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【図解】ロジックツリーとは?4つの種類や作り方・考え方を具体例とともに徹底解説
ロジックツリーとは、問題の原因や解決策をツリー状に分解して分析するフレームワークです。この考え方や作り方を把握しておくと業務改善にもつながります。何となく知っている人も多いでしょうが、階層化した箇条書きと何が違うのかよくわからない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回はロジックツリーとは何か、4つの種類、メリット・デメリット、ロジックツリーを正しく作成するための注意点、作成例などを解説します。
目次
1. ロジックツリーとは?どのような意味?

ロジックツリーとは、分析対象の要素や、問題点、解決策を論理的に分解して分析するためのフレームワークです。分析課題を木の幹とすると、これを論理的に分解した要素が枝となり、さらに分解した要素が葉となるという意味で、ロジックツリーと名付けられています。
具体的な分析課題としては、以下などが挙げられます。
■売り上げを拡大する
■顧客数を増やす
■新規顧客を増やす
■顧客離れを防ぐ
■客単価を上げる
■商品単価を上げる
■購入数を増やす
ロジックツリーを作成すると、複雑な分析対象を整理できるようになります。
1-1. ロジックツリーの活用例
後ほど詳しく解説しますが、ロジックツリーの活用例をここで簡単にご紹介します。
集客数の向上
「集客が伸び悩んでいる」という課題に対して、何が有効なのかをブレイクダウンしながら考え、最終的に「Web広告の活用」などの具体的な打ち手を導き出します。
広告運用(リスティング広告)の改善
課題から打つべき施策を導き出すだけでなく、すでに打っている施策の状況を改善する上でも有効です。
例えば、「リスティング広告のクリック数が少ない」という状況があるとすれば、そこから「広告表示回数が少ない」「クリック率が低い」などの原因を分解し、掘り下げていきます。
2. ロジックツリーの種類と具体例
ロジックツリーの種類は、要素分解ツリー、原因追求(原因研究)ツリー、問題解決ツリー、KPIツリーの4つに分けられます。目的に合わせて使い分けましょう。
2-1. 要素分解ツリー(What)

要素分解ツリーとは、Whatツリーとも呼ばれ、問題の要素を分解して全体を網羅的に把握するためのロジックツリーです。
例えば、Yahoo!広告の種類を要素分解ツリーで表すと、このようなツリー状になります。
○Yahoo!広告
○ディスプレイ広告
■ディスプレイ広告(運用型)
●バナー広告
●レスポンシブ広告
●動的ディスプレイ広告
●テキスト広告
●動画広告
■ディスプレイ広告(予約型)
●バナー広告
●予約型専用広告
○検索広告
要素分解ツリーにおける上位要素と下位要素のつながりは包含関係にあります。
また、同階層ではカテゴリーと粒度を揃えるのもルールです。一例として、野菜とにんじんのような上位要素と下位要素の包括関係を思い描いてみるとわかりやすいでしょう。
2-2. 原因追求(原因研究)ツリー(Why)

原因追求(原因研究)ツリーとは、Whyツリーと呼ばれ、問題となっていることの原因を細分化して問題を特定するために用いるロジックツリーです。
例えば、「リスティング広告のクリック数が少ない」という問題がある場合に、原因追求ツリーを使うと以下のように分析できます。
■リスティング広告のクリック数が少ない
○広告表示回数が少ない
■入札単価が低い
■広告予算が少なすぎる
■選定しているキーワード数が少なすぎる
■ターゲティング設定が狭すぎる
○クリック率が低い
■広告のタイトルや説明文に訴求力がない
■広告表示オプションが活用されていない
■掲載順位が低い
■広告とキーワードの関連性が低い
原因追求ツリーでは、下位要素が上位要素の直接の原因になるように分類します。論理が飛躍しないように、1つずつ「それはなぜか」と検討していくとよいでしょう。
2-3. 問題解決ツリー(How)

問題解決ツリーとは、Howツリーとも呼ばれ、問題解決のためのアクションを決めるためのロジックツリーです。
問題解決ツリーと原因追及(原因研究)ツリーは、コインの裏表のような関係といえます。原因追究ツリーで発生の各原因を突き止めたあと、それをどう解決していくのかの手段を具体的に考える際に役立ちます。
先ほどの原因追及ツリーで「リスティング広告のクリック数が少ない」という原因に対する解決策を問題解決ツリーで分析すると、以下のようなアクションが考えられます。
■リスティング広告のクリック数を増やす
○広告表示回数を増やす
■入札単価を上げる
■広告予算を増やす
■キーワードを追加する
■ターゲティング設定の見直し
○クリック率(CTR)を上げる
■広告文の見直し
■広告表示オプションの設定
■掲載順位を上げる
■キーワードの見直し
問題解決ツリーでは、下位要素が上位要素を改善するアクションになるように分類するのがポイントです。
2-4. KPIツリー

KPIツリーとは、問題解決ツリーのトップにKGIを設定し、その下位にKGI達成に必要なKPIを展開していくロジックツリーです。
KGIとは、経営目標達成指標(KeyGoal Indicator)で、一般的には、売り上げ向上のような事業の最終的なゴールを設定します。
また、KPIは重要業績評価指標(Key Performance Indicat)と呼ばれ、KGIの達成状況、進捗状況を判定できる中間的な目標を設定します。
例えば、KGIがリスティング広告運用による売り上げ向上の場合、KPIツリーは次のとおりです。ここでは広告経由での売り上げを見るようにしています。
●売り上げ
○コンバージョン(CV)数
■クリック数
●インプレッション数
●クリック率(CTR)
■コンバージョン率(CVR)
○平均購入単価
このように、KPIツリーでは、数値で測定できる指標でツリーを構成するのが基本です。
KPI、KGIについては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
>「KPIとは? Web広告で用いるべき指標と決める手順を解説」を読む
>「KGIとは? 設定の必要性や例、KPIやOKRとの違いを解説」を読む
3. ロジックツリーを活用するメリット
ロジックツリーはロジカルシンキングを実行するツールとして、さまざまな場面で活用されています。主なメリットをみていきましょう。
3-1. ビジネスでの業務改善につながる
業務上のボトルネックを、その解消に必要な打ち手と併せて導き出せるため、仕事の進め方が効率化したり、スピーディーになったりします。
また、なぜこの課題に対してこの打ち手が有効なのかを言語化することにもつながるため、より納得感をもって仕事を進められるようになります。
3-2. 問題の全体像を把握し、原因を見つけられる
ロジックツリーを用いることで、問題を掘り下げて見える化し、全体像を把握できるようになります。
何かの問題が起こっている場合は、1つあるいは複数の原因が存在します。ロジックツリーを使うと、要素ごとに「それはなぜか」と分析して、ツリー状に原因を深掘りできます。これによって、全体のなかで、どこに問題があるか見つけられるようになります。
3-3. 問題の解決策を導き出すことができる
問題を網羅的に把握し、原因を見つけられれば、問題解決も図れるようになります。上位の問題を解決するための下位の解決策をリストアップしていくうちに、具体的なアクションがみえてくるでしょう。
例えば、飲食店の課題が「顧客満足度を上げる」なら、以下のようにツリーを展開すれば、解決策が具体的になります。
○顧客満足度を上げる
○料理のクオリティーを上げる
○接客・サービスの質を上げる
○店内を清潔に保つ
そして、各要素に対してさらに下位の解決策を洗い出していくと、とるべきアクションが絞り込まれてきます。
3-4. メンバー間での認識の共有がスムーズになる
ロジックツリーは優れた見える化ツールであるため、メンバー間の情報共有がスムーズになる効果も期待できます。言葉で説明するとロジックが伝わりにくいものですが、図で示せば各要素のつながりや、全体の位置づけが一目でわかります。
例えば、問題解決のロジックツリーを示して、各要素の問題解決をそれぞれの担当者に割り振ったとします。この場合、担当者は自分の役割を理解しやすくなるでしょう。また、要素同士のつながりも理解しているため、協力関係もとりやすくなります。
3-5. アクションの優先順位が決めやすくなる
ロジックツリーを用いて解決策をリストアップすると、全体を一望できます。「どの施策だと効果がありそうか」「どの方法が取り組みやすいか」などの観点から、アクションの優先順位を検討しやすくなるでしょう。
具体的には、評価の観点に従って各要素をスコア化するとよいでしょう。例えば、集客数向上のためのロジックツリーが次のように作成されたとします。そして、評価軸が「広告配信までの早さ」とした場合、評価はカッコ内のようになります。
○集客数の向上
○Web広告を配信(〇)
○チラシを配布(△)
○マスメディアへの広告掲載(×)
このように各要素に評価を書き込んでいくことで視覚的にも優先順位を決めやすくなります。
4. ロジックツリーのデメリット

ロジックツリーは万能のツールではないため、使い方を知らないと有益な分析につながらない場合があります。ここでは3つのデメリットを紹介します。
4-1. ロジックツリー通りに進行できるとは限らない
ロジックツリーを作成できても、その通りに実行できるとは限りません。
例えば、自動車の燃費を上げる解決策として軽量化を挙げたとします。確かに、軽量化による燃費向上は期待できますが、軽量化によって他の性能に悪影響が出て、燃費が上がってしまうかもしれません。
ロジックツリーは1対1の論理関係で分析するため、複雑な因果関係を分析しにくいデメリットがあります。したがって、ロジックツリーに頼り過ぎてしまうと、思わぬ失敗につながる可能性もあります。
4-2. ロジックツリー作成自体が目的になりかねない
ロジックツリーは目的達成の手段にすぎません。問題究明や対策立案などのために、情報を整理するフレームワークです。目的なしに分析しても、ロジックツリーの作成自体が目的となってしまい、何のアクションも起こせなくなってしまう可能性があります。
4-3. 創造には向いていない
クリエイティブな発想には、過去にとらわれない視点や、ときには論理的な飛躍などが必要です。ところが、ロジックツリーはすでに存在する考え方や出来事が分析対象です。
また、ロジックツリーは各要素が論理的につながっており、自由な発想を制限する特徴があります。したがって、新しいアイデアを生み出すようなクリエイティブな作業には向きません。
5. ロジックツリー作成時の注意点
ここでは、ロジックツリーを作成する際に失敗しやすい点、意識すべき点を解説します。
5-1. 問題の定義を明確にする
ロジックツリーを作成する際は、問題の定義を明確にしておきましょう。何の要素を分析したいのか、何の原因・問題を特定したいのかはっきりさせておきます。
なぜなら、これらはロジックツリーの最上位の要素になるためです。ロジックツリーは最上位概念から芋づる式に問題をブレイクダウンしていく手法なので、問題の定義を間違えれば、解決策や具体的な行動案も大きく変わってしまいます。
5-2. MECE(ミーシー、ミッシー)を意識する
MECE(ミーシー、ミッシー)とは、簡単にいうと、「モレなくダブりなく」という意味の言葉です。これは、Mutually(お互いに)・Exclusive(重複せず)・Collectively(全体に)・Exhaustive(漏れがない)の英単語の頭文字をとって名付けられています。
MECEはマッキンゼー&カンパニーの社内で使われていた言葉でしたが、ロジカルシンキングの考え方が広まるとともに、よく知られるようになりました。MECEの一般的な例としては、「5W1H」や「年齢区分」による分類などがあります。また、製造業で使われるMan(人)・Machine(機械)・Material(材料)・Method(方法)の「4M」のようなMECEのフレームワークもあります。
ロジックツリーで同じ階層、つまり並列関係を作る際は、このMECEを意識することが重要です。
以下の例では、学生や自由業・自営業などが足りていないため、「モレ」があります。
○職業
○会社員
○主婦・主夫
○パート・アルバイト
また、以下の例では、男性の子どもや女性の子どもがいるため「ダブり」が生じています。(性別と年齢でカテゴリーが違っている点でも問題があります。)
○ユーザー
○男性
○女性
○子ども
ロジックツリーを作成した際は、MECEになっているかをチェックする習慣を付けるとよいでしょう。
5-3. 仮説を立てながら進める
結論をスムーズに導き出すには、仮説を立てながらロジックツリーを作成するのが重要です。ロジックツリーは際限なく要素を挙げて分解できてしまうため、すべてを掘り下げていくと時間がかかってしまいます。そこで、主要な原因や解決策を仮定して、重点的に深掘りしていく姿勢も必要です。
また、下位の要素を作る際に、都度本当に原因や解決策として正しいのか検証していくのも時間がかかります。このため、論理的に間違いがなければ、いったん事実だと仮定して掘り下げていくことで新たな切り口が見つかる場合があります。
5-4. 要素同士の関係性を意識する
先述したように、ロジックツリーの上位と下位の要素は、包含関係または因果関係があります。
包含関係とは、上位の要素が下位の要素を含むことです。例えば、要素分解ツリーで上位要素が「野菜」なら下位要素は「にんじん」のような包含関係にします。
また、因果関係とは、上位の要素の原因として下位の要素があることです。例えば、上位要素が「傘をさす」なら、下位要素は「雨が降る」などです。
縦のロジックが正しくつながっているか確認しながら、ロジックツリーを作っていきましょう。
5-5. 具体的な行動が出るまで掘り下げる
ロジックツリーを作成する際は、最終的に解決策となる具体的な行動が出てこないと意味がありません。
例えば、売り上げ向上のための問題解決ツリーを作成する際に、「顧客満足度の向上」や「ブランディングの向上」など、いろいろな要素を洗い出すのはかまいません。しかし、これらのツリーをさらに深掘りしていかなければ、結局、具体策や仮説に落とし込めないでしょう。具体策や仮説に至るまで階層を増やす必要があります。
5-6. 要素を縦積みにして整理する
ロジックツリーを作る際に、階層分けがうまくできない場合があります。こうした際は、汎用的な分類を活用するのもよいでしょう。多くのケースで使える軸は次の3つです。
●ハード/ソフト:有形の要素と無形の要素に分ける
●イン/アウト:内部要因と外部要因で分ける
●フロー/ストック:単発要素と継続要素で分ける
6. ロジックツリーの作り方・手順
ここでは、ロジックツリーをどう作っていくのかがイメージできるよう、具体例を交えて紹介します。
以下は、リスティング広告のCPA(顧客獲得単価)を改善するという問題解決のためのアクションを決めるためのロジックツリー(問題解決ツリー)の完成図です。

ロジックツリーは、以下の手順で作成します。
1.ロジックツリーの幹となるテーマを決める
2.包含関係・因果関係を意識しながら、MECEに要素を書き出す
3.具体的な行動やタスクに結びつくまで2を繰り返す(分解を繰り返し行う)
6-1. ロジックツリーの幹となるテーマを決める
最初に、解決したい問題や取り組みたい課題を明確にしましょう。ここで決めるテーマはロジックツリーの基本的な幹となり、ロジックツリーの最上位要素となります。
また、目的に応じて原因追求(Why)、問題解決(How)、要素分解(What)、KPIツリーのうち、どれを選択するかを決めます。
今回の例では、中心となる問題は「CPAの改善」を設置しています。また、CPAの改善をするためにどのような解決策があるかを把握するため、問題解決ツリーを選択しています。
6-2. 包含関係、因果関係を意識しながら、MECEに要素を書き出す
テーマが決まったら、次は具体的な要素を書き出していきます。仮説を立てながら考えることで、重要な要素を洗い出していくようにしましょう。
また、この要素を書き出すときには「上位要素に対する包含関係あるいは因果関係になっているか」「MECEに要素を書き出せているか(同じ階層に要素の繰り返しや、見落としがないか)」を意識するようにしましょう。
今回の例では、問題解決ツリーの構成となるよう、下位要素が上位要素を改善するアクション(因果関係)になるように分解する必要があります。
CPAに影響を及ぼす要素(因果関係)としては大きく「CVRを上げる」または「CPCを下げる」というアクションが考えられるという仮説を立て、最上位要素の下に分解して入れています。
さらに、「CVRを上げる」または「CPCを下げる」の下にも、要素を洗い出していきます。それぞれに因果関係があるか、また、MECEを意識して要素を書き出しています。
6-3. 分解を繰り返し行う
要素を分解する作業は、具体的な行動やタスクに落とし込めるまで繰り返します。実行しやすいアクションレベルまで要素を詳細に掘り下げることで、やるべきことも明確になります。
具体的な解決策を洗い出せたら、ロジックツリーの完成です。
7. ロジックツリーを使って業務改善につなげよう
ロジックツリーは、ビジネスのあらゆるシーンで活用でき、なおかつ業務改善に直結する考え方・手法です。
広告運用の業務に携わっている人であれば、「表示回数が少ない」「クリック率が低い」などのよくある課題に対して、原因や有効な解決策をロジックツリーで見つけることができます。
例えば、集客数向上のためにロジックツリーを作って、施策の軸足をオフラインからオンラインへ変更しなければならない場合でも、そうした改善策にフィットする適切なサービスを導き出せます。
LINEヤフーではWeb広告やSNS広告の初心者が導入しやすいYahoo!広告、LINE広告を展開しています。ロジックツリーで導き出した施策を実行したいときは、ぜひ活用しましょう。
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