従来の歯医者の集客や広告には、看板やチラシを活用するのが主流でした。歯医者は実際に患者さんにクリニックまで足を運んでもらう必要があるため、基本的にクリニックの周辺地域に絞った集客方法が使われます。そのため、周辺施設にチラシやパンフレットを設置したり、近隣の住宅へポスティングを実施したりするケースが多いです。駅などの利用者が多い場所に看板を設置している歯医者もあります。

しかし、近年はホームページやWeb広告などオンラインの集客手法を採用する歯医者も少なくありません。特にWeb広告は歯医者の集客に向いているため、看板やチラシのようなオフライン集客にしか取り組んでいない場合は、Web広告の活用も検討してみてください。

ここでは、なぜ歯医者の集客にWeb広告が向いているのかを解説します。

Web広告は、広告掲載時に収集したデータを使って効果を検証できるのが特徴です。

従来の集客手法であるチラシや看板は、どれくらいの人に見てもらえたのか、そのうちどの程度の人が実際にクリニックに来てくれたのかなど、詳細な効果の測定が難しいデメリットを抱えていました。

Web広告は広告を見たユーザーの数や広告がクリックされた回数、広告経由で獲得したユーザーの数など、広告の効果を客観的な数値データとして得られます。1回のクリックやユーザー獲得につきいくらの広告費がかかったのかも算出でき、費用対効果の測定も可能です。

Web広告は、チラシのように「特定エリアのユーザー」に向けてのアプローチも可能です。エリア指定の方法はWeb広告の種類によりますが、例えば「〇〇市　歯医者」で検索した人をターゲットにしたり、ユーザーのデバイスのIPアドレスやGPSからエリアを指定して広告を掲載したりできます。

このように、Web広告はエリアを絞って掲載できるため、歯医者のように実際に足を運んでもらう必要のある業種でも広く活用されています。来てほしいエリアのユーザーに的確にアプローチできるため効率的です。

ユーザーの検索キーワードを指定して掲載できるWeb広告を使えば、「〇〇駅　歯医者」や「歯が痛い」などと検索したユーザーに向けてピンポイントにアプローチできます。このようなキーワードで検索している人は、すぐに診察や治療をしてほしいと思っている患者さんである可能性が高く、緊急性が高いユーザーに広告を届けられます。

歯医者に行きたいと思っている人に広告を見てもらえれば、実際にクリニックを訪れてくれる可能性が高く、高い広告効果が期待できるのもメリットです。

Web広告にはいくつかの種類があります。ここでは、歯医者の集客に向いているWeb広告の種類を紹介します。

リスティング広告は検索結果ページの上部や下部に表示されるWeb広告で、ユーザーが検索したキーワードと関連性の高い広告が掲載されます。ユーザーがどのようなキーワードで検索したときに広告を掲載するか指定でき、例えば「歯茎が腫れた」「虫歯」「インプラント　費用」などのキーワードを設定しておけば、歯医者を探しているユーザーに向けて広告を掲載できます。

歯医者に関連するキーワードで検索しているユーザーは緊急性の高い患者さんであるケースも多いため、広告に興味を持ってもらえる可能性が高いです。

リスティング広告について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

「リスティング広告とは？ 初心者でもわかる仕組みや費用、運用方法を解説」を読む

動画広告は、その名のとおり動画を使ったWeb広告です。

動画にクリニックの外観や内装、スタッフの紹介などを盛り込めば、特徴や強みを短時間で視覚的・聴覚的にわかりやすく伝えられます。清潔感のある院内の雰囲気や、最新設備を揃えていることなどを動画で伝えられれば、興味を持ってくれる患者さんも多いでしょう。

動画広告について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

「効果的な動画広告の作り方は？　方法や改善ポイントを解説」を読む

ここでは、歯医者のWeb広告運用を成功させるためのポイントを紹介します。

リスティング広告を効果的に運用するためには、ユーザーの悩みの傾向を把握する必要があります。「虫歯が痛い」「銀歯が取れた」など、ターゲットとなるユーザーがどのような悩みを持っているのか、どのようなキーワードで検索しているのかなど情報収集の傾向を調査しましょう。

Web広告を活用している歯医者は多く、近隣のクリニックがすでにWeb広告を掲載している可能性も高いでしょう。そのような状況で自院のWeb広告の効果を高めるには、自院のコンセプトを明確にしておくことが大切です。自院がどのような点に力を入れていて、コンセプトは何なのかあらためて考えてみると、クリニックの強みがわかるでしょう。自院の強みがわかれば、他院との差別化要素を把握しやすくなります。

自院のコンセプトや強みがわかったら、他院と差別化できる要素を整理しましょう。例えば「無痛治療を実施している」「キッズスペースがある」など、他院にはない特徴のうち広告に盛り込みたい要素をピックアップしてみてください。コンセプトや強みを広告に取り入れて他院との差別化ができれば、競合が多くても患者さんに自院を選んでもらえる可能性があります。

歯医者を探している人は、診療項目が気になるポイントです。保険診療と自費診療でそれぞれどのような診療項目があるのか、費用はいくらかなど、わかりやすく広告に表示しましょう。特に自費診療は高額なので、価格がわからないと患者さんが不安を感じて来院につながらない可能性があります。

広告からクリニックに通うメリットやベネフィットがわからないと、ユーザーにスルーされてしまうおそれがあります。訴求力の高い広告を作成するために、自院に通うメリットやベネフィットを洗い出し、そのなかからどれを広告に盛り込むべきか整理しましょう。

最後に、患者さんに「通いたい」と思ってもらえる歯医者の広告を作成するためのポイントを紹介します。

リスティング広告は、キーワードごとに掲載する広告文を変えられます。患者さんの悩みごとに広告文を変えることでより「通いたい」と思ってもらえるため、キーワードと広告文の組み合わせを細かく設定しましょう。

例えば「歯医者　痛くない」と検索したユーザーには、無痛治療について記載した広告文が響くと予想できます。一方、「歯医者　費用」と検索した人は、価格が明記された広告に興味を持つはずです。どのようなキーワードでも一律同じ広告文を使うのではなく、悩みごとに訴求ポイントを変えると広告の効果を高められます。

リスティング広告のキーワードの選び方は、こちらの記事で解説しています。

「リスティング広告のキーワードの選び方は？　選定手順やマッチタイプを解説」を読む

自費診療の場合、実際に診療を受けるまではっきりとした金額がわからないと、患者さんがクリニックを訪れるハードルが高くなります。もし近隣のライバルクリニックが広告に費用を明記していたら、患者さんは事前に金額を把握できるクリニックを選ぶ可能性が高いでしょう。患者さんに安心してクリニックに来てもらえるように、自費診療の項目は金額をしっかり明記して目立たせることが大切です。

歯医者の広告を作成するときは、医療広告ガイドラインに違反しないよう細心の注意を払わなくてはなりません。医療広告ガイドラインとは、歯医者を含む病院や診療所などが広告を出す場合に守るべきルールを定めたもので、厚生労働省のサイトに公開されています。

具体的には、虚偽広告や他のクリニックと比較した比較優良広告、事実を誇張した誇大広告などが禁止されています。他にも、患者さんの体験談や治療の前後写真の掲載も禁止されているため、うっかり掲載してしまうことのないよう注意してください。

このルールは患者さんに誤解を与えないためのものです。違反してしまうと信用を失うおそれがあります。広告を作成する前に、ガイドラインに記載の禁止事項をしっかり把握しておきましょう。

従来の歯医者の集客方法は、チラシや看板などのオフライン集客が主流でした。しかし近年では、Web広告やホームページといったオンライン集客を取り入れるクリニックも増えています。特にWeb広告はすぐに治療してもらいたいと考えている人にアプローチでき、広告の効果がデータで確認できるので効率的な集客が可能です。

すでにWeb広告を活用している歯医者も多いため、Web広告を出稿するときは他院との差別化が重要なポイントになります。自院のコンセプトや強みを洗い出して、歯医者を探している人の目に留まる広告を目指しましょう。広告作成時には、医療広告ガイドラインに違反しないように注意してください。