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パーソナライズとは? 顧客に与える影響、必要性や活用ポイント・事例も紹介
近年注目されているマーケティング手法の一つが、「パーソナライズ」です。一人ひとりのニーズや興味に合ったコンテンツを提供する手法で、すでに取り入れている企業も少なくありません。
本記事では、パーソナライズの概要やメリット、活用する際の注意点などを詳しく解説します。パーソナライズは顧客満足度の向上や効率的なマーケティングに役立つ手法のため、ぜひチェックしてみてください。
マーケティングにおけるパーソナライズとは?
マーケティング業界で使われるパーソナライズとは、Webサイトやメールなどのコンテンツを、ユーザー一人ひとりの購買履歴や行動に合わせる手法や仕組みのことです。全員に同じコンテンツを表示するのではなく、よりユーザーが求めている情報を提供して信頼関係の構築や購買意欲の向上などを目指します。
カスタマイズとパーソナライズの違い
パーソナライズと混同されやすいワードが、「カスタマイズ」です。パーソナライズもカスタマイズも「ユーザーに合わせたコンテンツを表示する」点は同じですが、「誰がおこなうか」が異なります。
カスタマイズは、ユーザー自身が自分の欲しい情報や好みに合わせて設定を変更できる仕組みです。一方パーソナライズは、コンテンツを提供する企業側が、ユーザーごとに最適なコンテンツを提供します。
レコメンドとパーソナライズの違い
レコメンドとは、ユーザー属性などをもとにおすすめの情報を提供する仕組みです。年齢や性別、購買履歴などに同じ傾向がある他のユーザーが購入した商品やサービスを「おすすめ」として表示します。
パーソナライズもレコメンドも、企業側がユーザーに合わせたコンテンツを提供する仕組みです。両者の違いは、レコメンドが単純なユーザー属性に合わせたコンテンツを提供するのに対し、パーソナライズは一人ひとりの購買履歴などを分析して提供するコンテンツを変えている点です。
D2Cとは?
D2Cは「Direct to Consumer」の略で、企業が企画・製造した商品を直接消費者に販売する仕組みのことです。オンラインショップの場合、特にパーソナライズが効果を発揮し、パーソナライズとD2Cを組み合わせて活用するケースもあります。
D2Cは企業と消費者の距離が近く、顧客データを分析して一人ひとりに合わせた商品・サービスを提供しやすいため、パーソナライズとの相性がよいのが特徴です。そのため、パーソナライズとD2Cをセットにした販売モデルもあります。
マーケティングにおけるパーソナライズの必要性
マーケティング分野でパーソナライズが注目されているのは、消費者が自分に合った情報を求めているためです。アクセンチュアの「2018年 デジタル消費者調査」には、「消費者は自分に合ったサービスに関する関心が高い」と記載されています。
インターネット上には情報が溢れていて、自分が必要とする情報にたどり着くまでに手間や時間がかかるケースもあります。コンテンツがパーソナライズされていればユーザーが情報を探す手間が省け、企業に対しての高感度も上がるでしょう。
パーソナライズが顧客の感情に与える影響
ここでは、パーソナライズをおこなうと顧客の感情がどのように変化するのかをみていきましょう。
カスタマーエクスペリエンス(CX)
カスタマーエクスペリエンス(CX)は「顧客体験」の意味で、商品やサービスの利用に関わる体験を価値として提供するマーケティングの考え方です。自分に合ったコンテンツが提供され、不快に感じる情報が表示されないサービスは、ユーザーに快適さを感じてもらえます。そのため、パーソナライズされたコンテンツはカスタマーエクスペリエンス向上に効果的です。
顧客ロイヤリティ
顧客ロイヤリティとは、顧客から企業に対する愛着や信頼のことです。ニーズや興味に合った商品やサービスを提供されると「自分のことを理解してくれている」などの感情が生まれ、満足感が得られます。そのため、顧客ロイヤリティの向上にもつながります。
顧客ロイヤリティについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
サービス・製品・ブランドの選択
サービスや製品、ブランドを選択するとき、性能や価格に大きな差がない場合は、より「自分に合っている」「自分らしい」と感じられるものが選ばれる傾向にあります。購入を検討しているユーザーにパーソナライズされた情報を提供すると「ちょうどこれが欲しかった」と偶然の一致を演出できるため、最終的に自社が選ばれる可能性を高められます。
パーソナライズで活用できる情報
パーソナライズには、以下のような情報が活用できます。
- 年齢や性別などのユーザー属性
- 位置情報
- 時間帯
- Webサイトの滞在時間
- 購買履歴 など
このように、企業が取得できる既存顧客や見込み顧客の情報は、どのようなデータでもパーソナライズに活用できます。
情報を活用するポイント
ユーザー一人ひとりに合わせたコンテンツを提供するために、詳細なデータを取得して分析しましょう。単純にユーザー属性だけでコンテンツを決めるのでは単なる「おすすめ」になってしまい、パーソナライズには不十分です。購買履歴から顧客がどのような方なのか分析したり、Webサイト上でのページ遷移や滞在時間から行動の意味を予測したりすると、より正確なパーソナライズが可能になります。
パーソナライズを活用するメリット
パーソナライズには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、パーソナライズを活用する4つのメリットを紹介します。
潜在層にアプローチできる
パーソナライズを活用すると、ニーズが明らかになっていない潜在層にもアプローチできます。自社のWebサイトを閲覧しているユーザーは、明確にニーズを持っている人ばかりではありません。自分にとって必要なものをまだ把握できていない方もいます。このようなユーザーもパーソナライズを利用して分析すると、それぞれが求めているものを把握して提案しやすくなります。
顧客との信頼関係を築ける
パーソナライズした情報を提供すると、ユーザーが「自分が求めていたものを提案してくれる」「自分のことをわかってくれている」と感じられ、顧客体験や顧客満足度を高められるのもメリットです。顧客の購買履歴や実際に寄せられた意見などを商品やサービスに反映させることも可能で、信頼度を高める効果もあります。
既存顧客を囲い込める
既存顧客に対してパーソナライズしたコンテンツを提供すると、信頼関係がより強固になります。信頼関係を構築できている顧客は競合他社に乗り換える可能性が低く、継続的なサービスの利用が見込めます。このように、既存顧客を囲い込めるのもパーソナライズを活用するメリットのひとつです。
効率的に集客できる
効率的な集客には、ターゲットとなるユーザーの情報が必要です。パーソナライズを実践するとユーザーの詳細なデータが蓄積され、そのデータはマーケティングにも活用できます。ユーザーのデータが増えるほどターゲティングに活用できる情報の精度が高まるため、マーケティングの効率アップにもつながります。
パーソナライズを活用するときの注意点
パーソナライズはメリットの多い手法ですが、気をつけるべきポイントもあります。
ここではパーソナライズを活用するときの注意点を紹介します。メリットと併せてチェックしておきましょう。
プライバシーや個人情報保護の意識を持つ
世界的にプライバシーや個人情報の保護に対する意識が高まっており、法整備が進んでいます。日本でも2022年4月1日に改正個人情報保護法が施行されました。この法改正により、本人の権利保護が強化されたり個人情報を取り扱う事業者の責務が追加されたりしています。
このような背景があるため、収集したユーザー情報の取り扱いには、細心の注意を払わなければなりません。顧客情報を流出させることのないよう、しっかりとしたセキュリティ対策が求められます。
顧客の感情や流行の変化をチェックする
顧客のニーズや感情は変わりやすく、データを分析してパーソナライズをおこなっても「情報を提供したときにはすでにニーズが変わっていた」といった事態も起こり得ます。同様に流行も移り変わりが激しいため、データの更新や流行のチェックなどを怠らず、常に情報をアップデートしていかなければなりません。
提供する情報が偏らないようにする
パーソナライズによってユーザーごとに提供する情報を絞り込んでいくと、届けるコンテンツの内容が偏ってしまうケースがあります。場合によっては、ユーザーに「情報が制限されている」などの印象を与えてしまうかもしれません。情報が偏りすぎると信頼度や満足度が下がってしまうおそれがあるため、提供する情報が極端に偏らないように気をつけてください。
アナログなら多くのコストがかかる
パーソナライズはWebサイトなどのデジタル施策だけでなく、ダイレクトメールなどのアナログ手法にも活用できます。ただし、アナログの場合はデジタルよりも多くの費用や手間がかかる点に注意してください。パーソナライズに取り組むなら、デジタルのほうがおすすめです。
パーソナライズの活用例
パーソナライズを活用したサービスはたくさんあります。例えばYahoo!ニュースでは、過去に閲覧した記事などを分析して、ユーザーごとに関心が高いと思われる記事が表示されるようになっています。
まとめ:パーソナライズを活用して効果的なマーケティングをおこないましょう
パーソナライズは、ユーザー一人ひとりに合わせたコンテンツを提供する仕組みです。パーソナライズされたサービスは「自分に合った情報がすぐに見つけられる」「不快な情報が表示されない」など、顧客満足度や企業への信頼度の向上が期待できます。
「消費者がパーソナライズされた情報を求めている」とする調査結果もあり、積極的に取り入れている企業も少なくありません。個人情報を取り扱うためセキュリティ対策には十分に注意しながら、パーソナライズを活用したマーケティングに取り組んでみましょう。
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