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マーケティングリサーチとは? 調査の手法例やリサーチの手順、活用ポイントを解説
マーケティング戦略を立案する際には、まず顧客や市場をよく知ることからスタートします。このとき実施するのが「マーケティングリサーチ」です。
本記事では、マーケティングリサーチとは何か、重要性、具体的な手法、マーケティングリサーチの企画から分析までの流れ、活用のポイントなどを解説します。基礎知識の習得や、自社施策検討の参考にしてください。
マーケティングリサーチとは?
マーケティングリサーチとは、顧客のニーズや関心、市場動向などを調査・分析することです。効果的なマーケティング活動をおこなう目的で実施します。
マーケティングリサーチの特徴
マーケティングリサーチには、次の2つの特徴があります。
1.マーケティング戦略立案に先だって実施する
マーケティングリサーチは新たなマーケティング戦略を実施する前におこなう調査です。そのため、現状分析や成果測定などとは異なります。
2.将来の予測、分析を含む
マーケティングリサーチは現状分析や過去の調査もしますが、あくまで今後のマーケティング戦略を立てるために実施します。したがって、データをもとにした将来の予測や仮説立案なども含まれます。
市場調査との違い
市場調査は、顧客や市場を調査する点では同じですが、調査対象は過去から現在までの 現状分析に力点が置かれます。一方、マーケティングリサーチは、将来の顧客や市場の動向を知るために調査や分析をします。
そのため、マーケティングリサーチは未来志向の取り組みといえるでしょう。違いをまとめたのが以下の表です。
マーケティングリサーチ | 市場調査 | |
---|---|---|
調査対象 | 過去?現在?将来 | 過去?現在 |
目的 | 今後のマーケティング戦略立案 | 現状分析 |
将来の予測 | 含む | 含まない |
マーケットリサーチとの違い
マーケットリサーチは市場分析を意味します。そのため、マーケットリサーチとマーケティングリサーチの違いも、先の市場調査との違いと同じです。
ただし、実際のビジネスシーンではマーケティングリサーチとマーケットリサーチ(市場調査)がほぼ同じ意味で使われるケースも多く、違いはあいまいであることを覚えておきましょう。
マーケティングリサーチの重要性
新たなマーケティング戦略を立てる際には、精度の高いマーケティングリサーチが重要です。ここでは、マーケティングリサーチの重要性やメリットを3つに分けて解説します。
1.顧客起点のマーケティングを実現できる
顧客を深く理解することで、顧客が求める商品やサービスを提供できるようになります。また、顧客の声を収集すれば、新商品開発やカスタマーサポートが充実し、効率的な営業活動など事業全体に応用できます。
2.未来志向の戦略立案が可能
マーケティングリサーチにはデータに基づく仮説立案も含まれます。例えば、「Web広告を利用すれば、広範囲に集客できるだろう」「顧客は価格よりデザイン性を求めているのではないか?」などと仮説を立て、それに基づいた戦略を立てられます。
結果として、新規顧客獲得やビジネスモデルの変革などにつながります。
3.経営リスクを回避できる
マーケティングリサーチでは、客観的な事実をなるべく多く収集します。そのため、自社目線の主観的な分析により、顧客や市場からズレた戦略を立ててしまうリスクを減らせます。
マーケティングリサーチの種類
マーケティングリサーチは、大きく2つに分類できます。
1.アドホック調査
アドホック調査とは、特定の目的のために実施される単発調査のことで、調査対象の選定、調査、分析が1回で終わります。そのため、次のような調査に適しています。
- 調査目的がはっきりしている場合
- 他のマーケティングリサーチで不足しているデータを集めて分析したい場合
アドホック調査は、さらに「定量調査」と「定性調査」の2種類に分類できます。
定量調査
「はい/いいえ」「0?1段階評価」「該当する内容に〇を付ける」などのアンケート形式で実施する調査です。
定量調査のメリットは、数字で処理できる「量的データ」で集計するため、統計分析をしやすいことです。ただし、一定数以上のサンプルが集まらなければ、信頼性に足りるマーケティングリサーチになりません。
一方デメリットは、商品に対する顧客の思いや潜在的なニーズなどを分析しにくいことが挙げられます。
定性調査
自由形式で感想を書いてもらったり、討論形式で意見を聞き取ったりする調査方法です。店舗来店者の表情やしぐさなどを分析するのも定性調査に含まれます。
定性調査は、数値化できない「質的データ」で特定の情報を深堀りしたい場合に向きます。例えば「デザインのどこが気に入ったのか」「どのような新機能が欲しいか」などの質問をすれば、実践的な解決のヒントを得られることがあります。
一方デメリットは、定量調査とは異なり、分析者が集計データを解釈しなければならないことです。分析に手間がかかり、場合によっては偏りのある分析結果になってしまうでしょう。
パネル調査
パネル調査とは、同じ対象を何度も同じ方法でリサーチする方法です。例えば、自社化粧品の特定の顧客に半年に1回、同じ質問のアンケートを実施して回答してもらうなどです。
パネル調査は既存顧客を対象に、数ヵ月?数年のスパンで実施されることが一般的です。時系列でユーザーの心理や行動を分析することで、より深く顧客を理解できるようになります。
ただし、既存顧客の負担となる場合があるため、クーポン券や謝礼など、何らかの見返りを用意する方法がよくとられます。
パネル調査の際にも、定量調査と定性調査の2種類があります。
マーケティングリサーチの手法例
ここでは、マーケティングリサーチの主要な手法を量的データ(定量調査)と質的データ(定性調査)に分けてご紹介します。
量的データの調査方法
まずは、量的データのリサーチによく用いられる4つの方法を見ていきましょう。
1.インターネット調査
インターネット経由でアンケートを実施する方法です。リサーチできる内容は、はがきやアンケート用紙などと基本的には変わりません。
インターネット調査のメリットは、コストがかからず、実施と集計も容易なことです。自社のホームページやSNSでポイント付与やプレゼントなどの特典を設ければ、短期間で多くのサンプル数を集めることも可能です。
一方、手軽なインターネット調査になるほど、回答の信頼性が低くなる傾向があります。また、プライバシーに関する調査などでは十分な注意が必要です。
2.会場調査
イベントやセミナーなどの会場で、直接質問をして回答を集める方法です。自社の見込み客限定で調査する場合と、不特定多数の人に声をかけるストリートキャッチ方式があります。
会場調査のメリットは、実際の商品を見たり使ったりしてもらった顧客の意見をその場で聞くため、質の高い情報を集めやすいことです。また、自由形式でヒアリングするなど、定性調査と組み合わせやすい面もあります。
一方デメリットは、実施コストが高く、多くのサンプルを集めにくい点です。また、顧客の迷惑になる恐れがあることにも注意しましょう。
3.郵送調査
調査票を掲載したはがきなどを郵送して、記入後に返信してもらう方法です。既存顧客やセミナー参加者などのように、氏名と住所を知っている人が調査対象になります。
郵送調査はパソコンやスマートフォンを使わないため、シニア層や子どもなどに向く方法です。一方、インターネット調査よりはコストがかかるうえ、思ったように回収率が上がらないこともあります。
4.ホームユーステスト調査
自宅で商品を利用してもらい、使用感などを伝えてもらう方法です。より正確な評価を得られることから、化粧品や健康食品などでよく用いられています。
一方デメリットとして、サンプル品の提供や貸出商品の使い方など、サポートにともなうコストがかかることが挙げられます。また、商品によってはホームユーステスト調査に向かない場合もあるでしょう。
質的データの調査方法
次に、質的データのリサーチによく用いられる方法を4つ紹介します。
1.行動観察調査
実店舗での顧客の振る舞いや表情を観察したり、自宅で自社商品を実際に使っている様子を観察する調査方法です。
行動観察調査のメリットは、消費者の素の反応をみられるところです。また、自社が想定していなかった利用方法や、思わぬ欠点を発見できることもあります。
一方、デメリットは観察者の力量に大きく左右されることです。そのため、専門のリサーチ会社に依頼することも珍しくありません。また、サンプル数を集めるために、手間と時間がかかります。
2.グループインタビュー調査
FGI(Focus Group Interview)とも呼ばれる方法で、司会者が6人程度を相手に質問をして、自由に答えてもらう方法です。主に仮説検証のためのマーケティングリサーチに用いられます。
グループインタビュー調査のメリットは、自由形式でいろいろな意見を聞けることと、一対一で調査するよりも活発な発言を誘発できることです。
その反面、メンバーの意見に偏りがあったとしても、気付けないリスクがあります。また、司会者の進行によって、成果が変わることもあります。
3.インデプスインタビュー調査
対象者とインタビュアーが1対1で対話して調査する方法です。時間は60?90分程度が多く、長い場合は120分程度に及びます。
インデプスインタビュー調査には、顧客のニーズや価値観などを深く理解できるメリットがあります。また、人前では話しにくい内容の調査も可能です。
一方、顧客と長期の信頼関係を築けているBtoBなどでなければ、機会を設けてもらうことは難しいでしょう。分析にも手間がかかります。
4.訪問調査
訪問調査とは、調査員が自宅や職場に出向いてリサーチする方法です。具体的な方法として、インデプスインタビュー調査を用いたり、用意していたアンケート用紙に顧客から聞き取った内容を記入したりと、さまざまなパターンがあります。
マーケティングリサーチの手順
マーケティングリサーチの手順は以下のとおりです。
- 企画・課題の抽出
- 調査内容作成・実査
- 収集データ分析
それぞれについて詳しく紹介します。
企画・課題の抽出
まずは、マーケティング課題の抽出からはじめます。例えば、ネットショップを経営している場合は、「サイト訪問者のコンバージョン率(購入率)を向上させる」などの課題が考えられるでしょう。
次に仮説を立てます。例えば「ニーズが顕在化しているユーザーに接触できていないのでは?」などのような仮説です。
マーケティングリサーチの対象は広範囲なため、企画・課題を設定する際には下記に注意しましょう。
- 企画や課題設定に具体性があるか
- データ収集可能か
- 妥当な仮説といえるか
調査内容作成・実査
企画・課題を抽出したら、以下の3つを軸に調査内容を決めていきます。
- 誰に?(調査対象)
- 何を?(質問票)
- どうやって?(調査方法、定量調査/定性調査)
特に重要になるのは「誰に?」の要素です。サンプル数が少なければ、信頼できるリサーチ結果を得られません。また、対象が多すぎるとコストや人的負荷が増大し、リサーチを完了できない恐れがあります。
「何を?」「どうやって」の要素では、自社目線で決めてしまうと、顧客の負担になる恐れがあります。過不足のない調査内容と方法を選んで実査しましょう。
収集データ分析
次に収集データを分析します。分析方法は何を明らかにしたいかによって異なります。単純に多数意見を知りたいだけなら、一般的な集計方法で問題ありません。
また、以下のようなデータ分析手法を利用する方法もあります。
- 顧客をセグメントに分けたい → クラスター分析
- 要因と結果を分析したい → 回帰分析
- 顧客ニーズを要約したい → 因子分析など
一方、定性分析の場合は、分析者の主観や偏りをなるべく避けたいところです。したがって、多様な人材を集めて分析する方法などが採用されます。
マーケティングリサーチのポイント
マーケティングリサーチでは、リサーチ自体が目的化してしまい、当初掲げた目標からズレてしまうことがよくあります。そのため、常に目的とセットにしてデータ収集、分析をおこなうことが大切です。
また、リサーチの意図を担当者に伝えておきましょう。例えば、店舗スタッフに行動観察調査をしてもらうなら、共通の尺度で評価するための基準を設け、漏れや抜け、ブレが生じないように工夫します。
マーケティングリサーチで施策立案に役立つデータを入手しよう
新たなマーケティング戦略を立てるには、過去から現在までの分析だけでなく、将来の予測を含めたマーケティングリサーチが必要です。マーケティングリサーチの手法はさまざまあるため、顧客やビジネス環境に合わせて最適なものを選択しましょう。
とはいえ、自社が入手できるデータだけでは、消費者インサイトや市場ポテンシャルを明らかにできない場合も珍しくありません。
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