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イノベーター理論とは? マーケティングにおける活用方法やキャズムとの関係性を解説
新しい商品やサービスをリリースするとき、市場に普及させる方法を考える必要があります。イノベーター理論は、新商品が市場へどう普及していくかを分析する理論のため、新商品をマーケティングするうえで押さえておきたい内容です。
本記事では、イノベーター理論について詳しく解説します。イノベーター理論のマーケティング活用方法や、同じく新商品を普及させる際に知っておきたいキャズム理論についても紹介しているので、参考にしてください。
イノベーター理論とは?
イノベーター理論とは、消費者を価値観や行動によって5つのタイプに分類し、新しい商品やサービスが市場に普及していく流れを分析した理論です。新しい商品やサービスが登場したとき、リリース直後から急速に普及するケースは稀で、はじめは「新しいものを積極的に試したい」と思っているユーザー層から徐々に浸透していきます。このように、市場へどのように普及していくのかを詳しく示した理論がイノベーター理論です。
出典:小規模事業者支援ハンドブック (P112、113)
イノベーター理論が普及した背景
イノベーター理論は、1962年にアメリカのスタンフォード大学教授のエベレット・M・ロジャース氏によって提唱されました。それ以前から、新しい技術によって社会に変革をもたらす「イノベーション」についての研究が進められており、1954年には経営学者のピーター・F・ドラッカー氏が「企業が顧客を創造するためにおこなうもっとも基本的な活動がイノベーションである」と提唱し、経営者の注目を集めています。
その後、イノベーションがどのように普及していくのかを分析したイノベーター理論が提唱されたことで大きな反響を呼び、マーケティングをおこなううえで重要な考え方として広く普及しています。
5つのタイプ
イノベーター理論では、消費者を以下の5つのタイプに分類します。
- イノベーター(革新者)
- アーリーアダプター(初期採用者)
- アーリーマジョリティ(前期追随者)
- レイトマジョリティ(後期追随者)
- ラガード(遅滞者)
また、イノベーターとアーリーアダプターで構成される市場を「初期市場」、アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードで構成される市場を「メインストリーム市場」といいます。
以下では、上記5つのタイプについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
イノベーター(革新者)
イノベーターは5つのタイプのうちもっとも早く商品を購入するユーザーのことで、市場全体の2.5%がイノベーターに該当するといわれています。常に最新の情報をチェックしていて、新しい商品やサービスに対する興味を持ちやすいユーザーです。
「新しさ」に価値を感じているのが特徴で、商品の細かい性能や価格はそれほど気にしません。「最先端」「革新的」などが感じられる商品を積極的に選ぶ傾向があります。
アーリーアダプター(初期採用者)
アーリーアダプターは、イノベーターに次いでトレンドに敏感なユーザーです。常に情報へのアンテナを張っていて新しいものに興味はありますが、実際に商品を購入する際は「新しさ」だけでなくメリットや価格も考慮して判断します。
アーリーアダプターは市場全体の13.5%を占めると考えられていて、インフルエンサーもアーリーアダプターに該当します。情報を収集するだけでなく自ら発信をおこなうため、周囲への影響力が高いのも特徴です。そのため、商品が市場に広く普及するかどうかは、アーリーアダプターからの評価に左右されるといわれています。
アーリーマジョリティ(前期追随者)
アーリーマジョリティは、新しい商品やサービスへの興味はあるものの、購入に関しては慎重なユーザーを指します。市場全体の34%を占めていて、購入するかどうか慎重に判断しつつ「流行に乗り遅れたくない」と思っている人が該当します。
アーリーアダプターによる口コミなどによって安心やメリットが感じられると、新しい商品やサービスの購入に踏み切るケースが多いです。
レイトマジョリティ(後期追随者)
レイトマジョリティは、新しい商品やサービスに懐疑的で、興味をあまり持っていないユーザーのことです。市場全体の34%を占めていて、周囲の動向をみながら購入するかどうかを検討することから「フォロワーズ」とも呼ばれます。自分から積極的に新商品を取り入れることはありません。
保守的ではありますが、新しいものへ拒否感を持っているわけではないため、商品が世間に浸透しているとわかると購入します。
ラガード(遅滞者)
ラガードは新しい商品やサービスに興味がない保守的なユーザーのことで、市場全体の16%を占めているといわれています。新しいものに興味がないだけでなく、拒否感を抱いているのが特徴です。「世間の多くが使っているから」といった理由では購入しません。
新しい商品やサービスが世間に受け入れられ、「伝統的」「文化的」といった位置づけになるまでは採用しない層です。
キャズム理論とは?
キャズム理論は、イノベーター理論を活用して商品の普及を図る際に押さえておきたい考え方です。「市場の16%を占める初期市場とメインストリーム市場の間には深い溝があり、この溝を乗り越えなければ商品は普及せず消えていく」とする理論です。
出典:VR(仮想現実)は5?10年かけて市場を創る:テクノロジー動向を注視せよ(遠藤司) - 個人 - Yahoo!ニュース
初期市場とメインストリーム市場の境界であるアーリーアダプターを超えて、アーリーマジョリティにまで受け入れられるかどうかが、商品普及の分岐点といわれています。
キャズムとは?
キャズムは「深い溝」のことで、マーケティング分野では商品を浸透させる際の障壁、乗り越えなければならない溝といった意味で使われます。初期市場とメインストリーム市場、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある溝を示しています。
キャズムができる理由
キャズムができる理由として、アーリーアダプターとアーリーマジョリティで重視するポイントに違いがあることが挙げられます。アーリーアダプターは商品の新しさを重視しますが、アーリーマジョリティは安心感なども求めているのが特徴です。
初期市場である市場の16%にしか採用されていない商品は、アーリーマジョリティにとって安心感が不十分で購入に踏み切れません。これが、「アーリーアダプターに浸透しても、アーリーマジョリティには普及しない」とするキャズムが生まれる原因です。
キャズムを乗り越える方法
キャズムを乗り越えるには、アーリーマジョリティの攻略が欠かせません。それは、アーリーマジョリティを攻略しなければ、より慎重なレイトマジョリティやラガードを含むメインストリーム市場まで普及が進まないためです。
商品がアーリーマジョリティに採用されるように、「流行には乗り遅れたくないものの、購入には慎重」という価値観やニーズに合わせたマーケティング施策を進めることが大切です。
イノベーター理論のマーケティング活用方法
イノベーター理論をマーケティングに活用するには、5つのタイプそれぞれに合わせたアプローチをおこないましょう。
ここでは、タイプごとにどのようなアプローチをすべきなのか解説します。
イノベーター(革新者)向け
イノベーターは「革新的」「最先端」などに価値を感じるため、新しさを強調したアプローチが効果的です。例えば、SNSやプレスリリースで新商品の販売開始をお知らせしたり、Web広告などの広告媒体には「新商品」「新発売」といった文言を採用したりすると、イノベーターに興味を持ってもらいやすくなります。
アーリーアダプター(初期採用者)向け
イノベーター理論ではアーリーアダプターを攻略できるかどうかが市場への浸透のカギとされているため、特に力を入れるべきユーザー層です。新しさに加えて商品やサービス自体の価値も重視するため、メリット・ベネフィットがしっかり伝わるようなアプローチをおこないましょう。
例えば、Web広告などの広告媒体に商品の具体的なメリットや、従来の商品からの改善点などを盛り込むと効果的です。
アーリーマジョリティ(前期追随者)向け
キャズム理論ではアーリーマジョリティの攻略が重要とされているため、アーリーアダプターと同様に力を入れるべきユーザー層であるといえます。アーリーマジョリティは新商品の採用には慎重なものの、「流行には乗り遅れたくない」と思っているため、多くの人が利用しているとわかると購入してもらえる可能性が高いです。
例えば、Web広告やSNSでは商品のメリットに加えてすでに流行していることや利用事例をアピールすると、アーリーマジョリティに響きやすくなります。
レイトマジョリティ(後期追随者)向け
レイトマジョリティは流行など周囲の動向に合わせて新商品の採用を検討するため、半数以上の人が購入していると感じた時点でようやく検討をはじめるのが特徴です。このような価値観のユーザーにアプローチするには、まず普及率を高めなければなりません。
また、レイトマジョリティは商品のメリットが感じられ、安心感につながる要素がなければ採用を検討しないため、Webサイトや広告では安全性や商品の良さをアピールしましょう。
ラガード(遅滞者)向け
ラガードは新しいものに拒否感があり、商品が伝統的な位置づけになるまでは採用しないため、まずは興味だけでも持ってもらえるような施策が必要です。WebサイトやWeb広告を活用してユーザーの目に触れる機会を増やし、認知度を高めていきましょう。その際、大多数が商品を利用しているとわかるデータを用いるのがポイントです。
イノベーター理論を活用して市場への普及率向上を目指そう
イノベーター理論は、価値観や行動から消費者を5つのタイプに分類する理論です。タイプごとに重視するポイントが異なるため、ターゲットとするユーザー層に応じたマーケティング施策を実施する必要があります。
市場での普及率を高めるためにはアーリーアダプターの攻略がポイントになるため、広告では新しさに加えてメリットや価値もアピールすると効果的です。また、キャズム理論ではアーリーマジョリティに普及するかどうかが分かれ目とされているので、アーリーアダプターへの普及が進んでからの施策にも力を入れましょう。
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