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データマーケティングとは? 始め方や活用メリット・注意点、成功するためのポイントを解説
経験則や勘に頼った意思決定に限界を感じ、データ指向の「データマーケティング」を取り入れる企業が増えています。
本記事ではデータマーケティングとは何か、目的、活用メリットなどの概要を解説したあと、データマーケティングの進め方、注意点、成功のポイントなどを解説します。
データマーケティングとは?
データマーケティングとは、消費者の心理や行動の手がかりとなるデータを収集・分析し、マーケティングを最適化する手法です。データの対象は消費者の年齢や性別、興味や関心、購買履歴、Web上でのアクセスログなどのように、ビジネスによって変わります。
例えば、Web広告経由の契約数からROI(投資収益率)を算出して広告費を最適化することは、データマーケティングの一つです。
データドリブンとは?
データマーケティングは、「データドリブンマーケティング」とも呼ばれます。データドリブンとは、直訳すると「データ駆動」「データに基づいた」という意味を持っています。単独で使われるケースは少なく、「データドリブンマーケティング」のように、あとに言葉を付けて使います。
この場合は「データに基づいたマーケティング」になるため、データマーケティングと同じ意味になります。使われる状況にもよりますが、「データ重視のマーケティング」というニュアンスが含まれることも一般的です。
デジタルマーケティングとの違い
デジタルマーケティングは、次の2つの意味があります。1つはWebサイトやWeb広告、SNSなどから収集できるデジタルデータを活用したマーケティング、もう1つの意味はWeb広告運用やメールマガジン配信など、各種のデジタル技術を活用したマーケティングです。
データマーケティングとデジタルマーケティングの違いは、アナログ(オフライン)のデータ活用や施策を含むかどうかです。データマーケティングの場合は、データ収集元として紙媒体のアンケートなどを含みますが、デジタルマーケティングは含みません。また、データマーケティングはチラシ配布などのオフライン施策を含みますが、デジタルマーケティングにはありません。
近年はデジタルマーケティング技術が発展したため、企業のデータ活用が普及しました。それにともない、データマーケティングもマス広告からWeb広告への移行が進むなど、オンライン施策重視にシフトしています。
データマーケティングの目的
データマーケティングの目的は、よくありがちな経験則や勘に頼って意思決定するのではなく、客観的なデータをもとに意思決定をおこなうことです。データドリブンの意思決定をすれば、次のような効果を得られます。
- マーケティングの失敗リスクが減る
- 顧客目線のマーケティングを実現できる
- 情報シェアや意思統一を図りやすく、生産性が向上する
属人的な意思決定方法からデータマーケティングに移行する企業は増えています。その背景には、IT技術の進化により入手できるデータが飛躍的に増えたことが挙げられます。
データマーケティング活用のメリット
ここではデータマーケティング活用のメリットをより具体的に解説します。売り上げ向上や顧客獲得などの企業側のメリットだけでなく、顧客側にもよい影響が出るのがデータマーケティングの特徴です。
サービスや商品を効率よく販売できる
顧客のニーズや行動パターンを踏まえたマーケティングができるため、効率よくサービスや商品を販売できます。また、無駄な活動に時間や費用を使うケースが少なくなり、顧客ニーズに的確に応えられるため、費用対効果(ROI)も向上できるでしょう。
例えば、顧客が自社のサービスを知ったきっかけを調べたところ、チラシよりも検索エンジン経由のほうが大幅に多ければ、リスティング広告(特定のキーワードの検索結果上部に表示するWeb広告)の予算配分を増やせます。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を図れる
データマーケティングはパーソナライズされたアプローチにも役立ち、結果としてカスタマーエクスペリエンス(CX)も向上できます。CXとは、商品認知から商品購入、購入後までのすべてのタッチポイントでの顧客体験です。
CXを高めるためには、顧客が求めている情報を適切な方法で届けることが大切です。そのためには自社起点のマーケティングでは限界があり、ターゲットに合わせたきめ細やかな顧客目線のマーケティングが欠かせません。
こうした精度の高いデータマーケティングができると、「顧客ロイヤルティ」と呼ばれる自社への愛着や特別感を育てられます。その結果、リピーターやファンが定着しやすくなり、よい情報を拡散してくれるようになります。また、LTV(顧客生涯価値、取引開始から終了までに顧客がもたらす利益)が長くなることによる業績向上も期待できるでしょう。
業務におけるリスクを分散できる
データマーケティングが社内に浸透すると、業務の属人化リスクも抑えられます。例えば特定の担当者でないと満足してもらえないなどは、顧客のニーズや行動をデータとして可視化することで防げる可能性があります。
また、企業側からすれば、従業員のスキルや経験によらず、一定水準のクオリティーを保てることもメリットといえます。リーダーやベテラン社員のいわゆるKKD(経験・勘・度胸)に頼る場面も減るでしょう。場合によっては、主観的で偏った判断によるマーケティングリスクも予防できます。
顧客との関係性向上が期待できる
データマーケティングが定着すると、顧客との信頼関係構築と維持に必要な、継続的で一貫性のあるアプローチを実現できます。先に述べたように、社内で顧客データを共有すれば、誰でも同じような方法でコミュニケーションやサポートができるためです。
したがって、データマーケティングは近年注目されている、顧客と長期的な信頼関係を築いて利益の最大化を目指すLTV向上施策と相性がよい面があります。
データマーケティングの方法と進め方
データマーケティングは「データ収集→データ分析→施策実行」の順番で進めます。それぞれのプロセスのポイントを解説します。
①データを収集する
まずは顧客データの収集をおこないます。これはデータマーケティングの土台となる重要なプロセスです。集めるデータは商材やビジネスモデルによって変わるため、適切なものを選びましょう。一例を挙げると以下のような項目です。
顧客属性 | 性別、年齢、職業、住んでいる地域、関心があるカテゴリーなど |
顧客行動 | 購買履歴、商品認知から購入に至った経路、Web広告やECサイトなどでのアクセス履歴など |
顧客心理 | アンケートへの回答、Webページの滞在時間、Web上でのヒートマップ(Webページ内のマウスの動きなどを色の濃淡で表現したもの)など |
また、データ収集方法もさまざまです。Webフォームを使ったアンケートやWebサイトのアクセス解析、リサーチ会社への依頼、ビッグデータの活用など、従来に比べて入手チャネルが増えています。自社の予算や人的リソース、効率性などを総合的に考えて決めましょう。
②データを分析する
次に集めたデータを分析します。課題や問題点を洗い出し、原因を特定したり、仮説を立案したりするプロセスです。なるべく主観的な解釈が入らないように、データドリブンで進めましょう。
高度なデータ分析には、データサイエンティストやデータアナリストなどの専門人材が必要です。また、次のような分析手法の知識が必要になる場合もあります。
ABC分析 |
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テキストマイニング |
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クラスター分析 |
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③解決策の抽出と実行
分析が完了したら、解決策を検討し実行します。データマーケティングは施策の成果測定もデータでおこなうため、大きな目標(KGI)だけでなく、小さな目標(KPI)も設定しておきましょう。
例えば、売り上げ向上のためにディスプレイ広告を活用するなら、広告の表示数やクリック数などのKPIを設定して施策を実施すれば、現状分析や軌道修正などがしやすくなります。
また、施策の実施手順を書いたアクションプランを配布したり、カスタマージャーニーマップを共有したりすることも大切です。この作業を省略してしまうと、情報シェアや意思統一をしやすいデータマーケティングのメリットが薄れてしまいます。
カスタマージャーニーの詳細はこちらの記事で解説しています。
データマーケティングをおこなうときの注意点
データマーケティングには、専門的なデータ解析の知識と各種ツールを使いこなす知識が必要です。自社で一からデータマーケティングをはじめる際は、統計学やABC分析などのフレームワークを知っておかなければなりません。
また、データ収集・分析するプラットフォーム「DMP」やアクセス解析ツール、データを視覚化するのに特化した「BI」、顧客データを一元化する「CDP」などを使うスキルも求められます。
このようなハードルにより、担当者がデータドリブンな施策を実行できないケースが多いため注意しましょう。担当者同士のスキル差が大きい場合も、データ収集や分析にブレが出てしまいます。
データマーケティング成功のポイント
データマーケティングを成功させるには、データ収集から施策実施までを一貫させてデータを最大限活用する必要があります。ここでは、そのポイントを「データ収集の目的を明確化する」「データ化しやすいように施策を打つ」「PDCAを回す」の3つに分けて解説します。
データ収集の目的を明確化する
目的も決めずにデータを収集しても、活用が難しくなってしまいます。新規顧客獲得やLTV向上、リピート率の向上など、しっかり目的を決めておきましょう。目的が決まれば、収集すべきデータと分析方法もはっきりしてきます。
例えば、自社商品の認知度向上を目的にするなら、「ディスプレイ広告の広告表示数によって成果を推測しよう」などと方針が定まります。データはいくらでもあるため、目的を決めずにデータ収集すれば手間とコストが増えてしまいかねません。
データ化しやすいように施策を打つ
データ化しやすい施策を選ぶこともデータマーケティングを成功させるポイントです。もし定量的なデータで成果測定できない施策を選んでしまえば、効果的なデータマーケティングができていたのか、判断できなくなってしまいます。
したがって、はじめはWeb広告などのデジタルマーケティングに限った施策を打つほうがよいでしょう。Web広告なら、Yahoo!広告などの媒体側が自動的にデータを収集しているうえに、分析機能も利用できます。専門的な知識も必要ないため、取り組みやすいデータマーケティングといえます。
例えば、Yahoo!広告の「パフォーマンスレポート」では測定期間や対象広告、ユーザーの年齢などを任意に指定してデータを抽出できるため、さまざまな切り口で顧客の心理や行動を分析し、効果的な広告運用に改善していけます。
パフォーマンスレポートについて詳しく見る
PDCAを回す
デジタルマーケティングの改善策を抽出するには、PDCAを回すことが重要です。現在有効なデータマーケティングであっても、顧客の心理や行動は変わり続けていくため、機能し続けるとは限りません。
「データ収集→データ分析→施策実行→成果検証→改善」というサイクルを繰り返しながら、データマーケティングを継続していきましょう。
データマーケティングはWeb広告からスタートするのがおすすめ
データマーケティングをおこなえば、客観的なデータに基づいてサービスや商品を効率よく販売できるようになります。結果的に顧客ニーズに寄り沿った企業活動となるため、リピーターやファンの定着につながります。
データマーケティングが特に向いているのは、データ収集と分析、施策実施が同じプラットフォーム上でおこなえるWeb広告です。データマーケティングのハードルとなりがちな専門知識が必要ないため、まずは自社の広告運用からデータマーケティングを導入してはいかがでしょうか。
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