リスティング広告のレポート、作成のポイントは? 計測すべき情報や注意点を紹介
リスティング広告の運用においてレポーティングは欠かせないものです。定期的に配信結果を振り返り分析することで、今後の運用方針を決定することができます。では、リスティング広告のレポートはどのようなデータを計測して体裁を整えるべきなのでしょうか。
本記事では、リスティング広告におけるレポート作成のポイントを解説します。
リスティング広告のレポートを作る際に考えるべきこと
リスティング広告のレポートを作成する際、考えるべきポイントは2つあります。ひとつは「広告配信の目標」は何かを意識すること、もうひとつは「誰に」「どんな目的で」報告するレポートかを整理することです。
これらを意識してレポートを作れば現状を把握でき、結果を報告すべき上司や担当者に対して広告の成果や分析結果を明確に伝えられる可能性が高まります。ここでは、それぞれのポイントについてまとめます。
広告配信の目標は何か
「目標=ゴール」を意識していないと、計測が必要なデータがどのようなデータなのか不明瞭なまま配信を進めなくてはなりません。数値をただ羅列しただけのレポートでは状況を把握したり改善につなげたりするのが難しく、報告すべき情報として不十分です。
たとえば「3ヵ月のキャンペーン期間中に100件以上のコンバージョンを獲得する」のが広告配信の目標だとします。こうした場合、レポートに記載すべきは集計時点での獲得数値と達成状況だけではありません。定期的に集計した数値の変化も追い、もし途中で数値が悪化した場合はその要因を分析し、改善案とあわせて報告します。そして、今後どのような運用をおこなっていくのかを明らかにします。
目標に対する事実を正確に伝え、目標達成に向けたプランを打ち出せれば、決定権を持つ担当者が適正な判断をするための手助けにもなります。
誰に、何のために見せるレポートか
誰に何のために見せるレポートなのか、対象者と目的を意識する必要があります。一般的には以下のようなケースが考えられるでしょう。
・ 誰に:チーム内メンバー、上司、経営層
・ 何のために:データ共有のため、課題を解決するため、費用対効果を把握するため
また、上司に対して課題を説明するためのレポートを作る場合は、定期的なデータをグラフなどでまとめ、課題を可視化しやすいようにします。
コンバージョン率が低下し、それと連動してランディングページを何度差し替えてもCVRが改善されない場合、それをレポートにして報告する必要があります。そうすることで、データをもとに課題を発見したり改善策を打ち出したりしやすくなります。
また、リスティング広告の費用対効果を改善するための分析をおこなうケースもあります。リスティング広告では獲得単価(コンバージョン1回あたりの獲得費用)が容易に算出できるので、売上との比較が簡単におこなえます。リスティング広告での獲得単価が低ければ「さらに予算を投入する」という判断が、逆に売上のほうが低ければ「リスティング広告の予算やキャンペーン設定の見直しをおこなう」といった判断がしやすくなるでしょう。
売上が変化しやすい商材は、変動する売上とリスティング広告の費用を比較した場合に複雑なデータになりやすいので、その比較のためにもレポートが必要です。
このように、誰に、何のために見せるレポートかを意識して作ると、レポート作成にかかる時間の短縮やレポート自体のスリム化が実現できます。
Yahoo!広告のパフォーマンスレポート
Yahoo!広告のパフォーマンスレポートは、広告の管理画面から簡単にダウンロードできるデータです。キャンペーン、広告グループ、広告、キーワードなどの成果を集計でき、期間別でも確認できます。ここではそれぞれのレポートをご紹介します。
なお、Yahoo!広告のパフォーマンスレポートについてはこちらでも解説しています。併せてご覧ください。
Yahoo!広告 「パフォーマンスレポートの作成」
アカウントレポート
アカウント自体のパフォーマンスレポートです。アカウント内全総計のデータを出力できます。
キャンペーンレポート
キャンペーンごとのパフォーマンスを確認できるレポートです。キャンペーンを分けて広告を配信している場合はキャンペーン間の比較が可能になります。
広告グループレポート
広告グループごとのパフォーマンスを確認できます。広告グループ配下のすべての広告、キーワードのデータを含みます。
広告レポート
広告ごとのパフォーマンスを確認できます。広告を複数作成してそれぞれのパフォーマンスを把握したり、ABテストなどをおこなったりする際に活用しやすいレポートです。
キーワードレポート
登録しているキーワードのレポートと実際に広告が表示された検索クエリーのレポートが確認できます。
なお、「検索クエリー」はユーザーが実際に検索した言葉を指し、「キーワード」は広告掲載のために登録する単語や単語の組み合わせを指します。間違いやすいため注意しましょう。
検索クエリーレポートでは、ユーザーが検索したキーワードのほか、検索クエリーのマッチタイプなどが確認できます。どのような検索キーワードに対し広告が掲載されたのか、クリックされているか、注力すべきかなどの分析に役立つでしょう。
レポートに載せるべき情報は?
リスティング広告の運用レポートに乗せるべき情報を整理してみましょう。レポートに必須の情報は以下の3点です。
リスティング広告運用の概要
はじめに、そもそもなぜリスティング広告を運用しているのかを示します。
運用が長期間になればなるほどこうした前提はないがしろになりやすい傾向にあります。リスティング広告運用の概要はプロジェクトにかかわるメンバーで定期的に共有しておきましょう。
また、レポートで数値を振り返るためには、運用目的、予算、目標、施策の内容、期間などの情報が必要です。レポートを作る時間や報告する時間を有意義にするためにも、軸となるこれらの情報は掲載しておきましょう。
予測と実施結果との比較
数値予測と実施結果の比較をレポートします。
まずは数値的な総括をおこないましょう。着目すべき顕著な数値変化を中心に記載します。
例えば「クリック数が倍増した」「コンバージョンが50件増加した」「表示回数は減少したが、クリック率は上昇した」などの変化です。その際、誰が見てもそれがよいことなのか悪いことなのか判断できるようにわかりやすく記載しましょう。
数値変化の要因も併せて伝える必要があります。例えば「広告費を2倍に増額した」「競合が広告出稿を抑制している」などの情報です。
明確な理由が分からない場合も、その他の指標や市場変化などをもとに分析して報告しましょう。
何が、どのくらい、どのようにして変化したのか、この3点セットを意識してレポートしましょう。
なお、数値の変化についてはあまり細かくデータを出しすぎると混乱したり、見るべきデータがどれか分かりにくくなったります。報告において優先すべき情報は事前に擦り合わせておきましょう。
今後の運用方針
数値の変化を報告したら、なぜその変化が起きたのかを分析し、その根拠を記載します。そして、その記載内容を受けた今後の運用方針を打ち出していきましょう。たとえば以下のような形が想定されます。
項目 | 詳細 |
---|---|
分析 | コンバージョン数が先月と比べ50件減少しており、3ヵ月前から右肩下がりである。広告の表示回数も同様に減少していることから、顕在層をほとんど刈り取ってしまったと考えられる。 |
運用方針 |
・ 登録キーワードやマッチタイプを見直し、新たなユーザーに対し広告を配信する ・ 準顕在層が検索すると考えられるキーワードを新たに追加する |
改善後の追加報告 | クリック数が上昇したもののコンバージョン数は先月比20%の改善にとどまっている。 |
新しい提案 | リスティング広告での新規流入顧客に対しコンバージョンへのハードルを下げる必要がある。LP内でのキャンペーンを新たに設置するなど、ランディングページを含めた改善を検討すべき。 |
レポートを用いて効果的に振り返りをおこなうには?
レポートは報告することが目的ではありません。レポート作成を通して目標達成に必要な施策を考え、それを提案・実践していくことが大切です。また、振り返りを効果的なものにするためには、現状の課題を分析し、その課題をクリアするためのアイデアを運用に活かす必要があります。
目標との距離感を測りながら達成までの道筋を逆算し、もっとも効果的な手段を見つけていきましょう。
レポート作成の前に目的を考えよう
ここまで、リスティング広告のレポートの作成ポイントについてご紹介してきました。
ポイントを絞ってレポートすることで重要な箇所が可視化され、次のアクションに向けた判断をスピードアップできます。
Yahoo!広告では、パフォーマンスレポートの作成サービスを通じてリスティング広告の効果的、効率的な運用をサポートしています。ぜひこの機会にYahoo!広告のリスティング広告のご活用をご検討ください。
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