率が下がり費用対効果が低くなる場合があります。また、送信する頻度や文章量によっては、不快感を持たれるリスクもあります。
ウェビナー
ウェビナーとは、「Web+セミナー」の造語で、動画配信サービスやWeb会議システムでセミナーを実施する手法です。ウェビナーにはライブ配信と録画配信の2種類があります。コンテンツマーケティングの場合、専門的な知識を持った講師が、有益な情報を伝えるウェビナーを開催するのが一般的です。
ウェビナーは質の高い見込み客と接触できます。また、講義や質疑応答を通じて、信頼感や好意を持ってもらいやすいのもメリットです。一方、知名度が高くない場合、まず集客施策が必要です。また、商材によっては向かない場合もあるでしょう。
プレスリリース
自社に関する情報を自ら発信する方法です。従来は報道機関に取り上げてもらう必要がありましたが、現在は自社サイトやプレスリリース用のプラットフォームで積極的に情報発信する企業が増えています。
タイムリーな情報価値を持ったプレスリリースはSNSやWebメディアに取り上げられやすく、拡散効果を期待できます。一方、プレスリリースできる機会は限られるため、継続的な施策には向きません。
SNS
SNSで自社アカウントを運営して、ユーザーに有益な情報を発信していく方法です。SNSのメッセージ自体をコンテンツにするほか、オウンドメディアの記事やホワイトペーパーなどに誘導する方法もあります。
SNSは拡散効果が得やすいことや、双方向のコミュニケーションを取りやすいのがメリットです。一方、炎上リスクに注意する必要があります。また、各SNSのユーザー層は偏りがあるため、自社の顧客層と一致しない場合があります。
コンテンツマーケティングのメリット・効果
コンテンツマーケティングは積み上げ型マーケティングと呼ばれています。継続することで得られるメリット・効果を解説します。
中長期的に費用対効果が高い
コンテンツが資産として残り、ユーザーに消費し続けられれば、広告費なしで顧客との接点を持てるようになります。コンテンツ制作には手間と時間がかかりますが、中長期的にみると費用対効果が高いのがメリットです。
顧客ロイヤリティが向上する
顧客目線で自社オリジナルのコンテンツを制作すると、顧客ロイヤリティ(企業への信頼や愛着)を得られます。例えば、独自の知見に基づいて解決策を示せば、顧客から感謝される場合があるでしょう。また、ニッチでコアなコンテンツによるファンの育成もできます。
業界でのプレゼンスが向上する
業界の専門知識を提供することで、権威性や信頼性が高まります。結果として、「この商品なら○○会社」「この課題解決なら○○に相談しよう」などと思ってもらえます。特に技術、ノウハウがあるのに知名度が低い企業は、業界でのプレゼンスを高められるでしょう。
SNSとの相性がよい
質の高いコンテンツを作成すると、SNSで拡散される可能性があります。情報拡散が起きれば、見込み度の高い顧客層に一斉に情報が届きます。また、新たな顧客層を発見できる場合もあるでしょう。インフルエンサーによって拡散された場合、信頼性や好意を持って情報が伝わりやすいのもメリットです。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングにはデメリットもあるため、はじめる前に知っておきましょう。
コンテンツ作成にコストがかかる
コンテンツマーケティング自体に広告費はかかりませんが、完全にゼロコストで実施できるわけではありません。ユーザーニーズを分析し、需要のあるコンテンツを作成するには手間や時間がかかります。例えば、オウンドメディアを検索結果の上位に掲載したいなら、検索意図を分析したうえでコンテンツを制作します。コンテンツ作成だけでなく、リサーチや戦略設定などの費用も含めて考えておきましょう。
コンテンツ作成に手間がかかることから、コンテンツマーケティングを外部の企業に外注することもあります。この場合は外注費が必要です。例えば、月5本程度の記事制作を外注すれば、月10万?15万円程度の費用がかかります。入稿作業やアクセス分析まで依頼すると月20万?30万円、コンサルティングや戦略立案も含めて依頼すると月50万以上が相場です。
成果を出すのに時間がかかる
コンテンツマーケティングはすぐに成果は出ないため、ある程度の運用期間が求められます。数ヵ月で成果が出るなら早い方で、半年から1年以上コンテンツを作り続けてようやく成果が見えてくるのが一般的です。何年かけても成果が見られないことは、決して珍しくありません。もちろん成果が出るまでの時間はコンテンツの制作ペースによって変わるため、あくまで目安にしてください。
即効性が必要な場合には、Web広告も併用するとよいでしょう。コンテンツマーケティングは中長期的なプル型施策(ユーザーに情報を見つけてもらう施策)、Web広告は短期的な売り込み型施策(企業がユーザーに情報を届ける施策)で、互いに補う関係です。
コンテンツマーケティングの実践方法・始め方
コンテンツマーケティングに取り組みたい方に向けて、実践方法を4つのステップに分けて解説します。
目的の明確化(KPI設定)
施策ごとに定量的なKPIを立てましょう。売り上げや顧客獲得などの成果を直接求めないコンテンツマーケティングでは、ゴールがあいまいになりがちです。コンテンツ制作自体が目的にならないためにも、担当者の役割を明確にしてモチベーションを高めるためにも目標が必要です。
具体例は以下のとおりです。
種類・手法 | KPIの例 |
---|---|
オウンドメディア | ページビュー数、検索ページの掲載順位 |
ホワイトペーパー | ダウンロード数 |
メルマガ | 配信数、開封率 |
ウェビナー | 参加者数 |
プレスリリース | ページビュー数、メディア掲載件数 |
SNS | フォロワー数、「いいね」、返信などの数 |
ペルソナ設計
ユーザーの心に届くコンテンツを制作するには、ペルソナ設計が欠かせません。ペルソナとはターゲット像に具体的な肉付けをしたものです。例えばターゲットが「40代女性」であれば、ペルソナは「年収400万円、堅実な投資に興味を持っている」などです。
ペルソナ設計によってユーザーニーズに合ったコンテンツを企画でき、複数のコンテンツ制作に一貫性を持たせられます。
コンテンツ作成
次にどのようにコンテンツを制作、配信するのかスケジュールを立てます。例えばオウンドメディアなら月何本記事を制作して、いつまでに目標本数を達成するか中長期的な計画を立てます。
コンテンツマーケティングは、ある程度まとまった量のコンテンツを継続的に発信できる体制がなければ中途半端に終わってしまいます。予算と人員を確保して、運営体制を構築するのが一般的です。
効果測定
コンテンツをリリースしたら効果測定して、今後のコンテンツ制作に役立てます。効果測定に用いるのはKPIとその関連指標が中心です。KPIとは目標が達成されているかどうかを測定するための指標で、コンテンツマーケティングでよく用いられる指標としては流入数やコンバージョン数などがあります。
関連指標としては、サービスページへの遷移率などが挙げられます。コンテンツマーケティングはユーザーの行動変容が目的のため、この観点の分析も重要です。例えば、オウンドメディアの閲覧数と自社サービスの問い合わせに進んだユーザーの数を調べれば、認知から興味関心のフェーズに行動変容させた効果を推測できます。
あわせてROI(投資対効果)も測定します。成果が出ていても赤字であれば、軌道修正が必要です。
コンテンツマーケティングとWeb広告をバランスよく活用しよう
売り込み型広告の限界や消費者購買モデルの変化などから、多くの企業がコンテンツマーケティングを取り入れています。軌道に乗れば、中長期的に費用対効果の高いマーケティングとなるでしょう。
ただし、コンテンツマーケティングは成果が出るまで時間がかかります。そのため、成果が早めに出るリスティング広告やディスプレイ広告などのWeb広告を併用するのが一般的です。両者を組み合わせることで、効率的なWebマーケティングをおこなうことができます。
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