セグメントとは? ターゲットとの違いやWeb広告への活用法
マーケティング用語のセグメントとは、特定の条件で絞り込んだ見込み客のグループのことです。効果的なWeb広告運用のためにも、セグメントの作成が重要です。
本記事では、セグメントとは何か、設定する目的を解説した後、セグメント作成のための代表的フレームワークの「4R」と「4つの変数」の手法を説明します。また、セグメント作成後におこなうターゲティング、ポジショニング、Web広告運用のポイントも紹介するので、自社マーケティングに活用してください。
セグメントとは?
マーケティング用語でのセグメントとは、市場に存在する見込み客を、特定の条件で細分化したグループです。例えば、セグメントを設定する際には、年齢・性別・地域などの条件が一般的に用いられます。また、セグメントを設定することをセグメンテーション(市場細分化)とも呼びます。
セグメントを設定する目的
セグメントを設定する目的は、見込み客を自社のマーケティング戦略に沿って細分化し、より効果的に見込み客にアプローチすることです。
Web広告運用でもセグメントの設定は重要です。マスメディアを用いたマーケティングと異なり、特定のセグメントは特定の場所に偏りやすい傾向があるためです。例えば、自社商品に関心が高そうなセグメントが多く集まるWebサイトに広告を出稿すれば、費用対効果を高められるでしょう。
また、消費者ニーズが多様化するなかで売上向上を図るためにも、セグメンテーションが欠かせません。
セグメントとターゲットの違い
ターゲットとは、複数のセグメントのなかから、マーケティングの目的に基づいて選ばれた1つまたは複数のセグメントです。例えば、セグメントA・B・Cがあり、もっとも売上向上が期待できるセグメントBを選んだ場合は、セグメントBがターゲットです。セグメントの中からターゲットを選ぶことをターゲティングと呼びます。
そのため、セグメントの集合のほうがターゲットの集合よりも大きな分類になります。「見込み客全体>セグメントの集合>ターゲット」という包含関係があるため、マーケティング・広告運用の担当者は、2つの用語を区別して使うことが必要です。
セグメントで重要な4つのRの条件
セグメントを作成・評価するための代表的な手法・フレームワークは「4R」と「4つの変数」の2つです。これらを有効活用するには、単純にフレームワークに基づいて切り分けるのではなく、顧客ニーズに基づいた自社ならではの価値訴求に基づいた整理が重要です。
ここでは、まず4Rを解説します。4Rでは、見込み客を次の4つの条件を軸に分析します。
- Rank(顧客の優先順位)
- Realistic(規模の有効性)
- Reach(到達可能性)
- Response(反応の測定可能性)
それぞれ詳しく解説します。
Rank(顧客の優先順位)
経営戦略上の優先順位にしたがってセグメントを評価するための条件です。そのため、マーケティング戦略を明確にしておかなければ、Rankで分類できません。
例えば、コンバージョン(商品購入や資料請求など)率を高めたい場合は、見込み度の高さが重視されます。そのため、優先順位が高いのは、自社サイトにアクセスした履歴があるユーザーや、過去に自社商品の購入履歴があるセグメントになります。
Realistic(規模の有効性)
十分な売上や集客、広告掲載数などを得られるかを調べる条件です。マクロの要素では、例えば、国や性別などをもとにセグメントを作成・評価します。細かく分析する場合は、広告掲載先のWebサイトのアクセス数や特定の検索キーワードの検索ボリュームを調べるなどが考えられます。
Reach(到達可能性)
広告や商品・サービスを届けられるか調べる条件です。Reachを考慮してセグメントを作成すると、範囲の絞り込みが可能です。
具体的には、現在の広告掲載チャネルで見込み客に接触できたか、自社の流通ルートで利益が出るエリアはどこまでかなどを考慮します。Web広告運用でReachの検討が不十分だと、十分な掲載数やクリック数を確保できないなどの問題が起きかねません。
Response(反応の測定可能性)
セグメントの属性や行動履歴などを定量的に測定できるかを調べる条件です。セグメントを作成・評価するときだけでなく、広告掲載後の成果測定も検討しましょう。
Responseの考慮は、精度の高いセグメンテーションに重要です。定量的なデータを入手すると、経験や勘に頼らない客観的な分析を実施できます。
セグメンテーションの変数の種類
「4つの変数」に基づくセグメンテーションは、以下の4種類を軸に分類します。
- 地理的変数
- 人口動態変数
- 心理的変数
- 行動変数
それぞれ詳しく解説します。
地理的変数
地理的変数(ジオグラフィック変数)としてよく用いられる項目は、以下のとおりです。
項目 | 具体例 |
---|---|
世界の地域 | 国、アジア・ヨーロッパなどの範囲など |
日本の地域 | 都道府県、市区町村、東日本・西日本など |
気候 | 温度、降水量、日照量など |
人口 | 人口数、人口密度、人口分布など |
文化 | 国民性、インフラの整備状況、都市化の度合など |
宗教 | 各宗派の割合、宗教の慣習など |
地理的変数は、地域の特性が売上に影響しやすいビジネスで重要です。例えば、食料品や衣料品、電化製品などを扱う企業では、初期段階のセグメンテーションに地理的変数を用いることになるでしょう。
人口動態変数
人口動態変数(デモグラフィック変数)としてよく用いられる項目は、以下のとおりです。
項目 | 具体例 |
---|---|
年齢 | 20代・30代、30歳以上35歳未満、若年層・シニア層など |
性別 | 女性・男性・どちらでもないなど |
居住地 | 都道府県、市区町村、東日本・西日本など |
家族構成 | 既婚・独身・子どもの有無、世帯人数など |
収入 | 年収300万円以上、平均給与30?40万円など |
職業 | 会社員・自営業・公務員、教師、プログラマーなど |
学歴 | 高校卒・大学卒など |
人口動態変数は、一般消費者向けのビジネスでよく用いられる種類です。上記のような項目でセグメントを分けてから、複数のセグメントに属する人をターゲットにできます。また、「女性・20代」のように、セグメンテーションの段階で複数の条件を組み合わせることもあります。
心理的変数
心理的変数(サイコグラフィック変数)としてよく用いられる項目は、以下のとおりです。
項目 | 具体例 |
---|---|
社会的階層 | 富裕層・中間層・低所得者層など |
パーソナリティ | 外交的・内向的、楽観的・悲観的など |
ライフスタイル | 伝統尊重派、社会達成派、自己顕示派など |
価値観 | 新しい商品を好む、定評のある商品を好むなど |
購買動機 | 安全性を重視する、価格を重視するなど |
心理的変数は、消費者の心理的傾向によってペルソナを作成し、セグメントのなかからターゲットを決める際によく用いられます。このような傾向は従来、分析が困難でしたが、近年は収集できるデータが増えたことやビッグデータの活用によって、精度が高まってきました。
行動変数
行動変数としてよく用いられる項目は、以下のとおりです。
項目 | 具体例 |
---|---|
追求するベネフィット | 安い、品質がよい、すぐに入手できるなど |
使用頻度 | ヘビーユーザー、ライトユーザーなど |
利用する場面 | 日常で利用する、休みの日に利用する、イベント・行事で利用するなど |
購入までのフェーズ | 認知あり、認知なし、情報あり、関心ありなど |
行動変数は、例えば顕在層・潜在層に分けたり、ロイヤルカスタマーをみつけたりするのに活用できます。行動変数に応じてアプローチを変えることで、マーケティングの効果が高まる場合があります。
セグメンテーション後におこなうべき戦略
セグメンテーションが完了した後は、以下の順序でそれぞれ戦略を立案します。
- ターゲティング:セグメントのなかからマーケティングに適したターゲットを選ぶ
- ポジショニング:競合他社・市場動向を分析して自社の立ち位置を決める
- Web広告の配信:広告種類と広告媒体を選び、適切な配信設定をおこなう
それぞれ詳しく解説します。
ターゲティング
セグメンテーションは見込み客を分類しただけの状態なので、セグメントのなかから、マーケティング効果が期待できるターゲットを選びます。
ターゲットとなるセグメントは多すぎても少なすぎてもいけません。多すぎると広告費用が膨大になり費用対効果が上がりませんが、少なすぎるとクリック数や集客数が減ってしまい、十分なコンバージョン数を得られません。
ターゲティングはWeb広告のターゲティング機能を使う方法が一般的です。例えば、Yahoo!広告では、年齢・性別・地域・サーチキーワード、Webサイトなどの多様なターゲティング機能を利用できます。
ポジショニング
ターゲットが決まったら、どのように自社商品を訴求するのかの立ち位置(ポジション)を決めます。このプロセスでは、市場シェア、競合他社と比較した場合の強み・弱み、広告チャネル、販売ルートなどの総合的な検討が重要です。
ポジショニングが明確になると、プロモーションの方向性が決まり、ブランド力を高められます。なお、この過程で必要に応じて、ターゲティングのプロセスに戻ることもあります。
Web広告の配信
ターゲットが決まり、どのように自社商品・サービスをアピールするか決まったら、運用方法を明確にしてWeb広告を配信します。
セグメントをもとに作成したターゲット向けの広告を配信するには、広告ごとの種類や特徴を理解したうえで、用途や目的に応じた適切な運用をおこなうことが重要です。
Web広告で主流なのは、検索エンジンの検索結果に広告を出す「検索広告(リスティング広告)」とWebサイトやアプリの広告枠に広告を掲載する「ディスプレイ広告」です。それぞれ特徴があるので、適切に使い分けましょう。
セグメントをWeb広告に活用するには?
セグメントをWeb広告に活用するポイントは、市場に存在する見込み客の、ニーズごとのセグメンテーションです。
「どのような問題を解決したいのか」「どのようなベネフィットを求めているのか」という単位で分類できていれば、ターゲットを選びやすくなります。また、自社のポジショニングに合わせて、どのように訴求すれば望ましい行動を起こしてくれそうかイメージしやすくなるでしょう。
セグメントをWeb広告に有効活用するには、セグメンテーションを単独でとらえるのではなく、ターゲティングやポジショニングと関連付けることが大切です。このマーケティング手法としてよく知られているのが、「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字を取った「STP分析」です。
まとめ
見込み客を特定の条件でセグメントに分けることは、効果的な広告掲載のための最初のプロセスです。自社ならではの価値訴求の観点から、顧客ニーズごとにセグメントを整理するとターゲティングが容易になり、成果も上がるようになります。
Yahoo!広告では年齢・性別・地域などの豊富なターゲティング機能によって、マーケティング戦略に合ったセグメントを絞り込めます。自社にとって魅力的な層にアプローチし、費用対効果の高い広告運用を実現していきましょう。
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