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調査 公開日:2023.01.16 更新日:2023.10.03

競合調査の方法とは?具体的なフレームワークや調査項目を徹底解説

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競合調査は差別化戦略を立てるために、業種や業態を問わず実施されています。しかし、具体的なフレームワークや調査項目などを知らない方も多いのではないでしょうか。


本記事では、競合調査とは何か、調査のメリットや、調査の進め方、活用できるフレームワークなどを解説します。またビッグデータを活用した競合調査の方法も紹介しているので、自社施策にお役立てください。

 

競合調査とは?

競合調査とは、差別化戦略を立てるために、競合企業をさまざまな角度から調べることです。調査項目は多岐にわたり、具体的には以下のような調査項目が挙げられます。

 

・競合会社の規模やシェア、広告戦略、流通経路
・商品の性能、デザインなど

 

また、調査方法もホームページのチェックや調査会社に依頼しておこなうリサーチ、展示会やイベントの見学などさまざまです。

競合調査と似た言葉に「市場調査」があります。市場調査とは、自社や商品の認知度、競合他社の存在、顧客のニーズなど、市場に関するデータを集める調査です。つまり、競合調査は市場調査の一部に含まれます。

 

市場調査については、下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


【事例あり】市場調査とは?調査方法から具体的な流れを解説

 

競合調査のメリット

企業が競合調査を実施するメリットは主に3つあります。

 

新たな脅威を発見できる

競合調査をおこなうことで業界を客観的に見られるため、自社のビジネス業界に新規参入した業者を発見できます。また、今後、自社の競合となりうる企業を予想できます。

 

差別化戦略を立案できる

競合の強みや弱みを分析すると、自社に有利な差別化戦略を取りやすくなります。例えば、他社にない価格帯の商品を発売して競合を避けるなどの対応が取れます。


ただし、安易に価格帯の変更をしたり、サービス・商品の改良をおこなうことでむしろ市場やターゲットユーザーのニーズに合わなくなってしまうケースも考えられます。


そのため、差別化戦略を立てる際は、市場やターゲットユーザーのニーズに合っているかも考慮する必要があります。

 

自社商品・サービスを改善できる

他社の成功パターンや失敗パターンを学ぶことで、自社商品・サービスの改善につなげられます。また、業界のトレンドや技術動向などを知って、後れを取らないための対策を取れます。

 

競合調査の方法

競合調査はどのように進めていけばよいのでしょうか。ここでは目的設定から調査実施までを、5つのステップに分けて解説します。

 

➀競合調査の目的を明確にする

まずは競合調査の目的を明確にしておきます。販売戦略の見直し、ビジネスモデルの改善、自社商品の改善など、何の目的で競合調査するのか決めておきましょう。


目的が決まれば、おのずと調査範囲や項目が絞られてきます。逆に、目的があいまいであれば調査範囲や項目が広がり、余計なコストや手間がかかってしまうかもしれません。また調査自体が目的化してしまい、成果が出なくなる場合もあります。

 

➁調査対象を選定する

次に調査対象となる企業を選びます。一般的には、同程度の価格帯で類似商品・サービスを提供している企業になるでしょう。特に同じ商圏内の競合他社は優先的にリストアップされます。


ただし、商品・サービスを基準にすると調査するべき競合が漏れる場合もあります。例えば、レンタルショップ店なら直接的な競合他社だけでなく、動画・音楽配信サービスも対象に加えるべきかもしれません。こうした漏れをなくすには、同じ顧客層を共有しているかどうかでも検討する必要があります。

 

➂調査項目を整理する

調査対象が決まったら、調査項目を整理して決めます。調査項目を明確にしておくと複数の企業を同じ基準で調査できるため、分析しやすくなります。


具体的な調査項目は目的によって変わってくるので、ここからは目的別に具体的な調査項目を挙げていきます。

 

ビジネスモデルを調査する場合

・事業規模
・商品展開
・経営方針
・集客方法
・プロモーション方法
・流通方法
・販売方法、など

 

ホームページやECサイトを調査する場合

・検索結果上の掲載順位
・ウェブサイトのコンテンツ
・サイトの機能、利便性(申し込みフォームや決済手段、チャットボットの有無など)
・サイトデザイン(テキストや配色などのトンマナ、画像や動画の使用割合など)
・サイトの更新頻度
・集客方法(ウェブ広告、SNS、動画サービスなど)
・メインの顧客層、など

 

商品・サービスを調査する場合

・価格
・品質(性能、オリジナリティーなど)
・デザイン
・商品やサービスの種類、ラインアップ
・接客品質
・サポート品質、など

 

販売戦略を調査する場合

・販売方法(店舗での陳列方法、ウェブ上での購入可否など)
・販促の手法(広告配信媒体、オフライン販促の活用など)
・販売促進費、広告費
・販売実績
・シェア率、など

 

商的流通・取引流通を調べる場合

・受注、発注の方法
・業務委託契約先
・システム改修の際の分担
・問題発生時の規定、など

 

人事制度を調査する場合

・組織体制
・賃金給与、報奨制度
・非正規雇用割合
・人材採用
・社員教育、など

 

➃仮説を立てる

競合調査の前に調査で検証したい仮説を立てておきましょう。「○○という施策を実行すれば、競合と差別化できるのではないか」といった仮説を立てておけば、競合調査を分析する軸ができ、調査結果に応じて次のアクションを決めやすくなります。


競合調査は仮説検証のために実施するものと考えておきましょう。「事実を集めれば何らかの知見を得られるだろう」というスタンスで競合調査に取り組むと、余計な費用や時間がかかる可能性もあります。

 

➄調査を実際におこなう

企業ホームページやアンケート、現地調査など、目的に合った方法でデータを収集し、分析します。これは「実査」と呼ばれるプロセスです。十分な精度のデータが集まったら仮説が正しいか検証しましょう。

 

競合調査のフレームワーク

ここでは競合調査に活用できる代表的なフレームワークを6つ紹介します。

 

3C分析

 

3C分析は以下の3つの視点で分析するフレームワークです。

 

・顧客(Customer):市場や顧客の分析
・競合(Competitor):競合他社の動向、商品の強みや弱みなど
・自社(Company):自社、商品の強みや弱みなど

 

3C分析は主に事業計画やマーケティング戦略を立案する際に用いられます。競合調査は3C分析のなかで競合(Competitor)の分析にあたります。


3C分析のやり方やコツ、実施例については下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

 

戦略立案に欠かせない「3C分析」とは? わかりやすい分析方法とコツ
3C分析の企業事例を紹介!3C分析の目的や分析時のポイントとは?

 

4C分析

 

4C分析は次の4つのCを顧客視点で分析する方法です。

 

・価値(Customer Value):品質、性能、デザイン、使いやすさなど
・コスト(Customer Cost):顧客が支払う費用(顧客が納得して支払える金額)
・利便性(Convenience):販売方法、決済方法など
・コミュニケーション(Communication):対面、SNSなどのアプローチ方法

 

競合調査では、他社商品に対して4Cを評価し自社の評価と比較します。


4C分析では、実際のユーザー視点で「他社商品を選ぶ理由」を分析し、気付かなかった他社商品の魅力や自社商品との差分を把握できます。

 

4P分析

 

4P分析は次の4つのPを企業側の視点で分析する方法です。

 

・製品(Product):品質、性能、デザイン、使いやすさなど
・価格(Price):販売価格
・流通(Place):販売チャネル、流通範囲など
・販売促進(Promotion):広告、イベントなど

 

競合調査では、他社商品に対して4Pを評価し、自社の評価と比較します。

 

4P分析の実施例については下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


4P分析の企業事例を紹介!4P分析の目的や分析時のポイントとは?

 

SWOT分析

 

SWOT分析は強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4要素をかけ合わせて戦略を立案する方法です。

 

 

 

プラス面

マイナス面

内部要因

強み(Strengths)

・自社の強み(技術力が高い、販路が広い、など)

弱み(Weaknesses)

・自社の弱み(価格が高い、リピート率が低い、など)

外部要因

機会(Opportunities)

・競合が少ない、消費者数が多いなど

脅威(Threats)

・新規参入企業の増加、景気が悪い、など

 

 

競合調査は外部要因の項目で分析します。例えば「強み=技術力が高い」「脅威=新規参入企業の増加」であれば、2つをかけ合わせて「性能をアピールした商品による差別化」などの戦略を検討できるでしょう。同じように2×2=4通りの戦略を検討します。

 

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は「仕入れ→製造→物流→販売→サポート」のように事業活動全体をいくつかの「主活動」に分類し、どのプロセスで付加価値(利益)を出しているか分析する手法です。

 

各プロセスの評価の際はインフラストラクチャー(全般管理)、人事・労務管理、技術開発、調達活動などの「支援活動」に分けて、利益への貢献度や強み、弱みを洗い出します。

 

競合他社に対するバリューチェーン分析では内部情報が多いため、データを入手しにくいケースが少なくありません。このため必要に応じて調査会社も利用します。

 

ファイブフォース分析

 

ファイブフォース分析は、企業を取り巻く5つの脅威を分析する方法です。

 

・競合他社:競合他社の数や規模、市場の成長率など
・新規参入:異業種からの参入のしやすさ
・代替品:代替品登場のリスク(自動車メーカーの場合、カーシェアリングの普及など)
・売り手の交渉力:仕入れ先の価格や諸条件の交渉力
・買い手の交渉力:消費者の価格や品質についての交渉力

 

ファイブフォース分析は主に業界構造や収益性を把握するために用います。したがって競合調査では、特定の企業を対象にするのではなく競合全体、業界全体を分析することになります。

 

競合調査の注意点

競合調査自体にデメリットはありませんが、調査を実施する際はいくつか注意点を押さえておきましょう。

 

一つ目の注意点は、目的を明確にせずに競合調査をはじめることで、コストが増大してしまう点です。例えばターゲットを絞らずにアンケート調査を実施すれば、膨大な手間と費用がかかる恐れがあります。

 

二つ目の注意点は、競合調査のデータが古くなってしまう点です。競合他社の戦略変更や新商品発売などさまざまな要因によって、今まで有効だった競合調査のデータが使えなくなる可能性があります。

 

そのため、調査の目的を明確にし、データが有効の期間に調査を実施できるようスケジュールを調整することが大切です。

では、コストや期間を抑えながら市場の動向に応じて競合調査をするにはどうすればよいのでしょうか?次項では、具体的な競合調査のツールをご紹介します。

 

市場の動向に応じて競合調査を実施したい場合は?

トレンドや流行の移り変わりが早い現代では、ユーザーのニーズ変動も早いため、変化を定期的に知っておくことが重要です。競合調査によってPDCAサイクルを回せるヤフーのソリューションを紹介します。

 

Yahoo! JAPAN 第一想起分析

「第一想起」とは、「自動車といえば○○社」のように、消費者が特定のキーワードに対して最初に思い浮かべる企業名や商品名です。Yahoo! JAPAN 第一想起分析(以下、第一想起分析)は、Yahoo! JAPANの膨大な検索ユーザーの行動データを活用することで、購入検討層が自社商品や競合商品をどのような順番で検討したかを明らかにするサービスです。

 

第一想起分析を利用すると、競合他社と自社の第一想起率を比較して自社の立ち位置を把握できます。そして、自社よりも想起度の高い競合他社の商品・サービスを分析することで、リアルタイムのユーザーニーズを知れるため、商品・サービスの改善等の実施すべき施策も見えてくるかと思います。

第一想起分析については下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


Yahoo! JAPAN 第一想起分析

 

Yahoo! JAPAN 第一想起分析の活用事例

第一想起分析によって、市場における競合と自社の立ち位置を把握したあとはどうすればよいのでしょうか?ここでは、日産自動車の活用事例を紹介します。

日産自動車では、第一想起率が高いユーザー層がコンバージョン率も高いという調査結果に基づいて、第一想起率のリフトアップとターゲティングの精度向上に第一想起分析を活用しています。

第一想起率のリフトアップ

広告接触ユーザーと非接触ユーザーの第一想起検索率を比較したところ、広告接触ユーザーのほうが第一想起検索率が2.3%向上していることが確認できました。

ターゲティングに活用

第一想起分析を用いると第一想起率が高いユーザー属性がわかります。例えば日産自動車のセレナに対する第一想起検索率はファミリー層が多かったため、この層に絞り込んだ効率的な広告配信を実施しています。

第一想起分析の活用事例については下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
「第一想起分析」実際の検証例をご紹介(日産セレナ)

 

Yahoo! JAPAN 予測ファネル

競合調査では、物事をミクロな視点で見てしまう傾向があるため、市場全体をマクロな視点で見ることができるYahoo! JAPAN 予測ファネル(以下、予測ファネル)の併用が効果的です。

予測ファネルとは、見込み顧客の育成具合を定量的に可視化できるサービスです。コンバージョンしたユーザーの行動を参考に分析し、コンバージョンする可能性が低いオーディエンスから高いオーディエンスを0.0~0.9で独自に予測スコア化して、ファネルで表現できます。

予測ファネルについては下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


Yahoo! JAPAN 予測ファネル

 

予測ファネルの活用事例

予測ファネルには、単に市場全体における見込み顧客のボリュームを把握する以外にもさまざまな活用方法があります。ここでは、不動産情報サイトの「ノムコム(nomu.com)」の活用事例を紹介します。

不動産情報サイトの「ノムコム(nomu.com)」では、認知系広告に力を入れましたが、本当にコンバージョンにつながる顧客にアプローチしているのか判断できないという課題がありました。そこでYahoo! JAPAN 予測ファネルを使って見込み顧客を可視化し、スコア別に広告を配信する取り組みを始めました。

 

配信後は広告の接触前後でスコアの変化を比べることで、「よりコンバージョンに近い予測スコアへ移動させられたのか」を定量的に確認しながら広告運用を調整しました。これによって、例えばYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)では、広告接触オーディエンスのスコア変動率が非接触オーディエンスの1.7倍高いという結果がわかりました。

予測ファネルの活用事例については下記ページで詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


「予測ファネル」オーディエンスの可視化とスコア別配信によりコンバージョン期待値が向上

 

まとめ

競合調査は自社の競争力を確保するために欠かせない調査です。目的や仮説を明確にしたうえで、競合調査に取り組みましょう。ビジネススピードが加速する現在では、ビッグデータを用いた競合調査も効果的です。

 

ヤフーでは、自社と競合他社の第一想起率をリアルタイムで調べられる「第一想起分析」や、将来を含めた見込み顧客をファネルで可視化できる「予測ファネル」を提供しています。コストと期間を抑えながら、高速でPDCAサイクルを回せる新たな競合調査をぜひお試しください。

 

データマーケティングソリューション


制作:デジタルアイデンティ株式会社

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